付属パーツはナンバープレートのほか、前後の交換用カプラーとスノープローです。
前部の重連用カプラーは先台車に取り付けるもので、アーノルドとナックル形が付いています。前部のナックル形は自動連結・解放ができません。後部ナックルは台車マウントのカプラーポケットに付けるナックルカプラーで、トリップピンのないものです。自動連結はできます。
後部カプラーをナックルカプラーに交換しました。
いつもは自分で穴を開けてトリップピンを付けるところ、今回はラウンドハウスの「マグネティックナックルカプラーOS」(28-088)を付けました。
カプラーポケットの構造から、自動解放の性能にはあまり期待していませんでしたが、調整の結果ほぼ問題がなくなりました。ただし、DUであまり重い編成を押してS字や複雑な線形を通過すると、カプラーに横方向の力がかかり続け、従台車が負けて脱線することがあります。無茶なDUはダメのようです。
取り付け高さはそのままでも、ほぼ大丈夫のようです(マグネティックナックルカプラーOS)。
ちょっと余談でした。
付属の重連用ナックルカプラーをそのまま先台車に取り付けたところです。
格好としてはイマイチですが取り付けは確実にできます。
昔よく電気機関車に付いていたカトーカプラーアダプターのように、自動連結もできればもっとよかったですが、あの形も今はなかなか受け入れられないかもしれませんね。
分解しながら中のほうを見てみましょう。
発電機を抜き取り、キャブを裾のほうからおっかなびっくり外しました。
ライト用基板はC56と同形ですが、C56では使われていなかった後部のランドにもLEDが装着されています。
キャブ後部には石炭取り出し口などのディテールがあります。
もちろんバックプレートもあります。
ライト基板を抜き取ってから、ボイラーと煙室扉を外したところです。フロント周辺の部品構成はC56とはだいぶ異なっています。
動力の基本的な作りはC56と同様ですが、細部は色々と異なり、動力ユニットは共通ではありません。サイドタンク内にはウェイトが入っています。まっすぐ車体外側に引っ張れば抜き取れます。
サイドタンクを外したら、キャブ下配管も一体のまま外せます。色々と立体的に入り組んでいます。
フロントデッキは何かゴニョゴニョやっているうちに、前側に外すことができました。
先台車・従台車と床板を外したところです。先台車・従台車は、前方・後方に引き抜いて外せます。
先台車・従台車についているコイルバネをなくさないよう注意します(すぐポロッと落ちたりはしないようです)。
ブレーキシューの付いている床板をC56と比べると、先台車の取り付け方法が異なり、ケースに収納するときの床下留め具を差し込む穴もなくなっているなどの違いがあります。
特に分解して何かする用事はなかったので、すぐ逆の手順で組み立てました。特にてこずるところはありませんでした。
先台車・従台車は両側集電のため、テンダー蒸機のドローバーと同じく、リン青銅線が左右に走っています。
中央部に粘着用のコイルバネがあるため、ショートを避けるためにそこで外側に曲げられています。なかなか、微妙な感じに見えますね。
従台車は、台車の上にカプラーポケットが載っているような構造です。つまり台車マウントですから急カーブにも有利です。
一見、カプラーポケット用のマグネ・マティックカプラー(MT-10など)も使えそうですが、簡単な加工でうまくいくのかどうか、実際のところはわかりません。
先台車から車輪を外したところです。車輪はまっすく下に引っ張れば軸受けから外れます。
台車側面に沿っているリン青銅線が、軸受け部分で車軸に接触するようになっています。
左右の車輪は中央の中空軸で互いに絶縁され、中空軸との隙間部分の車軸にリン青銅線を当てて集電しているようです。
なお、マイクロエースのC12も従台車からは集電していますが、先台車からは集電していません。
スポーク車輪の拡大です。中空軸を除いてすべて金属です。今までに見たことがない独特の形状です。
どうやって製造しているのかはっきりわかりませんが、スポークは普通のスポーク(水車状)と異なり、1枚の円盤から抜いたような平面形状です。
よって輪心に向かって見るとスポークに若干の太さ(幅)がありますが、厚みがないために意外とスケスケ感はあります。
KATOの通常の黒ニッケル車輪は光沢がありますが、この車輪は全体が鈍いつや消しになっています。そのため動輪とは感じが違います。
踏面もつや消しですから、汚れが付きやすいなんていうことはないのかな〜と若干気になりますが、たぶん色々テストしたうえでこうなっているのでしょう。
実物がどんな色に見えるかは別として、模型的に輪心部分の色合いが今までのスポーク車輪と異なるのが少々気になるので、自分でもっと暗いグレーや黒で塗ってみたりすると面白そうです。
走らせている間は、特に気になってはいません。
集電機能の有無と車輪形状の違いのため、C12とC56の先台車は別物になっています。
KATOのC56とC12を比べていくと、同じに見えても異なる部品が色々あり、C56のついでにC12もすぐできたということはないようです。
私の小形レイアウトの中で、小型蒸機がハマりがちなところも難なく通過してくれました。
ほか、手持ちのレールの中で蒸機の通過難易度の高い、トミックスのダブルスリップで試したところ、超スローではクロス方向で止まってしまうことがありました。しかし、模型的に普通のスロー(?)では速度は変化せず、止まることもなく、自分なら問題ないとみなして使うと思います。個体差はあるかもしれません。
C12はC56のエンジン部に比べ、台枠のダイキャスト部が前後に長く、またサイドタンク内にもウェイトが入っているために重量を感じます。
量ってみるとC56は約30g、C12は約42gで、1.4倍でした。集電性能のほか、牽引力の面でも有利かもしれません。
プラ成型の強みを十分押し出したような製品で、もはやNゲージというサイズにおいて、普通の金属製品ではこれを超える精密感を出しにくいように思えてきます。これが量販店では7000円台から買えるのですからなおさらです。
このクラスの小形蒸機としては安定した走りをしますし、固定式ポイントの渡り線をスローで通過しても、危なげなく通過するのは頼もしいです。これだけ床下表現が複雑でもR150を通過しますし、設計・製造技術が進歩しているのですね。
ぐらつきのあるフロントのつかみ棒周辺とか、安定しないハンドレールのように、もう少し何とかしてほしい箇所もあります。どうしようもないのかもしれませんけどね…素人にはわかりませんけど。といってもC56と同様なので、今回から悪くなったわけではありません。
小さくて精密な模型がお好きな方には、実際に見ておいて損はないと思います。
また機会があれば増備して色々なことを試したいです。
品番が「2022-1」となっていますが、何かバリエーション展開も予定されているのでしょうか。
「2020-1 C56 小海線」の次のバリエーションもまだないので、あるともないともいえないでしょうが。
最後に、45年近くがんばっているC11と今年生まれたC12です。この2つが同じ縮尺で並ぶのを見たいものですが、C11のほうは現状を見ますと、メーカー問わず、なかなかハードルが高そうです。
KATO C11
SINCE 1971
KATO C12