デフェンスの常識 3

2004/5/30


デフェンスの基本
パートナーのリード
オポーネントのリード
自分からリードする
デスカード

 

 自分からリードする場合

第2トリック以降で,リード権を確保した時,次の要領でリードします.

  • まず,パートナーのリードしたスートのリードバックを考えます.
  • リードバックが有効でない場合は,新スートをリードします.
  • ダミーに短いスートがあり,ラフされそうなら,切札をリードします.(計画の妨害)
  • 両オポーネントがボイドのスートはリードしない.(「ラフ・アンド・デスカード」防止).

■パートナーのスートをリードする

パートナーのオープニング・リードは次のような情報を知らせています,

  • ノートランプでは,
    アナーやローカードは,そのスートのエスタブリッシュを意図しています.
    ハイ・スポットカードは様子見でしょう.
  • スートコントラクトでは,
    アナーやローカードは,そのスートが強いことを示し,
    ハイ・スポットカードはシングルトンかもしれません.

したがって,リード権を得たら,これらを否定する情報がない限り,または,明らかに不利でない限り,そのスートをリードバックします.

特に,ノートランプコントラクトでは,そのスートが5枚以上なら,リードバックを優先しなさい.

□ リードバックするカード

リードバックするカードについは,次の定石があります.

(1) 3枚スートなら,トップカード.
(2) 4枚以上なら,オリジナル・フォースベスト.
(3) シーケンスなら,トップカード.

(A) 654  
2
A93

Aで勝ったら,9をリ−ドします.
ハートの分布は下図のとおりです.



(B) 654  
2
AQ73

この場合は,Aで勝ったら,3をリ−ドします.


□ 練習問題

EKをプレイして,勝ちました.どのカードを返しますか.
(x)に触ると,答がでます.

  53      
4 (1) K86
  (2) K962
  (3) KJ7
  (4) AK8
  (5) KJ1082
       

■ 新スートをリードする

新スートをリードする時,有効な情報がなければ,味方がトリックを取れそうなスートを選びます.

□ スートの選択

よく使われる定石は「右にみては弱いもの,左にみては強いもの」です.
「弱いもの」とは,オポーネントがトリックをとれないスートを,
「強いもの」とは,不連続な絵札のあるスートを指します.

いずれも,パートナーにアナーがあれば,トリックのとれそうなスートです.

● 右に見ては弱いもの [Lead up to weakness]

ダミーが右側になる時のガイドラインです.

コントラクトが4H/Sで,パートナーのオープニングリードは
2です.

(A) K86
AQ7
AQ3
8765
 
2 AJ10
64
K984
Q742

2-6-10-Q と進行し,ディクレアラーは切狩りをした後,ダイヤモンドのフィネスをしてきました.これを,Kで勝ちました.

Eは,パートナーにスペードをリードしてもらいたいところです.ダミーのハンドをみると(右に見ては),クラブが弱いので,クラブをリードします.
幸い,WJで勝ち,(スペードのA,JEにある可能性が大きいので)スペードをリードします.EJ,Aで勝ち,クラブを返します.(Wが最初Jで勝ったので,Aをもっている可能性大).


● 左に見ては強いもの [Lead through strength]

これは,ダミーが左側になる場合のガイドラインです.

(B) 1086
KJ72
QJ5
J105
 
AKJ5
864
984
Q42
6

コントラクトが1C/Sで,Kをオープニング・リードしたら,パートナーは2をプレイしました.それで,Wはスペードのリードを中止し,他のスートを検討します.

パートナーのHCP6なので,絵札はあります.
この場合,「左にみては,強いもの」にハートが該当するので,ハートの8をリードします.
幸いなことに,パートナーのハートはAQ3でした.

□ カードの選択

スートが決まったら,カードを選びますが,この場合の定石は次のとおりです.


  • アナーがあれば,ローカードをリードする.
    (Low from strength)
  • アナーがない時は,高いカードをリードする.
    (Top of nothing / 2nd highest)

(A) K86
A
A3
8765
 
  AJ10
-
984
Q742

この場合,「右に見ては弱いもの」はクラブです.

クラブにQを持っているので,2をリードします.


(B) 109
AQ7
75
Q65
 
-
983
A10
AKJ64
 

この場合は,ハートに不連続な絵札があり,これが,[左に見ては,強いもの」に該当します.

ハートに絵札がないので,9 (top of nothing) をリードします.
ハートが9863なら8 (2nd highest)をリードします.


■ その他

 

□ ラフ・アンド・スラフはしない

オポーネントが共にボイドのスートをリードすれば,一方がそれをラフし,他方がルーザーを捨てることができます.これを,「ラフ・アンド・スラフ 」 (Ruff and Sluff) 又は「ラフ・アンド・デスカード」といいます.

したがって,このプレイは利敵行為になります.

  76
108
-
-
 
K4
-
8
J
J9
-
4
Q
  A8
A4
-
-

切札はハートで,Wがリード権をもっています.

ディクレアラーは3ウイナーあります.Wがスペードをリードすれば,トリックは増えませんが,マイナー・スートをリードすれば,Sはダミーのスペードを捨てて,ラフします.4トリック全部をとられてしまいます.

 

 

□ ディクレアラーにラフさせる

一般に,ダミーの切札はルーザーのラフ用で,ディクレアラーの切札はドローイング用です.したがって,ディクレアラーにラフさせると,切狩り力が減少することになります.

  K32
872
A105
7642
 
10976
Q43
76
AKQ9
4
10965
K832
J1085
  AQJ85
AKJ
QJ94
3

コントラクトは4S/SWKをリードし,次のQSはラフします.これで,ディクレアラーの切札は4枚になり,走れるスートがないので,ダウンします.
ディクレアラーはダイヤモンドのフィネスをしなければ,コントラクトをつくれません.4回切狩りをすると,ダイヤモンドのフィネスに失敗すればクラブに走られていまいます.E-Wの切札が3-2の分れなら,切札が1枚残るので,この方法でも,コントラクトはつくれます.

Wが2トリック目をダイヤモンドに切り替えると,このコントラクトはメークします.

このように,切札が長いときは,ディクレアラーに自分達の強いスートをラフさせたほうが有利です.


□ スート・プリファランス・シグナル

パートナーに,リードするカードで,リードバックするスートを知らせる方法があります.これを,スート・プリファランス・シグナル(Suit preference signal)といいます.切札とプレイ中のスート以外のスートから,希望するスートを,プレイするカードのランクで知らせます.

低いカード=低ランクのスートをリードせよ.

高いカード=高ランクのスートをリードせよ.


例01
4S/S
AQJ6
1096
Q92
K9
 
54
AKJ854
87
A64
743
7
J1063
J7532
  K1098
Q32
AK54
Q8

WKをリードして,パートナーから7がでたので,次に A をプレイします.パートナーはデスカードしました.

このとき,3トリック目にリードするカードに意味があります.

W4をリードします.これは,ハートと切札以外のスーツの選択情報を送っています.低ランクなので,クラブを示しています.Eはラフした後,クラブをリードします.これで,ダウン1.

例02
4H/S
AQJ10
AQ43
75
754
 
2
1098
10643
Q9863
K9873
62
J98
AJ10
  654
KJ75
AKQ2
K2

W2をリードして,ディクレアラーは10をフィネスします.EKで勝ちますが,ダミーのスペードをみて,2はシングルトンと推定します.

それで,3をリードします.

Wはラフして,クラブをリードします.EAでとり,スペードをリードし,ラフさせます.


 

 デスカード

ノートランプや切札が使えない場合,オポーネントのスート,または,パートナーのスートにフォローできないときは,他のスートのカードをデスカードしなければなりません.デスカードによって,勝負がきまることがありますので,スートの選択は慎重に行います.また,捨てるカードで,シグナルを送ることができます.

 

■ スートの選択

主なガイドラインを示しておきます.

● ダミーの4枚スートを残す

ダミーの4枚スーツをカバーできる4枚スートを捨てないようにします.

例01 A1087
AQ65
 
  6532
10832

この場合,残すなら,ダイヤモンドです.ダイヤモンドの分れが4-3-3-3なら,ダイヤモンドをデスカードすると,ダミーの
6がウイナーになります.

 
02
3NT/S
104
932
AQ83
A1098
 
Q6732
AJ
J10
6542
KJ6
Q874
9742
73
  A95
K1065
K65
KQJ

オープニング・リードは3で,ディクレアラーは3トリック目に勝ち,クラブを走ります.
E2枚デスカードしなければなりません.ダイヤモンドを捨てると,ダミーの8がウイナーになり,コントラクトを作られてしまします.
ハートをデスカードします.

7,4の順に捨てます.

 

● シークエンスを捨てる時は,トップから

シーケンスのあるスートをデスカードする時は,シークエンスのトップから捨てる約束になっています.


4S/S
K1092
43
84
J7654
64
A76
KJ92
AQ93
5
QJ1098
Q1075
1082
  AQJ873
K52
A63
K
 

6のオープニング・リードに対し,ディクレアラーはダミーのKでとり,クラブをリードします.WAで勝ち,スペードをリードします.Eはデスカードしなければなりません.この場合,ハートを捨てますすが,シーケンスのトップ,Qをデスカードします.

 


■ シグナル

最初にデスカードするスポット・カードで,シグナルを送くることができます.

 

□ スタンダード

  • ハイ=このスートに関心あります.
  • ロー=このスートは希望しません.
  • ハイ・ロー=このスートをプレイしてください.
01
1NT/S
1082
73
K1062
K1062
KQJ63
J98
87
974
A5
10642
AQ93
J53
  974
AKQ5
J54
AQ8
 

Kのオープニング・リードに対し,Aでとり,5を返します.WQ-J-6-3とスペードを走ります.E9-3とデスカードして,パートナーにダイヤモンドのリードを知らせます.7トリックとって,1ダウンです.(2005/04/25)

 



デスカードの対象スートが2つある時,1方のスートでローカードをデスカードすれば,間接的に,他方のスートのリードを期待することになります.

02
3NT/S
10865
K73
108
QJ105
K42
J65
J972
A62
AQ97
9842
6543
4
  J3
AQ10
AKQ
K9873
 

2のオープニング・リードに対し,ディクレアラーはAでとり,クラブをリードします.Wは1回ダッキングします.ダミーから,続けて,Jがリードされます.ここで,Eはデスカードしなければなりません.スペードの強いことを知らせたいのでが,ここは,2をデスカードします.WAでとり,2をリードします.EAでとり,7をリードします.7-J-K-6とプレイされ,W4をリードします.これで,スペードで4つ,クラブで1つ取り,コントラクトはダウンします.

Eがスペードでシグナルを送っていると,スペードでは3つしかとれません.

 

 


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