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ゲット・ザ・マネー /
Gamle mænd i nye biler /
Old men in new cars

Lasse Spang Olsen

2002 Dänemark 95 Min. 劇映画

出演者

Kim Bodnia
(Harald - 務所帰りのやくざ、僧侶に息子同様にかわいがられている)

Tomas Villum Jensen
(Peter - ハラルドの留守中にコックになったやくざ)

Nikolaj Lie Kaas
(Martin - ハラルドの留守中にコックになったやくざ)

Jens Okking
(Munken - マフィアのボス、僧侶と呼ばれている)

Torkel Petersson
(Ludvig - 乱暴者の息子、連続殺人犯、スウェーデンで服役中)

Iben Hjejle
(Mille - 銀行強盗の人質)

Brian Patterson
(Vuk - 電気の修理工)

Jacob Haugaard
(Erling - 医者)

見た時期:2003年8月、ファンタ

2005年のファンタに早速この作品のリメイクが出ました。珍しいことにハリウッドの作品ではなく、オランダ製です。

2003年 ファンタ参加作品

詳しいストーリーの説明あり

・・・ですが、これはプロットを楽しむというより、ハチャメチャな計画で無茶をやるマフィアのドタバタ喜劇、犯罪者にしては、やけに普通の男たちの映画、そしてデンマークには珍しいアクション映画です。筋を知りたくない人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

ファンタ速報でスカンジナビアのスター総出のアクション・ブラック・コメディーなどと大口を叩きましたが、スカンジナビアの映画はそれほど世界的に有名でないので、無論見たことがない人の方が多いでしょう。この作品では映画出演初めてという人も端役にたくさん出て来ますが、主要な出演者にはミフネの主演の1人、ハイ・フィデリティーではジョン・キューサックと共演したこともある Iben Hjejle や、しあわせな孤独の主演の1人 Nikolaj Lie Kaas、 スウェーデン映画 Jalla! Jalla! の主演の1人 Torkel Petersson なども入っています。しあわせな孤独の Linda Daae も顔を出しています。

監督はスタントが本業の Lasse Spang Olsen。Jolly Roger とヒット作 I Kina spiser de hunde(デンマーク語はできないのですが、アイスランド語から連想してみると、タイトルはどうも「中国では犬を食べる」という意味のようです)に出演した俳優をたくさん連れて来ています。ドイツに入って来るスカンジナビア映画ではスタントなどは見たことがなかったのでびっくり。ドイツにはこれまで人間関係を中心とした静かな作品ばかり来ています。そういう意味では新鮮な驚き。またそのスタントもアメリカ映画のように現実味を欠いた派手さで特別に作ったシーンだという感じがせず、普段の作業服を着た労働者という出で立ちで、他のシーンに自然に溶け込んでいます。

北欧独特のユーモアはたっぷり。ドイツ人が「傾いだ話」と呼ぶような典型的な、変なストーリーです。これまでの人間ドラマと同じくドライなユーモアですが、ブラックさをさらに増量。観客は笑い転げます。話の設定はドグマ映画などの人間ドラマと違い、やくざな世界。《僧侶》と呼ばれるマフィアのボスが余命幾ばくもないことを悟り、息子同様にかわいがっている血の繋がっていないハラルドに「血の繋がっている息子ルドヴィッヒを探して連れて来てくれ」と命令します。ハラルドは刑期を終えて務所から出て来たばかりなので、まずは元の生活に慣れなければなりません。2人の舎弟はあろうことかやくざからマジでコックに転身。「パイ作りの世界コンテストに出場する」と言っているところ。その上雇いたくない電気技師が雇われているので首にしたら、どういうわけかまた戻っている・・・などと腹の立つことばかり。《僧侶》の息子はというと、元連続殺人犯で、デンマークではなくスウェーデンで1番警備の厳しい刑務所で服役中。刑期を終えるのを待っていると《僧侶》は死んでしまいます。ハラルドと、コックになったペーターとマルティンはルドヴィッヒを《僧侶》がまだ生きているうちに会わせようと画策。アホな計画を練った割には上手く行って、とりあえずルドヴィッヒを無理やり連れ出します。このルドヴィッヒというのがかなり危ない男で、暴力大好き。精神病の治療は終わったはずなのですが、どことなくまだ危なそうな雰囲気。

《僧侶》に死んでもらいたくない男たちは知恵を絞り肝臓移植などという事を考え出します。医者を連れて来て色々言わせますが、医者は手術が複雑過ぎて手に負えないと断わります。しかし、肝臓を用意し、南米に行けば手配はできる・・・などと言い出すものですから、男たちはその気になります。手術には大金がかかるのでまずはその金の手配から。銀行強盗をやってみますがこれがドタバタになってしまい、厄介な人質を抱えてしまいます。凄い美人でルドヴィッヒは彼女に恋をしてしまうというおまけまでついています。彼女の趣味は自殺。何度か試みますが失敗続き。マフィアにつかまった時も本当は殺される予定だったのに、どういうわけか生き延びてしまいます。目を覚ましている時は向こう意気の強い人で、文句たらたら。そして事はどんどんエスカレーとして行きます。

2人のコックは静かに暮らし、パイのコンテストに出場するという計画を立てていたものですから、この成り行きに不満たらたら。コンテストの栄誉は2人の作ったパイを持ってこっそり出場した医者にさらわれてしまいます。ハラルドと3人の男たちは何が何でも《僧侶》のために金と肝臓を用意しようというので、ハイジャックにまでエスカレート。カースタントあり、警察からはヘリも出て来ますし、ショーダウンは海上へ。

スカンジナビアからはこんな映画を期待したことがなかったので驚きの連続。出演している俳優には見覚えもあり、親しみが沸いて来ます。もしドイツから誰かゲスト出演をさせるとすればユルゲン・フォーゲルがぴったりという感じの作品です。デンマーク映画の名を汚さないユーモアにあふれ、スタント出身という履歴を汚さないアクションシーンの連続。この映画が日本に来ることがあったら是非見て下さい。

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