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Aro Tolbukhin. En la mente del asesino /
Aro Tolbukhin: In the Mind of a Killer

Isaac-Pierre Racine /
Agustín Villaronga /
Lydia Zimmermann

2002 Spanien/Mexiko 95 Min. 劇映画

出演者

Daniel Giménez Cacho
(Aro、成人)

Zoltan Jozan
(Aro、ティーンエージャー)

Aram González
(Aro、子供)

Carmen Beato
(Carmen - 修道女)

Jesús Ramos
(神父)

Mariona Castillo
(Selma、ティーンエージャー)

Eva Fortea
(Selma、子供)

見た時期:2004年8月

2004年 ファンタ参加作品

ファンタには毎年何本か犯罪者の伝記的な作品が入っているのですが、今年は質が向上しています。これまでも不真面目に作った作品ではありませんでしたが、どこと無くB級の匂いが漂っていました。今年見た2本はかなり質が高かったです。

A級、B級と等級をつけるのはファンタではあまり意味がありません。ロジャー・コーマンのようにB級でも尊敬される監督、作品というのがありますし、特別にB級ファンという人もいるのです。B級の中で第1級の楽しい作品の方が、下手なブロックバスターよりいいという意見が主流と言えるかも知れません。

A、Bつけ難く、ドキュメンタリー映画寸前という感じだったのがこの Aro Tolbukhin. En la mente del asesino。俳優が演じているというより、レポーターが関係者を訪ねてインタビューを取って歩いているという作りです。しかし騙されては行けません。ちゃんと俳優が演じています。監督には3人の名前が挙がっています。舞台が欧州と中米に分かれるので、手分けして撮ったのかも知れません。この辺はまだ詳しく調べていません。

ストーリーの説明あり

物語行きましょう。アロ・トルブーキンというのはハンガリーの男性の名前です。作品を見ていると元々は悪人ではなさそうで、ハンガリー動乱(1956年)の前はブダペストで暮らしていました。ドキュメンタリー(もどき)は最近の話から出発して、過去にさかのぼって行きます。

話の発端は、間もなく銃殺刑になるアロ・トルブーキンという元船員がなぜ複数の女性と子供を焼き殺したかという点にあるジャーナリストが関心を持ったこと。刑務所を訪ね話を聞きます。

トルブーキンは幼い子供を持つ母親を親子共々ガソリンで焼き殺すという連続殺人の罪に問われていました。捕まり死刑になったのが1981年。少なくとも7人を殺したそうですが、もっと犠牲者がいた可能性も否定できません。本人は20という数字を挙げたそうです。

韓国で最近発覚した殺人事件でも犯人が届けた数の方が警察が処理した数を上回っています。本人が自分を英雄にするために大げさな事を言う場合も計算しなければなりませんが、アロは性格的にはどちらかといえば地味で寡黙な人間に描かれています。本当に言った数の人間を殺して苦しんでいたのかも知れません。彼は犠牲者をテッド・バンディーやマンソンのように憎んでいたようには見えません。むしろ大切にしているような面もあるのです。

舞台は過去にさかのぼりグアテマラに移ります。アロは当時グアテマラで起きた市民戦争に巻き込まれ重傷を負います。キリスト教の救援奉仕活動をしている団体に救われ、カルメンという修道女に介抱されます。アロはこの地にとどまり、救援活動に加わります。毎日人の生死を分けるような出来事が起きますが、黙々と雑用をします。カチョの演じているアロは行き所を失った人物のように描かれており、アロには本当に生きる目的がはっきりしていなかったのかも知れません。

周囲には怪我人、家や食べ物を失った人がひしめいていますが、アロにはそれでも心を癒される環境だったのでしょうか、やがてカルメンに恋心を抱くようになります。カルメンは自分が神と結婚しており、他の人物を受け入れることができないとしっかり自覚しているので、アロの接近を断わり、やがて任地を変えます。

カルメンが去った後連続殺人が起き始めます。

ここから先は完全なネタばれなので別のページに書きます。

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