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ゴースト・シップ /
Ghost Ship /
Meer des Grauens

Steve Beck

2002 USA/Australien 91 Min. 劇映画

出演者

Gabriel Byrne
(Sean Murphy - サルベージ船の船長)

Julianna Margulies
(Maureen Epps - サルベージ船のクルー)

Desmond Harrington
(Jack Ferriman - マーフィーに Antonia Graza の仕事を持ち込む男)

Ron Eldard
(Dodge - サルベージ船のクルー)

Isaiah Washington
(Greer - サルベージ船のクルー)

Alex Dimitriades
(Santos サルベージ船のクルー)

Karl Urban
(Munder - サルベージ船のクルー)

Emily Browning
(Katie Hargrove- Antonia Graza の乗客)

Francesca Rettondini
(Francesca - Antonia Graza の歌手)

Boris Brkic
(Antonia Graza の船客係の主任)

Robert Ruggiero
(Antonia Graza の船長)

見た時期:2003年1月

要注意: ネタばれあり!

見る予定の人は即座に退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

特殊効果も使ったハリウッド風のB級映画。ユージュアル・サスペクツのガブリエル・バーンが出なかったら誰にも知られず埋もれてしまいそうな作品です。なぜあまり評判になりそうにもない作品が大手の映画館にかかったのか分からないのですが、実際見てみると91分楽しく過ごせました。周囲を見まわすと高校生か就職したばかりの若者かと思われる人たちがカップルで来ていたり、友達を誘って来ていました。私の年齢では入場を禁止されるかと心配になるぐらい若い人ばかり。大きなポップコーンの袋を抱えている人もいました。Zoo Palast というベルリン映画祭も開催される大きな映画館の6番の小さいホールでしたが、ほぼ満員。前の回もかなり入っていました。ここはスクリーンから中央までは客席が徐々に低くなり、中央あたりから後ろにかけては徐々に高くなるという V 字型、スクリーンは小さ目で普通より高い所にあります。目の前のお客さんの頭が邪魔でスクリーンが見えないということはありませんから、問題は全然ありませんが、不思議な作りです。

入れ替え制なので外で待っていました。ちょうど予告編を次々に流すビデオを見ていたら、若い女の子が2人やって来て「今ビデオに映っている映画は何番のホールでやっているのか」と聞きます。どうやら1枚の切符で入場して、映画館中の映画を見て歩いている様子。こちらは映画館の従業員ではないので、その辺は深く追求せず「6番でないことだけは確かだ」と消却法の答。よく懸賞に当たるのでただで映画館に入ることはありますが、1枚の切符ではしごする勇気はありません。私の姿では目立ち過ぎます。なぜこういう可愛いおなごが2人も中年を越えてそろそろその先の世代に入ろうという私に話し掛けて来たのかは分かりませんが、ちょうど彼女たちはそのゴースト・シップを見たばかりでした。「おもしろいけれど、ドラマで、あまり幽霊の話ではなかった」などと言っていました。実はこれ全くの与太話で、幽霊の話でした。

それもかなり本格的な幽霊話。幽霊船もしっかり出て来ます。ただポスターに騙されては行けません。タイタニックのようなポスター、豪華客船をフォトショップか何かで骸骨と組み合わせてあるのですが、骸骨なんてほとんど出て来ません。しかしタイトルに恥じないれっきとした幽霊ホラー映画です。

ガブリエル・バーンがなぜ採用されたのかは良く分かりません。彼でなくてもいいという感じ。例えば作品自体はあまりいい出来ではありませんでしたが、スティグマータ 聖痕で演じたバチカン派遣の科学者兼調査員(宗教シークレット・エージェント)はカッコ良かったですし、ユージュアル・サスペクツではオスカーなどはよそに取られてしまいましたが、彼の出すムードは素敵でした。それに比べると、ゴースト・シップではあまり彼の良さが出ていません。その代わり他の若い共演者は冴えています。名前を前から知っていたのはワシントン1人ですが、アンサンブルがなかなか決まっています。ちょっと年上で経験のある船長マーフィーの下で体力、知力、技術をフルに生かして働くサルベージ船のクルーという役どころです。北欧系に見える人、アフリカ系、ラテン系の人などが混ざり女性も1人入っています。

話の舞台は1部1962年に遡るのですが、当時の映画と似たようなクラシックな作りです。豪華客船がある日突然無人になってしまいます。船上パーティーのさなか、何かのはずみにいきなり針金がピーンと張られてしまい、その針金がパーティー参加者の腰の高さをさっとなめたので、そこにいた人は小柄な子供1人を残して全員真っ二つ。キューブの冒頭で見たのと同じショックです。

話は現代に飛びます。ガブリエル・バーン演じるマーフィー以下数人のサルベージ・ティームはちょうど一仕事終えて分け前を山分けし、大いに喜んでいるところです。そこへフェリマンという若者が新しい仕事を持ち込みます。船の写真を見せて「これをみつけたら獲物は山分け」という話がまとまります。公海上で行方不明船をみつけると所有権が発見者に行くらしく、中に金目の物があったりすると大金持ちになれます。このクルーはどうやら法律はあまり犯さない様子。

船は無事みつかり、中に金の延べ棒があることも分かります。クルーの間で仲間割れ、金を一人占めするなどという愚行もありません。皆で分けても1人の人間の一生では使い切れない金額になるということが明確。問題は別な所に・・・。

船に幽霊が出て、皆はこの船に閉じ込められてしまいます。使っていたサルベージ船は爆発を起こして沈没。ここでクルーの1人を失います。その後次々と変な事が起き、メンバーは少しずつ減って行きます。この種の映画でよくあるクラシックな展開。幽霊が出るシーンなどは当然特殊効果。アドベンチャー映画風な面もあり、メンバーが潜水するシーンなどもあるので、子供の時見たビル船長ジャック・クストーの記録映画を思い出して中年も大喜び。近代的な装備を持った現代のハイテク・クルー、エンジンの無い帆船などではなく、もうテレビ、車などが一般化していた60年代に幽霊という妙な組み合わせもだんだん気にならなくなって来ます。

英語や西洋の言語ができてしまうとちょっと興ざめする人が出るかも知れません。私は幸い映画が終わってからチラッと人に聞いて思い出したのですが、登場人物の名前にネタばれがあります。ですから西洋文化に詳しい人が見ると、かなり始めのうちからある人を疑ってかかる可能性があります。西洋文化と言いましたが、実はこういう考え方は日本にも古くからあります。ここからは本当にネタがばれるので、別なページに書きます。どうしてもという人はこちらをご覧下さい。

幽霊船は1000年の伝統のある話で、その辺を小さなボートで訪ねるという次元を超え、大きな船で大海を行くようになったのと平行して出て来たようです。西洋だけでなく大航海をする文化圏にはこういう話があるようです。乗組員が全員死亡してしまうなどという事が起きると、幽霊が出なくても気味が悪いです。日本に少ない(無い?)のは、航海が近隣の国との間、海岸沿いなど限られていたからでしょう。

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