中級室 プレイ計画と関連手法 3 2003/02/03
目次    
 
   

 長いスーツと絵札の効用

ノートランプでは、ラフがありませんから、長いスーツと絵札の多いスーツはトリックを大量に確保できます。
これをスーツエスタブリッシュメントといいます。
エスタブリッシュでは、リード権の移行を伴うので、リード権をオポーネントに渡しても大丈夫な時に使います。

□ トップアナーのあるソリッドスーツ

例1 AKQJ432 65

リード権をとれば、7トリックとれます。

例2 AKQJ4 6532
例2a J5432 AKQ6

枚数、絵札が同じでも5トリックしかとれません。

例3 J65432 AKQ

枚数、絵札が同じでも、エントリーがなければ、3トリックしかとれません。

例4 AKQ5 432

オポーネントが3−3の分かれなら、5がウイナーになり、4トリックとれます。

□ トップレスのソリッドスーツ

トップアナーを追い出せば、残りのアナーでトリックをとれます。
注意事項:追い出すたびに、リード権はオポーネントに渡ります

例1 KQJ10 652

Aを追い出せば、3トリックとれます。リード権の移行は1回ですみます。

例2 QJ107 953

この場合は、A,Kを追い出さなければなりません。リード権の移行は2回になります。2トリック確保できます。

□ アンソリッドスーツ

アナーがソリッドでない7枚以上のスーツはスポットカードがウイナーになります。

オポーネントのカードの分れに対し、長さだけでとれるトリック数を調べてみましょう。

7枚 4-3 6-0 (0) 5-1 (0) 4-2 (0) 3-3 (1)
5-2 6-0 (0) 5-1 (0) 4-2 (1) 3-3 (2)
8枚 5-3 5-0 (0) 4-1 (1) 3-2 (2)  
6-2 5-0 (1) 4-1 (2) 3-2 (3)  
9枚 5-4 4-0 (1) 3-1 (2) 2-2 (3)  
6-3 4-0 (2) 3-1 (3) 2-2 (4)  
7-2 4-0 (3) 3-1 (4) 2-2 (5)  

第1列は味方の枚数、第2列は味方のスーツの分かれ、第3列以降はオポーネントのスーツの分かれ、( )はトリック数です。第1列は味方の枚数、第2列は味方のスーツの分かれ、第3列以降はオポーネントのスーツの分かれ、( )はトリック数です。

長さが効いてくるのは7枚からで、最低1枚です。長さが長いほど、アンバランスが大きいほどトリックが多くとれます。

例1 A98765 432

3−1の分かれでも、4トリックとれます(90%)。リード権放棄2回。

例2 AQ876 532

3−2の分れで、フィネスが成功すれば、4トリックとれます。
フィネスが失敗すれば、3トリックです(68%)。

例3 Q1065432 97

3−1の分かれでも、4トリックおれます(90%)。A,KSにあれば、5トリックとれます。

例4 AQ5 J3

確実に2トリックとれます。リード権放棄1回。

例5 AK7654 32

オポーネントが3−2のわかれなら、5トリックとれます。リード権放棄1回。

 
       
    
 エスタブリッシュする時の注意

エスタブリッシュは、リード権をオポーネントに渡しますから、ストッパーがあるうちに実行しなければなりません。
ストッパーが不充分な時はホールドアップでオポーネント間の連絡を遮断したり、アボイダンスで危険なオポーネントにリード権を渡さないようにします。

また、エスタブリッシュを完成するには、長いスーツのあるハンドへのエントリーが必要です。サイドスーツにエントリーがない時は、ダッキングを使います。

       
 

 ホールドアップ

オポーネントがオープニングリードしたスーツのストッパーがAだけの場合、すぐ取らないで、オポーネントのパートナーがリードバックできなくなるまで待って取るのをホールドアップといいます。

リード権移行が1回の場合にガイドラインがあります。
リード権移行が2回必要な場合はホールドアップ回数を多くする必要があります。

□ リード権移行が1回の場合

次のデールはダイヤモンドで1回リード権をオポーネントに渡せば、ダイヤモンドでトリックを補充できます。

例題1 3NT/W OL= 5
 
AQ9
A84
J932
K54
K32
73
AQ1087
A98

この場合、ストッパーがAだけのときに何回ホールドアップすればよいかを示す指針があります。

ルール・オブ・セブン
ホールドアップ回数=7−(自分達の枚数)

例題1では、7−5=2。2回ホールドアップし、3トリック目に勝ちます。そして、WからJをリードしてフィネスします。
失敗しても、Sはリードバックできず、スペード、クラブにはストッパーがあるので、Wは残りのダイヤモンドで4トリックとれます。

KQx の場合は、リード権をRHOに入れる場合は、Axxとみなしてホールドアップします。リード権をLHOに渡す場合はすぐとります。

例題2 3NT/W OL= 6
   
A94
KQ4
K842
Q32
K2
532
A103
AJ1096
1回ホールドアップし、3トリック目にリード権を得て、Q をリードします。

例題3 3NT/W OL= 6
   
A94
KQ4
K2
AJ1063
K32
532
A1083
Q92
すぐとり、スペードでダミーに入り、
Qをリードする。

練習問題です。ANSにカーソルをおけば、答えがでます。

練習1 3NT/W OL=5
   
A93
AQ5
K63
J1076
84
J84
AQJ
AQ942
W N E S
1C / 1D /
1NT / 3NT A.P.
ANS

□ リード権移行が2回の場合

リード権移行が2回の場合は Rule of 7 は使えません。AKがあっても、1回はホールドアップします。

例題1 3NT/W OL=Q
   
K93
AQJ
A109
Q432
A74
K10
K87
J10985
W N E S
1NT / 3NT /
/ //    
 
ウイナーは7個。足りない2個はクラブで補充するよりありませんが、2回、リード権をオポーネントに渡します。
スペードの分れが4−3なら、スペードで2トリック、クラブで2トリックとられるだけなので、コントラクトはつくれる。
スペードの分れが5−2でも、クラブのAとKが分散していれば、ホールドアップで、スペードで走られるのを防げます。
1回目はホールドアップして、2回目にとり、クラブをプレイする。
Sで勝っても、リードバックできない。Nで勝っても、スペードにストッパーがある。次のクラブでEが勝っても、リードバックできない。これでクラブで3トリックとれます。

練習1 3NT/W OL=6
   
K109
K7
KJ109
AK108
QJ5
A83
Q432
Q65
W N E S
      2H
2NT / 3NT A.P.
ANS

 ホールドアップをしない時

ホールドアップする理由は、オポーネントに走られないように、オポーネント間の連絡を断つためです。
走られても被害がない場合とか、ほかに致命的な理由があるときは危険でもホールドアップしないことがあります。

□そのスーツに予備のストッパーがある時

例題1 3NT/W OL= 2
 
AK4
A32
104
KQ432
1095
J108
KQJ98
A5

この例では、ウイナーは6個。3個はダイヤモンドで補充できます。
直ぐとって、ダイヤモンドでリード権を渡しても、スペードにまだストッパーがあります。

□とられるトリックが許容値以下の時

例題2 3NT/W OL= 3
 
9752
AK
AKJ9
1094
A4
J86
Q32
KQJ85

この場合、ウイナーは7個。2個はクラブで補充できます。
Nのスペードは4枚ですから、直ぐとっても大丈夫です。

□他のスーツをリードされると困る時

例題3 3NT/W OL=Q
   
Q104
A108
AKJ54
94
A
754
432
KQJ1032
W N E S
1D / 2C /
2NT / 3NT A.P.

この場合、ウイナーは4個。5個はクラブで補充するしかない。
ホールドアップすると、オポーネントはスペードをリードして、Aを追い出してしまう可能性が大。クラブが走れない。そこで、危険を承知で、Aでとり、直ぐクラブをプレイします。

 

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