賦物千韻「アジアン千句」の巻(1/5)
起首 2000.01.30 満尾 2000.12.31
0001 春星やヒマラヤ山脈胎動中 玄鴻
0002 ユキヒョウ吼ゆる寒明けの峯 蘭石
0003 チベットに7年間を過ごしきて ロコ
0004 ムガール帝国滅亡の危機 鶴鳴
0005 姫さまが物語する千の夜 梨乃
0006 黄河に映るまんまるの月 みど
0007 竜頭の耳付き玉壺捧げゐて 蘭石
0008 紫禁城から宦官の列 野猿
0009 越南は未来の地獄まだ知らず 玄鴻
0010 アンコールワットへまっすぐな道 みど
0011 チンギスの馬が駆け行く大版図 鶴鳴
0012 蓬転がる陽関の外 蘭石
0013 温暖化地球に砂漠広がりて みど
0014 ランドサットが探す湖 玄鴻
0015 笑みたまふ菩薩の顔の毀たれぬ 蘭石
0016 沙羅双樹には網の囲いが 玄鴻
0017 ヒンズーの教義で牛は神聖に 鶴鳴
0018 こっそりと読むカーマスートラ みど
0019 イラクには今も暴君愚帝あり 玄鴻
0020 坊主が上手に揶揄する政治 みど
0021 鳥葬の国を糞喰ひ犬がゆく 蘭石
0022 うっかり使う右手左手 玄鴻
0023 子供らの頭撫でてはいけません 鶴鳴
0024 天上天下唯我独尊 みど
0025 半月刀かざし黄巾兵強し 蘭石
0026 マラッカ海峡海賊がまだ 玄鴻
0027 歯磨きは竹の楊枝でしゃかしゃかと みど
0028 きんとん雲で駈ける掌 含胡
0029 ゆったりとシベリア鉄道煙上げ みど
0030 アムール河にキャビア漁り火 海砂
0031 翼竜の卵孵りて狩に出る みど
0032 ごくごく普通の縄文の人 兼坊
0033 メラネシアでは貝持ってお買物 無耶
0034 宗家の姉妹三叉路に立つ 次郎
0035 纏足のかかとに頬をすり寄せて みど
0036 バンスキングの夢のあとさき 唐辛子
0037 いかがかと阿片差し出す華僑なる みど
0038 かかかと笑う石窟の菩薩 含胡
0039 無念無思ぼさつとしてるのも修行 海砂
0040 ジタバタしても塞翁が馬 次郎
0041 モンゴルの草原抜ける白い風 みど
0042 済州島に末裔の群 宗海
0043 海賊は八幡船とや怖れられ 無耶
0044 シャム宰相に山田長政 海砂
0045 世が世ならアンナと踊るちょんまげ武士 旺春峰
0046 象の支える大地広がる みど
0047 百済より観音菩薩の慈悲ごころ 次郎
0048 シルクロードに探す涌き水 みど
0049 黒雲の蝗の陣の飛び去れば 海砂
0050 豆腐・納豆・チーズまで来る 無耶
0051 人柱には饅頭と諸葛亮 海砂
0052 焚書坑儒の跡を弔ふ 無耶
0053 秋深み虞や虞や汝を如何にせん 海砂
0054 騅は進まず四面楚歌聴く 無耶
0055 凶と出る陰陽五行はこべ草 海砂
0056 長安洛陽龍脈のあり 無耶
0057 暁の夢おどろかす英国艦 海砂
0058 阿片一服せずばなるまい 無耶
0059 にんまりと拷問部屋の西太后 海砂
0060 整形手術にためらいはなし みど
0061 上海のホテルは長身美女ばかり 無耶
0062 香港フットは水虫の謂 海砂
0063 韓国の垢すりいつかしてみたい 無耶
0064 シンガポールの獅子はお茶目で 無耶
0065 ゆるゆるとジョホール水道巨船過ぐ 海砂
0066 リーカンユーの赤いふんどし 海砂
0067 糸繰りは裸に限るガンジー翁 無耶
0068 マザー・テレサの白毫にキス 海砂
0069 白砂にてくてく踊る童いて 含胡
0070 椰子の木陰で豚の丸焼き 海砂
0071 関羽乗せ赤兎は走る日に千里 鶴鳴
0072 隻眼の将長城を越ゆ 蘭石
0073 反骨の魂抱く伊達の殿 梨乃
0074 政岡の炊く熱々の飯 みど
0075 隠し湯に降り積む雪の止まずして 縄文
0076 三寒四温ハルビンの空 鶴鳴
0077 食べ残し餃子焼いてる使用人 みど
0078 竹杉金と箸のいろいろ 縄文
0079 お茶碗を持つ人置いたままの人 梨乃
0080 利休好みの花入れを置く みど
0081 楼門の塑像草鞋を履いたまま 縄文
0082 札束積んだ下駄牌の横 玄鴻
0083 川筋を整へ利権生み出して 縄文
0084 我が故郷に香る冬薔薇 みど
0085 モンゴルは言語顔つき似通って 玄鴻
0086 お尻青斑同族の証 梨乃
0087 砂漠では住宅地図は役立たず 玄鴻
0088 ロレンス少佐スパイだったか みど
0089 赤軍が降り立つ空港薄暗く みど
0090 外人部隊に日本人いる 玄鴻
0091 どの町もマクドナルドに星条旗 玄鴻
0092 コーラの壜に老酒を詰め みど
0093 中国のカンペイあれは一気飲み 玄鴻
0094 目元麗し京劇女優 みど
0095 碧眼の旅芸人は絹の道 玄鴻
0096 ペルシャの朝はトルココーヒー みど
0097 オアシスにはぐれ駱駝がのんびりと みど
0098 魚は住まぬ塩の濃い湖 玄鴻
0099 BSが世界に伝える花便り みど
0100 赤道直下も春はあるらし 玄鴻
0101 汗っかきの人力タクシー街を行く みど
0102 タミール高原地ビールの蔵 玄鴻
0103 日本語のルーツは照葉樹林帯 海砂
0104 血は争へぬアルタイの色 宗海
0105 徴きこと母音調和と蒙古斑 海砂
0106 誰か私に呼びかけている? みど
0107 バザールへ行く石畳人の声 兼坊
0108 瓜も葡萄もペルシャ生まれよ 無耶
0109 四隣をば戎蛮夷狄とさげすみて 宗海
0110 自らを倭と呼ぶのはやめよう 海砂
0111 邪馬台は気丈な巫女が統治する みど
0112 神獣鏡で本家争い 次郎
0113 うらうらと高天原はよい天気 みど
0114 孫悟空来て述べる口上 無耶
0115 寡雨にして浮塵子多発と卜に出て 含胡
0116 マングローブの森消滅す 兼坊
0117 島々の渚に憂ふ温暖化 無耶
0118 わが町ついにウオータフロント 海砂
0119 サンパンとジャンクとヨット行き交ひて 無耶
0120 人買いの手にしわくちゃの札 みど
0121 言問はん吾子はいづら都鳥 海砂
0122 三笠恋しや唐で見る月 次郎
0123 博多湾嵐の前の静けさか 旺春峰
0124 綱で引き寄す島の数々 縄文
0125 スーパーでペルシャザクロは大流行 鶴鳴
0126 トムヤムクンのレトルトを買う 野猿
0127 氷には赤痢の菌が眠ってる みど
0128 北極溶けて沈む国あり 玄鴻
0129 日本はハラキリスキヤキシルブプレ 鶴鳴
0130 じゃぱゆきさんの銀行口座 みど
0131 べトナムで作るライター使い捨て 縄文
0132 大使閣下の料理人コウ 鶴鳴
0133 この頃は四大料理も食べ放題 玄鴻
0134 ネパールカレー緑のカレー 梨乃
0135 父母が願を掛けたる細密画 みど
0136 弥勒菩薩を米粒に描く 梨乃
0137 印度にはB型ばかりが住むという みど
0138 げに恐ろしきインフルエンザ 兼坊
0139 鳥小屋を覗きこんでる黒い豚 みど
0140 海賊版の技術確かに 真由
0141 ニッポンのアニメが制すこの世紀 無耶
0142 ゲーム機使いネット接続 真由
0143 軽くノル遊びサイバーテロリズム 海砂
0144 頭下げたい南京のこと 無耶
0145 ピーナツが歌えば西にモスラ舞ふ みど
0146 秘薬なりけりマンモスの骨 宗海
0147 ヒマラヤに潜む太古の海の音 含胡
0148 身体の奥のチャクラ開こう 野猿
0149 七色の砂絵曼陀羅何を示唆 縄文
0150 杯まわすオトゥーリの島 ロコ
0151 翌朝はウコンかゴーヤージュースかな 梨乃
0152 漢方薬も副作用あり 玄鴻
0153 がらになく貝原益軒下痢をする 鶴鳴
0154 釈迦を養う胡麻の一粒 みど
0155 モンスーン稲は河洲の自生草 玄鴻
0156 生の春巻きレタスで巻いて 梨乃
0157 古謡あり酒を飲む国飲まぬ国 玄鴻
0158 無道時代のことを忘れず 鶴鳴
0159 トルコ軍クロワッサッンに名を残し 玄鴻
0160 スチーム風呂では怪しい商売 みど
0161 献上の品は宝石奴隷達 玄鴻
0162 本場垢すり韓国に行こう 梨乃
0163 じんわりとヨモギの燻るチマの下 宗海
0164 別府のお湯にお返しに来る 玄鴻
0165 華清池の水滑らかに貴妃の肌 宗海
0166 梨園に残る帝の面影 次郎
0167 京劇は覇王別姫の見せ所 無耶
0168 隈取り濃くて恩師脅える 含胡
0169 若き僧こうべを垂れて少林寺 みど
0170 タイガーマスクは虎の穴出る 無耶
0171 和藤内かけ橋で見る紅流し 次郎
0172 中国生まれ出目金の親 無耶
0173 歳月に耐えて翡翠の深き色 含胡
0174 黒竜江の鮭の革ジャン 玄鴻
0175 青銅の三本足の爵給へ 縄文
0176 亀の甲羅を竜骨といふ 蘭石
0177 肩こりに中国鍼と熱い風呂 唐辛子
0178 ぞくぞくしたら葛根湯を ロコ
0179 香港の風邪除け葱を首まいて 梨乃
0180 揺籃ゆらす纏足の美姫 蘭石
0181 強者の夢か涙か梁山泊 玄鴻
0182 聊斎志異の鬼狐と戯る 縄文
0183 天気雨姉やは十五で嫁に行き みど
0184 仮面の舞いを妹が継ぎ 梨乃
0185 バリ島に悲しき恋の言い伝え 玄鴻
0186 ガムラン響く海沿いの小屋 みど
0187 洋上の民が伝える犬もあり 玄鴻
0188 スープのお肉やけに固くて みど
0189 与論では口上述べて酒煽る みど
0190 猫の目あやし西表の夜 玄鴻
0191 珊瑚の海泳ぎ妻訪う犬もいて 含胡
0192 波の底には太古の都が 無耶
0193 我こそはムー大陸の子孫なり みど
0194 バリ島のケチャ男美し 無耶
0195 椰子の葉に包むタロ芋香ばしく 無耶
0196 パンの木のみで生きぬ原人 含胡
0197 秩父にも父祖代々の雛祭 無耶
0198 棍棒一閃いにしへの恋 海砂
0199 豚一匹花一枝の持参金 無耶
0200 祝いの席に秘伝のチャーシュー みど
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