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007/ユア・アイズ・オンリー(81)
監督 ジョン・グレン
英国の電波監視船が機雷に命中し沈没。
潜水艦ミサイル誘導装置ATAC発信器があり、敵に奪われると危険だ。
考古学者ハブロックに引き上げを依頼するが、ゴンザレスに殺される。
情報員ボンド(ロジャー・ムーア)は、ゴンザレスの屋敷へ。
だが、ゴンザレスはハブロックの娘メリナ(キャロル・ブーケ)に殺され、
メリナと共に山道を車で逃げる。
ボンドは、ゴンザレスに金を渡した男を照会。ギリシャ密輸団のロックと判明。
フェラーラと合流。クリスタトス(ジュリアン・グローバー)を紹介される。
彼によれば、ロックはかつての相棒コロンボの片腕だと言う。
だが、ボンドはスキー場でバイアスロン選手のエリックらに襲われ、
スキーでボブスレーコース等を逃げる羽目に。しかもフェラーラが殺される。
ボンドはコロンボ(トポル)の愛人リスルに接近。
だが、彼女はロックに殺され、ボンドは現れた別の男たちに捕まる。
コロンボによれば、敵はクリスタトスだと言う。ロックも彼の部下だ。
二重スパイである彼は、英国にも信用されていたのだ。
ボンドらはクリスタトスの倉庫を襲撃。ロックも倒す。
メリナと合流したボンドは、航海日誌で沈没船の位置を発見。
潜水艇で向かい、ATACの回収に成功。だが、船をクリスタトスに奪われる。
オウムが会話を覚えていたため、彼らの隠れ家が断崖の上の修道院と判明。
ボンドは断崖を登り、コロンボらと制圧。逃げるクリスタトスをコロンボが倒す。
ゴゴール将軍(ウォルター・ゴテル)が到着するが、ATACを谷底に投げる。
と言うわけで、007が久々にアクション中心に戻った1作。
しかし、アクションをやたらつないだ感があって、必然性がないものも多い。
特に潜水艇のシーンは退屈。ATACを回収する必要はまったくないのだが。
自分で手を下す、それも大した技術を要しない殺し屋が、豪邸に住むのはなぜ。
クリスタトスのかわいがるスケート選手ビビに、リン・ホリー・ジョンソン。
音楽は、ビル・コンティ。
LD
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007/オクトパシー(83)
監督 ジョン・グレン
東独で殺された009が、ロシア皇室のファバジェの卵の模造品を持っていた。
Mらはソ連の外貨稼ぎと考え、情報員ボンド(ロジャー・ムーア)を派遣。
ボンドはオークションに。売り専門のカマル・カーン(ルイ・ジュールダン)が、
ファバジェの卵を買う。しかし、ボンドはひそかにニセ物とすり替えていた。
ボンドはカマルを追ってインドへ。カジノで対決し、彼を負かす。
カマルといた女性マグダと接近。卵を奪われ、彼もまたカマルの屋敷に捕らえられる。
屋敷にはソ連のオルロフ将軍(スティーブン・バーコフ)が到着。
盗聴し、計画はカールマルクスシュタットでと聞く。ボンドは密林を逃走。
マグダの入れ墨等から、億万長者男子禁制の屋敷に住むオクトパシーの事を知る。
ボンドは彼女の屋敷へ。オクトパシー(モード・アダムス)は彼を歓迎。
彼女は密輸のため仲間を集め、サーカス等の多角経営をしているのだ。
サーカスはカールマルクスシュタットへ。ボンドはサーカスに潜入。
オクトパシーらはサーカスを隠れ蓑に、クレムリンの宝石を密輸していた。
だが、オルロフらはさらに核爆弾をセット。米軍基地で爆破させる計画だ。
となれば、事故として反核運動が高まり、無防備の米軍を倒す事ができる。
ボンドは車で列車を追跡。追うオルロフは国境で射殺される。
ボンドは列車に飛び移り、双子の殺し屋を倒す。車で米軍基地へ急行。
警察の追跡を振り切り、間一髪、爆弾の時限装置を止める。
裏切られたオクトパシーらは、逃走をはかるカマルの屋敷を襲撃。
だが、オクトパシーは捕らえられ、飛行機へ。
ボンドが急行し、機の上で用心棒ゴビンダと格闘。これを倒し、舵を奪う。
機は墜落、ボンドはオクトパシーと脱出する。
と言うわけで、前作に続き、初期に戻った感じの作品。
前作より物語にいろいろ盛り込んでいていい。
しかし、宝石密輸のからくりが、いまいちわかりにくい。
LD
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007/美しき獲物たち(85)
監督 ジョン・グレン
西側が開発した最新のICが、ソ連で発見される。
ジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、製造したゾーリン工業を調査。
ゾーリン(クリストファー・ウォーケン)は、ハイテク界の大物だが、
亡命以前の経歴は不明。彼の馬は競馬で圧倒的な強さを見せる。
ボンドとチベット(パトリック・マクニー)は、競売に潜り込む。
地下の研究室では、馬の足にICが埋め込まれ、ステロイドを適量注射する手術が。
これによって馬は疲れ知らずなのだ。Mらに連絡しようとしたチベットが殺され、
ボンドも捕まり、車ごと池に沈められるが、何とか脱出。
ゾーリンはKGBの指示で動いていたが、今は命令を無視し、
販売網を築くため、世界の8割のICを生産するシリコンバレー壊滅を計画。
ボンドは採油現場で、KGBのポーラに出会い、盗聴テープをいただく。
彼らは何かを計画しているのだ。
市庁舎で取材し、ゾーリンの所にいた女性ステイシー(タニア・ロバーツ)に会う。
ゾーリンは彼女の会社を乗っ取ろうとしていたのだ。
地質学に詳しい彼女は、ゾーリンが断層に海水を引き込み、
地震を起こそうとしている事に気づく。
だが、ゾーリンは彼女の上司を殺害し、庁舎に放火して置き去りに。
ボンドらは脱出するが、殺人の容疑で追われ、消防車で逃走する。
彼らはゾーリンの廃坑へ。湖水を引き込み、岩盤を爆破する計画だ。
地震でシリコンバレーは沈む。彼らはメイデー(グレース・ジョーンズ)に追われる。
ゾーリンは作業員を見殺しにし、爆破を開始。彼らは飛行船で逃走。
怒ったメイデーは、岩盤爆破の爆弾を持ち出し、自爆して計画を阻止。
ゾーリンはステイシーをさらうが、ボンドもロープに捕まって上昇。
金門橋に縛りつけ、その上で格闘。ゾーリンを倒し、飛行船も爆破する。
と言うわけで、ロジャー・ムーア最後のボンドもの。
ここ数作のマジメ路線は維持しているが、どこかで聞いた話と言う印象は否めない。
役者が老体となり、何だかご苦労様という感じ。
メイデーの仲間のジェニーに、「インディ3」のアリソン・ドゥーディ。
KGBゴゴール将軍の護衛に、ドルフ・ラングレン。
LD
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007/リビング・デイライツ(87)
監督 ジョン・グレン
ジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)は、
亡命するコスコフ将軍(ジェローン・クラッペ)を助けるため、狙撃手を撃つ任務に。
だが、狙撃手はチェリストのカーラ(マリアム・ダボ)。
プロでない彼女を見逃し、亡命は無事成功。コスコフの取調が始まり、
KGBのプーシキン将軍が、米英のスパイを全滅させる計画を遂行している事を知る。
KGBによって、コスコフは連れ出され、ボンドにプーシキン殺害命令が。
ボンドは陰謀を感じ、カーラを尾行。彼女のライフルが空砲である事に気づく。
亡命は演技だったのだ。友人と称し、彼女に接近。
アストンマーチンで国境の検問を突破。
武器商人ウイテッカー(ジョー・ドン・ベイカー)は、コスコフと共に
世界革命計画を計画。そのために、邪魔なプーシキンをボンドに殺させるのだ。
ボンドは、チェロの金の出所から、ウイテッカーの存在を突き止める。
ボンドはプーシキンに直接会う。彼はスパイ殺し計画を否定。
そこで、ボンドはプーシキン暗殺の芝居を打つ。
だが、コスコフにだまされたカーラに薬を飲まされ、ボンドは捕まる。
彼らはボンドをアフガニスタンに引き渡す。だが、脱出に成功。
コスコフは武器の資金で麻薬を買い、私服を肥やしていた。
輸送機に爆弾をセット。レジスタンスのカムランらが襲撃。
ボンドは輸送機を離陸させるが、殺し屋のネクロスが乗り込んでおり、
網に引っかかって空中で格闘。ネクロスを倒す。
さらにソ連軍のレジスタンス攻撃を阻止。
ウイテッカーの屋敷を襲撃。彼を倒し、到着したプーシキンがコスコフを逮捕する。
と言うわけで、ティモシー・ダルトンによる007第1作。
久々にアクションが若返ったと言う感じか。
それにしても、敵の計画があまり巧妙に思えず、
あまり手広くやりすぎていて、計画を阻止したと言う印象が持てない。
悪役が2人に分かれてしまい、コスコフの方は死にもしないのが弱い。
それにしても、ラストで輸送機を離陸させる必要はまったくなかったと思うのだが。
LD
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「007/消されたライセンス」(89)を見た。
結論から言うと「?」という感じで
冒頭から45分はむちゃくちゃおもしろかったのだが
そこからおよそ45分もの長い間中だるみして
最後の30分はまたおもしろいのだが
最初の45分ほどではないという感じだ。
冒頭は例の銃口に向かって撃つシーンの音楽が
マイケル・ケイメンの大胆なアレンジで今までと違うシリーズみたいという
印象を与えるが、そんなことを考えるヒマもなく
結婚式場へ向かっているボンドと元CIAのレイターのところへ
麻薬王サンチェスが入国したとの連絡が入る。
麻薬捜査官たちが飛行場を急襲するが、
サンチェスは裏をかいて軽飛行機で脱出しようとする。
それをボンドがヘリで追跡して、ワイヤーをひっかけててレイターと二人そろって
パラシュートで式場に登場するという次第で
何だかめまぐるしくてほとんど状況を判断できない間に
次々と事件が起こってぜいたくなつくり。
もっとも、この後の主題歌がなぜか2番から始まるという
大チョンボもあるけど(どうりでCDで聞いててバカ長い曲だと思った)
ゾクゾクするような始まり。
だが、麻薬捜査官のひとりが寝返ってサンチェスの脱走を手助けしてしまう。
レイター夫妻は襲われて、新婦は殺害、新郎はサメに食われて片足を失う。
冒頭からレイターとの友情を感じさせる演出で
今までになく人間くさいボンドだが、
二人の悲惨な結末を見てうろたえる様子も今までにないものだ。
アメリカ当局は手をうつのかと思ったら、サンチェスは南米では麻薬を武器に
「サンチェスの法」というのをもっている大物でなかなか手が出せない。
煮えきらない様子にしびれをきらしたボンドは友人のシェーキーとふたりで
レイターの足を食ったサメを発見し、エサに麻薬を隠していることから
サンチェスのしわざだという確信をもつ。
ここで寝返った麻薬捜査官にみつかるが
サメのプールの上に追い込んで、
捜査官はもらったワイロで命ごいをするのだが
「これは君の金だ」
とケースをロープにつかまっている捜査官に投げつけてプールに落としてしまう。
ここらなんか、もっとやれ!とい感じでボンドの怒りが見えてくるようだった。
これでたくさん殺したもんだからMがかけつけて
早く任務を遂行しろと言われるが
あくまでも個人的な復讐を優先したもんだからクビになってしまう。
続いてサンチェスの部下の船にのりこんで
麻薬密輸の方法をかぎまわる。で、やることがすんだころに
到着したボートにシェーキーの死体が乗っているのを見て怒る。
「こいつは大漁だ」と言っていた男の前に
敵のまっただ中だというのにどうどうと出ていって
「シェーキーのお返しだ」とモリで殺して
水中に逃げる。敵はおぼれたと思うんだが
この死んだ男のマスクを奪うボンド。
で、船と水上に着水した軽飛行機の間を無人潜水艇が行き来して
金と麻薬の交換をするんだけれども
この麻薬をナイフで切り裂いて海にばらまくボンド。
フロッグメンがかけつけるが
軽飛行機にロープのついたモリを撃って
水上スキーのテクでとびのって
飛行機に乗るふたりを下へ落としてしまうあたりは
悪者連中に「まずいやつを敵にまわしたな」と思わせるような
あざやかさであった。
こんなのは普通の刑事が扱うような事件なわけで
ボンドの相手ではないわけだが
それだけに痛快感がある。
この後、レイターの部下のパムという女と合流し
Qが親心からか小道具をくれる。
サンチェスに接近して、英国情報部員をクビになったので
用心棒になるというような感じで信用させてしまう。
その結果、香港の麻薬捜査官の計画をパーにしてしまって、
しかも彼らを見殺しにしてしまうという失態をおかす。
だが、サンチェスの愛人の協力もあってサンチェスの部下を
裏切ったかのように見せて次々とサンチェスの手によって処分させていく。
ところが、このおよそ45分があきれるほどつまらない。
ここがあんまり長い間つまらないので
この映画の評価が「?」になってしまうのだ。
これがようやく終わるとサンチェスの秘密基地にいく。
これは新しく配下におこうとする中国人にシステムを紹介するためなんだけど
ガソリンに麻薬をとかして後でろ過するという方法で
タンクローリーで密輸しているわけだ。
ここにいた殺し屋がボンドがサンチェスをかぎまわっていたことを覚えていた。
そこでボンドはガソリンに火をつけて逃げようとする。
これが不思議なもんで、ちょっと火が出ただけで基地全体が
あっちもこっちも火を吹いて最後には大爆発してしまう。
危ないので逃げ出すタンクローリーの軍団。
固めた麻薬をこなごなにする機械に落とされそうになるボンドだが
逆に殺し屋を落としてしまう。
この殺し屋も危なそうなやつでもっと激しい格闘があるのかと思ったが
たいしたことはなかった。
というわけで地獄の谷とかいう名前のいかにも危なそうな道を逃げるタンクローリー。その一台に軽飛行機から飛び乗り奪ってしまう。
激しいカーチェースで一台倒した後、ジープの連中がバズーカで攻撃してくるわけだが
これをCMでもご存知のように片輪走行で回避。
だが、機関銃の攻撃でタイヤがパンク。
そこでタンクの部分を切り放して下の道を逃げるサンチェスたちにむけて
タンクの部分を落とす。タンクはサンチェスの前のローリーに激突して爆発!
あたりは火の海。だが、サンチェスは別のローリーに乗り換えて逃げる。
ボンドもこの火の海のところに着いて、何とウイリーして突破。
それでこのタンクローリーには自動運転などというバカなものがついていて
サンチェスのタンクローリーに飛び移る。
ボンドはタンクを解放したものだから、後ろの道にガソリンが流れる。
さっきの火の海のところでタイヤが燃えている追跡のジープは
当然のように炎上。燃えながら崖下にまっさかさま。
追跡するパムの軽飛行機と空中で激突しそうになる構図のおかしさ。
道路にバック・トゥ・ザ・フューチャーのように火が走る。
走り続けたまま、外へ出て(運転手はいる)格闘するサンチェスとボンド。
それでどうやったのか忘れてしまったのが痛いんだけど
このままタンクローリーは崖下におっこちてしまう。
服がボロボロになるサンチェスとボンド。
だが、サンチェスがボンドののどもとにナタをつきつける。
そこでボンドが「何でこんなことをしたのか言おうか?」
と言って、レイターにもらったライターを見せる。
次の瞬間、ガソリンまみれだったサンチェスは火だるまになり、
ボンドは復讐を果たす。
というわけで、最初と最後はむちゃくちゃおもしろかったので
また見ないわけにはいかないわけだが、
あの途中をどうやってのりきるかがポイントである。
これほど場面によって評価がぜんぜん違う映画って珍しいよね。
パムというのはグラビアでは髪の毛が短くて男みたいで情けないんだけど
それはボンドの秘書のフリをする変装で
髪の毛が長い間はけっこう美人だった。
PLAYBOYにヌードが出たらしいんだけど買えばよかったかもしれない。
私はまったく知らない女よりも、
こうやって人物像がやや見えた女がぬいだ方が好きである。
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ジェームズ・ボンド=007が戻ってきた。「ゴールデンアイ」(95)を見た。
007が戻ってきた。かつてシリーズは2〜3年の間隔で作られてきただけに
6年にわたるブランクは、シリーズ自然消滅を思わせた。
ま、あれだけのヒットシリーズだから、
製作会社は変わっても、完全になくなる事はないと思っていたが、
本家本元から復活したのでやや驚かされた。
老齢化したロジャー・ムーアが、ティモシー・ダルトンに交代し
作品自体も原点に返ったかに見え、16作「消されたライセンス」では
00課もクビになり、友人の復讐に立ち上がると言う展開で
新機軸にも挑戦して、しばらくは安泰かに思えたのだが、
これが不評だったようで、ダルトンは007役を降りるハメに。
シリーズも途絶えてしまった。
途中、5代目ボンドにメル・ギブソンが決定したとの噂が流れ、
ダルトン降板すら未確定だっただけに、驚かされたが、
ギブソン説はデマとわかった後で、
5代目ボンドに、ピアース・ブロスナンが決定したとわかった。
ピアース・ブロスナンと言えば、
TV「探偵レミントン・スチール」の主演俳優で、
ロジャー・ムーア降板の際に、4代目ボンドに内定していながら、
映画「第四の核」出演のため話が流れた人物だ。
「第四の核」は日本未公開で、出演作はB級作品ばかりに。
途中、番外編「ネバーセイ・ネバーアゲイン」を作った製作者が、
またも番外編007を作る予定で、その主演候補がブロスナンと言われたが
その話もどこかへ飛んでしまった。
ようやく念願のボンド役にたどりついたわけだが、
来年にはまたもB級の「テロリストゲーム2」が公開されるわけで
まだB級俳優と言う印象は抜け切れていない。
このシリーズ、俳優自体の格は、だんだん下がっていると言う感じだ。
ま、そうは言っても、ダルトンに決定した際も、
脂っぽそうなダルトンよりも、サラッとした感じの
スマートなブロスナンの方が、ボンド役に合っているような気がしたものだ。
そんな彼がボンド役に決まり、同時にスタッフ・キャストも一新。
以前は監督他、シリーズ関係者や経験者が持ち回りでやっていて
大きなシリーズのクセに、家庭内工業的なところがあった。
ところが、今回はスタッフも一新。
監督は、レイ・レオッタ主演の「ノー・エスケープ」と言う作品で注目された
マーチン・キャンベル。
音楽も今まで大半を担当したジョン・バリーとかではなく、
リュック・ベンソン監督作品の「グレートブルー」「ニキータ」「レオン」等大半を
担当したエリック・セラと言うからビックリ。
主題歌はティナ・タナーだからまたビックリ。
タイトルデザインのモーリス・ビンダーだけは変わらないと思っていたが
どうもビンダーは死んでいたらしくて交代。
出演者は主演ブロスナンの他、悪役に「パトリオット・ゲーム」のショーン・ビーン。
いわゆるボンドガールは2人いるが、どちらも知らないやつ。
ボンドに協力するCIAスパイには、
「007/リビング・デイライツ」でKGBに扮したジョー・ドン・ベイカー。
3代目M役は何と女性に。ミス・マネーペニーも3代目に交代。
唯一Q役だけが、シリーズ一貫してデズモント・ルーウェリン。
(正確には、Qの本名はブースロイド少佐らしいのが、
「007/ドクター・ノオ」のブースロイドは別の役者だった)
こうしてスタッフ・キャストもほとんど原型をとどめなくなり
残されたのは、最初の銃口がのぞくタイトルと、例のボンドのテーマのフレーズ。
そして英国情報部の設定くらいのみ。まったく新しく生まれ変わった007シリーズ。
一応はブロスナン主演で数作作る予定らしいが、継続的に製作できるか否かを見ると
この復活第1作は非常に重要な作品と言える。
個人的に言っても、ここまで映画ファンになり、
サントラ盤収集に凝るようになったのも、007を抜きに語る事はできないほどだ。
全作映画館で見たし(大半は名画座だけど)、LDだって持っている。
最新作はめちゃくちゃ面白いと言う評判は、話半分に聞くとしても、
何とか復活しそうな007シリーズを温かく見守りたいと言う意識を持って
何としてもこの1作だけは見逃す事ができない。
冒頭はこれだけは欠かせないと言う、銃口に向けて銃を撃つシーン。
でも、流れる音楽は割と古くさい感じで、それほど新鮮な感じではない。
そして、ソ連国内にある(9年前だかなので、まだソ連)ソ連軍基地。
基地はダムの下にあり、ジャンプスーツとか言うのを着た
新007ジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)は、手すりにフックをかけ、
何百メートルもあるとか言うダムを、何の必然性があってか
はやりのバンジージャンプで落下。
ダムの壁に体が当たって痛そうだが、そうはならず、
銃みたいなのでフックを壁に撃ち込み、自らの体についたフックをはずして
見事、ダムの下にある敵基地に潜入するわけだが、何ともまだるこしい。
通気孔からトイレへ潜入。目的は敵基地の爆破だ。
見張りを次々倒した彼に、銃を突きつける男。
それは同僚006アレック・トレヴェルヤン(ショーン・ビーン)だった。
この006は、ボンドよりも先輩風を吹かしている感じで
セリフ等では彼を上回るスパイと言う感じだが、どうもそうは見えない。
2人は協力して敵を倒しながら、爆薬だか何だかが格納された倉庫へ。
「大丈夫かジェームズ」「そっちこそアレック」等と声を掛け合う。
スパイは単独行動が基本と思うが、こうしてコンビで活動していると
どうもノンキな感じで、往年のナポレオン・ソロのようだ。
倉庫へ爆弾をセット。時限装置は6分にセットだ。
だが非常事態に、基地司令官のウルモフが現れ、
あろうことか、006ことアレックが捕らわれてしまった。
友人アレックに銃が突きつけられ、彼自身もかけつけた兵たちに包囲される。
英国のために働いてきたボンドをバカにしてきたアレックだが
この時ばかりは、おれを捨てて逃げろと言う。
ボンドはあわてて時限装置を3分に変更。
爆発物だか何だか知らないが、荷物の陰に隠れて大胆に移動。
兵たちも、うかつに手が出せないらしい。
しびれを切らしたウルモフは、アレックを射殺。
これはいかんとボンドはベルトコンベアーに飛び乗り脱出。
山積みされた荷物を倒していったので、一味は遠回りして後を追う。
外へ出ると、そこは断崖絶壁に突き出た滑走路。
見ると、一味が後を追ってきて、前方には今にも離陸しそうな軽飛行機。
ボンドは走って軽飛行機に飛び乗り、操縦士と格闘に。
運悪く、そのまま双方飛行機から落ちてしまう。
相手を倒し、そこへかけつけたバイクも彼らをよけようとして転倒。
ボンドはバイクを奪い、走り続ける軽飛行機を追跡。
ウルモフ一味は後を追い、銃を撃つが、
さすがに追いつく事はできないだろうと、撃つのをやめる。
何とか追いつくのかと思えば、飛行機は断崖からはみ出て落下を始める。
ボンドも、こんな状態では強引に脱出するよりも、
いったん捕まった方が良さそうだが、そうはしない。
何とパラシュートをつけている様子もないのに、
バイクでそのまま断崖から飛び出してしまった。
まさかと思っていると、引力の法則もあるから、追いつく事はできない気がするが
やっぱり軽飛行機に追いついてしまい、開いているドアから、いとも簡単に乗り込んで
(エアポート75でも、1回は失敗したのにだ)
墜落寸前に立て直して上昇してしまった。
どうやらスタントマンを使って本当に撮影したらしいが、
いくら何でも、こんな事は普通できないと思わせて、ちょっと白ける所もある。
何はともあれ、脱出するや、秘密基地の爆弾が爆発すると言う展開であった。
それから9年後。ボンドは懐かしのアストン・マーチンで山道をとばす。
助手席には美女がいるが、彼女は精神分析医だ。
精神分析医はそこらのボタンをさわりたがるが、危ないからさわるなと注意。
実際に秘密兵器が出たりはしない。
そこへフェラーリで飛ばす女性が現れる。
いったんはぬかさせるが、その後、意味もなくカーチェースになるのは、
最初にアストン・マーチンが登場した「ゴールドフィンガー」を思い出させる。
山道を2台の車が飛ばし、競輪のチームをよけたり、カーブでスピンしたりしながら
割と退屈なチェースが続くが
そのうち、精神分析医が恐がり、仕方がないのでチェースを断念。
でもその代わり、彼女はボンドにメロメロになると言う得意のパターンだ。
その夜、ボンドはモナコのカジノへ。駐車場に例のフェラーリを発見する。
勝ち続けるその女性オナペット、いやオナトップ(女が上)。
ボンドはバカラとか言うゲームで彼女に挑戦。
ルールがわからないので、よくわからないが、結局ボンドが勝利。
名前を聞かれ、必ず1回は言う、決まり文句
「マイ・ネーム・イズ・ボンド、ジェームズ・ボンド」を口にする。
だが、オナトップはボンドの誘惑には乗らず、
提督と言う人物と、彼のクルーザーで夜のデートとなる。
ボンドは好奇心からか、彼女の写真を小型カメラで撮り、
アストン・マーチン車内の装置で、ミス・マネーペニーに電送。
照会の結果、オナトップはロシアン・マフィアと言われる
犯罪組織アヌス、いやヤヌスの一員である事が判明。
継続調査を許可されるが、そこまでの無断調査は怒られないものか。
提督はオナトップとエッチするわけだが、
オナトップはエッチの最中に、怪力で両足で相手の体を絞め
呼吸困難にさせて殺すと言う得意技を持っていた。こうして提督が殺害される。
彼女を怪しむボンドは、クルーザーに潜入。
だが、そこには提督の死体があるだけで、オナトップは去った後だった。
その頃、NATOが開発した新型戦闘ヘリ、タイガーの公開デモが
なぜか町中で行われていた。
オナトップらは、提督を殺した事が計画に関係あったのかよくわからないが
乗員を殺害し、制服を奪って搭乗する。
ボンドがヘリの離陸を止めようとするが、時すでに遅く
ヘリは一味に奪われどこかへ去っていった。
その頃、ロシア極寒の地にあるセビルナヤ宇宙兵器基地。
ここにはプログラマー数名が、日々コンピューターで何かの仕事をしていた。
そこにいるボリスと言う男は、天才的プログラマーで、
米国のFBIの秘密情報も簡単に盗み出してしまうほど。
当然、逆探知されてしまうが、世界各地のいろんな地点を経由しているため
接続中には、この基地までたどり着く事ができないのだ。
ナターリヤと言う同僚の女性は、ボリスがいろんなプログラムに仕掛ける、
パスワードを推理するくらいしかできない。
彼女がコーヒーを入れに行くと、ボリスも外の空気を吸うと言って退席。
そこへ、抜き打ち検査と言って、ロシア軍の連中が現れる。
もちろん、これはウルモフとオナトップの組み合わせなので、
何か悪だくらみしている事はすぐわかる。
ウルモフは、「ゴールデンアイ」のテストをすると言う。
そこで局員は、ゴールデンアイと言うカードを取り出し、
装置を作動させる準備までを実演。
ウルモフは時間を計るフリをして、大変よろしい等と言って局員を全員射殺。
もちろん、そのカードを手に入れるのが目的だったのだ。
事態に気づいたナターリヤは、物入れに隠れて難を逃れる。
ウルモフらは装置を作動させて、この基地を立ち去る。
その頃、ボンドは出頭命令を受ける。
歴代のように、ミス・マネーペニーを口説くが、
このマネーペニーは、いつまでも待っている女と思った?
それってセクハラよ等と軽くあしらうから、時代は変わったものだ。
おまけに、今回のMは何と女性。
ボンドを前時代の遺物だとか、セックスと暴力だけの男とか批判的だ。
ちなみに、小説ではMとは上司のイニシャルだったが、
映画ではそう言う役職になってしまったらしく、
「前任のM」とか言うセリフが出てくる。
彼女がつけた精神分析医も、ボンドに骨抜きにされてしまった。
さて、今回ボンドが呼び出されたのは、
ロシアの宇宙兵器基地が音信不通になった事件の調査のためだった。
すでにロシア軍は調査のため、現地へ3機のミグを発進させている。
スパイ衛星は基地付近で、盗まれたタイガーヘリを発見していた。
この宇宙兵器基地は、実はゴールデンアイと言う装置の基地らしい。
ゴールデンアイとは、米ソ冷戦時代の遺物で、
核戦争等で壊滅的な打撃を受けた場合の報復的措置として利用する物だ。
核爆発等の衝撃波が、付近の電気機器をすべて使用不能にする事を利用したのだ。
(それは広島で実証されたとの話も出てくる)
そうこうしていると、ミグが現地へ到着。
しかし、ゴールデンアイが作動し、衛星から基地自身を攻撃した。
これによって、電磁波みたいな物が周囲に流れ、操縦不能になったミグは次々と墜落。
巨大なパラボラアンテナも、ミグとの激突で崩壊。
実は1人基地内に取り残されたナターリアは、危機が次々爆発するのでまいっていた。
基地自体は音声認識でドアが開く仕組みだが、その装置が故障し、彼女は出られない。
しかし、アンテナの崩壊で天井が落ち、そこから脱出する事に成功する。
衛星からの映像を見守るボンドたち。
目前で、ゴールデンアイがその機能を発揮し、周囲数百qが灯り1つつかない状態に。
宇宙兵器基地の責任者が、因縁のあるウルモフと知り、
個人的な復讐心もあって、事件への関心を持つボンド。
ゴールデンアイを作動させるには、巨大なパラボラアンテナが必要なため、
もはや使用不能に思えるし、もし他にアンテナがあったとしても、
スパイ衛星がすぐに発見するはずだ。だが、それでも不安を感じるボンドたち。
どうやら一連の事件は基地内部からの手引きもあったに違いない。
彼らは基地から脱出した1人の姿を発見し、この人物に聞く事を考える。
とにかく、一連の事件の手がかりは例のタイガーヘリ。
そしてそれを盗んだのは、ヤヌスの女殺し屋だ。ボンドは彼女を追う事になる。
まずQ(デズモント・ルウェリン)より今回の装備を受け取る事に。
彼自身が車いすに乗って登場。ギプスに銃が隠されている仕組みだ。
新しい車はBMW。パラシュートやらミサイル等搭載されているとの事だが
それらは今回まったく使用されない。
電話ボックスでエアバックみたいなのがふくらみ、
中にいる男が苦しい目にあうと言う珍発明も登場。
2回だか3回だかボタンを押すと、時限爆弾になるボールペンも紹介する。
続いて、ボンドはロシアへ到着。
そこでCIAのジャック・ウエイド(ジョー・ドン・ベイカー)と合流。
彼は、いつも合い言葉を使いたがる英国式のスパイを時代遅れとバカにするが
ボンドは逆に叩きのめし、自分流のやり方に従わせる。
ジャックの用意した車はロシア製のポンコツで、昔のスバル360みたいな車。
そんなのにボンドが乗って移動する様は、かなりマヌケだ。
ジャックによれば、ヤヌスとは、コサック民族で構成されていた。
コサックは、第2次大戦の際にイギリスにソ連よりの独立を求めたが、
終戦後イギリスがソ連に引き渡したため、イギリスを恨んでいるのだ。
(ちょっと違ったかも知れないが、だいたいそんな事らしい)
ボンドはヤヌスに接近するため、
かつてボンドによって足を負傷させられた武器商人ズコフスキーに協力を求める。
ボンドに恨みを持つズコフスキーは、冗談じゃないと言うが、
足を撃ったのは、殺す必要はないと考えたからだと言ったので、考え直す事に。
武器密輸を手伝うか何かそんなような事を代償に、
ヤヌスの連中と引き合わせる事になるとかそんな事らしいが、
どうも見ていて、このズコフスキーとの事は必然性を感じさせられない。
その頃、宇宙兵器基地爆破事件を調査する事になったウルモフは、
基地から脱出したらしい2人を追えと言われてギョッ!とする。
1人は認識していたが、もう1人、つまりナターリアの事は知らなかったのだ。
一方、脱出に成功したナターリアは、IBMの販売店(と言ってもロシアのだけど)
へ行き、コンピューター教室を作りたいとか称してコンピューターを買うフリをして、
ちょっと借りて、どこかで生きていたボリスとの連絡に成功する。
ボリスは彼女と会いたいと言い出し、教会へ呼び出す。
当然の事ながら、ボリスは敵の一味で、ここでナターリアは一味に捕らわれてしまう。
ボンドが泳いでいると、そこへわざわざオナトップが現れ、彼を襲う。
ボンドを絞め殺そうとするが、そうやすやすと殺されるボンドではなく返り討ちに。
銃で脅して、ヤヌスの隠れ家へ案内させる。
そこはレーニンとかの銅像が大量に捨てられている、ちょっと不気味な場所だった。
そこへ現れた男は、何と死んだはずの006すなわちアレックだったのだ。
彼は実はコサックで、両親を死に追いやった英国を恨んでいた。
すなわち、ウルモフと彼はグルだったのだ。
互いに銃を向け合う2人。おまえのやり方はすべてお見通しと言うアレック。
そしてボンドを麻酔で眠らせた。
誰かに起こされ、気がつくボンド。
そこはタイガーヘリの中で、ボンドと後ろの座席にはナターリアが縛られている。
ナターリアが起こしたのだが、タイマーみたいなのが作動していて
タイガーヘリはミサイルを発射してしまう。
そしてそのミサイルは、旋回して自分自身を目標に戻ってきたのだ。
あわててボンドは、手足が使えないので、頭で近くにある脱出用ボタンを押す。
間一髪ヘリは爆破され、脱出した2人が助かると言うのは「ダイハード2」のようだ。
ナターリアは正体不明のボンドを警戒し逃げようとするが、
そこへロシア軍の連中が現れ、2人は捕らわれてしまう。
彼らを尋問したのは、防衛大臣のミシュキンだった。
彼は英国がボンドを派遣して、ゴールデンアイの悪用を企んでいると考えるが、
ボンドはヤヌスのしわざだと否定。
そこで少なくともボンドは無関係と考えるナターリアは、思いがけない事を言った。
基地襲撃の主犯は、ウルモフ将軍だったと。
だが、現れたウルモフはミシュキンを射殺し、ボンドらのしわざにして
彼をも処分しようとするが、そんな筋書きを説明している間に、ボンドと格闘に。
事情を知らない兵か、ウルモフの部下か知らないが、追跡してくる。
ボンドはナターリアに、自分を信用しろ等とかっこいい事を言って、一緒に逃走。
機関銃を撃ちまくられる中、なぜか弾は1発も当たらない。
古書室へ逃げる2人。機関銃を撃ちまくられ、書類が散乱。
ボンドは機関銃を奪って反撃。
Qが用意したベルトで、1人なら体重が支えられて脱出できるが、
2人はどうかとか言っていると、機関銃で撃ちまくられたために
床が抜けてナターリアは階下へ。ウルモフ一味らに捕らわれてしまう。
ボンドは窓から脱出。
ウルモフ一味は、ナターリアを連れて(簡単に射殺してしまえばいいのに)車で逃走。
ボンドは周囲を見渡し、ロシア製の戦車を発見。
次の瞬間、壁を突き破って、戦車がウルモフらの車を追跡してきた。
ここで、ようやく007のテーマがかかるが、一歩誤るとこっぱずかしくなる演出だ。
ロシア警察のパトカーとかも集まってくるが、戦車の敵ではなく、
ちょっと踏んづけただけでもペシャンコに。
このシーン、ソ連崩壊のおかげで、本当にロシアロケを敢行したらしい。
いったんは諦めていたナターリアも、ボンドが派手な追跡をしてくるので、
すっかり安心した感じだ。ウルモフはあわてて、狭い路地へ逃げ込むよう指示。
ウルモフの車ですら、両端を擦ってしまう様な狭い路地を通るが、
戦車には何の影響もなく、両側の建物を簡単にぶちこわして通過してしまう。
この戦車のチェースは、途中まではそれなりに面白いが、
ある程度まで行くと、もう少しまともな追跡方法はできないのかと思えてくる。
続いて、街の銅像すら破壊し、戦車は銅像を乗せたまま走る。
それがトンネルみたいな所で、天井に当たって銅像が落ち、
追跡してきたパトカーの上に落ちると言う展開。
ウルモフ一味は、旧式の重そうな機関車に乗り換え、それで逃げる事に。
列車の中は基地みたいになっていて、アレックやオナトップもいた。
ウルモフはアレックの子分みたいな感じで、ボンドの処分に失敗した事を怒る。
いくら何でも、戦車より機関車の方が速そうな気がするが、そんな事はないらしく、
先回りするボンドの戦車。アレックらは突破しろと指示するが、
ボンドは先に大砲で線路を破壊してしまったため、列車は脱線。
そこへボンドが飛び乗り撃ち合いに。
アレックらに銃を向けるが、ウルモフがナターリアを人質にとってしまう。
そんな女は関係ないとうそぶくが、そうではないらしく、状況は逆転。
ボンドらは車内に閉じこめられ、またも時限爆弾がセットされる。
6分にセットしたと言うアレックだが、
9年前に時限爆弾を3分にセットし直した事を恨んでいるので、
本当の制限時間が3分である事は間違いない。
ボンドはレーザーみたいな秘密兵器で、床に穴を開けて脱出しようとする。
その間にナターリアは、ボリスが仕掛けたパスワードを解読し、
アレック一味の隠れ家を探し出そうとする。
もちろん今回も、いろんな地点を経由して通信しているため、
なかなか発見できず、爆発時間が目前だ。
間一髪、敵の基地がキューバだと突き止めて脱出。
2人はなぜか、そう言うムードになってキスしたりするのだが、
まだそれほど深い関わりがあったようには思えない。
その後、彼女はボンドが彼女の事をどうなってもいいと言った事を指摘。
あれも作戦のうちだと言わせたり、ボンドが友人が敵と知って悩んだりする
割と俗っぽいシーンが続いたりする。
ボンドらはキューバへ潜入。
CIAも協力して探すが、巨大なパラボラアンテナなどどこにも見つからない。
ボンドらは軽飛行機で湖上空を調査。すると、突然湖からミサイルが。
翼がやられ、軽飛行機は不時着。2人は無事だが、ショックで意識ももうろう。
そこへ、ヘリから吊された状態で現れたオナトップが、ボンドを襲う。
またも足ではさんで殺そうとするが、気づいたナターリアも手助けして
何とか難は逃れ、ボンドは銃で上空のヘリを撃墜。
ヘリが墜落するため、ワイヤーが引っ張られたオナトップは、木に引っかかって絶命。
そんな事とは知らず、湖底にある秘密基地では、
アレックとボリスらがゴールデンアイ作動の準備を進めていた。
湖より突如として、巨大な折りたたみ式になっていたアンテナが現れる。
近作では避けていた巨大基地が、久々に登場したと言う感じだ。
福岡ドームの屋根でさえ、開くのに何時間もかかると言うのに、
この巨大アンテナはあっと言う間に開いてしまう。
ボンドらはひそかに潜入しようとするが、モニターに捕らえられ、
それを知ったアレックは、例によって始末しろ等と言うが
同じ諜報員だったのなら、そんなに簡単にやられる相手でないと知っているはず。
案の定、見張りは次々とやられ、ボンドらはまんまと潜入。
アレックらはボンドらがどうなったか確認もせず、
一番狙われそうなコンピューター室は無人のままで、ナターリアが中へ。
ボンドは撃ち合いで注意をそらそうとする。だが、見つかって共に捕らわれるハメに。
しかし、ボリスはナターリアを甘く見ていたが、
その間に彼女は、衛星を落下するよう命令を出し、パスワードを変更してしまった。
このままでは衛星は大気圏突入で燃え尽きてしまう。
アレックらはボンドに銃を突きつけ、ナターリアにパスワードを教えろと脅迫。
だが、彼女はそんな人は関係ないと、白状する様子がない。
そこでボリスは何とか解読してみせると躍起に。
アレック一味の狙いはロンドンだった。
ロンドンをマヒさせ、英国銀行の金を奪うと言う割と俗な計画だったのだ。
だが、それ以外にも、英国にある犯罪情報含むすべての情報が消えるのだ。
引き続き、アメリカや日本もその標的にされるのだ。
ボリスはボンドのボールペンを奪い、神経質にカチカチやってみせるものだから、
いつ爆発するか気が気でないボンド。
ついに爆発させる回数だけボタンを押したため、ボンドらは床に伏せ、次に爆発が。
そうなると、お約束のようにあちこちで爆発が起こり、撃ち合いになったり逃げたり。
ボンドとナターリアは基地から脱出。前方には巨大なアンテナが。
もしボリスがパスワードを解読すれば、ゴールデンアイは動いてしまう。
その前にアンテナを爆破しなければならない。
ボンドはアンテナが動かせないよう、チェーンの間に鉄棒をはさみ込む。
だが、アレックが追跡してきて、2人はアンテナの中心部の不安定な場所で格闘に。
どちらも落ちそうなハメになるが、形勢はアレックに有利だ。
アレックはアンテナから脱出するため、味方のヘリを呼ぶ。
しかし、形勢は逆転。今度はアレックが落ちそうになり、ボンドがその腕をつかむが、
最後にはその手を放し、アレックは真っ逆様に落下する。
敵ヘリにはナターリアが潜んでいたため、操縦は彼女の思うままに。
ボンドはヘリの足の部分に飛び移り、その直後にアンテナも爆発。
下でうめいているアレックの上へ、アンテナが落下する。
ボリスの苦闘にも関わらず、衛星は落下で燃え尽きる寸前。
間一髪、パスワードを解読したボリスは、おれは天才だと叫ぶが、
爆発で液体水素だか何だかのタンクが破裂し、一瞬でボリスはコチコチに凍る。
一件落着して、抱き合うボンドとナターリア。
そこへCIAのジャックが現れたので、事件が片づいた頃に来るのかと皮肉るボンド。
だがジャックは、海兵隊を待機させていたと言って、
周囲の草の下に隠れた海兵隊が一気に現れた。
その続きはゆっくりやってくれとか言われるボンドたち。
と言うわけで、復活したボンドシリーズ最新作。
確かに、いろんな点でかつてのシリーズとは異にしている部分があるが
逆に、近作では避けていた巨大基地や、派手なチェースシーンが復活した感じだ。
割とご都合主義的な展開が目立ち、
脚本的にもう少し工夫した方がよかったのではと言う気がする。
ゴールデンアイと言う装置はそれほど生かされず、
むしろ敵が同じ00要員と言う設定が面白いが、それほどの強敵に思えず、
ヤヌスと言う組織が出てくるが、強大な親玉がいるわけでもないので
何だか烏合の衆と言う感じだ。
肝心の新ボンドは、まだピンとこない感じ。
スマートなハンサムと言う点は間違いないのだが。
などとあれこれ言っても、展開的には飽きさせない程度に見せ場をつなぎ
ロシアでの戦車チェースや、最後の秘密基地での格闘などは、
他の映画では絶対見る事ができないものだし、
まあ復活に免じて、そこそこ評価できるとしておこう。
▼
久々に映画館へ。「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」(97)を見た。
007と言えば、同じ製作会社が製作し続けるシリーズとしては
映画史上一番のロングシリーズ。
しかもまだ続いており、売り上げも多少の差はあるもののすべてがそれなりのヒット。
初代ショーン・コネリーの後、一作だけジョージ・レイゼンビーがやり
続いて3代目ロジャー・ムーアに。この辺で非現実的な路線に走りかけたが
途中で軌道修正。4代目ティモシー・ダルトンに引き継がれるが
人気が低落したり、映画会社の売却があったりで数年間製作が途絶えるが
この人気シリーズを終わらせるわけにはいかず、
メル・ギブソンで復活と言う話もあったが、
以前も候補に出た5代目ピアース・ブロスナンで復活。
ダルトンよりも007に合ってると思えるマスクで、前作はシリーズ最高のヒット。
(と言っても、金額の話だから物価を考えると、それほどではないのだが)
続く第2弾が登場。しかし本国に数ヶ月遅れた公開は
日本での人気の低落を意味するのか?
いずれにせよ、このシリーズのおかげで映画好きになり、サントラ好きになり
アクション映画好きになったわけだし、前作のように初日に行ったりはしなかったが
まあ見逃すわけにはいくまい。
今回の敵はメディア王で、それに扮するのがジョナサン・プライス。
中国の女スパイに扮するのが、香港では人気のあるらしいミシェル・ヨー。
メディア王の妻に扮するのが「新スーパーマン」のロイス役テリー・ハッチャー。
あのシリーズを通して見た者としては、かなり気になる存在だ。
前作に続いて、CIAスパイに扮するジョー・ドン・ベイカー。
新MやQも引き続き登場。
監督は「エア・アメリカ」のロジャー・スポティスウッド。
音楽は「ID4」のデビッド・アーノルドだ。
冒頭は本編とは無関係のシーン。ロシア国境で武器商人のマーケットが開かれる。
そこへ潜入した諜報員ホワイト・ナイトにより、カメラで様子が英国にも放送される。
指揮するのは英国情報部のM。そして、軍関係者も見守っている。
集まったのは、東京の地下鉄事件のテロリストら有名な人物ばかり。
(地下鉄事件とはサリン事件の事だろうが、
奴らは組織化されたテロリストとはちょっと違う気がするが)
ロシア大統領は選挙が近いため、死者の出る可能性のある突入作戦を拒否。
そこで英軍の艦からミサイルが発射される。命中まであと10分だ。
ところがホワイト・ナイトがなかなか撤退しようとしない。
どうした事かと見ると、売りに出された武器の中に核ミサイルを搭載した
戦闘機がいたのだ。もしミサイルが命中すれば、チェルノブイリ以上の被害が出る。
しかし、すでに遠隔操作での爆破は不可能な状態。
すると、ホワイト・ナイトことジェームズ・ボンド007(ピアース・ブロスナン)は
銃を撃ちまくりながらマーケットの中へ突入。
激しい撃ち合いの中、ボンドは操縦士を倒し戦闘機に飛び乗り、離陸しようとする。
他の戦闘機が滑走路を妨害するが、間一髪離陸し、そこへミサイルが命中。
無事離陸したと思いきや、生きていた後ろの席の操縦士がボンドの首を絞める。
格闘していると、追跡してきた別の戦闘機がミサイル攻撃。
両手は格闘で使えないため、足に操縦桿をはさんで回避。
断崖をかわした敵戦闘機は、ボンド機を見失う。
ボンド機は敵機の真下に。ボンドは後ろの席の脱出装置を引くと
後ろの席の男の体は、真上の敵機に突っ込み、そのまま穴が開いてしまう。
ボンド機はたちまち逃走。敵機はこれがもとで爆発。
連絡が途絶えていたボンドは、ミサイルはどこへ届けたらいい?と報告する。
続いてシェリル・クロウ歌う「トゥモロー・ネバー・ダイ」のタイトルバック。
本編は南シナ海に英国艦から始まる。中国のミグ機が領海侵犯だと警告してきた。
そんなはずはない、間違いなく公海だと逆に反撃態勢に。
その頃、その付近にはステルス戦闘機の材質で作られたステルス艦が。
そこに乗った一味は、衛星を利用して英国艦の現在位置の認識を狂わせていた。
さらに、ドリルみたいな羽のついた魚雷を、中国機が投下したように見せて発射。
これが英国艦に命中し、ドリルで艦内をウロウロしながら道を作る。
浸水で艦は沈没。さらにミサイルで中国ミグ機1機を撃墜。
脱出した英兵たちはステルス艦に回収されるが、中国式の弾を使って射殺される。
いかにも英中が武力衝突したという感じで、かつての敵スペクターが
漁夫の利を狙った作戦に似ているが、その目的はちょっと違った。
黒幕はメディア王と言われるカーバー(ジョナサン・プライス)だ。
彼はその様子を巨大なモニターで見ながら、
タイプで「トゥモロー紙」の一面記事を考えていく。
彼の手の者は世界各地にいて、米大統領のHなビデオを入手し、
これで大統領を脅迫して、結局は公開しようと考える。
まるでクリントンのスキャンダルを思わせる話だ。
英国と中国の関係は一触即発。英軍は武力で対抗しようとする体制に。
しかしMは、何者かが作為したように思えると主張。
その頃ボンドはデンマーク語だかの教師といちゃついていたが、
マネペニーに呼び出されて急行。
彼が持参したトゥモロー紙には、中国軍の弾で英兵が殺されたとの情報が。
その事は、英軍もつかんでおらず、現在地を誤認させる電波も
カーバーの衛星から発信されたらしい。
英軍は48時間以内にカーバーの仕業との証拠がつかめなければ、
中国軍を攻撃する。そこでボンドがカーバーの身辺を探ることに。
奇しくもカーバー夫人は、ボンドのかつての恋人パリス(テリー・ハッチャー)だ。
パーティ会場へは実業家みたいな顔をして潜入。
カーバーに挨拶すると相手は不審がる。
彼はボンドよりも、香港の記者だというリン(ミシェル・ヨー)の方に関心が。
彼女ほどのやり手なら引き抜きたいとか言い出す始末だ。
一方、ボンドはパリスの所へ。彼女はボンドの顔を見るや張り手を食らわせる。
どうやら彼女は、ボンドが諜報員としてプレイボーイ活動した時の恋人ではなく
学生時代の恋人らしい。だが、その頃から枕の下に銃を隠していて、
突然姿を消したと言うのだ。
親密そうに話していると、急に心配になったのか、カーバーは手下の者に指示。
ボンドはカーバーさんが御用ですとか言われて別室へ。
その中には、凄腕の殺し屋風の男スタンパーもいるのだが
どうも「ユア・アイズ・オンリー」や「リビング・デイライツ」の殺し屋に似ていて
いまいちインパクトに欠ける。
一度は別室で、何をかぎ回ってるとこてんぱんにやられるボンドだが、
準主役風殺し屋が外へ行くと、たちまち反撃して下っ端を倒して出ていく。
それを見て、殺し屋たちはいったい何者だと不思議がるわけ。
空港でボンドを待っていたのは、
レンタカー会社の職員に扮したQ(デズモント・ルウェリン)。
5代のボンドと共演した唯一の俳優だ。
今回彼が用意した秘密兵器は、前作に続いてBMWの改造車。
ミサイルが出たり、マキビシをまいたりするあたりはいつも通りという感じだが、
目新しい点は、リモコンで運転できる点。操縦は携帯電話で。
ここで聞き、ここで話すと説明すると、ボンドは今まで間違えてたよと皮肉る。
この携帯電話は、万能キーになり、どんなカギでもこじ開けられ、
さらには電流を流して破壊することもできる。
さらにそれを開くと、中に操作パネルがあり、ノートパソコンのマウスのように操作。
(ポインティングデバイスとか言うのか)
開発者のQが見本を見せると、エンスト連発と言う感じだが、
ボンドがやると初めてのクセに、猛スピード猛カーブで、
彼らの方へ走ってこさせて目の前でブレーキをかける荒技まで見せる。
いくらボンドが万能でも、これはちょっとおかしい。
ボンドはカーバーの会社へ潜入。携帯電話を利用して、こっそりドアを開けて
金庫の中を調べる。中には赤い箱が。これを盗んで退散しようとするが
例のリンが、実は彼女は中国の諜報員で
乱暴な手口で侵入したため、警報が鳴ってしまい、ボンドも追われるハメに。
リンは体をワイヤーで支えて涼しい顔で壁を歩きながら降りていく。
まるで逆バットマン状態だ。(もちろんTV時代の)
ボンドの方は激しく機関銃で追われるハメに。だがこういうのから逃げるのは得意だ。
盗んだ赤い装置を、BMWの特製金庫にしまう。
カーバーはボンドとパリスの会話の録画を確認。
その中で、「今でも拳銃を枕の下に隠してるの?」と言うセリフを抽出し、
彼のことをただの実業家とごまかしたことに腹を立てる。
パリスは夫カーバーが悪事に絡んでいることに気づき、
ボンドの調査を手引きする事を約束。だが、結局捕らわれてしまう。
ボンドは自室へ戻ると、殺されているパリスが。
拷問の権威と言うカウフマン博士がいて、ボンドとの心中をでっち上げると言う。
すでにその内容の臨時ニュースのビデオもできているのだ。
もしボンドが抵抗して、妙な位置に弾が当たっても説明はつけられると言うのだ。
カーバー一味はBMWを回収し、この中にあるはずの赤い装置を回収しようとする。
だが、ドアはこじ開けられず、金槌で叩いても、機関銃で撃ってもダメ。
ボンドは殺されようとしていたが、やむなく中断させ、開け方を聞き出せと指示。
ボンドは携帯電話で開けるのだと言うが、カウフマンは信じずおれがやると言い、
わざわざ言われるままにボタン操作して、自らが電流を受けて倒れるハメに。
しびれながら命乞いするカウフマンに対して、冷酷に射殺するボンド。
パリスの遺体にキスして立ち去る。かけつけた例の凄腕殺し屋たち。
スタンパーは殺し屋のクセに、カウフマンは父同然だったとボンドに復讐心を燃やす。
一味はBMWを取り囲んでいるが、ボンドは携帯でBMWを動かし
後部窓から中へ飛び込む。
一味は機関銃を撃ちまくり、フロントガラスも割れるが、
ボンドは後部座席にうずくまり、そこで携帯を使って運転。
まてよ、機関銃でも窓は割れなかったはずだが。
敵は駐車場の中を車で追いかけまくるが、マキビシをまいて阻止したり
バズーカも窓が割れてるおかげで素通りして追っ手に命中したり。
ワイヤーで行く手をふさがれるが、エンブレムの下からカッターが現れて
通過の際に瞬時に切ると言う、マッハGOGOGO状態。
切れたおかげで引っかけていた杭がクルクル回り、追っ手の車に命中する。
シャッターを閉められて待機され、ミサイル発射で突破しようとするが無理。
仕方なく逆戻りし、わざわざマキビシを踏んでしまいパンクするが
自動的に修復。余計な事だが、この車は女性の声で、
安全運転してくださいとか、衝突発生とか声が出っぱなし。
Qが女性の声なら聞くと考えたためだが、うるさいばかり。
そのまま屋上へ逃げ、そこから飛び降りて脱出。車は墜落して店へ突入。
「おめでとう事故0でした」とアナウンスされるが、
これだけぶつかって、何を根拠に事故0と言っているのか。
ボンドが回収した装置は、レーダーの位置をかく乱する装置だった。
それをもとに、英国艦が沈没した真の位置を追及。
CIAのジャック(ジョー・ドン・ベイカー)の手引きで、
沈没位置へパラシュート降下で向かう事に。
前作に続いて登場するベイカーだが、今回はこれでお役ゴメン。
ダイビングで英国艦の中へ入ると、どうやら人工的に開けたような穴を発見。
海底でまたもリンと再会して驚くが、ミサイルがなくなっているのでまたビックリ。
震動で艦が倒れて閉じこめられそうになるが、あわてて脱出することに成功。
リンの味方が待ち受けている船に乗り込むが、そこで待っていたのはカーバー一味。
ボンドとリンは手錠で縛られ、ベトナム・サイゴンにある
カーバーの会社の高層ビルへ連れられる。
待ち受けていたカーバーは、英国ボンド中佐と中国リン大佐が、
事故で死んだと言う記事を作っていた。
彼によれば、英国のミサイルで中国を攻撃し、
緊張関係にある2国を戦争に突入させようと言うのだ。
そして、カーバーの手の内の孫将軍は、からくもミサイル攻撃を逃れ政権を奪取。
カーバーが中国の報道の独占権を得ると言う寸法だ。
と自慢げに語った後、ボンドたちを始末しようと殺し屋スタンパーらが現れるが
ボンドは素早く機関銃を奪いそれを乱射。手錠で縛られた状態の2人は
追っ手を倒し、窓から飛び出して、ビルにかけられた巨大な垂れ幕のヒモを取り
それを持って屋上から飛び降りる。
すると、垂れ幕に描かれたカーバーの顔が破れて、2人はそのまま落下。
しかし途中で落下が止まり、窓からビルの中へ飛び込んで再び逃げる。
さらにサイゴン市内を走って逃げる。たちまち貧しい町中へ。
と、追っ手が来るもんだから、今度はバイクを奪って逃げる。これがまたもBMW。
しかし、サイゴンの貧しそうな町中に、BMWのバイクがあるのは納得いかん。
ボンドとリンは、手錠で縛られているために互いに邪魔な感じで苦労しながら運転。
バイクは木造の家の2階やら、屋根の上やらを走り回る。
ヘリや敵のバイクが追って回り、行く手をヘリに阻まれるが、
2人は行くぞと気合いを入れて、階上から飛び出し、ヘリの上を通過して
向かいのビルへ。CMでも使われたシーンだが、それほど盛り上がらない。
バイクは床を抜いて階下へ落ちるがそのままさらに逃げる。
人々が逃げまどう中、ヘリはプロペラで周囲の建物を破壊しながら接近してくる。
ちょっと見てから時間がたってしまったので忘れちゃったけど
確か、ワイヤーか何かをプロペラに引っかけて、墜落させる事に成功する。
手錠をはずした2人は、これからどうしようかと話し合う。
リン役のミシェル・ヨーは胸は小さいが、水浴びで透けて見えるシーンあり。
いつもの調子でいけると思っていると、またも手錠で杭に縛られてしまうボンド。
これをはずしてあわてて彼女を捜すと、リンは一味に襲われていた。
だが彼女も空手の使い手で敵を倒し、ボンドもちょっと手助け。
そこは中国諜報部のアジトで、結局2人は協力してカーバーの艦の急襲を計画。
ステルス艦はミサイルを積んで中国沿岸に向かっていた。
ボンドらの報告で、どうやら敵はカーバーとわかった英中だが
確かな証拠がない限りは、戦争勃発は避けられない状態だ。
2人はレーダーを避けてステルス艦に接近。
ひそかにドック部分に入り見張りを倒すが、見つかってリンが捕らわれる。
ボンドは撃たれて死んだフリをするが、もちろんそんなに簡単に死ぬはずもない。
カーバーはわざわざ前線に来て、ミサイル発射の秒読みを続けていた。
ボンドの突入で撃ち合いが開始。ならば発射を早めろと言う例のパターン。
これまた細かい戦いは忘れてしまったけど、
ボンドは羽のついたドリル式魚雷を作動させ、カーバーは体を切り刻まれる。
殺し屋スタンパーは、リンを殺してやると吊り下げて海に沈る。
だが、ボンドが格闘。スタンパーを倒し、海中のリンを救出。
口移しで空気を与えて脱出。ステルス艦は爆発し、戦争は回避される。
と言うわけで、ピアース・ブロスナン版007の第2弾。
本国に比べると半年ほど公開が遅れ、日本での007の人気低下が叫ばれたが
実際、劇場は結構すいていて、内容もちょっと首を傾げたくなる出来。
新たな敵はメディア王と言う事で、スペクター、ソ連や犯罪王よりも
時代に合わせた発想と言えるのだが、
その手口は英中を敵対させて漁夫の利を得ると言う相変わらずのアイデア。
「007は二度死ぬ」「私を愛したスパイ」「ムーンレイカー」と3度も使われた。
しかも、これらは漁夫の利で世界征服すると言う奇想天外さが007らしかったが
ただ事件をでっち上げてメディアを牛耳ると言うだけでは
実際にあってもおかしくない程度で、ちょっと中途半端だ。
BMWは「ゴールドフィンガー」に似てるし
ボンドとリンの関係は「私を愛したスパイ」に似てる。
ついでながら、ステルス艦のデザインも「私を愛したスパイ」の
アトランティスに似てるが、大きさがかなり小さい。
と言うように過去の焼き直しが目立つ上、話は2時間を下回る短さで
見ていてもかなりコンパクトと言う印象を受ける。
相手役のミシェル・ヨーも魅力が少なく
テリー・ハッチャーはいいのだが、妊娠していたらしくて登場シーンはわずか。
殺し屋陣も魅力がなく、親玉カーバーもいまいち。
と言った感じで、ちょっと不満は多いのだが
久々にボンドが世界を救うというパターンを復活させたあたりは評価でき
前作「ゴールデンアイ」よりはよくできていると言えるかも。
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20世紀最後の任務「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(99)を見た。
まあ映画ファンになった最大の理由は007シリーズの存在にあるわけで
紆余曲折を経て、一時はシリーズ中止になりそうな危機に陥ったが
5代目ピアース・ブロスナンで復活。
今まで同じスタッフばかりの繰り返しだったが、復活後は毎作監督を変更。
新鮮味を出そうと言う方向性に間違いはなく
ちょっとはずしている時があるようにも思えるが、その姿勢は買える。
今回の悪役はロバート・カーライルと言う人で、ただのテロリスト役だから
歴代の悪役としてはちょっと格が低い気がする。
一方、ボンドガールの方はソフィー・マルソーで、
実はこいつも悪役と言う事がわかっているから、そう言う意味ではかなり異色。
悪役を見逃すはずはないから、最後の対決シーンとかあるのかも。
悪役だけではまずいので、そうではないボンドガールの方は
デニス・リチャーズと言う人で、「スターシップ・トゥルーパーズ」で
ちょっとやな感じの主人公の恋人役だった人。
MとかQとかは今までと同じだが
初代ボンドからつき合ってきたQ役デズモント・ルウェリンが本作で引退する気で
後継者Rを登場させるシーンがあるのだが
実際に、このあとルウェリンが事故死してしまい、世代交代は確実に。
音楽は「ID4」や「ゴジラ」のデビッド・アーノルド。
冒頭は毎度おなじみの銃口から撃つタイトルシーン。
英国諜報員007号ジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)は
スペインのスイス産業銀行へ行く。劇場で見た時はよくわからなかったが、その目的は
英国の石油王であるキング卿が、
盗まれたロシア原子力局の極秘書類を300万ドルで買い取るためらしい。
その話はうまく行きかけるのだが、ボンドは009の殺害に関係しているはずと
その犯人の名前を聞き出そうとする。
銀行家は口ごもるが、秘書に扮した女殺し屋に殺される。
殺し屋はドアを閉めて逃走。別の男の殺し屋は格闘で倒すが、警察とかがかけつける。
ボンドは300万ドルの入ったケースで窓を破り
男の殺し屋の体にロープを縛っておもりにし、窓からスルリと飛び降りて
何事もなかったかのように立ち去る。
とりあえず300万ドルは奪われずにすんだと、キング卿に返還される事になるが
ボンドは何かおかしいと感じる。実は紙幣に仕掛けがされていて
キング卿のつけるピンに反応して爆発するのだ。
かけつけるが間に合わず、何とMI6内で爆発が発生。シリーズでも初めての出来事。
ここに初代Mバーナード・リ−の肖像画が飾られていたらしいが、それは気づかず。
近くのテームズ河から誰かが見張っていた事に気づくボンド。
銀行にいた女殺し屋だ。殺し屋は逃げるが、ボンドは追跡を開始。
Q(デズモント・ルウェリン)がまだ未完成だと言うボートに飛び乗り、
壁を突き破ってテームズ河へ。
テームズ河でのボートチェースシーンと言うのも、今までになかったシーンだ。
この新型ボートは潜水も出来るのだが、いかんせん未完成なので
潜水するとボンドはずぶ濡れ。ちょっと引き離されるのだが、
GPSで敵の位置を察知し、最短距離コースを出し
それは陸を通らなければならないのだが、このボートは平気。
女殺し屋は追い込まれたと陸に上がり、気球フェアみたいなところの気球を奪い逃走。
だがボンドは逃がすまいと飛び移る。
もう逃げられん、黒幕の正体を言えと言うが、殺し屋は自爆する気。
あわてて下のドームみたいな所の屋根に飛び降りるボンド。
そこで自爆し、ボンドは腕を痛めたところで主題曲へ。
M(ジュディ・ランチ)はMI6の面目もあるし、何としても解決しろと指示。
キング卿は、かつて娘エレクトラ(ソフィ・マルソー)が誘拐され
奪回作戦成功で救出されたのだが、
ボンドは、300万ドルと言う金額が、
誘拐したテロリストレナード(ロバート・カーライル)が要求した金額と
一致する事に気づく。
Mは009にレナード暗殺を指示し、それは失敗するのだが
弾丸が脳に残り、レナードは神経が麻痺し、痛みを感じない怪物となったのだ。
どうやら事件は、009とキング卿に復讐するレナードの仕業に違いない。
続く標的はエレクトラだと言う話になり、
ボンドはMの反対を押して、傷はもう治りましたと護衛の任務に就く事に。
もちろん、医師の了承を得るため、事前に得意の技術で女医を抱き込んでいた。
Qは後任のRを紹介。実際、これがQの最後の登場シーンになる。
新兵器搭載のBMWを渡す。
ボンドは石油基地のあるアゼルバイジャンへ。
そこでエレクトラと会い、彼女とスキーするが
パラホークと言う、パラシュートにぶら下がったヘリみたいな物の攻撃を受けるが
まあ得意のスキー技術で回避。
最後には雪崩が起きるが、ボンドは特製のスキージャケットを操作すると
2人を包み込むエアバック状態に。
無事雪崩を回避するが、何だかエレクトラは半狂乱状態で精神面に何かありそうだ。
ボンドはバクーのカジノへ行き、KGBのコズレフスキーと再会。
「007/ゴールデンアイ」に出た男だ。
ボンドは、X線機能付きのサングラスをかけると
ボディガードたちの銃が透けて見える上、
女性アシスタントも下着と隠した銃が見えるのがちよっとH。
ここのシーンで、日本から森川美穂が出演して騒ぎになったが
セリフもなく、何か東洋系ぽい女性がチラッとみえたのがあれかなと言う程度。
エレクトラはコズレフスキーと1回で100万ドルの大金を賭け
簡単に負けてしまう。自暴自棄的な所は、「女王陛下の007」で
ボンドの妻となったトレーシーを思わせる。
その後、ボンドとエレクトラのラブシーンとかが、当然のように展開する。
ボンドはキング社警備主任ダビドフの車で、ロシア人科学者アーコフの死体発見。
とパンフに書いてあるが、このダビドフが何者かは記憶がない。
何やら起きていると感じ、アーコフに化けて迎えに来たロシア軍輸送機へ。
輸送機は旧ソ連軍の核兵器試験場へ。
そこで男嫌いの核兵器専門家クリスマス・ジョーンズ博士(デニス・リチャード)
と言う女性に会う。毎度、このシリーズの役名は変わった物が多い。
この試験場に潜り込んでいたレナードが、核弾頭を奪おうとしていたので
かけつけたボンドとにらみ合いになるが、
ジョーンズ博士はボンドがニセ者と気づき、もめてる間にレナードが逃げ出し
施設は爆発してあわてて逃げるハメに。
何かを吊り下げて動かすための鎖にぶら下がって、
後方で爆発する中、自分で揺すって脱出。
敵か味方かわからず動揺するジョーンズ博士が、鉄の扉を閉じて爆発を回避。
逃げたレナードは、核爆弾をキング社のパイプラインに仕掛けたらしい。
しかも時間はわずかしかなく、除去できるのはジョーンズ博士しかいないと
点検用の移動車に乗ってボンドと共に向かうが、それはただの囮だった。
その間に、作戦を指揮するMらをエレクトラ一味が襲撃。
実はエレクトラは、レナードに捕らわれている間に彼に傾倒していて
今では恋仲だったのだ。そして母代わりとも言えるMを連れ去る。
ボンドとジョーンズ博士は、カスピ海にあるキャビア工場へ。
そこへ何の目的か、KGBのズコフスキーと会う。
ところがそこは襲撃を受け、ヘリから高枝を切るためのチェンソーで襲われる。
リモコンでBMWを操作し、ミサイルで1機を撃墜するが
もう1機のヘリが、BMWをまっぷたつに切断。
ボンドは桟橋を走って逃げ回り、ホースから出ている石油の噴出ガスで撃墜する。
エレクトラとレナードは、行方不明の核爆弾を見つけるための発信器をはずし
これでもう見つからないと言うが、ひそかにMがそれを隠し持つ。
ボンドらは核爆弾からの信号が途絶え困惑するが、
再び信号を受信し、それがMの居場所だと確信する。
ボンドらはボスポラス海峡の小島「乙女の塔」に急行。
そこでエレクトラに会い、彼女が一味だと感づいていたのだが
結局2人とも捕らわれてしまう。
エレクトラは、ボンドを古代の拷問イスに縛りつける。
これは、ダイヤルを回すと次第に首が絞まる仕掛けだ。
そこへコズレフスキーがかけつけるが撃たれて死ぬ。
しかし、死ぬ間際に、杖に隠された銃でボンドの手かせをはずす。
ボンドは拷問イスから抜け出し、あわてて逃げるエレクトラ。
追うボンド。途中、牢に入れられたMを助け出すが、引き続き追跡。
塔の上の階でエレクトラを追いつめると、彼女は女は撃てないはずと言うが結局射殺。
ボンドの怒りに、Mもビックリだが、これで追跡が終わるわけではない。
レナードは原潜でメルトダウンを起こしてボスポラス海峡を壊滅させ、
石油業界を独占する気だ。
それを追うボンドは原潜に乗り込む。どうやって乗り込んだか、それはもう忘れた。
捕らわれているジョーンズ博士を救出。
浸水とかする中、核爆弾のある原子炉へ移動するのだが
水を抜いたりしないといけないので大変。
レナードは核爆弾をオーバーフローさせようとするのだが、ボンドがかけつけ格闘。
何やら原子炉のよくわからない鉄棒を引き出して、
レナードを壁との間にはさんで倒す。
もうあちこち浸水して、2人ともずぶ濡れ。
ジョーンズ博士も服が濡れて透けてちょっとHだ。
脱出ポットで脱出するボンドら。一方本部では、ボンドらの無事を心配。
Rが発明した装置で、サーモセンサーで生存が確認できるはず。
人の姿が見えたのでホッとする一同。
ところがよく見ると2人の人間が絡んでいる事が判明。
Mはビックリしてかすれて声で「007」。
あわててRはパソコンを閉じ、「2000年問題らしい」と言う。
エンドタイトルは本国ではジェームズ・ボンドのテーマなのだが
日本ではLUNA SEAによる日本語の歌。これはいただけない。
と言うわけで、9のつく年のボンド映画は異色物と言うジンクスがあるとか言って
99年に製作されたこの作品もやや異色。
何と言っても、冒頭のロンドンを舞台にして、MI6が事件に巻き込まれるシーン。
そしてMが現場に出向いて、捕まってしまうシーン。
さらに、これは見る前から情報が伝わっていたが、
実はソフィ・マルソーが悪役だという点。
ボンドとしても、見逃すほどかわいげのある相手ではなかったので
結局射殺してしまうわけだから、だいぶ工夫してきたなと言う感じ。
そう言う意味で、ピアース・ブロスナンものとしては一番面白い気がするが
では、かつてのようなゾクゾクするようなシーンがあるかと言うと
そうでもない。デビッド・アーノルドの音楽はなかなか善戦しているが
ラストのLUNA SEAはいただけない。
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何はなくとも「007/ダイ・アナザー・デイ」(2002)を見た。
そもそもが映画を見続けるのは007のためと言う感じで、
シリーズは番外も含めてすべて劇場で見たというのが自慢。
正直、一時期はテンションも落ちていたが、最近再び復活し、
40周年記念の本作は、過去作品のオマージュもあると言うしなかなか評判がいい。
毎度のピアース・ブロスナン他、ボンドガールはハル・ベリー。
舞台は北朝鮮というのもタイムリーな感じだし、
過去の秘密兵器やら、過去の名場面を思わせるシーンもあるようで、
氷上のカーチェースも激しそうだし、何がなくとも見るしかない。
音楽はデビッド・アーノルドで、これもノリノリだ。主題歌はマドンナ。
監督はリー・タマホリという人で、ピアース・ブロスナンになってから
毎回監督を変えると言う路線は維持しているらしい。
冒頭は20世紀FOXやらMGMやらいろんな会社のロゴの後
お約束のガンバレルと言われる銃口に向けて、ボンドが撃つシーン。
狙っている男の血が出るのもお約束なのだが、
こちらに向けて銃弾が飛んでくるのが新しい。CGだけど。
舞台は北朝鮮の海岸。大きな波に乗って3人の男がサーフィンで迫っていた。
見張りのスキをついて上陸する3人。
1人は007号ジェームズ・ボンド(ピアース・ブロスナン)だ。
サーフボード自体に仕掛けがあり、そこに隠されていた小型のアンテナを取り出し、
妨害電波か何かでヘリを誘導して着陸させる。
それに乗っていた武器商人ヴァン・ビヨークと言う男を銃で脅し、
彼に成り代わって、そのカバンを持ちヘリで目的地へ向かう。
カバンには大量のダイヤが。その下に爆薬を隠す。
非武装地区のはずの場所で、到着したビヨークに扮したボンドを待っていたのは、
北朝鮮のザオ(リック・ユーン)と言う人物。
彼はすかさず、携帯のカメラでボンドの顔を撮り、どこかへ照会をかける。
そして彼の上官がムーン大佐。北朝鮮の実力者である将軍の息子だ。
この付近には、朝鮮戦争で米軍が残した地雷が大量に残っており、
ホバークラフトでなければ危険だと言う。
ボンドは彼らにダイヤを渡し、代わりに武器をもらう事に。
「ぶっ飛ぶダイヤだ」等と言う。専門家が鑑定するが、確かに本物だ。
英国人である相手に対し、大佐は西洋の俗悪に汚れてる等と言うが、
その彼も、西洋に留学していた事があり、高級車を集めて楽しんでいる。
それでは交換と言う事になりそうだったが、ザオの所へどこからか連絡が。
すかさずムーンに連絡。ムーン大佐は何とか銃と言う強力な銃で、
ボンドの乗ってきたヘリを爆破。これで味方は死んだらしい。
「これでも私を殺すかねボンド君」
逃げる手段のなくなったボンド。まさに危機一髪だが、爆発に気づいた将軍が
車で近づいていると知り、あわててムーンらは退散。
ボンドは時計に仕掛けられたリモコンで、ダイヤの箱の爆破を早める。
おかげで、ダイヤが飛び散り、ザオの顔に突き刺さる。
たちまち撃ちまくり、あっちでもこっちでも爆発。
ボンドはホバークラフトに飛び乗り、敵を倒してムーン大佐を追う。
門が閉じられるが危機一髪通過。追っ手は追ってこられない。
気がついたムーンと撃ち合いに。互いに地雷を撃って爆発させ、
その他大勢は次々やられていくが、ボンドとムーン大佐は無事。
ボンドはムーン大佐のホバークラフトに飛び移り、その上で格闘に。
大佐は火炎放射器とか出すが、とどめを刺そうとした時、ボンドは飛び降り、
ホバークラフトは壁を突き破ると、なぜかそこには崖があって墜落。
ムーンはこれで死に、ボンドはなぜか鐘をつく棒に飛びついていて難を逃れる。
「ついてたな」等と言うが、そこへ将軍らがかけつけ、
息子を殺したなとボンドは捕らわれる。
ここでようやくタイトルシーン。
捕らわれて始まるタイトルは、もちろん初めてだ。
マドンナのタイトルソング。
主題曲に合わせて、ボンドが北朝鮮の兵士に拷問を受けるシーンが。
スローテンポな曲なので、なんだか変な感じだ。
女兵士が担当らしく、ボンドの顔を水につけて、何か聞き出そうとする。
サソリの毒とかも盛られているようだ。
そして14ヶ月後。ボンドは髪もひげも伸びてボサボサに。
将軍はボンドが黒幕を吐かないので苦労していた。
仕方なく某所へ連れて行く。もやのかかる橋。
銃殺隊のような連中がボンドに銃を向け、射殺するのかと思えば、橋を渡れと言う。
実は人質交換で、ボンドは釈放される事になったのだ。
そして、その相手こそ、あのザオだった。顔にはまだダイヤの跡が。
韓国側へ行き、米軍やら英軍やらに迎えられるボンド。
英雄のご帰還だと言う米国のファルコ(マイケル・マドセン)。
CIAのジャック・ウエイドのような役かと思えば、そうでもないらしい。
そして、レギュラー出演の英国側のMの副官みたいなロビンソンは複雑な表情。
ボンドは久々に軽口を叩こうとするが、注射で眠らされ、
体を徹底的に調べられる。サソリの毒とかを検出したりするが、
どうやら間違いなくボンドだ。
寝ているボンドを見に来るM(ジュディ・デンチ)。
パジャマ姿のボンドは、ひどい扱いだとか言って怒る。字幕では敬語も使っていない。
なぜならば、Mとボンドの間には、強化ガラスで仕切がしてあり、拘禁状態なのだ。
Mは、ボンドの身代わりにザオを釈放した事を悔やんでいた。
それはボンドも同様だ。彼は3名だかを殺したらしい。
ボンドは、どうやら薬で秘密を漏らしたらしいと言うのだ。
中国のスパイがそれで犠牲に。
そんなバカなと言うが、密告者があの刑務所にいた事は間違いない。
そして、あの刑務所は、ボンド専用に使われていたのだ。
そんな時のためにルールがあるはず。捕らわれたらば見捨てると。
Mは00課の資格も剥奪せねばならないと言う。
使い捨てかと言うボンド。複雑な思いの両者だ。
しかし、ボンドはどうやったのかよくわからなかったが、機械上心停止状態に見せ
あわてて心臓マッサージしようとした医師に対し、
その機械を奪って逆に電流で失神させて逃走。海に飛び込み陸地まで泳ぐ。
そこは香港だったのだ。
パジャマ姿でボサボサ頭のボンドは、そのままなじみのホテルへ。
フロントは身分証を見せろとか言うが、
オーナーらしき人物が彼を知っていて部屋へ案内。お忙しそうですなと言われる。
おかげで服も得て、ひげも剃ってサッパリ。
そこへ、マッサージに来たと言う女性が部屋へ。
たちまちボンドは言い寄るようなフリをして、隠していた銃を奪う。
そして鏡を割ると、オーナーのチャンらが、彼らを盗み撮りしていたのだ。
これは「ロシアより愛をこめて」と同じパターンだが、
盗み撮りしてどうする気だったかは、よくわからない。
チャンは中国情報部の人物だった。
中国はボンドをマークしていたのだが、共にザオを追っていると知り、協力する事に。
ザオがキューバにいるという情報を得て、旅券を手配してくれる。
だが、この後、中国の連中は二度と出てこない。
飛行機はファーストクラスで、酒を持ってきたスチュワーデスは、
ロジャー・ムーアの娘らしいが、ボンドは「よくシェイクしてある」と言う。
つまり、毎度おなじみのマティーニを注文したと言う事だ。
ボンドはキューバ。ハバナへ。
ラウルという人物に会い、ザオがロス・オルガノス島という所の病院にいると知る。
このラウルの家には、鳥類学の本と言うのがあって、
これもジェームズ・ボンドと言う名前を拝借したのが鳥類学者の名前だというのに
引っかけているとパンフには書かれている。
確かに、映画を見た時はそんな風に感じたが、
本にジェームズ・ボンド著と書かれていたわけでもないようなので。
さっそく島の見える場所へ行き、ビーチにて双眼鏡で島を見ると、
誰も泳いでいないのに、女性が女神のように現れて歩いて浜辺へ。
まあ、現れ方は微妙に違うが、水着にナイフがついてるあたり、
「ドクター・ノオ」の初代ボンドガール、アーシュラ・アンドレス登場を意識。
タオルで拭いていたりするのを、すかさずボンド声をかける。
彼女はジンクス(ハル・ベリー)と名乗る。
13日の金曜日生まれで、恋は長続きしないと言うが、いきなりボンドと親密に。
激しいラブシーンで、私は悪い女よとナイフを取り出すが、
果物をむいて食べたりして、ボンドも14ヶ月も捕らわれていたので
久しぶりだと大喜び。
結局、この彼女が後々味方だとわかるのだが、それにしては出会いが偶然すぎないか。
寝てしまい気がつくとジンクスはおらず、外を見ると何やら許可証を得て
病院へ行くボートに乗っている。
これはやられたと、ボンドは病院の医師らしき人物を殴り倒し、彼を車イスに座らせ
彼の許可証で乗り込む事に。
病院は警戒が厳重だが、車イスを走らせて警備の注意をそらした間に、窓から中へ。
一方、ジンクスはここにいるアルバレス博士という人物に会う。
彼は、DNA組み替えによる整形の技術を持ち、すでに実績を上げていると言う。
これは芸術だと言い、ジンクスにも応用したいと言うが、
ジンクスは、芸術は死後評価されると言って射殺。
自分の書類を燃やし、病院に爆弾を仕掛ける。
ボンドは病院内を調べ回り、ついに寝ているザオを発見。
彼はDNA組み替えで白人に成り代わろうとしていたが、
その途中過程で顔が真っ白の不気味な感じに。
寝ているザオに銃を突きつけるが、ザオは反撃。たちまち格闘になる。
強力な磁石を作動させると、銃が吸い付き。ザオの持っていた弾丸を手に入れる。
そうこうすると、ジンクスの爆弾が爆発し、病院内は騒動に。
ザオは窓を割って脱出。患者を退散させるためのヘリへ向かう。
ボンドはそれを追い、混乱の中でジンクスと再会。ジンクスもザオを追う。
だが、スカート姿でドタドタ走り、妙にでかい銃を撃つジンクスの姿は
何となく格好悪い。
ボンドの方は、入り組んだ場所に来てしまったのか、外へ出られない。
燃え残ったジンクスの書類を見つけ、何かを感じ、
医療用のボンベを爆発させ、それで壁を破り脱出。
ジンクスは撃ちまくり、ヘリで脱出するザオを追うが、結局逃げられる。
ジンクスは兵隊に追いつめられ、ボンドもかけつけるが、
彼女は断崖から後ろ向きに海に飛び込み、味方のボートに助けられる。
兵はあわてて彼女を追い、ボンドはおとがめなし。
ボンドは再びラウルに会い、ザオから手に入れた銃弾を調べる。
その中には、ダイヤが隠されていた。GGと言うロゴが刻まれており、
これはアイスランド出身で、急に成長したダイヤ王グスタフ・グレーブスのロゴだ。
アイスランドでダイヤを発掘したと言うふれこみだが、
その組成はアフリカの物と同じ。これは怪しい。
ミランダ(ロザムント・パイク)と言う女性らが、
グレーブス(トビー・スティーブンス)が来ないと心配しているバッキンガム宮殿前。
上空の飛行機から、イギリス国旗のパラシュートで降下してくるグレーブス。
これは「私を愛したスパイ」を意識か。
派手な登場に沸くマスコミ。
第二の故郷と言えるイギリスで勲章をもらう事になったのだ。
彼はイカルスの発表はパーティで行うと、マスコミに宣伝する。
記者に混ざって見ているボンド。
ボンドはグレーブスが通うフェンシングのクラブへ乗り込む。
教官のヴェリティ(マドンナ)は知り合いなのか、グレーブスに紹介してくれる。
このマドンナの役は、いろいろわがまま言っていたようで、
レズの役にしたいとか、旦那にこのシーンは監督させたいとか言っていて
「史上初めてボンドをふった女」の役に落ち着いたと言っていたが、
見たところ、ボンドをふったという感じでもない。ガセネタか。
ヴェリティによれば、クラブで一番の凄腕はミランダ。
五輪でも金メダルを取ったが、
実際には決勝の対戦相手がドーピングで失格になっての不戦勝だったと言う。
一方、グレーブスは、賭け専門だと言う。
グレーブスはボンドを紹介され、どこかで会ったかと聞くが、
ボンドはそれはないと言う。そしてフェンシングで賭けをする事に。3本勝負だ。
お約束のように、2本グレーブスに先制され、もうやめるかねと聞かれると
ボンドは賭け金をつり上げると言い、次の反撃で腕を負傷するグレーブス。
怒ったグレーブスは、伝統に従い、上半身から血が出るまで勝負だと
本物の剣を取り出してボンドと対決。激しい戦いで、道場を飛び出し、
通路で物を壊したり、絵を刻んだりして、格闘にもなり、まさに殺し合い。
だが、ボンドがグレーブスの上半身を切った所でミランダが止め、何とか収まる。
面白かったと言うグレーブスは、小切手を切り、
アイスランドであるパーティへボンドを招待する。
ボンドはミランダとの再会も喜ぶが、ミランダにはその気がなさそうだ。
クラブの内装が新しく変えられ、喜ぶ関係者も。
そこで何者かがボンドに封筒を渡し、その中には鍵があった。
それを持ったボンドは、ビッグベン近くの川縁で鍵を開けて地下へ。
そこは使われていない地下鉄のホームらしい。
ボンドも噂にしか知らなかった場所だと言う。現れるM。
ボンドがグレーブスを追っていると知ったMは、そのカンを怪しみながら
協力していこうと半ば00課へ復帰させたような形に。
ボンドがオフィスで書類を読んでいると、銃声がして外へ出ると
マネペニーが殺されている。他にも倒れている者が大勢。
この時点で演習だとわかってしまうのだが、ボンドは次々倒す。
さらにはMが男に銃を突きつけられているが、
ボンドはMを撃ち、ひるんだスキに男を倒す。
Mを撃ってはいかんと言われるが、映像を再現すれば
Mはかすり傷で、男は即死とわかるはずと言う。
これなんかは48時間とかスピードの手口だ。
実はこれはQ(ジョン・クリース)開発のホロ映像が見える
メガネのようなバーチャルマシンによる演習だった。
これはスタートレックそのものと言う感じ。
今までのQ役デズモンド・ルウェリンが死亡して、
前作でRと言っていたジョン・クリースが、Q役に昇進した形だ。
役者は変わっても毎度のように、怪しげな研究所へ。
そこには、過去の秘密兵器がいっぱい展示されている。
あるのは、「ロシアより愛をこめて」で敵が使ったはずのナイフが出る靴。
「オクトパシー」のワニ型潜水艦とアクロスター。
「サンダーボール作戦」のジェットパックを動かすと、Qはあわてる。
ボンドは骨董品だと言うと、Qは最新技術を見せると言う。
銃で撃っても割れない防弾ガラスに、指輪から超高周波を出し、たちまち粉々に。
さらには最新カーを紹介すると言い、地下鉄のレールに台だけが現れる。
引きこもりは良くないと言うボンドだが、実は透明になる装置が付いていると言う。
周囲にカメラをつけて、風景を屈折させ、あたかもないかのように見せる仕掛けだ。
姿を見せると、おなじみのアストンマーチンが。
いつものように、イジェクトシートや、敵を探知して攻撃するマシンガン。
Qは2時間で読めると言うマニュアルを渡すが、ボンドがそれを投げると
マシンガンが探知してバラバラに。1秒で読破できたと喜ぶ。
壊さずに返してくれよと言うのは、毎度の事だ。
一方、Mはミランダと会っていた。
実は彼女も諜報部員で、グレーブスを探っていたのだが、怪しい所はない。
シロだと言う。だからこそボンドにも探らせたのだが。
Mは女たらしだから気をつけろと言うが、
ミランダは私に限って大丈夫ですと豪語する。マドンナよりこちらが男嫌いみたいだ。
アイスランドに氷で作られたドーム。これがグレーブスのパーティ会場だ。
ボンドはアストンマーチンで到着。迎えたのはキルと言う男なので殺すなよと言う。
グレーブスは、時速520キロのドラッグマシンと言うので走り抜け自慢げ。
そのタイムを計るのがヴラッドと言う男だ。
中へ入り、ボンドはミランダと再会するが彼女は相変わらずの様子。
ここでジンクスと再会。彼女もサンダーバードで派手に現れる。
互いの素性を取り繕うでもなく、会話したりする。
グレーブスは、ダイヤをちりばめたらしき人工衛星イカルスを人工太陽とし
地球を照らして作物を育てようと言う壮大な計画を披露する。
この衛星も「ダイヤモンドは永遠に」を思い出させるが、ヤケにでかい。
ボンドはドームを探るため、アストンマーチンを透明にして一味が入るのを覗く。
透明にしても、人がぶつかったりはしないのかと心配するが、
案の定、後でそう言う事が起こる。
ドームの中では、ザオとグレーブスが会う。
グレーブスはドリームマシンと言う装置で寝ており、
ザオに起こされるが、互いに変な顔だと言う。
顔が痛くて眠る事ができず、この装置を利用していると言うのだ。
そしてボンドは、まだ自分の正体に気づいていないと言う。
ここでグレーブスも整形したとわかってくる。そうなれば正体は「彼」しかない。
だが、のぞいているのが見張りに見つかり、倒して逃げるが、
物音に気づいた一味に追われるハメに。
ところが、物陰にいたミランダが彼を引っ張り熱烈なキス。
Mに警戒しろと言われたがと言い、彼女が情報員である事を白状。
とにかく、そんな状態の2人がいても、見張りは無関係だと気にしない。
取り繕うためにと、そのまま2人で寝室へ。
一方、ジンクスはドーム天井の天窓から、ロープを垂らして、
侵入できないエリアへ侵入。
そこで例の整形装置のような装置にいる男を見て、ザオを捕まえたつもりが、
それはグレーブス。そして後ろから現れたザオに捕らわれてしまう。
ただちに殺せと言うグレーブスだが、キルはレーザーで殺すと台に縛りつける。
「ダイヤはニセ物だが、レーザーは本物だ」
それではうまくやれよと退散するグレーブスら。
レーザーがジンクスの顔に徐々に近づく。「ゴールドフィンガー」と同じ展開だ。
ボンドはそれでは行ってくると寝室を出て、
駐車場で時計からレーザー光線を出し、氷に穴を開けてそこから水中へ。
口には「サンダーボール作戦」で使った酸素ボンベ。
そのままドーム内に作られた人工の川のような所から内部へ。
内部を調べるが、ジンクスが捕らわれている事に気づき中へ。
早くレーザーを止めてと言われ、そこらにあるボタンを操作し一応は止まるが、
続いてキルが背後から現れ、驚いた拍子にボタンを押すと、
たくさんレーザーが出て交差し、それをすり抜けながら格闘する様は
ルパン三世とかの金庫破りを、さらに派手にした感じだ。
何とかレーザーを止めるが、キルに押さえつけられてやられそう。
縛られたままのジンクスがボタンを操作し、キルの背後からレーザーで倒す。
でも、これ適当に操作しているから、間違えるとかなり危なそうだ。
ジンクスはCIAではなく、NSA国家安全保障局と言う所の人物らしい。
そして、例の整形装置がここにあったと聞き、ボンドはある事に気づく。
そこで、ジンクスはおいといて、グレーブスの部屋へ。
ジンクスは仲間だと言うミランダを探すため、ドームを調べ回る。
グレーブスとザオが部屋へ行くと、待ちかまえているボンド。
そして指摘する。おまえはムーン大佐だ。ようやく気づいたかと言うグレーブス。
裏切り者の英国情報員についてはどうだと言うと、ボンドはそれは後で調べると言う。
しかし、裏切り者は通常そこまでに出ている人なので、
レギュラー陣やハル・ベリーが裏切らないとすると、もう1人しかいない。
背後からミランダが現れ、グレーブスに銃を向け、ホッとするボンドだが、
彼女は銃をボンドの方へ向ける。彼女こそ裏切り者だったのだ。
ムーン大佐とミランダは大学の同期で、彼が手を回して対戦相手を棄権させたので
オリンピックで金メダルを取る事ができたのだ。
もはや危機一髪。だが、ボンドは床に手をつくと例のリングで床が割れ、一同は転落。
あわててそのスキに退散。外にあったグレーブスのドラッグカーに乗って逃げる。
グレーブスはヴラッドが作った機械仕掛けのスーツを身にまとい、
手の所にあるボタンで衛星を操作。
衛星から発せられたレーザーが、ドラッグカーを狙う。
ボンドは高速で走り抜け、ヴラッドはグレーブスの記録を抜いたと叫ぶが、
グレーブスは不機嫌そう。だがレーザーはどんどん迫る。車体が燃えだしている。
しかも行く手には氷の絶壁が。
ボンドはブレーキ用のフックを出して、絶壁の所に宙づりに。
その衝撃でむち打ちになりそうだが、そんな事はなく、
しかもなぜか、あとわずかまで迫っていたレーザーはちょっと遅れ気味。
それでも迫っており、ボンドは今度はブレーキ用のパラシュートを取り出す。
レーザーは車体の所へ到達。グレーブスもボンドは死んだと喜ぶが、
実はボンドはパラシュートにしがみついて、空中遊泳した後、再び氷上に着地する。
ここはスタントと言うよりはCGで、ちょっと出来が悪くてあまりにもウソっぽい。
この映画の最大の難点とも言える。
うまく描写できないなら、無理にこんな見せ場を作らなくても良かったのでは。
一方、ジンクスはまたも捕まり、ミランダらの正体を知るが、部屋に閉じこめられる。
グレーブスはドーム自体を攻撃し、氷が溶け出して次第に水でおぼれそうに。
グレーブスらは退散しようとする。
ボンドはパラシュートで罠を仕掛け、かけつけた敵のスノーモービルを奪う。
スノーモービルもスピードが出ているはずなのに、
なぜかすぐそこに止まっており、それを奪ってドームへ帰還。
リモコンでアストンマーチン動かして乗り込み、様子をうかがうが、
スノーモービルがこれにぶつかってしまい、ザオは何かがいる事に気づく。
あわててジャガーに乗り込む。こちらも新兵器満載だ。
ザオは熱センサーでアストンマーチンの場所を探知し、激しくガトリング砲で攻撃。
銃弾自体ははじくものの、カモフラージュ機能が不調になり、姿を現す。
ここからが氷上のカーチェース。ちょっとコマ送りの速度を止めてみたりして
なんか予告編で見せられた映像そのままだ。
氷上なのでスピンターンも簡単にでき、互いにミサイルを発射して激しい攻防。
ジャガーが打ち上げたミサイルも、アストンマーチンは次々撃破。
だが、ジャガーのミサイルの爆破の衝撃で、アストンマーチンはひっくり返り
そのまま勢いで滑り続ける。
しかし、ボンドはあわてず「ゴールドフィンガー」以来のイジェクトシートを使用。
反動でアストンマーチンは空中をくるっと横回転し、
ジャガーからのミサイルを戦闘機のようにかわす。
そんな事をしながらも、熱探知でジンクスの居場所を探すボンド。
ドームの中にいるらしい。そこでアストンマーチンのままドームへ乱入。
もう関係者以外は誰もいないらしく、ドームの中を走り抜ける。ジャガーも追う。
どうもこのドームは、すべてが氷でできているらしく、ぶつかるとどんどん割れる。
しかし、ジンクスの部屋のドアだけは、簡単に割れず、今にもおぼれそうだ。
螺旋状の通路を走り抜けるが(そもそもそんなに通路が広い必要があるのか)
カモフラージュ機能が自然に回復。ボンドはジャガーが来るのを待ち、
接近した所で車体を消す。ジャガーはでかい刃物を出して串刺しにしようとするが、
アストンマーチンはいなくなっていて、壁を突き破って転落。
再び姿を現すが、実はスパイクの出たタイヤで、壁を登っていたのだ。
車からはい出すザオだが、ボンドが天井のシャンデリアのような物を撃つと
これが落ちてきてザオに突き刺さり、ザオは死ぬ。
再び、ボンドは熱探知でジンクスを探し出し、部屋の壁を突き破る。
水と共に飛び出してきたジンクス。ボンドは指輪でフロントガラスを割り、
彼女を助手席に乗せてドームの外へ。彼女は意識がない。
ドームの外にはなぜか温泉があり、そこへ飛び込み人工呼吸すると息を吹き返す。
助けに来るのが遅いと言うジンクス。
NSAのファルコらとMらは、グレーブスが韓国への攻撃を計画しているとにらむ。
ムーン将軍ならば止めるはずだが、反乱が起きて何者かに捕らわれたらしい。
ファルコはキラー衛星で撃破しようとするが、敵に探知されて迎撃されてしまう。
となると、敵の本拠地を叩くしかないが、
米国としては手を出せないだなんて、現実と違って控えめだ。
Mは007を送り込むと言うと、ファルコは世界の警察気取りかと言い
ボンドだけでは心配だと、ジンクスを同行させる事に。
輸送機から空中遊泳用みたいな装置で降下する2人。
これを使用すれば、レーダーに探知されないのだ。
これで降下しているシーンもCG風だが、先ほどのアレよりよほどマシだ。
そしてある程度まで来たら、スカイダイビングで基地へ。
基地では輸送機に乗り込むグレーブスら一味。
柵の外から狙撃しようとするボンドだが、車とかが邪魔して失敗。
離陸寸前なのであわてて車輪の所から機内に乗り込む事に。
グレーブスは再びスーツを操作して、衛星を操作。
どこの国だかの将軍たちに、衛星の威力を見せ、売ろうとしている。
そして、そこに連れてこられるムーン将軍。
グレーブスが誰かわからないが、親子しか知らない言葉を話し、ようやく気づく。
グレーブスは衛星を作動。北朝鮮側から38度線の地雷を次々破壊。
これで軍が攻める道ができたと言う。
将軍はこれでは米軍の核攻撃を受けると言うが、それさえも爆破すると言う。
なおも反発する将軍に対し、あなたには価値がないと言って
スーツから電撃を出して将軍を始末する。
韓国に攻撃が到達したら、総攻撃だというファルコだが、
Mはそうなったらもう手は出せないだろうと言う。
ボンドとジンクスは二手に分かれて乱入。ジンクスは操縦士を倒して機を奪う。
一方、ボンドはとっくみあいになり、銃を撃ったので窓に穴が空き、
たちまち気圧差でヴラッドを初めとして一同は機外へ。誰もいなくなる
ボンドとグレーブスは格闘。だがスーツの電撃攻撃でややボンドに不利だ。
ジンクスはミランダに刀を突きつけられ、自動操縦にしろと言われる。
そしてこちらも格闘に。ナイフを投げ合ったりするが、動きは読めると言うミランダ。
だが「兵法の勧め」とか何とか言う孫子か何かわからない本が落ちていて
実はこれにナイフが刺さっている事までは気づいておらず、
本を投げるとミランダに刺さって倒れる。
そうこうしている間に、機はレーザーの方へ接近して損傷し始める。
ボンドはグレーブスの攻撃で弱っており、グレーブスは2つあるパラシュートを見せ
1つを捨てる。(ミランダの事は忘れているらしい)
そして、君は僕の運命を左右しないが、僕は君の運命を左右するとか語る。
だがボンドはグレーブスのパラシュートを機内で早くも開いてしまい、
風圧で機外へ飛ばされるグレーブス。
「オクトパシー」や「リビング・デイライツ」の手だ。
そしてしがみついていたが、プロペラに巻き込まれ、途端に衛星はストップ。
ここはトゥルーライズ風だ。
何もしていないのに、事態が解決したようで、複雑な思いでタバコを吸うファルコ。
しかし、ボンドらはまだ無事ではなかった。ジンクスと合流するが
機体はレーザーで損傷し、このまま着陸する事は不可能。
ジンクスはこのままあなたと昇天だと言うが、まだ早いと言うボンド。
そして格納庫の所へ行くと、グレーブス自慢のスーパーカーやらヘリが。
もう見えた。エアーウルフのあの作戦だ。
格納庫を開いて、スーパーカーが2台ほど落下。
これはターミナル・ベロシティ風だが、リビング・デイライツかも知れない。
そしてヘリに乗り込み脱出。脱出すると輸送機は爆発。
空中でエンジンをかけ、何とか危機一髪の所でエンジンがかかり助かる。
まあ、ここもCGなので、何でもできちゃうでしょと言う感じだが、アレよりはマシ。
地上では、田んぼにスーパーカーが突き刺さっていて呆然としている農夫たち。
オフィスで情報員ミランダの書類を無効にし、
ボンドの00課復帰とタイプするマネペニー。
そこへ現れるボンドは、思わずマネペニーににじり寄り熱烈なキスをする。
いままで、マネペニーとのラブシーンは1度もなかったので、これは画期的だが、
最後の最後はやはりハル・ベリーとのラブシーンになるはずと思っていたら、
Qの声で我に返るマネペニー。
実は例のバーチャルマシンでボンドとのラブシーンを体験していたのだ。
本当みたいねとか言いながらごまかすマネペニー。
ゴールデンアイ以来、必ずしもボンドに惹かれていないのかと思ったが。
本物のボンドは、小屋でジンクスとラブシーンでエンディング。
エンディングの曲が同じなのは久しぶりで、またマドンナ。
そして、最後の最後に、次回作で会いましょうと言う文句も見てから帰る。
と言うわけで、シリーズ20作目で40周年の本作は、
各国に3ヶ月以上遅れての日本公開となり、今まで最も待ちこがれた作品と言える。
前作もやや異色作だったが、今作も冒頭にボンドが捕らわれてしまい、
14ヶ月も監禁されたあげく、人質交換で帰還するものの
用済みとして00要員からはずされてしまうなんて展開で、
シリーズになじんでいない人には、(なじんでいる人にも)
何だかキョトンとしてしまうような話だ。
だが、結局命令違反を犯して宿敵を追うと、消されたライセンス的で、
あの時は敵がたいした事なかったが、今回は北朝鮮を敵にしているわけだから
話はなかなかスケールがでかい。
当初の敵は北朝鮮のザオだが、途中からダイヤ王グレーブスと言う奴が現れる。
しかし、その正体は、割に早い段階で判明。
さらに、ボンドを裏切った英国諜報員がいるらしいとわかるのだが、
その正体も、何しろ英国諜報員が他に出てこないので、すぐにわかってしまう。
活躍するはずのハル・ベリーは意外に活躍せず、ボンドに助けられてばかり。
そんなわけで、物語の意外性と言うのはそんなにないが、
やはり派手なアクションは、このシリーズに勝る物なし。
冒頭のホバークラフト、そして中盤の氷上のカーチェースも激しい。
特に、アストンマーチンが氷上でクルッと回るシーンに、前々から期待していたが、
映画ではそれさえあっさりとした物で、全体としてかなり激しい。
ただ、激しすぎて何をやっているのかわからない感も。
氷のドーム内でのカーチェースになると、もうカーチェースとは言えない感じで
SF映画のような感じだ。
そしてかなり気になったのは、ボンドがパラシュートで攻撃から逃げるシーン。
これはもろCGだ。
衛星や爆発はCGでも許せるとしても、
人間のアクションシーンは実演してほしいもの。
シリーズの過去の秘密兵器や、過去の作品で見たようなアクションが出てくるのも
ある程度はオマージュ的でいいのだが、やりすぎるとネタ不足ではと勘ぐりたくなる。
シリーズ以外に、スタートレックやエアーウルフや
ターミナルベロシティみたいなシーンもあり。
衛星で韓国を攻撃しようとするクライマックスも、
わざわざ北から徐々に攻めずに、最初から韓国を攻撃すればと言う気もする。
だいたい、黒幕は最終的に何を目指していたのやら。
全体的に物語は割にご都合主義的でお約束的だが、
派手なアクションの連発で飽きさせないと言う事か。
そうなると、トリプルXとかと変わらない気もするが、
シリーズの蓄積してきた魅力と、公開を待たされた事によるテンションの高まりを
プラスして評価したい。
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