xinqiji XinQiji xin qiji Xin Qiji Shici Shijie shicishijie
身世酒杯中, 萬事皆空。 古來三五個英雄。 雨打風吹何處是, 漢殿秦宮。 夢入少年叢, 歌舞匆匆。 老僧夜半誤鳴鐘。 驚起西窗眠不得, 卷地西風。 |
身世 酒杯の 中,
萬事 皆 空たり。
古來 三五個の 英雄。
雨に 打たれ 風に 吹かれ 何處か是れ,
漢殿 秦宮なる。
夢は 入る 少年の 叢,
歌舞 匆匆たり。
老僧 夜半 誤りて 鐘を鳴らし。
驚き起きて 西窗に 眠り得ず,
地を 卷く 西風。
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◎ 私感註釈
※浪淘沙:詞牌の一。詞の形式名。詳しくは下記の「構成について」を参照。
※山寺夜半聞鐘:山寺で夜中に鐘の音を聞く。 ・聞:聞くともなく聞く。なお、耳を欹(そばだ)て、しっかりと聴く、という場合は「聽」。
※身世酒杯中:我が身の境遇は、この酒杯の中(と同じで)。 ・身世:人の一生。この身とこの世。また、身の上。我が身の境遇。ここは前者の意。 ・酒杯中:杯の中にある。南宋・陸游の『示兒』に「死去元知萬事空,但悲不見九州同。王師北定中原日,家祭無忘告乃翁。」とあり、後世、清・歸莊は『遣人入城權瘞三嫂遙哭』で「無端遭酷禍,誰與訴蒼穹。情苦一身小,途窮萬事空。死生從弱息,出處任狂童。髣髴貞魂在,凄涼江上楓。」と使う。
古來三五個英雄:昔からの何人かの英雄(は)。 ・古來:昔から。 ・三五個英雄:数人の英雄。英雄はあまり多くないことをいう。 ・三五:概数を表す。3、4の。4、5の。数個の。数人の。 ・個:人等を数える助数詞で「□人の…」の「にん」に当たる。
※雨打風吹何處是:時節の変化を前にして、どこに(漢殿や秦宮は)いったのか。 *「雨打風吹,何處是漢殿秦宮」ということ。 ・雨打風吹:時勢の変遷。時節が変化していくときの試煉。同じく辛棄疾詞「永遇楽」「風流總被,雨打風吹去。」にも同様の表現がある。 ・何處是:どこに…があるのか。「雨打風吹何處是,漢殿秦宮。」とひとまとまりで見た方が、意味がすっきりとする。
※漢殿秦宮:(統一大帝国であった)漢の御殿や秦の宮居。漢や秦は古代中国で盛強を誇ったが、同じく南宋に比べて盛んだった北宋を指している。どこにあの盛強を誇った祖国があるのか。
※夢入少年叢:夢に見るのは、若かった頃の(あの)集団だ。 ・夢入:夢に見る。長恨歌に「魂魄不曾來入夢」がある。 ・少年:古語では、青年の男子。青年。 ・叢:集まっている人。衆。
※歌舞匆匆:すばらしいことは、あっという間に終わる。よいことは長続きしない。 ・歌舞:歌や踊り。ここでは、楽しいこと、すばらしいことの意で使われている。 ・匆匆:あわただしく。いそがしく。匆々。匆≒怱
※老僧夜半誤鳴鐘:老僧が夜中に間違って鐘を鳴らしたので。 ・老僧:僧。老僧。 ・夜半:夜中に。夜半に。 ・誤鳴鐘:間違って鐘を鳴らす。
※驚起西窗眠不得:西側の窓辺に驚いて起きたあと、眠つけない。 ・驚起:驚いて起きる。 ・眠不得:眠れない。「動詞+不得」で、不可能、やりおおせないことを表す。
※卷地西風:地を巻く西側からの強風。 ・卷地:地を巻く。風などの強いさまの表現。北宋・蘇軾の『六月二十七日望湖樓醉書』「黑雲翻墨未遮山,白雨跳珠亂入船。卷地風來忽吹散,望湖樓下水如天。」とある。 ・西風:秋風。ここでは、辛棄疾の方針に反対する勢力も指すか。
◎ 構成について
双調 五十四字。平韻一韻到底。韻式は「AAAA AAAA」。 前後の韻式は同じ。韻脚は「中空雄宮 叢匆鐘風」で第一部平声。
●●○○,(A平韻)
●○○。(A平韻)
○●●○○。(A平韻)
●○○●●。
●○○。(A平韻)
●●○○,(A平韻)
●○○。(A平韻)
○●●○○。(A平韻)
●○○●●。
●○○。(A平韻)
2001.10. 9 10.10 10.24完 2007. 6. 8補 2011. 2. 7 |
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