二十世紀カウントダウン連句「ミレニアム」の巻(9/10)
1601 内定の後にレポートどっさりと みど 1602 人気教授にホモ説のあり 鶴鳴 1603 通産省やめて小説家となりぬ 蘭石 1604 ヘミングウェイは豪邸に住む みど 1605 人はみな海流の中浮かぶ島 蘭石 1606 アクアポリスはついに倒産 ロコ 1607 四大が三大になる証券屋 鶴鳴 1608 ノーベル賞を株屋がとるとは みど 1609 人質を解放したら即御用 鶴鳴 1610 異国の牢に過ぐす二十年 蘭石 1611 小さな手カラシニコフを握りしめ みど 1612 トラップの森照らす繊月 蘭石 1613 ワグナーの漏れ聞こえたる丸木小屋 みど 1614 ジークフリート角笛を吹く 鶴鳴 1615 神々は黄昏れたのか死んだのか みど 1616 竜の血潮を浴びて不死身と 蘭石 1617 駈け行くは湖の騎士ランスロット 鶴鳴 1618 貞操帯の鍵も錆果て 蘭石 1619 不適切なるは不倫の別名で みど 1620 妻に試せぬことをしてみる 鶴鳴 1621 あとくされない恋人を募集中 蘭石 1622 姦通という言葉甘美に 野猿 1623 ウーマンリブ夕暮れ族と消えゆきて 玄鴻 1624 本番ショーはストリップじゃない 玄鴻 1625 安宿のブルーフィルムに我が娘 みど 1626 前立腺のマッサージ技 蘭石 1627 ふるさとに国際電話かける夜 野猿 1628 地下銀行で貰う景品 玄鴻 1629 義理チョコで虫歯だらけの課長さん みど 1630 ヘンな匂いがたちこめる部屋 蘭石 1631 FBIひたすら隠す異星人 玄鴻 1632 ドゥカブニーは金髪が好き 鶴鳴 1633 微笑みにノーマ・ジーンの孤独見え 野猿 1634 抗精神薬はよりどりみどり みど 1635 再審と心神耗弱みな無罪 玄鴻 1636 最高裁まで戦い抜くぞ 蘭石 1637 水俣の海はそれでも戻らない みど 1638 伊万里港より茶器が流出 鶴鳴 1639 赤犬がいついつまでも見送って みど 1640 西郷さんに似てる童顔 蘭石 1641 ソース顔醤油顔かと手前味噌 玄鴻 1642 オヤジになればみんな同じ 蘭石 1643 このたびはぼくもアダルト・チルドレン 野猿 1644 名曲喫茶消えた街角 玄鴻 1645 ツィゴイネルワイゼン胡弓で奏でゐて 鶴鳴 1646 紫禁城からたちのぼる夢 野猿 1647 民主化を戦車が潰す門の前 宗海 1648 人民軍とは言うてくれるぜ 海砂 1649 眼を見張る北ベトナムの総攻撃 無耶 1650 胸のカメラが果たす身代り 宗海 1651 石段に残る姿の影法師 縄文 1652 マリヤの首の深いかなしみ 次郎 1653 なにゆえの涙か村の教会堂 みど 1654 坊主が挑む神学論争 含胡 1655 うち集ひミレニアムシャンパン豪勢に 無耶 1656 婚姻届を午前零時に 海砂 1657 前夫先夫前妻先妻子ども連れ 無耶 1658 朝シャン用の井戸を掘らせる 海砂 1659 浜の茶は磯の香りのほんのりと 宗海 1660 血液型で決めるお見合 無耶 1661 姓名を防空頭巾に縫い込んで 宗海 1662 ガラスの兎抱きしめる夜 無耶 1663 記念館小樽運河にほど近く 宗海 1664 砂に埋めたナイフ錆び果て 無耶 1665 裕次郎嫌いもいるぞ都知事どの 海砂 1666 開口一番兄ですと言ふ 宗海 1667 いい加減死んで下さいお願いだ 無耶 1668 直らぬものは馬鹿と山っ気 宗海 1669 虎造の咽喉聞き惚れる月の宿 無耶 1670 涙こらえて編める腹巻 宗海 1671 呆け封じ寺に詣でる度に呆け 無耶 1672 鼻毛を植える昭和写真史 海砂 1673 アラカンの睦みし人は数百と 宗海 1674 複葉機駆り雲の布団に 無耶 1675 ゲットせしレッドバロンの星の数 宗海 1676 ベッドの数は三日月印 海砂 1677 新婚の薬缶は握り矢印にて 無耶 1678 絶えて目にせぬセルロイドなり 宗海 1679 キューピーに小さいちんちんありにける 海砂 1680 ロボット赤ん坊嘘つけと言ふ 無耶 1681 こんな顔でしたかと聞くお堀端 宗海 1682 小泉八雲好きな幽霊 無耶 1683 良い事があって達磨に目がはいり 宗海 1684 神棚拝む大工イラン人 無耶 1685 碧眼も無宿も集ふ上野駅 宗海 1686 変造テレカ五枚千円 海砂 1687 ケータイをお子様も持つ時代にて 宗海 1688 家鴨歩きの母娘厚底 海砂 1689 一卵性家族みんなの幸せは 無耶 1690 ジュリーが選ぶピーナツの粒 宗海 1691 放つといてくれとは言はぬ淋しがり 海砂 1692 トリスバーでも当たらぬハワイ 無耶 1693 ハイボールあらぬ誤解を受けまして 宗海 1694 ツマミに遺伝子組換味増豆 海砂 1695 藁しべに神はひそかに宿りたる 宗海 1696 蛙の尻に吹けば失神 海砂 1697 黒焼は蛇も守宮もなかりけり 宗海 1698 効くも効かぬもライフスペース 無耶 1699 大阪の関に花見としゃれこんで みど 1700 ネット仲間はみんな腰痛 みど 1701 気はこころ指圧のこころは母ごころ 海砂 1702 ソウルエステの流行るこのごろ 宗海 1703 明洞に黒い唇して女神たち 無耶 1704 総督府ビルついに消えゆく 宗海 1705 新しきホールはカラーコーディネイト 無耶 1706 お色直しに走る花嫁 海砂 1707 ハワイにて挙式成田で離婚する 宗海 1708 武蔵丸寄りかます一発 無耶 1709 ベリグーとみことのりありカメハメハ 海砂 1710 諸肌脱ぎのかみさんのいて 無耶 1711 博愛と言ふは普く恋わたる 海砂 1712 もつたいなくもグルのお手付き 宗海 1713 十五でもパンツエンラマの無理無体 無耶 1714 少女の祈りマニ車繰る 海砂 1715 万年雪異常気象に溶け出して 宗海 1716 シャングリラまで辿り着けない 無耶 1717 神仏と耶蘇の美味しいとこどりに 海砂 1718 どんど焼きにもダイオキシンの香 無耶 1719 いかなこと古紙の中身は廃棄物 宗海 1720 幽霊船に死の灰の跡 無耶 1721 逆吊りの情婦マノンと地の果てへ 海砂 1722 力道山も生身にてあり 宗海 1723 カムアウトするはファイルの火星人 無耶 1724 レズの心中はないんだそうだ 海砂 1725 いづくにも神は細部におはすなり 宗海 1726 悪魔は誇大広告が好き 無耶 1727 スーパーのポスシステムに操られ 海砂 1728 薬と思ってギネス又呑む 無耶 1729 軟骨に付く身はとかく邪魔にされ 宗海 1730 舐めていちころ河豚の卵巣 海砂 1731 昭和十二年生まれなりしかニュートーキョー 無耶 1732 柳芽吹けば恋も芽生える 宗海 1733 懐かしや天津羽衣棒しばり 海砂 1734 淡島千景虞姫のあでやか 無耶 1735 突然の性転換は困るなり 宗海 1736 陰間出てきてニュースステーション 海砂 1737 千日を山を巡りて修行する みど 1738 ピレネー越える大脱走兵 唐辛子 1739 差し入れのパンにヤスリを忍ばせて みど 1740 開く難問二十の扉 次郎 1741 「のど自慢」うちの町にもやってきた みど 1742 歌を流してロバのパン屋も 梨乃 1743 校則に買い食い禁止と書いてある みど 1744 万年筆が詰襟の胸 海砂 1745 使い捨てガスライターは百円だ 蘭石 1746 メガネをかけた放火犯人 みど 1747 野次馬の中に必ずホシがゐる 海砂 1748 銭形平次の投げ銭が飛ぶ 次郎 1749 監督がカットと怒鳴るロケーション 無耶 1750 尾道少女時を駈けゆく 無耶 1751 瀬戸内に生まれし少年野球団 宗海 1752 ヒヤとハールが耳に懐かし 海砂 1753 ゴロまいてこっそり遊ぶ賭けベーゴマ 無耶 1754 大きくなったらサッカーをやる 兼坊 1755 靴紐を結ぶ姿の凛々しくて 宗海 1756 NAKATA ローマで伝説となり 無耶 1757 年俸の桁数にまで超が付き 宗海 1758 浪人生諸君焦るな焦るな 海砂 1759 あんまぁ〜仕込みいっせん市の冴え 次郎 1760 型のないのが喧嘩剣法 海砂 1761 右脳で七タイトルを勝ちとって みど 1762 羽生睨みとて恐れられたる 海砂 1763 寝癖かと見紛うパーマ大流行 みど 1764 ばっさり切ってセシール・カット 無耶 1765 新宿の名画座木戸は三十円 海砂 1766 駅構内に並ぶポスター 宗海 1767 カタログで生前予約の墓地墓石 みど 1768 あたしは実家の方へ入るわ 海砂 1769 帰ってきて関白宣言取り下げる 次郎 1770 ウルトラマンは何人家族? みど 1771 SOSサンダーバード今すぐに 唐辛子 1772 父ちゃん蒸発わたしむちうち 次郎 1773 夢抱き移民となりて渡る海 みど 1774 摩天楼には蜘蛛男棲む みど 1775 最強の生物兵器は水虫菌 海砂 1776 花粉を飛ばす山の杉の子 次郎 1777 風倒木利休の箸に削られて 海砂 1778 余生は文化的に暮らさん 兼坊 1779 桐箪笥団地サイズに締め出され みど 1780 先の割れてるスプーンちょうだい みど 1781 砒素ミルクチクロサッカリンPCB 唐辛子 1782 複合汚染恍惚の人 みど 1783 老兵は死なずと消えしマッカーサー 宗海 1784 核不使用と下る訓令 海砂 1785 助かってほんにうれしと京都っこ 無耶 1786 安保の意味を新入生に みど 1787 国会を雨に囲みしデモの列 宗海 1788 フランシーヌの歌を聞かせて みど 1789 あまりにもおバカさん傷心の旅 海砂 1790 ここに幸あり三種の神器 次郎 1791 冬の日は靴の中までホカロンを みど 1792 吹きさらしなる西立川駅 海砂 1793 喫煙所狭けれ煙どこまでも 兼坊 1794 際限もなく禁煙ファシズム 海砂 1795 長生きのしたい奴らはどっか行け みど 1796 KIOSKで買う日刊ゲンダイ みど 1797 試験には時事問題が出ることも 宗海 1798 フェチと問われて頬染めるやつ 海砂 1799 氷上にころんでも魅せる花の笑み 次郎 1800 下駄スケートで滑る溜め池 みど |