二十世紀カウントダウン連句「ミレニアム」の巻(8/10)
1401 男装の女スパイの紫煙吐く 野猿 1402 山高帽にステッキ持って みど 1403 阿片窟フランス租界界隈に 蘭石 1404 名探偵の胸の深淵 野猿 1405 まかないのおばさん今日も御機嫌で みど 1406 女体盛りするインド鮪だ 蘭石 1407 江戸前のねたしかうちは出さねえよ 野猿 1408 久しく聞かぬ虎造の声 宗海 1409 イッシーのバカは死ななきや治らない 海砂 1410 姐さんばかり残る極妻 無耶 1411 BMWのダッシュボードにデリンジャー 海砂 1412 殺人現場は記者の目前 宗海 1413 桜の木斬ってもなれる大統領 縄文 1414 晩餐会でげろを吐くなよ 海砂 1415 父親の名前明かさぬ未婚の母 みど 1416 モラトリアムはいまだ変らず 海砂 1417 日は暮れてサナトリウムに咳ばかり みど 1418 七夕竹に著き惜命 海砂 1419 水田種子陸田種子とも地の恵み 縄文 1420 種田といへばしぐれてゆくか 海砂 1421 なにもかも押し流していく土石流 みど 1422 島原市長の髭が三尺 海砂 1423 聖杯の旗は四郎の血を吸って 縄文 1424 散兵線の花と散るらん 海砂 1425 塹壕の頭上遥かに流れ星 みど 1426 地の底囁く黙示録なり 海砂 1427 バ−ボンのグラスの底の枯葉剤 玄鴻 1428 つれづれにロシアンルーレット 海砂 1429 福袋舌切雀笑ひをり 縄文 1430 大きい葛篭をやはりください 海砂 1431 月の夜に狼男の歩く森 みど 1432 世界を駆ける松茸泥棒 含胡 1433 ちんまりとトリュフまします大皿に みど 1434 豚の嗅覚なんと鋭い 蘭石 1435 油断して雪焼けの鼻かさぶたに 兼坊 1436 日の丸三本揚がるシャンツェ 海砂 1437 いにしへは飛行機乗りを鳥人と 宗海 1438 いま料理人をば鉄人と言ふ 無耶 1439 情婦とはあまりのことで愛人に 海砂 1440 父の背母の尻を教師に 縄文 1441 紐付きの定期揺れてるランドセル みど 1442 住宅ローンに教育ローン 海砂 1443 初任給一万五千の帝大卒 みど 1444 6畳トイレ無5千5百円 含胡 1445 モンマルトル家賃がわりの肖像画 みど 1446 お宝鑑定団に出品 兼坊 1447 偽物にも松竹梅のありまして 海砂 1448 香港土産の金のロレックス みど 1449 名物のインフルエンザ配りもの 海砂 1450 底上げ土産駅弁大学 次郎 1451 公園の猫はみんなの人気者 みど 1452 バーガーくわえて迷子泣いてる 玄鴻 1453 図書館に電脳連句申し込む みど 1454 亀甲文字に快癒きざして みど 1455 安楽死これは医大にあるまじき 海砂 1456 楢山に求む老いの光明 次郎 1457 五つ子の成人式の祝い歌 次郎 1458 ドリーの毛皮でコートを作ろ 唐辛子 1459 捕鯨基地喉元過ぎて忘れ去り 縄文 1460 「おばけあります」居酒屋の壁 みど 1461 関東煮き声なき声を出汁にする 次郎 1462 枡酒の角ちょんと塩載せ みど 1463 健さんの口調身ぶりを真似た頃 玄鴻 1464 ベリーショートの真冬寒くて みど 1465 盲目の津軽三味線雪しまく 海砂 1466 連絡船は幻と消ゆ 宗海 1467 海ゆかば水漬くかばねや洞爺丸 海砂 1468 鍵っ子通う水泳教室 みど 1469 四つ角に揃い踏みするチェーン店 無耶 1470 コンビニ伊勢屋稲荷に犬の糞 海砂 1471 快便の便所のお釣り懐かしく 玄鴻 1472 いつでも夢の同棲時代 次郎 1473 勇ましい軍歌が似合ったメーデーの日 含胡 1474 労働者諸君!寅さん名調子 海砂 1475 BGがオフイスレディーに衣替え 次郎 1476 負けしいくさを終戦と言ふ 宗海 1477 退却が転戦となる摩訶不思議 海砂 1478 ピンクレディーはおばさんになる 兼坊 1479 美しいものは残ると強がりて 含胡 1480 滅びの美学などとうそぶく 海砂 1481 法律上六十五歳から皆老人 海砂 1482 高峰三枝子と入る温泉 玄鴻 1483 書いてまた消す湖畔の便りっとくらぁ 海砂 1484 前略裕ちゃん記念館です みど 1485 嵐呼べいつでも俺は待ってるぜ 唐辛子 1486 太陽族たぁ愚連隊かい 含胡 1487 風邪ひかぬすっぽんぽんは相撲取り みど 1488 何もカイロも使い捨てなり 宗海 1489 砂の下ツタンカーメン王眠る みど 1490 糞ころがしが朝露を吸う 海砂 1491 ファーブルは頬杖ついて微笑んで みど 1492 供に蹤きゆく犬のメンデル 海砂 1493 豌豆の花赤白に咲き分けて 縄文 1494 苦心の作は三毛の牡猫 海砂 1495 トテチンと口三味線の小学生 無耶 1496 ラッパで飯が食える豆腐屋 海砂 1497 吟ずれば霙交じりの句会なり みど 1498 もれ聞こえるはお座敷小唄 次郎 1499 隅田川櫂のしずくも花と散る みど 1500 舞姫捨てて春の昇進 唐辛子 1501 月おぼろ樋口一葉記念館 海砂 1502 おはぐろ溝を過ぐる下駄音 宗海 1503 ちりんちりんハイカラさんはスピード狂 みど 1504 揚げたてコロッケ経木にくるみ 海砂 1505 パピプペポうちの女房にゃ髭がある 宗海 1506 浅草オペラわれもわれもと 海砂 1507 雑踏に幟とりどりはためいて 宗海 1508 強弱如何に弁慶の脛 縄文 1509 末の子も今年やうやく卒業に 宗海 1510 文士志望は決して許さぬ 海砂 1511 直木賞・芥川賞取ってやる 無耶 1512 講演料はン十万なり 宗海 1513 サイン入り初版求めて古本屋 みど 1514 かつては判こ押した奥付 海砂 1515 晴れた日に来たる縁談そそられて みど 1516 恋はローマの休日に秘め 唐辛子 1517 忘却を誓いし女の真知子巻 次郎 1518 橋すでになく迷ひ子となる 海砂 1519 一休も頓知めぐらす種もなし 兼坊 1520 ハナハトマメがサイタサイタに 海砂 1521 野を越えて電信柱の行進だ みど 1522 エジソン君は小学中退 唐辛子 1523 雷の鳴る日は凧を揚げちゃだめ みど 1524 見せ物になる野島断層 次郎 1525 町起しテーマパークの当て外れ 無耶 1526 聞いたことない句碑がぞろぞろ 宗海 1527 恐れ入るキリストの墓陸奥に 海砂 1528 蝦夷に逃れし御曹司なり 宗海 1529 参歳のシャレコウベなりお宝に 無耶 1530 鎌倉名物ひよこ饅頭 海砂 1531 雄ばかり夜店にならぶ不仕合せ 宗海 1532 玉の井抜ける遊冶郎ゐて 無耶 1533 ロック座の楽屋に荷風傘提げて 海砂 1534 額縁ショーは不動直立 宗海 1535 寅さんもフランキーさんも前座の出 無耶 1536 赤い風車のネオン瞬く 海砂 1537 不夜城と言ひける店の大金庫 縄文 1538 びんぼ恵比寿が火事元になる 宗海 1539 鬼という横井なにがし泣きっ面 無耶 1540 拳銃一声同情もなし 海砂 1541 仁義無き戦い済んで日が暮れて 宗海 1542 広島の地に男らの燃ゆ 無耶 1543 残りしはお好み焼きと紅葉饅頭 海砂 1544 饅頭笠の山頭火ゆく 無耶 1545 しぐるるは後にあらず前よりも 宗海 1546 歯止めのきかぬ破滅放哉 海砂 1547 焼け跡にお南瓜さまを植ゑ並べ 宗海 1548 木口木版克明に彫る 無耶 1549 台座のみ残る肉弾三勇士 海砂 1550 寝転がったる金次郎にて 宗海 1551 スターリン地震じゃないのに同じ目に みど 1552 プラハの春に蘇る花 海砂 1553 飛びこみの競技は白い橋の上 みど 1554 ハイレグ眩しコマネチが跳ぶ 海砂 1555 二十四の瞳くぎつけウルトラC 次郎 1556 子供らは皆六尺褌 含胡 1557 かもめかもめ駕籠の小鳥は何匁? みど 1558 笛吹き童子の花いちもんめ 次郎 1559 あんたがた肥後では狸を食うばってん みど 1560 笛吹き童子の花いちもんめ 次郎 1561 オーボエで始まる連続朝ドラマ みど 1562 よろめき夫人の性活の知恵 次郎 1563 残業のパパは不倫に憧れて みど 1564 せめてポルノをインターネット 兼坊 1565 第三の男はロマンスグレーなり 次郎 1566 地下水道に居住区の跡 みど 1567 渚にて北半球は滅びけり 唐辛子 1568 火星人が来た!リスナー信じる みど 1569 九枚のフライングソーサー我は見つ 宗海 1570 葉巻で祝う男子誕生 海砂 1571 倫敦をナチスに渡してなるものか 宗海 1572 元気の秘訣人を食うこと 海砂 1573 ひそやかに「わが闘争」をしたためて みど 1574 スペイン戦は練習でした みど 1575 二百年かけて未完の塔に立つ 唐辛子 1576 紀文大尽嵐ものかは 縄文 1577 ほんとうにおかまぼこっておととなの 無耶 1578 寿司はすもじで餅はおかちん 海砂 1579 姉さんが頬を染めてるお赤飯 みど 1580 男の中の男海行く みど 1581 羅針盤狂って漂流補陀落へ 含胡 1582 豚の頭を祭る集団 みど 1583 熱帯の森を伐りとるラワン材 海砂 1584 ピナツボ山の煙黒々 みど 1585 アキノ夫人黄色のドレスがよく映えて 海砂 1586 やまとなでしこ七変化の舞 次郎 1587 飛びきりのジャンプ勝ち抜くローザンヌ みど 1588 違いのわかる佐川急便 海砂 1589 引っ越しがにわかに決まる大晦日 宗海 1590 ブックマークが増え過ぎちゃった 兼坊 1591 読みさしのままにつんどく文庫本 宗海 1592 隅からすみまでカストリ雑誌 次郎 1593 神妙に処方を貰うバイアグラ みど 1594 高血圧に長湯禁物 みど 1595 塩辛いものばっかりがおいしくて 蘭石 1596 電気で計る体脂肪率 鶴鳴 1597 竹針の蓄音機きく納屋二階 蘭石 1598 銘仙出してお出かけ準備 みど 1599 上野山大仏様に花吹雪 蘭石 1600 昼寝して待つ場所取り要員 ロコ |