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B6 その2

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煙突〜砂箱

河合商会の製品は、おもにこの部分を作り分けることでバリエーション展開されています。
よく見ないと違いがわからないものもあります。

2157 2286
河合商会 2157タイプ ※写真の品は別番号を付けています
最初に発売されたもの。ストレート煙突、砂箱は前方です。
なお「真鍮ボデー」以外の製品はどれもそうですが、安全弁が乳白色のプラで作られており、ちょっと独特です。
河合商会 2286タイプ
化粧煙突で砂箱は前後2個です。ナンバープレートは赤です。
2120 2272
河合商会 2120タイプ
ストレート煙突、砂箱は後方です。
河合商会 2272タイプ
化粧煙突、砂箱は後方です。他につかみ棒や白線など若干のディテールアップがあります。
真鍮ボデー
河合商会 真鍮ボデー
化粧煙突、砂箱は前方です。ナンバーはインレタが付属しています。
トーマモデルワークス 原型 トーマモデルワークス 空制化前
トーマモデルワークス 2120形〔原型〕
化粧煙突、砂箱は前方です。
トーマモデルワークス 2120形〔空制化前〕
ストレート煙突、砂箱は前後2個です。後方の砂箱は2タイプを選べます。
トーマモデルワークス 空制
トーマモデルワークス 2120形〔空制〕
ストレート煙突、砂箱は前方です。

河合商会

1990年代、河合商会は旧トミーナインスケール時代からの貨車(バックマン製)を再投入していたため、その関連でK.S.KタイプCタンクも再登場するのではないかと期待されました。
実際に登場したのは、Cタンクではありますが完全新規製作、れっきとしたプラ量産品のB6でした。
河合商会は情景プラ模型メーカーとしても有名でしたが、残念なことに2012年、破産してしまいました。

●プラ完成品

KP-150 B6 2157タイプ 1994年 B6 2157タイプ

KP-150
B6 2157タイプ

1994年 (拡大写真)

KATOの貨車ほどの小さなプラケースに入っています。付属パーツが非常にたくさんあります。
(注:写真は別ナンバーを付けていますが2157ナンバーは付属しています)
このほかに乳白色プラの汽笛も付属していますが、取り付けていません。

KP-151 B6 2286タイプ 1995年 B6 2286タイプ

KP-151
B6 2286タイプ

1995年 (拡大写真)

バックマン製の客車4両とセットされた「開拓使号タイプ」(KP-140 1997年)や、「無ガイ貨車セット」(KP-162 1999年)もありました。
入っているはずのブレーキシリンダーの左がなく、右が2個入っていたため、ご覧のとおり付けられませんでした。

KP-152 B6 2120タイプ 1995年 B6 2120タイプ

KP-152
B6 2120タイプ

1995年 (拡大写真)

こちらにも車両セットの「古典客車タイプ」(KP-141 1997年)、「木造貨車セット」(KP-163 1999年)もありました。

KP-153 B6 2272タイプ 2001年 B6 2272タイプ

KP-153
B6 2272タイプ

2001年 (拡大写真)

ケースがプラ製から紙箱に変更されています。これもなぜか、ブレーキシリンダーが右のみ2個入っておりました…。当たりが良すぎます。

プラ量産品でのB6という画期的な製品です。ユーザーの手による別付けパーツも多いのが特徴です。
前後のライトとレンズ、コンプレッサー配管、ブレーキシリンダー、カプラー解放てこ・てこ受け、左右3箇所ずつの手すり(金属製)、ナンバープレート、メーカーズプレート、そして穴あけを要する汽笛が添えられています。
「取り付け部品が非常に細かいため、小さいお子様が扱う場合はおとなの方が取り付けてください」という恐ろしい注意書きが含まれていました。小さいお子様がB6という姿もなかなかアレですが、いきなり大人が取り付けを振られても困ったりします(それほど細かい)。

つくりはそれなりですが、ボディーの基本部分は比較的しっかりしていました。横から見たシルエットもB6らしく、なかなかよい雰囲気です。
動力はギヤ比が大きく取られているようで、音は多少大きいもののスローは効き、このクラスの低価格製品としては安定した走りでした。感じとしてはトミックスの9600の走りに似ています。なおトミックスの9600も中国製です。

客車セットの「開拓使号タイプ」「古典客車タイプ」は次のようなもので、添付客車は色が違うだけです。「ハ」が3両、「ハニ」が1両でした。

 開拓使号タイプ
開拓使号タイプ

 古典客車タイプ
古典客車タイプ

●「真鍮ボデー」製品

プラ完成品から始まった製品としては珍しいことに、同じ動力を利用して、ボディーのみ金属製という製品も販売されています。

KP-154 B6 真鍮ボデー(形式2120) 1998年 B6 真鍮ボデー

KP-154
B6 真鍮ボデー(形式2120)

1998年 (拡大写真)

下廻りはプラ製品と同じで、上廻りだけ真鍮製です。キットもあります。
これは今はなきアキハバラデパート内で買ったのでした。

全体の様子や手すりなど小パーツの形状に、どことなくワールド工芸の香りが漂っているように感じます。もしかしたらOEMなのかもしれません。
なおワールド工芸はそれ以前にディスプレイモデルのB6を製造したことはありますが、それとは別物です。

河合商会の製品のうち、空制化前の姿はこの1タイプのみです。バッファーは真鍮挽物の後付けパーツで、よいアクセントになっています。このほか数字の白色インレタも付属しています。

河合商会のB6あれこれ

動力の新旧

動力の新旧

動力ユニットは何らかの事情で、早期に一度変更されています。

当初は3軸ともギヤ駆動でしたが、後に第一動輪のギヤ連動はなくなり、ギヤのあった位置は黒いシールでふさがれました。しかし走行性能には大差ないようです。

悲惨な過去

ダイキャスト割れ

初期の製品の一部には、動力のダイキャストブロックに割れや膨れを生じ、走行不能となるものがありました。
問題が露呈するのは最初の数年のうちなので、20年近く経った現在まで異常が起きていない個体は、この問題を潜り抜けたものと思います。ただし、断裂には至らなくても、変形のため動きが非常にぎこちなくなっている例はありそうです。すでに古くなった製品のうえ、メーカーも廃業していますから、おそらく修理は不可能です。

ある日模型店に行くと、何も言っていないのに、新品のB6の動力ユニットをただでくださったという不思議な出来事がありました。訳は聞かないでと言われました…。


トーマモデルワークス

前年に雨宮タイプBタンクなどの小型蒸機シリーズを投入したトーマモデルワークスから、次のシリーズとしてB6が登場しました。

●初回製品(キット)

0451 B6 2120形〔原型〕 2013年 B6 2120形〔原型〕

0451
B6 2120形〔原型〕

2013年 (拡大写真)

バッファー付きの原型タイプです。砂箱はドーム前にひとつ付いています。

0452 B6 2120形〔空制化前〕 2013年 B6 2120形〔空制化前〕

0452
B6 2120形〔空制化前〕

2013年 (拡大写真)

自連付きで、後部に増設砂箱が付いています。砂箱は写真の形と、原型タイプの2種から選べます。

いずれも組み立てキットとして発売されました。
上廻りのキャブとタンクは真鍮エッチングで、ボイラーは真鍮の挽物です。動力フレームは洋白で、外から見える台枠(ダミーフレーム)の内部に未塗装のまま収められるようになっています。

自走するCタンクのキットは見かけより難しいものですが、この製品はCタンクのキットの中ではかなり確実で、成功率の高いものです。
ギヤはピッチが細かく、スローも効いて大変スムーズです。

こちらでも紹介しています。→B6の組み立て

動力ユニット

動力ユニット(写真手前)は、9V仕様の小型モーターを使用しています。長さは河合商会のボディー端梁間よりもわずかに長い程度です(本当に惜しい違い)。あまり意味はないかもしれませんが、どちらかを少々削って調整すれば、トーマモデルワークスの動力ユニットを河合商会のボディーに取り付けることはできそうです。

●2018年以降(完成品シリーズ)

これまでは空制なしの仕様でしたが、2018年に空制付きが発売されました。商品としてはキットではなく、完成品に転換されました。

0799 B6 2120形 2018年 B6 2120形

0799
B6 2120形

2018年 (拡大写真)

特定機ではないものの2221号機を参考に設計されているとのことで、前回品よりキャブが高い青梅鉄道公園の保存機をイメージした姿になっています。
B6 2120形(トーマモデルワークス)

>0879
B6 2100形 2109
 2019年
B6 2120形

0879
B6 2100形 2109

2019年 (拡大写真)

今まではずっと2120形でしたが、今度は2100形です。保存機の2109がプロトタイプです。
動力は再び変更され、さらによく走るようになっています。
B6 2100形 2109(トーマモデルワークス)

完成品とはいえ価格を抑えることに重点がおかれており、シンプルな外観に作られています。基本は一体モールド的なディテールですが、要所に別パーツ表現を加えて一定のメリハリが付けられています。
価格は2018年の2120形が¥25,900+税で、金属製の完成品としては相当に安いものでした。たとえば前回のキット(0452 空制化前)の価格は¥21,800+税でしたので、キットと大して変わらないほどです。
翌2019年の2100形は¥23,900+税とさらに安くなりました。なお発売直前には消費税が8%から10%に変更されています。

しかし2020年からの新型感染症の世界的流行とも重なり、海外で生産されていたトーマモデルワークスの金属完成品の流れは途切れてしまいました。その後同社では3Dプリンターによる光造形製品が主体となっています。

完成品シリーズの動力ユニット

キットと2120完成品の動力ユニット

初期のキット製品と並べた、2120形完成品(2018年)の動力ユニットです。従輪はキット時代よりも大きく左右にずれるようになり、小半径のカーブ通過がスムーズになりました。
形状が変わったために河合商会のボディーにも入るようになりましたが、きちんと取り付けて使うにはいろいろと工夫が必要です。

2100形完成品の動力ユニット

翌2019年の完成品ではさらに変更があり、モーターが大きくなって部品の組み付け構造などが変更されました。走りは一段スムーズになっています。 従輪は首を振る従台車構造となり、トミックスのC177も危なげなく通過します。

なおモーターと後部形状の変更により、河合商会のボディーには再び入らなくなりました。


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