祝 満尾!!

《賦物「アジアン千句」の巻》

(F5「おると」および
文化祭2000特設コーナーCにて興行)

★「ミレニアム二千韻」の後を承けて、アジアを素材に千句を目指す賦物連句です。定例の早朝・深夜両OLTと第5フォーラム「おると」の間の相互乗り入れによって詠み継がれました。


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賦物千韻「アジアン千句」の巻(1/5) 

起首 2000.01.30 
満尾 2000.12.31 

 0001 春星やヒマラヤ山脈胎動中         玄鴻
 0002  ユキヒョウ吼ゆる寒明けの峯       蘭石
 0003 チベットに7年間を過ごしきて       ロコ
 0004  ムガール帝国滅亡の危機         鶴鳴
 0005 姫さまが物語する千の夜          梨乃
 0006  黄河に映るまんまるの月         みど
 0007 竜頭の耳付き玉壺捧げゐて         蘭石
 0008  紫禁城から宦官の列           野猿
 0009 越南は未来の地獄まだ知らず        玄鴻
 0010  アンコールワットへまっすぐな道     みど
 0011 チンギスの馬が駆け行く大版図       鶴鳴
 0012  蓬転がる陽関の外            蘭石
 0013 温暖化地球に砂漠広がりて         みど
 0014  ランドサットが探す湖          玄鴻
 0015 笑みたまふ菩薩の顔の毀たれぬ       蘭石
 0016  沙羅双樹には網の囲いが         玄鴻
 0017 ヒンズーの教義で牛は神聖に        鶴鳴
 0018  こっそりと読むカーマスートラ      みど
 0019 イラクには今も暴君愚帝あり        玄鴻
 0020  坊主が上手に揶揄する政治        みど
 0021 鳥葬の国を糞喰ひ犬がゆく         蘭石
 0022  うっかり使う右手左手          玄鴻
 0023 子供らの頭撫でてはいけません       鶴鳴
 0024  天上天下唯我独尊            みど
 0025 半月刀かざし黄巾兵強し          蘭石
 0026  マラッカ海峡海賊がまだ         玄鴻
 0027 歯磨きは竹の楊枝でしゃかしゃかと     みど
 0028  きんとん雲で駈ける掌          含胡
 0029 ゆったりとシベリア鉄道煙上げ       みど
 0030  アムール河にキャビア漁り火       海砂
 0031 翼竜の卵孵りて狩に出る          みど
 0032  ごくごく普通の縄文の人         兼坊
 0033 メラネシアでは貝持ってお買物       無耶
 0034  宗家の姉妹三叉路に立つ         次郎
 0035 纏足のかかとに頬をすり寄せて       みど
 0036  バンスキングの夢のあとさき      唐辛子
 0037 いかがかと阿片差し出す華僑なる      みど
 0038  かかかと笑う石窟の菩薩         含胡
 0039 無念無思ぼさつとしてるのも修行      海砂
 0040  ジタバタしても塞翁が馬         次郎
 0041 モンゴルの草原抜ける白い風        みど
 0042  済州島に末裔の群            宗海
 0043 海賊は八幡船とや怖れられ         無耶
 0044  シャム宰相に山田長政          海砂
 0045 世が世ならアンナと踊るちょんまげ武士  旺春峰
 0046  象の支える大地広がる          みど
 0047 百済より観音菩薩の慈悲ごころ       次郎
 0048  シルクロードに探す涌き水        みど
 0049 黒雲の蝗の陣の飛び去れば         海砂
 0050  豆腐・納豆・チーズまで来る       無耶
 0051 人柱には饅頭と諸葛亮           海砂
 0052  焚書坑儒の跡を弔ふ           無耶
 0053 秋深み虞や虞や汝を如何にせん       海砂
 0054  騅は進まず四面楚歌聴く         無耶
 0055 凶と出る陰陽五行はこべ草         海砂
 0056  長安洛陽龍脈のあり           無耶
 0057 暁の夢おどろかす英国艦          海砂
 0058  阿片一服せずばなるまい         無耶
 0059 にんまりと拷問部屋の西太后        海砂
 0060  整形手術にためらいはなし        みど
 0061 上海のホテルは長身美女ばかり       無耶
 0062  香港フットは水虫の謂          海砂
 0063 韓国の垢すりいつかしてみたい       無耶
 0064  シンガポールの獅子はお茶目で      無耶
 0065 ゆるゆるとジョホール水道巨船過ぐ     海砂
 0066  リーカンユーの赤いふんどし       海砂
 0067 糸繰りは裸に限るガンジー翁        無耶
 0068  マザー・テレサの白毫にキス       海砂
 0069 白砂にてくてく踊る童いて         含胡
 0070  椰子の木陰で豚の丸焼き         海砂
 0071 関羽乗せ赤兎は走る日に千里        鶴鳴
 0072  隻眼の将長城を越ゆ           蘭石
 0073 反骨の魂抱く伊達の殿           梨乃
 0074  政岡の炊く熱々の飯           みど
 0075 隠し湯に降り積む雪の止まずして      縄文
 0076  三寒四温ハルビンの空          鶴鳴
 0077 食べ残し餃子焼いてる使用人        みど
 0078  竹杉金と箸のいろいろ           縄文
 0079 お茶碗を持つ人置いたままの人       梨乃
 0080  利休好みの花入れを置く         みど
 0081 楼門の塑像草鞋を履いたまま        縄文
 0082  札束積んだ下駄牌の横          玄鴻
 0083 川筋を整へ利権生み出して         縄文
 0084  我が故郷に香る冬薔薇          みど
 0085 モンゴルは言語顔つき似通って       玄鴻
 0086  お尻青斑同族の証            梨乃
 0087 砂漠では住宅地図は役立たず        玄鴻
 0088  ロレンス少佐スパイだったか       みど
 0089 赤軍が降り立つ空港薄暗く         みど
 0090  外人部隊に日本人いる          玄鴻
 0091 どの町もマクドナルドに星条旗       玄鴻
 0092  コーラの壜に老酒を詰め         みど
 0093 中国のカンペイあれは一気飲み       玄鴻
 0094  目元麗し京劇女優            みど
 0095 碧眼の旅芸人は絹の道           玄鴻
 0096  ペルシャの朝はトルココーヒー      みど
 0097 オアシスにはぐれ駱駝がのんびりと     みど
 0098  魚は住まぬ塩の濃い湖          玄鴻
 0099 BSが世界に伝える花便り         みど
 0100  赤道直下も春はあるらし         玄鴻
 0101 汗っかきの人力タクシー街を行く      みど
 0102  タミール高原地ビールの蔵        玄鴻
 0103 日本語のルーツは照葉樹林帯        海砂
 0104  血は争へぬアルタイの色         宗海
 0105 徴きこと母音調和と蒙古斑         海砂
 0106  誰か私に呼びかけている?        みど
 0107 バザールへ行く石畳人の声         兼坊
 0108  瓜も葡萄もペルシャ生まれよ       無耶
 0109 四隣をば戎蛮夷狄とさげすみて       宗海
 0110  自らを倭と呼ぶのはやめよう       海砂
 0111 邪馬台は気丈な巫女が統治する       みど
 0112  神獣鏡で本家争い            次郎
 0113 うらうらと高天原はよい天気        みど
 0114  孫悟空来て述べる口上          無耶
 0115 寡雨にして浮塵子多発と卜に出て      含胡
 0116  マングローブの森消滅す         兼坊
 0117 島々の渚に憂ふ温暖化           無耶
 0118  わが町ついにウオータフロント      海砂
 0119 サンパンとジャンクとヨット行き交ひて   無耶
 0120  人買いの手にしわくちゃの札       みど
 0121 言問はん吾子はいづら都鳥         海砂
 0122  三笠恋しや唐で見る月          次郎
 0123 博多湾嵐の前の静けさか         旺春峰
 0124  綱で引き寄す島の数々          縄文
 0125 スーパーでペルシャザクロは大流行     鶴鳴
 0126  トムヤムクンのレトルトを買う      野猿
 0127 氷には赤痢の菌が眠ってる         みど
 0128  北極溶けて沈む国あり          玄鴻
 0129 日本はハラキリスキヤキシルブプレ     鶴鳴
 0130  じゃぱゆきさんの銀行口座        みど
 0131 べトナムで作るライター使い捨て      縄文
 0132  大使閣下の料理人コウ          鶴鳴
 0133 この頃は四大料理も食べ放題        玄鴻
 0134  ネパールカレー緑のカレー        梨乃
 0135 父母が願を掛けたる細密画         みど
 0136  弥勒菩薩を米粒に描く          梨乃
 0137 印度にはB型ばかりが住むという      みど
 0138  げに恐ろしきインフルエンザ       兼坊
 0139 鳥小屋を覗きこんでる黒い豚        みど
 0140  海賊版の技術確かに           真由
 0141 ニッポンのアニメが制すこの世紀      無耶
 0142  ゲーム機使いネット接続         真由
 0143 軽くノル遊びサイバーテロリズム      海砂
 0144  頭下げたい南京のこと          無耶
 0145 ピーナツが歌えば西にモスラ舞ふ      みど
 0146  秘薬なりけりマンモスの骨        宗海
 0147 ヒマラヤに潜む太古の海の音        含胡
 0148  身体の奥のチャクラ開こう        野猿
 0149 七色の砂絵曼陀羅何を示唆         縄文
 0150  杯まわすオトゥーリの島         ロコ
 0151 翌朝はウコンかゴーヤージュースかな    梨乃
 0152  漢方薬も副作用あり           玄鴻
 0153 がらになく貝原益軒下痢をする       鶴鳴
 0154  釈迦を養う胡麻の一粒          みど
 0155 モンスーン稲は河洲の自生草        玄鴻
 0156  生の春巻きレタスで巻いて        梨乃
 0157 古謡あり酒を飲む国飲まぬ国        玄鴻
 0158  無道時代のことを忘れず         鶴鳴
 0159 トルコ軍クロワッサッンに名を残し     玄鴻
 0160  スチーム風呂では怪しい商売       みど
 0161 献上の品は宝石奴隷達           玄鴻
 0162  本場垢すり韓国に行こう         梨乃
 0163 じんわりとヨモギの燻るチマの下      宗海
 0164  別府のお湯にお返しに来る        玄鴻
 0165 華清池の水滑らかに貴妃の肌        宗海
 0166  梨園に残る帝の面影           次郎
 0167 京劇は覇王別姫の見せ所          無耶
 0168  隈取り濃くて恩師脅える         含胡
 0169 若き僧こうべを垂れて少林寺        みど
 0170  タイガーマスクは虎の穴出る       無耶
 0171 和藤内かけ橋で見る紅流し         次郎
 0172  中国生まれ出目金の親          無耶
 0173 歳月に耐えて翡翠の深き色         含胡
 0174  黒竜江の鮭の革ジャン          玄鴻
 0175 青銅の三本足の爵給へ           縄文
 0176  亀の甲羅を竜骨といふ          蘭石
 0177 肩こりに中国鍼と熱い風呂        唐辛子
 0178  ぞくぞくしたら葛根湯を         ロコ
 0179 香港の風邪除け葱を首まいて        梨乃
 0180  揺籃ゆらす纏足の美姫          蘭石
 0181 強者の夢か涙か梁山泊           玄鴻
 0182  聊斎志異の鬼狐と戯る          縄文
 0183 天気雨姉やは十五で嫁に行き        みど
 0184  仮面の舞いを妹が継ぎ          梨乃
 0185 バリ島に悲しき恋の言い伝え        玄鴻
 0186  ガムラン響く海沿いの小屋        みど
 0187 洋上の民が伝える犬もあり         玄鴻
 0188  スープのお肉やけに固くて        みど
 0189 与論では口上述べて酒煽る         みど
 0190  猫の目あやし西表の夜          玄鴻
 0191 珊瑚の海泳ぎ妻訪う犬もいて        含胡
 0192  波の底には太古の都が          無耶
 0193 我こそはムー大陸の子孫なり        みど
 0194  バリ島のケチャ男美し          無耶
 0195 椰子の葉に包むタロ芋香ばしく       無耶
 0196  パンの木のみで生きぬ原人        含胡
 0197 秩父にも父祖代々の雛祭          無耶
 0198  棍棒一閃いにしへの恋          海砂
 0199 豚一匹花一枝の持参金           無耶
 0200  祝いの席に秘伝のチャーシュー      みど



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