Deep Forest (ディープ フォレスト)

解説
Deep ForestはMichel Sanchez(ミッシェル サンチェーズ)とEric Mouquet(エリック ムーケ)というフランスのアーティストによって結成されたプロジェクトです。
世界の民族音楽と現代的な音楽をミックスするというコンセプトで音楽を創らせたら彼らの右に出るものは無いと言ってもいいでしょう。
Deep Forestが今までにリリースしたアルバムは何れもまったく方向性が違いますがDeep Forestが好きな人は何れのアルバムも好むようで(もちろん筆者も)、「取り敢えずこのアルバムが良い」という薦め方が出来ないのが辛い所でしたが2003年にベストアルバムがようやく発売されたのでまずはこれから買うことをお勧めします。
ちなみにこの種のアーティストとしては珍しくコンサートも積極的に行っており日本でも何度かライブ活動を行っています。 (アルバム製作に手間と時間がかかるためコンサートを行う余裕が無い、音楽の製作手法上生演奏するのが難しい等の理由でコンサートを全くやらないアーティストの方が多いです)

まったくの余談になりますがEric Mouquetの配偶者は日本人(!)です。

2002年に「Music Detected」をリリースして以降沈黙を保ってきましたが2008年にEric MouquetがソロプロジェクトDeep Projectsを立ち上げました。
これはDeep Projectsの1stアルバム「Deep Brasil」の内容的にも事実上のDeep Forest後継プロジェクトといっていいでしょう。
よって本項ではDeep ProjectsのアルバムもDeep Forestのアルバムとして扱います。

アルバム一覧
アルバム名 説明
World Mix
アフリカのピグミー族に伝承されている歌(ユネスコの学者が収集したもの)に現代風ダンスビートをミックスして話題になったDeep Forestのファーストアルバム「アフリカン コーリング」(現在廃盤)にリミックス曲&新曲を追加した作品でDeep Forestの伝説はここから始まりました。
アルバムの雰囲気を一言で表すならば「神秘」と言えるでしょう。
ヒット曲「Sweet Lullaby」を収録しています。
ちなみにDeep ForestのCDやシングルのジャケットには必ずどこかにシンボルマークが存在しますがこれは周囲の円は森を意味しており、円内の記号は中国の象形文字で木を表すと彼等は説明しています(漢字の「木」の原型ということでしょうか)。
BOHEME
「突然、僕らの耳に東の風が鳴り響いた」という言葉が添えられてリリースされたルーマニア、ハンガリー、白ロシア、モンゴル、台湾を題材にしたDeepForestファンの間で最も人気・評価が高いアルバムです。
例えばモンゴルの民族音楽+ポーランドの民族音楽など一見すると滅茶苦茶とも思える組み合わせが、きちんと一つの音楽としてまとまっておりDeep Forestというアーティストの非常に高い力量が窺い知ることができます。
ホンダのシビックのCMで使用され話題になった「Freedom Cry」も収録されています。
Comparsa
「太陽」をコンセプト/テーマにしたキューバ、メキシコ、マダガスカル、アフリカを題材にした3rdアルバムです。
100歳(!)にして現役シンガーのマダム・サナの年齢を感じさせない声が圧巻です。
なお、今までは既存の素材をサンプリングして使用していましたが今作より一部を除いてアルバム作成のために新規に録音したものを使用しています。
「疲れを癒す」と言うより「元気を引き出す」サウンドが特徴と言えるでしょう。
Made in Japan
98年7月に日本で行ったライブを収録したアルバムです。
曲は上記3作からチョイスされていますがライブの為に全曲にアレンジが加えられ単なるベスト盤ではないです。
Deep Forestは日本以外でもライブ活動を行っているが特に日本のライブをアルバム化した理由は「パワーを感じたからだ」との事です。
ちなみに阿部2号さんのサイトで満点がついている数少ない作品のひとつです。
Strange Days O.S.T.
同タイトルの映画のサントラです。
ピーター・ガブリエルとのコラボレーションにより産まれたテーマ曲While the Earth Sleepsは隠れた佳作として人気があります。
またCoral Gardenはこのアルバムにしか収録されていないレア曲でしかもアミ族の歌がサンプリングされて使用されています。
断定はできませんがこの曲はDeep Forest+Difangのコラボレーションである可能性が高いです。
The Deseo Remixes
YESのリードシンガーJon Andersonの曲を様々なアーティストがリミックスした曲で構成されたCDでDeep Forestは「Deep Floresta」「Speed Deep」にて参加してます。
World Christmas
クリスマスをテーマにしたコンピレーションアルバムのシリーズの一つです。
Deep Forestは「アヴェ・マリア」のアレンジ版で参加してますが一見まったくの畑違いとも言える曲を見事に民族音楽っぽくアレンジしているのはさすがと言えるでしょう。
ジャケットイラストは今は亡き伝説のイラストレーター、キース・ヘリングの作品です。
Deep Forest以外の有名なアーティストとしてはジプシーキングスが参加してます。
Pacifique
フランスで公開された映画のサントラです。
Deep Forestが全ての音楽を担当していてジャケットにも恒例のシンボルが使われているためサントラと言うよりはまるでDeep Forestのニューアルバムに見えるかもしれません。
一応Deep Forest名義ですがこのアルバム制作の大半はEric Mouquetが手掛けているので実質的には彼一人の作品と言って差し支えないかもしれません。
BGMとして使われる事もあってか全体的に抑え目のサウンドではあるがDeep Forestの持ち味は健在です。
日本盤にはボーナストラックとPVが収録されてます。
Music Detected
正規のアルバムとしては4作目でインドや日本を中心としてアジアを題材にしてます。
過去の作品は題材・方向性が異なるとはいえ一環として「DF節」が存在していましたが今作では意図的に無機質的なサウンドの使用・メッセージ性の強い歌詞など明らかに「DF節」に対してさえ根本的な変革を加えているように感じられます。
「Will You Be Ready」では日本のPOPS界でも急速に知名度が増した元ちとせが歌う奄美の島唄「糸繰り」が使用されてます。
(余談ですがDeep Forestは元ちとせがメジャーデビューする前に彼女を起用しました)
また国内盤のみのボーナストラックとして葉加瀬太郎が参加した「Tokyo Street」が収録されてます。
Essence of
Deep Forest
Best of 1994-2003
Deep Forest初のベスト盤で「World Mix」「BOHEME」「Comparsa」「Music Detected」の代表曲が収録されているのでようやくDeep Forestの初心者に無条件で勧める事の出来るアルバムです。
その上に今回新たに書き下ろされたリミックス曲や「While the Earth Sleeps」も収録されているので既に過去のアルバムを所有している人にも買う価値があると言えるでしょう。
Essence of The Deep
上記Essence of Deep ForestとタイトルもジャケットもコンセプトもそっくりなアルバムですがEssence of Deep Forestに収録されていないリミックスやYoussou N'Dourとのコラボレーション曲である「Undecided」が収録されているもう一つのベスト盤とも言える作品です。
草の乱 O.S.T.
秩父事件120周年を記念した製作された映画「草の乱」のサントラで曲は全てDeepforestによるものです。
映画の内容を崩さない為にピアノ主体で「DF節」は抑え目な作りです。
海外のアーティストが「日本」を描写しようとすると琴や尺八などを多用しがちですがDeep Forestはそんなステレオタイプな手法に頼ることなく見事に「日本」を表現しています。
このアルバムはDeep Forestがいかに海外の文化に敬意を払っているのかを知る事が出来る作品に仕上がっています。
Deep Brasil
Deep Projectsの1stアルバムであり事実上のDeep Forestの5thアルバムです。
タイトルからも伺えるようにブラジルをコンセプトにしつつDeep Forestの原点への回帰を目指した内容となっています。
内容的にはもちろん1stアルバムに近い雰囲気で全体的にシンプルかつ清涼感のあるサウンドが心地いいです。
収録曲「Sweet Lullaby Brazilian version」はSweet Lullabyのリミックスというより再構築といっていいほど大胆に手を加えられていますがおなじみのフレーズがさりげなく埋め込まれています。
Deep India
Deep Brasilの次のアルバムを目されていた「Deep Africa」の相次ぐ延期のなか突如発表されファンを驚かせたDeep Projectsの2ndアルバムです。
インド楽器のサントゥール奏者であるRahul Sharmaをフューチャーした作品で独特の透明感のあるサントゥールの音色が心地よい作品に仕上がっています。
それ故にボーカルはDeep Forestにしては抑え目に使用されています。
なおEricはDeep Indiaの続編を作る構想があることを表明しています。
Deep Africa
2010年のプレオーダー受付開始から相次ぐ延期により足掛け3年でようやく発売された作品です。
アフリカを題材としたこのアルバムはまさに「原点回帰」と言えるでしょう。
とは言え既にサンプリングされた素材をベースにした1stアルバムとアルバムのために曲を書き下ろす手法をとっている今作をを聞き比べてDeep Forestの創作スタイルの変化を感じ取るのも一興かと思います。
ただ個人的には今作はエネルギッシュな曲が多いので例えば「Sweet Lullaby」の様なしっとりとした曲を入れてみたり1stアルバムのセルフカヴァーを入れるような遊び心が欲しかったです。
evo devo
タイトルは「Deep ○○」では無く生物学の最新トレンドであるEvolutionary Developmental Biologyの略で進化発生生物学を意味するタイトルを冠しています。
しかし内容的にはタイトルに反してボーカルに大胆なアレンジが加えられておりDeep Forestの初期作を思わせる作りになっています。
実際収録曲『Somewhere』には1stアルバム冒頭のフレーズが使用されています。
近年のDeepシリーズに拘り過ぎてマンネリ化してしまう愚を回避した良い方向性に仕上がっていると思います。
Epic Circuits
エレクトロニカ・ダブ・プロデューサー/ミュージシャンであるGAUDIとのコラボ作品です。
ダブとはレゲエ音楽を過剰なエフェクトをかける事によって原曲を全く別に作り変えるリミックスの元祖とも言える音楽的手法です。
音楽的傾向は前作evo devoに近いですが意外と大人しい印象です。
人によっては地味に感じるかもしれません。

アルバム一覧
(関連作品)
アーティスト名 アルバム名 説明
Michel Sanchez
windows
Michel Sanchezのソロアルバムです。
「窓の中のに映し出される様々な風景」と言うコンセプトが示すように様々な音楽的素材を使用されていてブルターニュケルトのみをテーマとしているDao Deziとは対照的です。
Dao Deziと比較するとこちらの方がDeep Forestに近い雰囲気を持っています。
Hieroglyphes
Michel Sanchezのセカンドソロアルバムです。
中東の音楽をベースにしているようですがかなりアグレッシブな音作りでこのページに取り上げられている作品の中でも一番の異色作です。
このアルバムでもMichelのピアノソロを堪能することができます。
Dao Dezi
World Mix Album
Eric Mouquetの別プロジェクトによるアルバムです。
フランスのブルターニュ地方に伝わるケルトミュージックを題材にしてます。
ケルティックミュージックと言うとアイルランドのEnyaに代表されるアイリッシュミュージックの事を指すと思われがちですがこのアルバムは「もう一つのケルティックミュージック」を聞かせてくれます。
Enyaの音楽を「優しい女性的な音楽」とするならばこちらは「男性的な力強い音楽」と言えるでしょう。
なお、このアルバムの国内盤は廃盤になったため入手が極めて困難で筆者も中古ショップで偶然見つけました。(輸入盤はオンラインショップならば比較的容易に入手できます)
Pangea
Pangea
Deep ForestファーストアルバムのプロデューサーであるDan Lacksman(ダン ラックスマン)の手によるアルバムです。
雰囲気もDeep Forestファーストアルバムを明るくしたような感じでかなり似ていて、恐らく同じ素材を使用していると思われます。
余談ですが、ライナーノーツの背景には色々な国の文字で「その名はパンゲア」と書いてありますが日本語では「その名はパンジエア」と書いてあります。
WES
Welenga
Wes Madiko(ウエス マディコ)というカメルーン出身のアーティストをMichel SanchezがプロデュースしたアルバムでWesの素朴で優しい歌声が耳に心地よいです。
彼はDeep Forestのライブにボーカルとして参加したこともあります。
また以前「生茶」のテレビCM曲として収録曲が使用されて話題になりました。
現在2ndソロアルバムもリリースされていますがこれにはMichel Sanchezは関わっていません。(内容も純粋な民族音楽に近いです)
Difang(郭 英男)
Circle of Life
台湾の先住民族であるアミ族の長老が歌う歌にこのアルバムのプロデューサーであるDan Lacksmanが曲を付けたものです。
詳細はDifangの項目をご参照ください。
Catherine Lara
aral
フランスのバイオリニストのアルバムでEric Mouquetが全面的にプロデュースしていて「Deeplara」という曲ではMichel Sanchezも参加してます。
Deep Forestとは異なった切り口からヨーロッパ的な要素とエスニックな要素の融合した音楽を聴かせてくれる作品に仕上がってます。
なお、日本盤にはPVが収録されてます。
Au delà des murs
CD+DVDで構成されているEric Mouquet全面参加のCatherine Laraの新しいアルバムです。
CDは今回の新譜で全曲Ericのアレンジが入っておりDeep Forest的な要素をあちこちで感じ取ることが出来ます。
aralに比べるとバイオリンがより前面に出たつくりになっています。
DVDには彼女のライブが収録されており使用曲の大半は今作の曲です。
宮本 文昭
Air
新進気鋭の日本のオーボエ奏者である宮本文昭のアルバムでリードトラックの「Magic in the Air」をEric Mouquetが手掛けてます。
もちろんオーボエ曲がメインですがそこかしこにエスニックな歌声が使用されていてDF節はこの曲でも健在です。
その他の曲はエキセントリック・オペラの書上奈朋子が作曲してます。
Mauro Picotto
The Album
Mauro Picottoはイタリアやドイツで有名なDJでクラブ系ミュージックの作品を発表していてこれは彼のベストアルバムです。
この中の「Komodo」という曲は一部で「Sweet Lullaby」と同じ素材を用いていて、その為に「Sweet Lullaby」と似たフレーズが存在します。
(そういう訳で厳密にはこれはDeep Forestの関連作品ではないのですが)
ちなみに「Proximus with Adiemus」も収録されています。
V.A.
Live Image+
大ヒットした「ヒーリング系」コンピシリーズであるimageに曲を提供したアーティストを集めて行われたコンサートの様子を収録したDVDです。
「Freedom Cry」「マイ・フェイバリット・シングス」にてDeep Forestの演奏する様子を見る事ができます(DVDには収録されていませんが当日は「Sweet Lullaby」や「Magic in the Air」も演奏していたそうです)。
なお、このライブでの共演がきっかけとなって葉加瀬太郎がDeep Forestの次のアルバムに参加する事にりました。
元 ちとせ
ハイヌミカゼ
「Music Detected」でボーカルワークを提供した元ちとせの1stソロアルバムです。
収録曲「凛とする」はEric Mouquetが彼女の為に書き下ろした曲です。
「Will You Be Ready」では彼女のボーカルはバックコーラス的な使われ方をしていたのでこちらの方が本格的な「Deep Forest+元 ちとせ」の作品と言えるかもしれません。
V.A.
Musica De Los
Dioses V.1
スペイン(?)のコンピレーションアルバムで「Sweet Lullaby」のカヴァー曲が収録されてます。
アレンジはオリジナルのイメージを損なわないような程度のアレンジなので素直に聴く事ができるでしょう。
他にもAdiemusEnigmaeRa、Wesのカヴァー曲も収録されています。



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