蒸気機関車の金属キットの組み立てが続いたので、息抜きに昔の鉄道玩具を修理して走らせました。今でも十分楽しく遊べます。
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50年ほど前に発売された多田製作所のロコメート「C-58レールセット」です。9mm幅の線路を電池で走ります。
手持ちの品も年月が経つうち、いつしか文鎮セットになっていました。
機関車は玩具的に簡略化されたC58です。エンジンとテンダーはひとつのシャーシにまとめられており、ボイラー上部は結構よくC58の特徴を捉えています。
同じようなデザインでも、模型店ルートで模型として発売された童友社のC58は、受け取られ方が違ったような気がします。
玩具なら、前面はC58としてもD51としても良さそうですね。もっと有名だったD51を名乗ってもよかったでしょうが、踏みとどまっています。
キャブとテンダーの間は極力開けられていて、別体であることが表現されています。
後方のオーバーハングが大きいため、後部のカプラーのループは横幅いっぱいになっています。
カーブではこのように、その大きなループが端から端まで使われます。
なお貨車はロンスター製品で、特に伏せられているわけではなくそのように書かれています。幸い貨車は不調をきたしておらず、転がりもまずまずで、そのまま使えそうでした。ベーカー風カプラーのため連結も確実です。
煙突の上から留められているネジを外し、キャブの裾を左右に開いてダイキャストフレームのツメから外すと(プラ車体が割れそうで怖い)、上下が分離します。
モーターに直接通電しても回転しなくなっていました。振動することはあるので、完全に断線したりはしていないようです。
絶好調とはいえないまでも、走っている姿は過去に見ていますので、ちゃんと走るものではあるはずです。
ボイラー内はウェイトでぎっしりで、その後端はピニオンの直前ギリギリであり、隙間がほとんどありません。
集電を積極的に担っているのは第一・第三動輪です。第二動輪は薄紙1枚程度浮いているようで、連動はしていません。
左サイドは車軸を通じてダイキャストフレームから集電され、右サイドは絶縁側で、集電ブラシがタイヤに接触しています。集電ブラシの赤い留め具は空気溜めの表現を兼ねています。
モーターはフレームにネジ留めされているわけではなく、上に引っ張ったら外れましたが、不用意に外したらポロリとバネが転がり落ちました。
…ありゃ〜、うっかりしていました。どこに付いていたんだろう?
ダイキャストのフレームから、モーターの外装に通電する構造なので、その接触をよくするためのバネかと考えましたが、ぴったり安定して収まるようなくぼみがありません。
→それが、この商品をお持ちの方から教えていただけました。モーターとフレームの間に挟まっているそうで、この四角いくぼみの中に立てるようです。ちょっと困っていたので本当に助かりました。ありがとうございました。
モーターは端子を中心にすっかり腐食して、青錆が出ています。またプラスチック表面も油か何かで侵されてサクサクと削れる状態です。ピニオンも割れています。
これはモーターごと交換したほうがいいかもしれません。見たところ、ゼネコン(手動式発電機)用のマブチFM-13のようです。童友社のC58もFM-13なので、修理交換用にいくつか買ってありました。
ところが、何とFM-13とはシャフトの出っ張っている方向が逆なのです。FM-13の特注品だったのか、こういう仕様の別モーターだったのかはわかりません。
フレームのサイズがぎりぎりなので、モーターの端子を後ろ側に回すことはできず、単純に市販のFM-13に交換することはできないようでした。
あきらめて、腐食したモーターを分解して修理することにしました。
素人にできる程度の対処になります。すべての接点やブラシを磨き直し、コンミテーターの溝を掃除し、端子周りの変質したプラスチックは削り取りました。元通り組み立てて軸受けに注油し、通電すると軽やかに回ってくれて一安心です。
ブラシの調整などはてきとうなので、正しい性能が出ているかはわかりませんが、一応モーターが復活したことで俄然やる気が出ました。
割れたピニオン(写真右)は普通の10歯で、今も模型店で売られています。これはFM-13モーターにも付属していますが(写真左)、古いものを使うのは避けました。
モーターに新しいピニオンを付けてかみ合わせる前に、伝達系が軽く回るように修理調整しました。
集電ブラシの留め具をネジ1本で外すと、ドライブシャフトが取れます。集電ブラシの留め具はドライブシャフトのシャフト押さえも兼ねていました。
ギヤ部は古いグリスなどが完全に固形化し、さらに青錆も出ているため、時間をかけて清掃しました。洗剤に浸けて歯ブラシで…などではまったく歯が立ちません。
底のネジ2本を外すと、ダイキャストの動輪押さえも外れ、動輪が取れます。
別パーツの軸受けがあるわけではなく、ダイキャストブロックの溝にそのまま動輪がはめ込まれ、集電もそこで行われています。通電部がそれほどピカピカであるようには見えませんが、実用上の問題はないようです。
それでも動輪はなるべく軽く転がるようにしたいので、軸受けは入念に整え、動輪のギヤも時間をかけて清掃しました。
動輪の集電板も磨き、曲がり具合を調整して取り付けました。このへんはNゲージの小型キットの組み立てなどで何度もやっていますので、加減はわかっています。失敗する加減ならいくらでも(笑)。
さて、あとで発売された童友社C58(写真上)のドライブシャフトは、同じ製造元の同じ部品を仕入れたものではないかと邪推していたのですが、並べてみるとちょ〜っと違いますね。完全一致ではないです。
これらと同じ伝達方式は他のオモチャやプラ模型にもあり、Nゲージの小型機関車にもみられます。私も電池モーターで動く1/80のD51やC58を作ったときに、同じ方式にしました。ドライブシャフトが浮かないように軸受けをしっかり作らないと、トラブルの原因になり、童友社はそれで走らなくなることも多かったです。
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