突発企画第2弾「ネターズ地獄行きの旅日記・前編」
注:この旅行日記は、私が旅行中に記した日記から書かれたものです。
正直言って、まともな日記を書けるような環境ではなかったし、
また、逐一全ての出来事を記録するつもりもなかったので、
一部に事実とは異なる記述があるかもしれません。
  ですが、この日記の内容は『ニンフィ』のセリフを除いて90%以上の精度で
ノンフィクションであると言いきれます。
コンテンツ
「同行者リスト」(すぐ下ですね)

0日目・(2001年)9月11日

1日目・9月12日」(写真

2日目・9月13日」(写真

3日目・9月14日」(写真

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「ネターズ地獄行きの旅日記・前編」
同行者リスト
(注:「」内のセリフは「蒼天の拳」という名の漫画から引用させてもらったものです)

・『冒険馬鹿の』Steven:言うまでもなくこのHPの管理人本人のこと。
                  実は旅行計画発起人だったりするが、旅行中はやや影が薄い(かも)。
                  非常に不本意ながらネターズ1号。常にネタ不足に悩む。
                              「ああ〜ん!?タレがどぶねずみだってぇ〜ん!?」

・『脳みそ筋肉』二ハーン:本来のハンドルは別に持っているが、ある一件以降
                 この名で呼ばれることになってしまった哀れな同行者1号。
                 ネターズ2号。プロレスネタが得意。
                 「まあ〜あああ!!まあ〜あ〜ああ!!」

・『ネタ袋』トニー梅田(トニー):固有のハンドルを持たない同行者2号。
                   自称ペドフェリア(幼児しか愛せない人のことらしいです)。
                   ネターズ3号。異常性欲ネタから洋楽ネタまで幅広いネタを持つ。
                   「あっ、い、たー!!」

・『夢見ない乙女』ニンフィ:人間(か?)の同行者二人に、とうとうその存在を
                  気づかれることがなかった第3の同行者にして、当HP案内嬢。
                  彼女はネターズとはまったく無縁。
                                   もちろんネタを持っているわけでもない。
                   「朕、クソ!?」
 

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9月11日「凶兆」
  この日は、出発の前日である。
(本来ならば、この日が出発の日だったのだが)
私は、全く理由の無い強烈な不安感にさいなまれていた。
症状だけを見れば私は立派な精神病患者だが、
この日に不安にならなかった人間がもしいたとしたら
底抜けにお気楽な人間か、ただの馬鹿だっただろう。

  次の日に船出するっていうのに、なんで表はこんなに激しい嵐なんじゃあ!!!
  私達の住む地域を直撃した台風15号は物凄いパワーを
振るい続けていた。ってゆーか、止めろ。振るうな。
  一歩でも表に出たら次の瞬間吹き飛ばされていそうな
凄く素敵な天気だったので、この日は部屋に立て篭もっていた。
  この時はまだうっすらと予感がしていたに過ぎなかったが、
この嵐はこの先私達を待ち受けていた運命を暗示していたと
思えてならない。陳腐な表現ではあるが、それ以外にこの時の心境を
表わす適切な言葉が今もって見つからない。
  よくぞ中止にならなかったものだ、と心底思っている。
まあ、今思えば、もしもこの時中止になっていれば私の運命は
大きく変わったに違いないのだが。
  同行者二人はこの日、どんな思いで空を眺めていたのだろうか?
神ならぬ身の私には到底分からない事だが。

ニンフィ:「わーい、竜の巣だぁー♪」
Steven:「そういうわかりにくいネタはやめい!!」

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9月12日「多分、船出」(写真はこちら
  9月11日の夜、いわゆる「アメリカ同時多発テロ事件」が
発生したらしく、この日に備え早めに就寝していた私は、
ニハーン氏に電話で叩き起こされた。
  アメリカ人には悪いが、そんなくだらんことで人の睡眠を妨げるな!!
私には、睡眠を邪魔される事を何より嫌う性質がある。
旅の途中に、必ずニハーン氏に報復する事を、ブッシュ大統領並みに
固く心に誓い、私は再び眠りに就いた。

  そして、9月12日の朝。
この日がこの地獄行の旅路の始まりの日である。
この時点では、まさか行きの船に乗り込むだけでこんなに疲れる事に
なるとは夢にも思わなかった。
  船の出港時間はこの日の23時45分。初めにこの事を聞いた時は、
「ふーん、夜中に出港するのか。まあ、出港したらすぐ寝ればいいや。」
などと甘っちょろい事を考えていたりしたのだが、その考えはすぐに
打ち砕かれる事になる。
  フェリーターミナルに何とかたどり着いた私達が聞いたのは、
(って、実はここまでの道のりは意外と平穏だったりしますけどね。
  やたらと時間がかかった事を除けば)船の到着が3時間ほど遅れる、
という一言だった。
 

ニハーン「どうしよう……?」

トニー「とりあえず、晩飯でも食べようか……。」

Steven「だね……。」

ニンフィ「(お腹へった〜。)」
 

  この時間(0時近く)になってもまだ晩御飯を食べてなかったりする私達。
まあ、この際だからもう晩御飯は抜く、という選択肢も無いでは
なかったのだが、私だけの特別な理由からどうしても晩御飯を
食べなければいけなかったので(別にパン一切れでもいい)、
仕方なく近くのコンビニに食糧の買い出しに向かう。
  「近くのコンビニ」などと言っても、このあたりの地理に詳しい者など
いるわけがない。

  行くあてもなく周囲の探索に出ようとしている(どうせ時間なら
あまり過ぎるほどあまってるし)私達の目の前に、突然バイクに乗った
現地人のお兄さんが現れた。
  そのお兄さんは、「ああ、コンビニだったらそこの信号を右に曲がって
少し行った所にあるよ。」と、よそ者の我々にも親切に教えてくれた。
私達は、その助言に従って歩き始めた。
  そこの信号……ああ、確かにすぐそこに信号が見えるや……
さあ、みんな、あの信号に向かって歩こう……わーいわーい、
楽しいなー……ってゆーか、何で歩いても歩いても信号が
大きくならないんじゃボケェ!!
  ただ単に私達の距離感覚が完全に狂っていた、それだけだった。
  私の感覚ではその信号まではせいぜい100メートル前後だと思われた。
だが、実際にはその信号までは軽く見積もっても300メートル近くは
距離があったのだ。いくら慣れない夜更かしで頭が混乱しているとはいえ、
これではあまりにも情けない。これもすべて街灯が一本もないせいだ、
と自分に言い聞かせ、自分の失敗を帳消しにしようとする情けない私。
  いやー、この時はまるで悪夢の世界を歩かされているような
気分になったものだ。
  そして、「少し行った所に」あるというコンビニに向かって右折……。
っつーか、ここまでの距離の倍は遠そうなんですが!?
これの何処が
少し行った所なんですか!?
ちょっと何か根本的な所を間違ってるんじゃないですか!?
私の心の叫びが同行者二人に届いたのかどうか、それは分からないが、
どうやら二人も同じ気持ちになったらしく、
 

トニー「って、滅茶苦茶遠いやん!!!!」

ニハーン「まあぁああ〜!!まあぁ〜ああ〜あ!!」

ニンフィ「(ニハーンさんが壊れた……。)」

Steven「どうせ時間ならはいて捨てるほど余ってるんだし、いくか!」
 

もちろん、全員既にやけくそになっていたのは言うまでもない。
結局、その500メートル近い距離を歩いてそのコンビニまで行き、
安いコンビニ弁当を購入。その場で晩餐となった。
(500メートルって大した距離じゃないように思えるけど、0.5キロメートル
 って言われるとかなりの距離なんだなって思えるでしょう?)

 旅行1日目の夕食が、まさかただのコンビニ弁当になるなどとは
旅行出発前には夢にも思わなかった。
ニンフィ「(でも、最高の調味料はその場の空気だって言うしね♪)」
Steven「(言わん言わん……。)」
 正気とは思えない重量の荷物を(鉛でも入ってるのかと本気で疑ったぐらい)
抱えていた二ハーン氏は、既にこの時点で体力的にボロボロになっていた。
(まあ、彼の荷物の中にはドリームキャストが入っていたのだが、それにしても彼の荷物は重過ぎた)
 ささやかな晩餐の後、フェリーターミナルに戻り、延々と無駄話をしつづけて時間をつぶし、
無事フェリーに乗り込むことができた。

 当然、普段ならこんな時間に目を覚ましていたら眠くてフラフラになっているはずの
私なのだが、初めてフェリーに乗る、という高揚感からあまり眠気を感じなかった。
二ハーン氏も、フェリー初体験らしく、やはり眠気を余り感じていなかったらしく、
フェリーに乗り込んだ後も私と一緒にあちこちフェリーの内部をうろつきまわった。
フェリーの旅に慣れているトニー氏は、船室に入り込むとさっさとベッドに入ってしまったのだが。
 フェリー初体験の私と二ハーン氏は、まるで子供のようにはしゃぎまわっていたような気がする。
 私はともかく、体力がとっくにレッドゾーンのはずのニハーン氏が、
こんなにハイになっていていいものか、と今になると思えるが、
そんなことをいちいち警告するほど善人ではなかったし、そもそも自分自身も
ハイになっていたから、その時は警告しようなんてことははなから頭になかった。
(翌日……日付が変わっているので正確に言うとこの日だが……に、私の予感は的中する。)

 とりあえず、フェリー出航の瞬間に立ち会えたので大満足。
思わず二人で甲板に出て手を振ってしまった(この辺、子供っぽい)。
この時、港で働いているらしい職員の方が私たちに手を振って答えてくれたのが
いい思い出になりそうだ。一応写真も取ったが、真っ暗で何が写っているのか
まるでわからなかったりする。
 もちろん、私がこの直後ぶっ倒れるように眠り込んだのは言うまでもない。
ニハーン氏とトニー氏は、「朝日が昇るところを見るんだぁ!!」
と叫びつつ午前5時ぐらいまで粘っていたらしい。
……結局空が曇ってて朝日が見られなかった、という話を後で聞いた私は大爆笑。

Steven:「いやー、あのバイクのにーちゃん、いい根性してたな……。」
ニンフィ:「一瞬殺意抱かなかった?」
Steven:「いや、それはないが。なんというか、俺も将来ああいう人間になりたい、
     って思っちゃったよ。スケールがでかい人間っていいなあ、と思って。」
ニンフィ:「あなたはそれ以前にまず人間にならないとね。」
Steven:「ああ〜ん!?タレがどぶねずみだってぇ〜ん!?」
 

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9月13日「あずましく北進」(写真はこちら
 私がぶっ倒れるように眠りについた後、目を覚ましたのは午前8時。
普通に朝食を取る時間だ。だが、朝起きた瞬間からもう既に私は完全なる
船酔い状態に陥っていた。
 台風が過ぎ去った直後の海、ということでかなり荒れていたというのも
私にとっては不運だったかもしれない。
 唯一の救いは吐いてしまうことが一度もなかったことぐらいで、
最悪の目覚めだったことは間違いない。
(船に乗る前に飲んだ酔い止めを、もしも飲んでいなかったら
 間違いなく海に向かって吐き散らしていたことだろう)
はっきり言って会話をするのもつらいぐらいだったが、
しっかりと食事をとっておいたほうがいいと考えた私は、
(この考え、結果論としてはよかったんですけど、一般論としてはどうなんでしょうね?)
多少無理をしつつも軽めに朝食をとった。
奇跡的にも、ニハーン氏もトニー氏も目を覚ましていたので、
(というか、ひょっとして寝なかったのでは?)朝食は一緒。

 本当は船の中をいろいろと見て回りたかったのだが、気持ち悪さと格闘中の私は
酔い止めを再び飲み、すぐに眠ってしまった。
ニハーン氏とトニー氏も朝食後即就寝。
というか、とうとうトニー氏はこの後船を下りるまでとうとう一度も目を覚ますことはなかったのだが。
 しばらく眠っているとどこからともなく昼食のアナウンスが。
ああ、もうそんな時間なのか、と私は目を覚まし、早速昼食をとりにいく。
幸い、この時点でだいぶ船酔いは解消されていたので、食が進んだ。
ニハーン氏、トニー氏共に完全に眠りこけていたので、放置決定。
私は、ニンフィと一緒にさびしく食事をとった(ようするに一人で)。
昼食は牛丼マニア(自称)の私もとりあえずは満足な味のおいしい牛丼だった。
 食事を済ませた後、さすがの私も仏心を出して眠りこける二人を起こそうと
決心し、二人が眠りこける二等寝台に向かう。
(二段ベッドが3つの部屋だったんですが、私達は全員下の段で、
 上の段には人が誰もいなかったので、事実上3人の貸切部屋)
Steven:「おーい、昼食だぞー。」
ニハーン:「うう……うううーん(意味不明な寝言)。」
Steven:「漏れだぁー(と叫びつつわき腹あたりに突きを入れる)!!
ニハーン:「ぐごはぁっ!?なんだよー(まだ半分以上寝てる)。」
 報復完了!!
 私は、この時、生まれて初めて人間の本物の悲鳴を聞いたような気がした。
Steven:「メシ!!昼飯はどうするんだよ??」
ニハーン:「いらねえよぉー(就寝)。」
 だが、結局私の攻撃も彼を完全に目覚めさせることはできなかった。
全く、これだから始めから飛ばし過ぎない方がいいといったのに。
別に昼飯を食べなくても人間生きていけるな、と思い直した私は
トニー氏も起こさないことに決め、一人で船内を探索することにした。

 最も、「探索する」等と言えるほど船内が広かったわけではないが、
何から何まで初体験だった私にとっては目に映る全てのものが珍しく思えたのだ。
とりあえず最初に調べてみたのが船内にあるゲームコーナー。
 船の中にはゲームコーナーがある、と事前にトニー氏から聞いていた私だったが、
やっぱりなんだか不思議な感じがしたものだ。なにせ、私は今陸地に立っているわけではないのだ。
表に出れば見渡す限りの海が広がっているような場所に立っているのだ。
そんな所でゲームをするなどというのは、私にとっては、まるで現実の世界の中に
突然非現実が入り込んできたような奇妙な違和感を覚えさせるものだった。
今思うと馬鹿なことを考えていたものだ、と鼻で笑い飛ばせるが、
無知というものは時として思いがけない感動を人に与えてくれるものなんだな、
などとらしくもない感慨にふけっていたりした。
(まあ、ゲームをやりながら一瞬そんなことが頭を掠めただけで、
 いつもそんなことばかりを考えているわけではないです)

 いわゆる「格闘ゲーム」に非常に疎い私だが、名前しか聞いたことがない、
というもの珍しさから「エアガイツ」という格闘ゲームを1コインだけプレイ。
(片腕で。私はゲーセンでは大抵隻腕ゲーマーです)
 あと、唯一のSTGだった「マクロスプラス」にかなりお金をつぎ込む。
(STGだけは両腕でできるんです。ただし、自機は画面の一番下に張り付きっぱなしに
 なりますが。だから、横スクロールのSTGは両手ではできません)
「マクロスプラス」は、昔かなり熱中した覚えのある古いSTGで、
私はそれなりに熱中した。だが、経済的理由により、それほどここで大量の金を
落とすわけにはいかない。

 あとは、ものめずらしさから甲板にしょっちゅう出ていたりした。
だが、さっきも書いたように台風が過ぎ去った直後であったし、どうも空模様も
快晴とは言いがたく、はっきり言って眺めはそれほどいいとは言いがたかった。
それでなくてもフェリーの上からはほとんど陸地は見えない、とトニー氏に言われていたような
気がするが、それはそれ。甲板でも何枚か写真を撮った。

 甲板上にて写真を撮影していたとき、強風にあおられカメラを入れていた袋が乗客立ち入り禁止
のところに吹っ飛ばされてしまった(カメラ本体は無事)。
 仕方なく、手近なところにいた乗務員の人へ相談をする。
……まさか、ただの乗客Aであるはずの私が店番をさせられることになるとは夢にも思わなかった。
(『店』というよりはどちらかというと『案内所』みたいな所だったのだが)
後にニハーン氏に「客が来たら『はい。100万円です。』とか言って新聞渡せばよかったな。」
みたいなことを言われ、そういうネタもありかなあ、とちょっと恐い事を思いつつ船の旅は続いた。

 いいかげん嫌になってきた頃(すでに日は落ちていました)、ようやく苫小牧港の明かりが!!
Steven:「翼よ!あれがパリの灯だ!!」
ニンフィ:「翼ってどこよ……というか、パリって……。」
 20時間近くフェリーに乗っていた(まあ、こんなもんまだまだ大した事ないんでしょうけど)
私にとって、この瞬間はちょっとした感動を覚えた。
 飛行機旅行では絶対に味わえないであろうこの感覚、一度も味わったことのない人がもしいたら、
「一生に一度はフェリーを使って旅行してみろ!」と声を大にして言いたい。

 さて、このフェリー、出航が3時間ほど遅れた、という話はさっきしたはずだ。
到着もほぼ3時間遅れてくれました。苫小牧に到着したのは午後10時。
苫小牧港から苫小牧市街に出るバスが既に全て終わっている……。
しかも、タクシー乗り場にもタクシーの気配がまったくない……。
 こんな時、人はどうするか?
 

ニハーン氏:「なあなあ、やっぱタクシー来るまで待とうよぉ。」

ニンフィ:「(ほんと、もう、あたし、疲れちゃったわ。)」

トニー氏:「何言ってるんだよ。そんな高いもの使えるわけないだろ?」

(何しろ旅行資金がとても少ない。移動費滞在費すべて込みで私は10万円しか持っていなかった
 トニー氏はそれ以下だったはず)

Steven:「そうそう、こういう旅のほうが楽しいぞ!」

トニー氏:「というわけで2対1で歩くことに決めるぞ。」

Steven:「民主主義の勝利だ。」

ニンフィ:「(ちょ、ちょっと、あたしは人数に入ってないの!?)」

Steven:「(ああ〜ん、タレがどぶねずみだってぇ〜ん?)」

ニンフィ:「(第一、それって民主主義って言わないわよ!ただの数の暴力じゃない!)」

Steven:「(いいんだよ!!無茶を通すのが漢の生き様って奴なんだ!)」
 

 というわけで、苫小牧港から苫小牧市街へ向かって歩き始めたのはいいのだが、
荷物が非常識な重さのニハーン氏は、絶望的な表情を浮かべている。
 市街に向かう途中、そう、ちょうど1キロちょっとぐらい歩いた頃だろうか、
目の前に一軒のコンビニが現れた。
私達は、力尽き果てそうなニハーン氏を休ませるため、そして、苫小牧市街に出るにはどっちに
向かえばいいのかという情報を聞き出すため(迷ってた、とも言えるかも)、
そのコンビニに立ち寄ることにした。
 

客A:「おお?お兄ちゃん達、苫小牧駅まで行くのかい?だったらそこまで乗せていってやるよ。」
 

 この超親切なコンビニの客Aさん(名前は知らない。おっさん……もとい、ナイスミドルでした)
のおかげで体力の無駄な消耗を大幅に押さえることができた。
というか、もし、この後歩いていたら歩いてたら全員死亡していたかもしれない。
そのぐらいの距離(多分時速100キロ近く出てる車で5分間ぐらい乗ってましたからね。
約8キロ近くは走ったようです。歩いてたら確実に全員死亡してました)を乗せてくれた。
 ああ!!神様って、本当にこの世にいるんですね!!
不真面目に礼拝に通ってたボクのことも助けてくれるなんて、なんて太っ腹!!
(プロテスタント系の学校に通ってたもんですから。ちなみに、私自身は無宗教です)

  さて、苫小牧市外についた我々だったが、当然のことながらほとんどすべての店はすでに閉店。
奇跡的に開いていたラーメン屋で遅すぎる夕食を取ると、私達は、苫小牧駅へ向かった。
 今日の宿泊予定地である薄野(すすきの)行きの電車が終電行っちゃったあとだよぉ!!
仕方なく、苫小牧のホテルに宿泊しようと思ったのだが、駅員から聞き出した話によると、
お茶の会」とかいう連中がこのあたり一帯のホテルを全て占拠(?)しているため、
苫小牧のホテルに宿泊するのは無理なのでは、という無情な一言。
 

ニハーン氏「ハァ!?」

トニー氏「というか、誰だよ、『お茶の会』って!!」

Steven「カ・エ・レ!!」
 

 「お茶の会」をこの手で叩き潰したやりたいという衝動に駆られたのは
私だけではなかったはず。
 この時点で、我々の脳裏には「野宿」という単語がちらつき始めていたが、
さすがにそれは避けたかった私の押しの一手で、とりあえず電車の始発が出る時間まで
ひたすら時間をつぶし、始発に乗って薄野(すすきの)へ向かう、という案が採択された。
 ……これって、要するに「徹夜する」という意味じゃないんですか……?
なぜ旅先で、しかも二日目に徹夜なぞしなければならんのだ!?
なんか根本的な所間違えてないか!?
 出発前日の日に荒れ狂っていた台風15号はやはり私達の運命を暗示していたに違いない、
と私が確信した瞬間だった。

 ほとんどすべての店が既に店じまい状態で、正直言って私は途方にくれたが、
居酒屋に行こうということになり、とりあえずホッと胸をなでおろす。
 ……なぜなら、この時点で私の体は既に限界を迎えていたからだ。
あの、こう見えても私は平日は10時、遅くても11時には寝る人間なんですけど……。

 資金が極端に乏しい私達は、あまり派手に酒を飲みまくるわけにもいかず、
(二ハーン氏、トニー氏は結構お酒飲んでましたけど、酔っ払うほどではなかったです)
ちびちびとお酒を飲みながらまったりとした時間を過ごす。
 午後10時から午前5時(大体始発はこのぐらいの時間だったと思います)まで粘れるか!?
最初は絶対無理だと思ってたんですが、尽きることなく湧き出す馬鹿話のネタ。
みんな、さすがに「ネターズ」だけはある。というか、中学高校時代も馬鹿話ばかりしてたからなぉ。
結局、午前4時30分頃(だったと思います。はっきり言ってこの前後の記憶はあいまいなんで、
数字の信憑性は0に近いです)、店を出る。これだけ粘った客も珍しいだろう。
 時間をつぶさせてくれたお礼に思わず宣伝しちゃいます。

 私達が時間をつぶしたのは「魚民」という居酒屋です!
サービス最高!6時間近く粘っても嫌な顔ひとつされない最高の居酒屋です!!
今度飲み会があったらぜひ利用したいですね!!
というか、絶対利用します!!命の恩人ですから!!

 と、まあ、「魚民」の宣伝はこのぐらいにしておいて、続きは9月14日の方に。

ニンフィ:「ところで、『あずましく』って何なの?」
Steven:「ああ、薄野(すすきの)で見かけたんだけど、このあたりの方言らしいよ。」
ニンフィ:「意味は??」
Steven:「『ゆっくりと』ってな意味らしい。俺の中では標準語に格上げされたよ。」
ニンフィ:「しかし、ちょっといくらなんでもこれは『あずまし』過ぎじゃない?」
Steven:「それを言うな、それを。俺だってそう思ってたんだから。」
 

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9月14日「日常」(写真はこちら
 朝、5時ごろだったんじゃないかと思うが、とりあえず急行電車に乗り、
(正直言って少し痛い出費だったが、私達の肉体、精神共に既に空中分解寸前だったため、
 さっさと乗り込んでしまうことにしました)
札幌を目指す。札幌に入ってしまえば、もう薄野(すすきの)など目と鼻の先である。
(札幌駅から5〜10分ぐらい、かな?)

 快適な急行列車内で、思わず眠り込んでしまいそうになるが、「寝たら死ぬぞ!!」ネタ
というわけで(普通映画の中の雪山とかで「眠るなあ!!寝たら死ぬぞぉ!!」っていう
シーンがありますよね?私達の間では、これはただのネタです。寝たら攻撃されるんです)
眠ることを許されず、いきなり襲い掛かってきた眠気と必死に格闘する私達。
 苫小牧駅から札幌駅に向かったのだが、苫小牧駅を出た後いつまで経っても次の駅に
着かなかった時はかなり焦った。
ただ単に、駅と駅との間隔が途方もなく広いというだけの話だったのだが。
都会の電車ならば15,6駅ぐらい入ってても不思議ではないぐらいの
間隔だったのだが、北海道では一駅。凄い。凄すぎる。さすがにスケールが全く違う。

 結局、薄野(すすきの)にたどり着いたのは午前7時ぐらい(だったと思います。)。
既に死にかけている私達は早速チェックインして即寝ようという意見で一致していたのだが、
 

フロント:「すみません、チェックインは午後3時からとなっております。」

3人:「(ハァ!?)」
 

 神は私達を眠らせない気か!!畜生!!神なんて、神なんて(以下自主規制)。
文句を言ってもしょうがないので、3時まで時間をつぶすことに。
とは言っても、まだ午前7時。時間をつぶせるような店がやっている時間ではない。
だからといってこれからどこかに観光に行けるほどの気力が残っているわけでもない。
のんびり休めるところはないか……。と、探していたらちょうどいいところにカラオケ屋が。
 おお、カラオケなんて何年ぶりだろう。歌、歌えるかなぁ……?
なぜ北海道にまできて行くのがカラオケなんだ、という疑問はとりあえず横においておくことにして、
カラオケ屋に入る。

 って、元より満足に歌える体力が残ってなかったりするんだが。
  実際、昔聞いてた曲を数曲歌ったあとは意識が飛んでいた。
あの後何がどうなったのだろう?とりあえず、私は朽ち果てていた。
  でも、数年ぶりのはずのカラオケなんだけど、あっさり歌えた自分に少しビックリ。
体って覚えてるもんなんだなあ、と人体の神秘に少し感動しつつ、カラオケ屋を出る。
……カラオケは、あくまで体力回復のために入ってたんで、
(その割には全然体力が回復した気がしませんでしたが)
本格的な時間潰しは薄野(すすきの)市街の散策という事で。

 その際にゲームショップなんぞに立ち寄ってみたりして、
2本ほどゲームを購入。
・「ロマンシング・サガ3」(スーパーファミコン・箱、取説つき・500円)
・「ディープシーアドベンチャー・海底宮バンダラッサの謎」
(プレイステーション・箱、取説つき・1000円)
「ロマ・サガ3」は非常に有名なごく普通のRPGだが、「ディープ(以下略)」
なんて、聞いたことも見たことも無いぞ!?
存在自体が最大の『謎』なゲームを買ってしまう自分のことを、つくづく物好きだと思ってしまった。
(それ以前に北海道にまで来てゲーム屋漁りなどするな、という意見もありますが)

 その後、すでに私達の日常の一部となっているゲーセンへ。
いまや本州では絶滅寸前の「The House of Dead2」を久々に発見し、
思わず100円玉を突っ込んでしまった。徹夜明けのせいか、なぜか全く狙いが定まらず、
1面で死亡という非常に不本意な結果に終わってしまったのがいまだに悔やまれる。
その他に……何かやったかもしれないが、全然記憶が無い。
徹夜明けのせいだろうか、だいぶ脳みそに支障が出始めているようだ。

 まあ、こんな感じで時間を潰し、午後3時。
やっとチェックイーン!!
私達が泊まったホテルは、なかなかリッチそうで、本来ならば私達のような貧乏学生が泊まれるような
ホテルではなさそうだったが、ここだけはフェリー会社で
手配してくれていただけあって、格安の料金でとまることができた。
 なにより、これで揺れないベッドで眠れるー!!
私にとっては料金うんぬんやサービスうんぬんよりも、とりあえず吐き気を催す
揺れるベッドから開放されたことが嬉しかった。
やっぱり、人間、大地に足をつけていないとね。

  二ハーン氏、トニー氏も、やはり休めることが嬉しかったらしく、
(散々フェリーで寝てたくせに!!と少しだけ思いました)
自分の部屋でゆっくりくつろいだ……と思いきや、トニー氏が自宅から持ってきた
PS2で、私が持ってきた「ブシドーブレード弐」を突然やり始めたではないか!
 隣の部屋からとんでもない爆音が聞えてきた時はよっぽど他人のふりをしようかと思ったほどだ。
どうやらこのホテルのテレビでゲームをプレイすると、音量調整がほとんど利かず、
とんでもない大音量になってしまうらしかった。
私達は、最も原始的で効果のある手法……スピーカーのコードを引っこ抜く……
を使い、非常に静かな「ブシドーブレード弐」を楽しんだ。
(元々「ブシドーブレード弐」は静かですけどね)
 が、まともなベッドの上に座った安心感からか、突然私はこらえきれない眠気に襲われた。
 

Steven:「ちょっと晩御飯の時間まで眠ってくるわ。」

二ハーン&トニー「いいよー。どうせ今夜の晩御飯はみんなばらばらに食べることになるだろうし。」
 

私が眠りについたのは大体午後5時ぐらい。
ふと気がつくと、時計の針が午後3時を指しているんだが……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 日付が変わっとるー!!!!!

「時が飛ぶ」感覚を生まれて初めて味わった。

Steven:「いやー、このときはビックリしたね。」
ニンフィ:「結局晩御飯食べそびれちゃったんでしょ?」
Steven:「そういうことになるな。そんなにお腹減ってなかったからいいけど。」
ニンフィ:「まあ、あなたは一食ぐらい抜いといた方が体によさそうだしね♪」
Steven:「なんだ、その『♪』は……。」

「ネターズ地獄行きの旅・後編」に続く