白小 | |
盛唐・杜甫 |
白小群分命,
天然二寸魚。
細微霑水族,
風俗當園蔬。
入肆銀花亂,
傾箱雪片虚。
生成猶捨卵,
盡取義何如。
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白小
白小 群分 の命 ,
天然二寸 の魚 。
細微 水族 に霑 ひ,
風俗園蔬 に當 つ。
肆 に入 れば銀花 亂れ,
箱を傾 くれば雪片 虚なり。
生成 猶 ほ卵を捨 く,
盡 く取るは義 何如 。
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◎ 私感註釈
※杜甫:盛唐の詩人。712年(先天元年)〜770年(大暦五年)。字は子美。居処によって、少陵と号する。工部員外郎という官職から、工部と呼ぶ。晩唐の杜牧に対して、老杜と呼ぶ。さらに後世、詩聖と称える。鞏県(現・河南省)の人。官に志すが容れられず、安禄山の乱やその後の諸乱に遭って、流浪の一生を送った。そのため、詩風は時期によって複雑な感情を込めた悲痛な社会描写のものになる。
※白小:白い小魚。白魚。小白魚。銀魚。麺条魚。氷魚。ヒウオ。
※白小群分命:(この)白い小魚の群には本能があり…。
※天然二寸魚:自然のままで3〜4センチメートル程の魚だ。 ・二寸:6〜7センチメートル。一寸3.6センチメートル(唐・大尺)。3センチメートル(唐・小尺)。
※細微霑水族:小さいながらも、水中の生き物に恩恵を施し。 ・細微:こまかいこと。小さく、かすかなこと。 ・霑:〔てん;zhan1○〕うるおう。うるおす。恩恵を受ける。恩恵を施す。 ・水族:水中の生き物。
※風俗当園蔬:(この地方の)風俗として、畑の野菜にあてている。 ・当:…にあてている。…とみなしている。 ・園蔬:畑の野菜。
※入肆銀花乱:店に入れば、店先に銀の花(この白い小魚)が乱れ。 ・肆:〔し;si4●〕店。
※傾箱雪片虚:箱を傾ければ、(早既に)雪片(この白い小魚)が(飛び跳ねて箱から落ちて)空っぽにしてしまっている。 ・虚:むなしい。から。中身がない。
※生成猶捨卵:生まれ育てるには、なおも卵を手放さないで残しておくべきであり。 ・猶:なお…ごとし。ちょうど…のようだ。 ・捨:〔しゃ;she3●〕やめる。てばなす。すてる。かえりみない。ほどこす。「拾」〔しふ;shi2●〕ひろう。ともする。
※尽取義何如:ことごとく取り尽くすのは、人としてふみ行なうべき道から見て、どのようなものであろうか。 ・尽取:ことごとく取り尽くす。 ・何如:どのようであるか。いかん。是か非か。是非・状態・方法を問う。
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◎ 構成について
この作品の平仄は、次の通り。韻式は、「AAAA」。韻脚は「魚蔬虚如」で、平水韻上平六魚(魚蔬虚如)。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●,
○○●●○。(韻)
●○○●●,
○●◎○○。(韻)
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○○●●,
●●●○○。(韻)
2021.8.29 |
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