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ザ・クーラー / The cooler /
The cooler - Alles auf Liebe

Wayne Kramer

2003 USA 101Min. 劇映画

出演者

William H. Macy
(Bernie Lootz - カジノの従業員)

Alec Baldwin
(Shelly Kaplow - カジノ経営者)

Maria Bello
(Natalie Belisario - カジノのバーのウエイトレス)

Shawn Hatosy
(Mikey)

Ron Livingston
(Larry Sokolov)

Paul Sorvino
(Buddy Stafford)

Estella Warren
(Charlene)

見た時期:2003年8月、ファンタ

2003年 ファンタ参加作品

ストーリーの説明あり

ウィリアム・H・マーシーは巷でも最近ファンが増えていますが、ファンタ・ファンやインディペンデント・ファンからは熱狂的な支持を受けています。ザ・クーラーは会心の作。ファンとしては彼にこういう役を是非あげたいと思ってしまいますが、それを貰い見事に演じたマーシー。ついに勝者の微笑み・・・で、見事に惨めな負け犬を演じています。

ファンタ速報でもお知らせしましたが、ウィリアム・H・マーシー、アレック・ボードウィン が男を上げる作品に仕上がっています。他の俳優陣もみな気合入れて作っています。 カメラもジャンルの雰囲気をぴったり決めていてすばらしいです。

筋の運びは去年のファンタに出た10億分の1の男とほとんど同じで、パクリと言ってもいいような枠組み。ちゃんとお金を払って翻案ということにしてあるのかも知れません。以前ファンタで見た Stag という作品とそっくりの作品がベリー・バッド・ウェディングとして世間に登場し驚いたことがあるのですが、似ているという点ではザ・クーラーには10億分の1の男とそっくりのキャラクターが登場します。それがフェデリコ(10億分の1の男)とベルニー(ザ・クーラー)。この他のプロットは Stag と違い新しく考え出してあり、10億分の1の男よりずっと深みのあるドラマを作っています。この部分は雲泥の差でザ・クーラーに軍配。ウィリアム・H・マーシー、アレック・ボードウィン他の俳優に負うところが大きいです。オスカーを貰っても当然といううまさ。ベテランの面目を保っています。

マーシーはテレビで有名な人ですが、残念ながらそれは見ていません。病院の勤務だそうです。アメリカにはよくテレビと映画で逆のキャラクターを演じる俳優がいますので、もしかしたらテレビはかっこいい役なのかも知れません。映画の方ではドジ、不運、人に利用されるなどの「万年ルーザー」とドイツの雑誌に書かれています。その彼を好いている人は多く、かく言う私もファーゴ以来のファン。計8本見ています。

現代のように何もかもがうまく行かない世の中では人は自分よりもっと下の人間を見たいという気持ちがあるのかも知れません。それでマーシーが受けるのかも知れません。しかし私は彼が一生懸命なシーンが好きです。余裕が無くカツカツなのですが、妙なポーズをつけず、一生懸命に生きようとするシーンが多いのです。その彼が成功しないとこちらも素直に同情してしまいます。

一方水も滴る二枚目アレック・ボートウィンの方はキム・ベージンガーと美男美女大スター夫婦をやっていましたが、それには片をつけ、現在はベージンガーとは別行動。元奥方の方はエミネムの母親役でまた盛り返しています。前亭の方はどうなったんだろうと思っていたら、暫くテレビに出ていたようです。またアニメやコンピューター・ゲームの声優をやっているという話を聞いたこともあります。下手な人ではないのに映画はどうするんだと思っていたら、こんなところでマーシーと共演。悪い選択ではありません。脚本はまるで2人のために特別に書かれたかのようにぴったりです。

ここから少し筋に触れます。あからさまに結末はばらしませんが、見る予定の人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

ラスベガスのカジノが舞台。古い経営方法でこれまでやって来ている店主シェリーには秘密兵器があります。実直なベルニーという男で、彼は勝ち続けている客の横に立つだけで、その人の運が消えてしまうという才能を持っています。シェリーは適度に勝って帰る客はそのままにしておいて、大金を賭けて勝ち続けている人がいると、そっとベルニーニ合図をして、その客の横に立たせます。

ベルニー自身は幸福な生活は送っておらず、小さなアパートで孤独に暮らしています。カジノの同僚には好かれていますが、彼が来ると運が落ちると知っているので誰も彼に深入りしたがりません。

そういう生活が続いているある日、シェリーとベルニーに変化が訪れます。シェリーの所にはシンジケートから若造のハイテク・マネージャーが来て、こんな古い経営方針ではだめだとせっ突かれます。この若い男に店を譲るか、そうでないにしてもテクノ・カジノにしないとだめだと言われます。シェリーは経験の長い中年で、客がマンネリを好んでいることを知っていますのでこのヤッピー男とは対立します。

ベルニーの所には息子と嫁が転がり込んで来て金を貸せと言います。嫁はんは妊娠中で、出産費用が要るのだとか。仕方なく少し貯めてあった金を渡します。息子と嫁はそれを元手にカジノで大勝利。

ベルニーの私生活にも変化が現われます。ベルニーを不運男と知りつつ若いウエイトレスが近づいて来ます。彼女もあまり運の良い方ではないらしく、しがないウエイトレスを続けています。万年惨め生活ベルニーにとってはしがないウエイトレスでも心の慰めにはなります。しかしこれが行けませんでした。才能がひっくり返ってしまい、彼の側に来ると運がつきまくるようになってしまったのです。これはカジノ経営にとってはまずい。さあ、どうなるか・・・。

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