Difang [郭 英男]

解説
Difangは台湾の先住民族の一つである阿美(アミ)族の長老です。
彼の歌はアミ族に代々伝承されているもので(一部に彼自身が作曲したものもある) 言葉に特定の意味を持たせない所にAdiemusに通ずるものがあります。
また、彼は親戚や友人で構成された馬蘭吟唱隊(平均年齢60歳後半!)のリーダーでもあります。
彼の歌が世界的に知れ渡るきっかけになったのはEnigma「Return to Innocence」という曲中にサンプリングされて使用された時です。
その他にも台湾の総統選挙の際に各陣営が彼の曲をイメージソングとして使用していた事からもわかるようにDifangの歌はアミ族だけの音楽ではなく台湾そのものを象徴する音楽となっています。
また、1999年、2000年には来日公演を行っています。
ところで「郭 英男」の読み方ですが正しくは"クォ インナン"と読む様ですがDifang自身は来日時のインタビューで「日本の方は"かく ひでお"で構いません」と日本語(!)で答えていました。

(Difangが生まれた当時の台湾は日本の統治下にあり彼も日本語の教育を受けていたので日本語が話せるのです。長年使っていなかった為もうかなり忘れてしまった様ですが発音は比較的正確でした。)

なお、Difangは2002年3月29日の未明に風邪の悪化による敗血症の為に亡くなりました、享年81歳でした・・・。
また、Difangの奥さんもその20日後に亡くなったそうです・・・。

アルバム一覧
アルバム名 説明
Circle of Life
Difang(&馬蘭吟唱隊)のファーストアルバムです。
プロデューサーのDan LacksmanはあのDeep Forestのファーストアルバムをプロデュースした人物でもあります(バックの曲も彼の手による)。
この類の作品は歌を曲に合わせて編集してしまう事が多いですがこのアルバムの場合は歌には一切の編集を加えていません。
78歳(アルバム制作当時)の老人のものとは思えない力強く透明感のある声が聞き所です。
収録曲中の「酒飲む老人の歌」はあのEnigmaの「Return to Innocence」のサンプリング素材です。
ちなみにDifang達が着ている衣服はアミ族の民族衣装です。
ただしDifang本人はシンセサイザーやサンプリングを駆使したこのアルバムのつくりをあまり気に入ってなかったようです・・・。
Amis
Difang来日記念として企画されたセカンドアルバムです。
故にこの作品は10曲中4曲が日本人アーティストによってアレンジされていて、残りの曲はアカペラで収録されてます。
前作に比べると雰囲気が大人しい印象も受けるますがDifangの「清冽で侵し難い」声は健在です。
このアルバムにも「酒飲む老人の歌」がアナザーテイクとして収録されています。
あと解説書に収録されているDifangのサングラス姿は必見です!(笑)
across the yellow earth
Difang本人が「完璧な出来」と太鼓判を押してリリースされたアルバムです。
今作は台湾・香港・中国・マレーシアそして日本のアーティストがアレンジを担当しています(日本のアーティストは前作「Amis」と同じです)。
アーティストによって一部に電子音を取り入れたり男性・女性コーラスを組み合わせたりして様々なアレンジを行っていますが全体的には1stアルバムより2ndアルバムに近いつくりになっています。
今回の解説書にはスクーターに乗った郭夫妻の写真が掲載されています(もちろん必見です!)
The World of Difang
2002年に死去したDifangの追悼&Bestアルバムです。
2枚組になっていて1枚目は「Circle of Life」「across the yellow earth」からアレンジ版をピックアップしたもの、2枚目は「across the yellow earth」からアカペラ曲をピックアップしたものに未公開音源を追加したもの、という構成になっています。
ちなみにパッケージには姫神の星吉昭の追悼コメントが寄せられています。
Difangの歌声〜
Voice of Life-Difang
2009年に発売された追悼&ベストアルバムです。
CDとDVDの二枚組みになっておりCDは過去のアルバムからのベスト&「Circle of Life」の原曲を初収録したものです。
DVDは「Visiting Song」と「老人飲酒歌」のPVが収録されています。
特に後者のPVには生前のDifangの映像が多数収録されており貴重な映像資料となっています。

アルバム一覧
(関連作品)
アーティスト名 アルバム名 説明
V.A.
image2
feelシリーズと並んで最も売れている「ヒーリング系」コンピシリーズであるimageシリーズの第2弾です。
福岡ユタカの手によるニュースステーションオープニング曲「NS2000」をDifangと馬蘭吟唱隊がカヴァーしてます。
元々福岡ユタカが歌ったオリジナル曲もDifangに近い歌い方をしていましたがある意味本家でもあるDifangによるカヴァーバージョンはより曲全体に厚みと存在感を増したものに仕上がってます。
筆者が知る限りでは一般に流通しているものとしてはDifang最期の曲になってしまいました・・・。



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