賦物千韻「アジアン千句」の巻(2/5)
0201 公用語第一第二とややこしい 海砂 0202 ピジン英語で子の名前つけ 無耶 0203 占いは東南東へ越せと告げ みど 0204 銚子の人がはたと困惑 海砂 0205 宋へ行く大船雛を乗せたるや 無耶 0206 経を護りて唐猫がくる 海砂 0207 5000年土に埋もれしインダス文字 無耶 0208 水路辿りて城門の下 みど 0209 軍隊が統治する国持たぬ国 玄鴻 0210 憲法のことよく知らないわ ロコ 0211 あこがれのレスリーチャンのうれい顔 ロコ 0212 飲茶点心選り取りみどり みど 0213 ギョーザにはニラと白菜お肉なし ロコ 0214 ミスタードーナツが潰れぬ理由 ロコ 0215 ゴジラまでグッズにしちゃうたくましさ みど 0216 フジヤマゲイシャ今はポケモン 野猿 0217 空き地には土管転がるドラえもん 梨乃 0218 のび太のことはほっておくもん ロコ 0219 テレクラに放火してやるやくざもん 梨乃 0220 四千文が一両でおま 縄文 0221 公害とシシカバブーの煙が消え 玄鴻 0222 古代インドも水道完備 野猿 0223 紙発明お尻拭く迄何千年 玄鴻 0224 顔を見合わせ大便の支那 鶴鳴 0225 宇宙から見えるお家は客家とか 梨乃 0226 漢という字は難と似ている 縄文 0227 科挙に似るキャリア登用制度にて 海砂 0228 図書券賭けて麻雀の夜 みど 0229 長上は尊っとべといふ孔子様 無耶 0230 他山の石が見えぬ老人 含胡 0231 選挙にも逆選制があればよい 宗海 0232 宣伝カーは農道を行く みど 0233 ぼこぼこのアルミ弁当忘られて みど 0234 天神おはす梅干の種 海砂 0235 海越えてチンギス汗になる九郎 無耶 0236 シッポが自慢の狐忠信 みど 0237 西方に狸寝入りの軍控へ 海砂 0238 トルコ軍楽隊の勇壮 無耶 0239 篳篥に良く似た笛を吹く少年 みど 0240 正倉院の雅楽面よき 無耶 0241 蔵飛ばす鉢は信貴山縁起にて 海砂 0242 三国一の高僧でおま 無耶 0243 荒縄が墨染衣によく似合ひ 無耶 0244 丸刈り頭は日本の伝統 ロコ 0245 托鉢の修行の僧の黄の衣 縄文 0246 穴の空いてる硬貨集めて みど 0247 油売り糸の如きを壺に入れ 縄文 0248 オープンセサミ盗賊はどこ 仝 0249 刀剣を腹に乗せますベリーダンス みど 0250 おへその胡麻で作る丸薬 玄鴻 0251 崑崙の仙人不死を苦労がり 縄文 0252 三里の灸で浸る法悦 含胡 0253 熱くないのもありますと漢方医 無耶 0254 階段状の箪笥がたぴし みど 0255 末娘哈日族と成り下がり 兼坊 0256 祭りに似たる選挙合戦 みど 0257 爆竹に代えてミサイルたてまつる 海砂 0258 独立のこと親の遺言 無耶 0259 さとうきび畑を風がざわざわと みど 0260 サザンクロスをのぞむ琉球 海砂 0261 象頭の神極彩に輝ける 野猿 0262 地獄の黙示録の川べり 鶴鳴 0263 木を枯らし遺伝子変えて兵は行く みど 0264 ローマへ至る三成の夢 鶴鳴 0265 信長はアンドロギュノスかもしれず 野猿 0266 日出処天子の美貌 野猿 0267 龍龍龍僕は総理の龍太郎 鶴鳴 0268 宙を翔け行く蛇の産んだ子 みど 0269 寒食と言われ泣く泣く生卵 無耶 0270 ふと懐かしい海苔と梅干 真由 0271 韓国へゴマ油さげ喜ばれ 無耶 0272 オックステールも貴重品なり 宗海 0273 はしなくもマッコリ談義カメラ店 海砂 0274 清香喫っす朱堆円椅子 蘭石 0275 台湾ははて中国の一部かな 野猿 0276 外省よりも本省人さ 梨乃 0277 テポドンじゃないよ原発事故だよう 鶴鳴 0278 その怪獣は鉄が大好き みど 0279 かの国の獏の名といふプルガサリ 宗海 0280 印度でもてたクリントンさん 無耶 0281 奥さんはほんまにあんた許しはった? みど 0282 西太后は眉をきりきり 宗海 0283 年ごとに万愚を祝う民も増え 含胡 0284 共産党の指導いやさか 鶴鳴 0285 ああそうだ山とは噴火するものだ 野猿 0286 鯨可愛やオバイケ美味い 梨乃 0287 飛行機と机以外はみな食べる 玄鴻 0288 人力車行く浅草の町 みど 0289 箱屋つれ島田くづしのあてやかに 海砂 0290 イ族ウ族の髪飾り映え 無耶 0291 北回帰線越え帰るつばくらめ 海砂 0292 チェチェンの便りもはや聞こえず 無耶 0293 その昔飛びこみ競技のあった橋 みど 0294 雨季と乾季の国に隠し子 海砂 0295 熱帯の月のお客は二度も来る 無耶 0296 仏領インドシナのごちそう 鶴鳴 0297 天麩羅にすると美味いの苦瓜は ロコ 0298 南瓜とうなすろそんなんきん 縄文 0299 公演に花見の客の浮かれおり みど 0300 猫は落胆精進料理 梨乃 0301 「アジアン」と銘打てる茶の超マズや 野猿 0302 大虐殺は遠き思ひ出 鶴鳴 0303 くーにゃんの恥じらいて笑む春の朝 みど 0304 太極拳の動きゆったり ロコ 0305 朝餉にはお粥一杯所望して 梨乃 0306 長寿の秘訣医食同根 真由 0307 人参は六年根が高値なり 宗海 0308 毒も薬も妾が楽しみ 無耶 0309 自分では蚊もつぶせないおばさんが 真由 0310 失笑を買う靴の山ほど 海砂 0311 ブランドの札さへあればいいじゃない 宗海 0312 台湾製がめっちゃいけてる 無耶 0313 ニイタカヤマノボレと無線電信が 海砂 0314 トラ・トラ・トラと虎が三匹 ロコ 0315 日本製・スキヤキ・アニメ・エロゲーム 鶴鳴 0316 外為法にかかるプレステ 縄文 0317 お年玉もらいに出向くじいちゃんち みど 0318 おせち料理はスーパー特製 ロコ 0319 正月の映画は寅に決まってる 鶴鳴 0320 サリーの裾を翻す歌 縄文 0321 丁寧にビンディーなぞる十八才 みど 0322 五色の砂で描く曼陀羅 縄文 0323 自家製のスパイス効いたキーマカレー ロコ 0324 ダリウス大王建てる神殿 鶴鳴 0325 暦読む者従えて政事 縄文 0326 大安選ぶクーデターの日 玄鴻 0327 ビビビッとハビビにきたかスハルトさん 鶴鳴 0328 李総統の徳は忘れじ 無耶 0329 アセアンは汗と晏如の常世にて 海砂 0330 椰子の木陰でハンモック揺れ 真由 0331 半島をくねくねと行く汽車の旅 宗海 0332 線路上にも朝の市たつ 海砂 0333 ドリアンの匂ひに豚も寄ってきて 無耶 0334 芭蕉の葉もてつつむ丸焼き 海砂 0335 もてなしの今宵の酒はとって置き 宗海 0336 ピジョかメッチュか迷ふ淡月 無耶 0337 オリオンは泡盛飲んで空を翔け ロコ 0338 洗濯女の膝にくらくら みど 0339 神山のよもぎがしまのにがよもぎ 縄文 0340 口琴奏で霊に語れば みど 0341 韃靼を越えて義経ジンギスカン 縄文 0342 羊の群れに混じる狼 みど 0343 邸宅の家宰は執事必需品 縄文 0344 シミも歴史の手織り絨毯 みど 0345 農協とヤクザも輸出しましょうか 縄文 0346 韓に売りたい烏ひと山 みど 0347 焼き締めて松の緑をチャイニーズ 縄文 0348 顔を腫らせて塗師の見習 海砂 0349 ジャパンにもピンとキリとがあるさうな 無耶 0350 着せ替へ人形宰相の首 宗海 0351 くっきりと額の痣のマトルシュカ 海砂 0352 退屈男額の三日月 無耶 0353 ポスターがお宝となる新世代 宗海 0354 鉄腕アトムが不時着の島 海砂 0355 ニッポンのロケット空で宙返り 無耶 0356 下駄で占ふ明日のお天気 宗海 0357 大島が修学旅行の焼け跡時代 海砂 0358 あんこ椿は恋の花です みど 0359 君がためくさやにはまる島通ひ 海砂 0360 サバニに乗って釣りにでかける ロコ 0361 海幸の子孫はどこへ行ったやら 縄文 0362 昭和天皇座ってんのう 鶴鳴 0363 みどりの日今度は何の日になるか みど 0364 黄櫨染とは禁色の袍 縄文 0365 明治には太陽暦を用いたり 鶴鳴 0366 日めくりに聞く今日の運勢 みど 0367 画数を問へばなんだかアラビアン 縄文 0368 ふくれズボンで歩く鳶職 鶴鳴 0369 片耳のピアスはホモの証拠なる みど 0370 盲たうへは琵琶抱き給へ 縄文 0371 お局が旅行記を出すジャポネシア 鶴鳴 0372 バリの男にゃ気をつけましょう みど 0373 空港の給油待ちにも口説かれて 玄鴻 0374 娼婦待つ間にこいこいをする 鶴鳴 0375 各国のことば飛び交う池袋 野猿 0376 車中漂う餃子の香り 梨乃 0377 星明かり深夜特急町過ぎて みど 0378 さらば地球よ宇宙に飛び立つ ロコ 0379 銀河からイーハトーボのステーション 鶴鳴 0380 火山学者は憧れの仕事 梨乃 0381 有珠山の煤にまみれて走る犬 野猿 0382 団地で飼ってはいけないペット ロコ 0383 殺意てふ高島平の死角にて 鶴鳴 0384 蛇頭にもろた贋パスポート みど 0385 性転換資金かせぎにおかまバー 海砂 0386 イスタンブールとなった今でも 鶴鳴 0387 銃弾を受けてなほ笑む仏たち 野猿 0388 水の底にも新しき世が 縄文 0389 経文を書き忘れたる身の不幸 みど 0390 合体したり変身したり 蘭石 0391 モンスーン地帯の顔はモンスター 縄文 0392 秘伝レシピで水餃子捏ね 野猿 0393 姫さまは駱駝に揺られお嫁入り みど 0394 砂漠の民の鼻毛長くて 玄鴻 0395 大寒波羊の為に泣く力士 無耶 0396 ねんねこ半纏寝た子の重さ 海砂 0397 卵より生まれし者の西遊記 無耶 0398 きんとん雲の湧き出る峰 みど 0399 生唾を呑み巡礼のカスラス山 無耶 0400 シシカバブーの匂う西風 海砂 |