Nゲージ蒸気機関車2016年のメモ>2016.7.18

C62 東海道形と山陽形(呉線)

C62東海道形+山陽形

KATOの現行C62のAssyボディの値段を比べますと、最初の東海道形では税別3,300円だったのに対し、最新の山陽形(呉線)では税別6,000円となっています。
9年経ったからということはありますが、そんなにボディに違いがあったかなと思い、改めて比べてみました。


全体

C62東海道形

C62東海道形 
2007年発売(拡大写真)
発売当時は、外観も走りもあまりの向上ぶりにぶったまげまして、毎日走らせるのが楽しみでした。電車用モーターの搭載で、調子のよい個体ならほとんど音もなく走るのには感動しました。

C62山陽形

C62山陽形(呉線) 
2016年発売(拡大写真)
先日発売されたばかりです。今月も出荷があるようです。

山陽形のほうはこの9年間の技術革新が取り入れられていますから、細々と表現力が増していますが、最初の東海道形が特に見劣りするようなことはないと思います。

ボイラー上

むやみに拡大しております。

C62東海道形

C62東海道形

砂撒管がボイラーケーシング内にあるすっきりした姿です。
空気作用管は低い位置に付いています。各部のリベット表現がシンプルですが美しいです。

C62山陽形

C62山陽形(呉線)

砂撒管が露出しているもの。
空気作用管の配管止めが黒で塗り分けられています。最初この手法が登場したときはびっくりしました(一時的には、KATO製品に配管止めがなかったことさえありました)。

ほか、砂箱の蓋など細部のディテールは少し異なりますが、大きく成型の様子が異なるわけではありません。

前方

デフ周りは結構進歩しています。

東海道形
東海道形
デフ裏側のリブの表現はすでにありました。現在よりデフが厚めで、先端だけ裏側を斜めに削いでありました。これは当時普通の表現でしたが、右の山陽形のような最近の表現を見ますと古く感じてしまいますね。
デフ前端に手すりはありません。
山陽形
山陽形
デフが全体に薄く見えるよう成型が変わり、印象が一段とよくなっています。手すりのモールドが追加されました。ほか、エアホースの追加やピストン尻棒の追加などがこの間に標準化されています。

東海道形で初めて採用された、煙突を回してライトを消灯する仕組みは最近のKATO製品にはもう搭載されなくなり、同じ方法を拝借したトミックスの蒸機で生き残っています。

発電機周辺

C62東海道形

C62東海道形

ATS非搭載のため比較的あっさりしていますが、タービン発電機の排気管はすでに別パーツで浮いていました。

C62山陽形

C62山陽形(呉線)

ATS発電機が追加され、それぞれの蒸気管・排気管が追加されて立体感があります。ランボード下の配管も少し増えています。

公式側キャブ下

C62東海道形

C62東海道形

基本的なディテール表現はすでに確立しており、現在のものともあまり違いがありません。

C62山陽形

C62山陽形(呉線)

配管には若干追加表現がありますが、大きくは変わりません。
キャブ側面には各種印刷表記が追加されました。

テンダー

C62東海道形

C62東海道形

ATS非搭載のため、テンダー下に車上子はありませんが、この角度では細いブレーキロッドが見えて、金属製品的な精密さを感じます。
また、従台車の上のキャブ下に隙間がまったく見えなかったという、このころの特長がよくわかります。

C62山陽形

C62山陽形(呉線)

ATS車上子が付き、そのための配管も水槽下に追加されています。
コアレスモーター化されてから、それまでの特殊形状のドローバーは廃止され、従台車の上には隙間ができるようになりました。

動力ユニット

C62東海道形

C62東海道形

電車用モーターを後ろ向きに積むという、KATOにしては変わった構造でした。
モーターの上部にあるライト基盤の接点が外れて、不動になるという初期トラブルがちらほらありました。わずか2か月後にはそこがハンダ付けされた改良品が出荷されました。

ちなみにここで撮影している東海道形も最初は不動品でして、自分で修理しました。その結果むしろ好調機となり、今走らせても快調です。ただしフライホイールの効果は現在の製品ほどは感じません。

C62山陽形

C62山陽形(呉線)

C62 2北海道形以降にコアレスモーター化されましたが、モーターの搭載位置は変わらず、やはりKATOの蒸機の中では変わった存在です。

この変更で、わずかな出力で動き出すようになり、フライホイールの効果も大きくなりました。なおパワーユニットによってはコアレスモーターとの相性があり、低速性能が十分発揮できないケースはあるようです。

新旧の動力はモーター以外にもこまごまと違うので、C62東海道形のボディーを単純に現在の動力にかぶせることはできません。
ただ軽加工をいくつか行えば載せ換えは可能です。→C62東海道形に新動力を

ケース

C62東海道形のころは、ケースの中敷きがブリスター成型のトレイになっていました。

C62東海道形のトレイ

車両の出し入れが大変しやすくて好きでしたが、何もかも良いものなら今も使われているはずで、具合が悪い場面もあったのかもしれません。その後、2度変更されて現在に至ります。

Assyボディの価格に結構な違いが出ている事情はわかりませんが、9年前の東海道形も外見が特別古くなったようにも見えません。もっと違いが出ているかとも思いましたが、やはりもともとよくできていました。
軸重のバランスの関係で重連非対応と判断された珍しい模型でもありましたね。東海道形+つばめ編成なら重連は必要ないだろうということで、用途がある程度割り切られていました。もし今後再生産されることがあったら、やはり新動力に変更されるでしょうが…。
でもKATOの新系列の蒸機は、最近あまり再生産されないんですよね。今は新しい種類を増やすことを重視しているところでしょうか。次々に新製品が出るのは嬉しいです。


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