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紙で作る8620

紙の8620製作中

2022.1.18

2004年に紙製ボディーの8620を作ったことがありまして、製作途中の写真がいくらか残っておりました。
製作したのは紙の9600の次だったので進め方も似ています。ケント紙に直接作図してナイフで切り抜き、部品を作っていきました。データに再利用性がないぶっつけ本番でした。

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動力部

この模型のベースはマイクロエース製の8620です。一回り太く高く作られている模型でしたので、動力部の改造から始めました。

ダイキャストブロックは縮尺1/150のボイラーに収まるサイズまで削りました。モーターを機関部に収めるのは無理と早々にあきらめ、テンダーに逃がしてテンダーモーターとしました。

ウォームがモーターに直付けされていたため、新たなウォーム軸と軸受けを用意するなど、動力部の模型工作をゴリゴリやる必要がありました。

内ボイラー

この時点で未発売であった(今も)、1段ランボード・空制・Sキャブ・連続窓のタイプにしました。

ボイラーはまた2重構造です。内ボイラーは左右のランボード部分も含め、1枚の紙(厚さ約0.3mmのケント紙)を折り曲げて作りました。ボイラーの下に少し隙間を作っており、また車輪の一部がランボード上に出るため切り欠きが多いです。

ランボードは2枚重ねで、上の板には厚さ0.2mm程度の古名刺を使いました。表面が滑らかにコートされています。以下、各部はこの2種の紙を使い分けています。最終的に表面に出る部分は細かい部分を除いて基本的に古名刺です。

ランボード貼り重ね

ランボードを木工用ボンドで貼り重ね、スプラッシャーの外周を貼りました。

紙は薄いので、スプラッシャーの直径もあまり大きくせずにすみました。だいぶあとに3Dプリンターで8620を作ったときは、樹脂が厚いためスプラッシャーの外形が大きくなり、デザイン的な調整が面倒でした。

キャブ妻板

キャブ妻板を付けました。

前面窓やドアのフチには鉄筆やナイフで軽くスジを入れて表現しています。

妻板裏側

妻板と内ボイラーのRに少々ズレがあったので、隙間を埋めるために裏側に紙を貼り重ねました。

ボイラー側面控え

外ボイラーを丸めて被せる前に、内ボイラーの左右の垂直な壁にいくつかの控え(スペーサー)を接着しました。

外ボイラーとボイラーバンド

外ボイラーは丸棒などで押さえながら気長に丸めました。2、3日も丸めているとクセが付いて戻らなくなったので、薄紙で作ったボイラーバンドを貼り付けました。貼り付けに失敗してちょっとシワが寄っています。

丸めた外ボイラーを内ボイラーに貼り付けるのが意外と大変です。紙の吸収のせいで木工用ボンドがすぐ強力に接着してしまうため、位置決めにモタモタしているとそのまま固着してしまいます。失敗して内ボイラーもろとも作り直したことがあったような気がします。
もうちょっと方法を考えたほうがよかったですね。

フロントデッキ

フロントデッキと端梁を1枚の紙から切り出し、折り曲げて接着しました。

厚さ0.3mmの紙を小半径で曲げているため、紙の厚みによる表裏の円周の差で、内側にちょっとシワが出てしまいました。

デッキ左右にはあとでランボードの厚みに合わせてフチを付けます。

キャブのケガキ

キャブを作るためケント紙に作図しています。

屋根と左右の側板はひとつながりで、屋根の丸めのため紙の目は前後方向に取っています。

側板部分には、あとで紙の目を縦方向にした紙を貼り重ねます。

キャブ取り付け

キャブを接着し、左右の側板に外板を貼り重ねました。

Sキャブの裾部分はナイフでスジを入れて表現しています。

キャブ後板

キャブ後部妻板を取り付けました。テンダーモーターのシャフトが貫通する部分です。

どの部品もそうですが、接着後、フチの部分や細い部分を中心に瞬間接着剤を浸み込ませて固めています。強度アップのほか、塗装前の取り扱いによって紙の繊維がけば立ってくるのを防ぎます。

雨樋

ちょっと見づらいですが、側板の上部の厚みの部分に、紙を細く切った雨樋を貼り付けています。

デッキ側面

今度は前方に飛びまして、デッキ左右にフチを貼り付けました。

古名刺から切り出して貼り、瞬間接着剤を流しました。使った古名刺は瞬間接着剤を吸い込みにくく(コート面からは吸い込まない)、表面に残ってちょっと凸凹になっています。

デッキ上方と蒸気管カバー

デッキ上には主台枠の前端(半円形状の板)を接着しました。

また、煙室左右に蒸気管カバーを作って接着しました。これでランボード前方〜デッキの形状が安定します。

蒸気ドーム、サンドドーム

スチームドーム、サンドドームの原形を作っています。

胴の部分はただの円筒なので紙を丸めています。ボイラーの曲面と密着する下側は、前後の一番上がっている点と左右の一番下がっている点を割り出して印を付け、あとは何となく曲線を描いて切り抜きました。

上部は丸い紙を数枚重ねています。段々はあとで埋めます。

ドーム仮合わせ

この状態でボイラーに仮合わせし、見た目に大きい・小さいがないかを確認しました。

なおドームと重なる部分にはもともとボイラーバンドを作っていません。バンドは左右に分断しています(前のほうの写真でご覧いただけると思います)。

ドームの段差埋め

問題なかったので上部の段差を埋めて丸みを付けました。

埋めるには接着剤を使ったり、塗料とシッカロールを混ぜて練ったりと場当たり的にやっていますが、このときはエポキシパテを使いました。

煙突

化粧煙突は一貫して製作方法に進歩がなく、ただの筒にただの輪を通しただけです。もう少し形を整える方法を色々考えてはみるわけですが、いざ現物を目にすると非常に小さいために、やめておこうという感じでした。

化粧煙突なんて3Dプリンターで簡単に作れますけども、それでは紙の蒸気機関車になりませんものね。今改めて紙で作るなら、どんな方法がとれるでしょう。

ボイラー上部の装備

作ったドームと煙突をボイラー上部に接着しました。安全弁の台座も円筒形に作って接着しました。

左右にずれやすいので神経を使います。そういうところは金属キットの組み立てと同じですね。

写真では左右の空気ダメも付けています。スプラッシャーとの干渉のため完全な円筒ではなく切り欠いています。ただ、あとでカバーが付くので目立たなくなります。

コンプレッサー配管

砂撒管と砂撒器を接着しました。細長いL形に切った紙を曲げています。これらはたいてい他の配管の一番下になるので最初に作ってしまいました。


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