映画のページ

ソウ / Saw

James Wan

2004 USA 100 Min. 劇映画

出演者

Leigh Whannell
(Adam - カメラマン)

Cary Elwes
(Gordon - 医者)

Monica Potter
(Diana - ゴードン医師の妻)

Tobin Bell (John)

Danny Glover
(Tapp - 刑事)

Ken Leung
(Sing - 刑事)

Dina Meyer
(犯罪学者)

見た時期:2004年8月

2004年 ファンタ参加作品

犯人など肝心なところはばらしませんが、ストーリーの説明は半分より多めです。

初めて見た時は「何じゃ、これ」と思いましたが、今から考えると諸悪の根源のような作品です。(2010年)

主演の2人より脇役のケン・レオンの出る映画をたくさん見たというぐらいの、地味な出演者の作品です。監督が大作に関わるのはこれが初めて。それでいながらスルースセブンと比較されています。名優競演のスルースとの比較はちょっと行き過ぎと思いましたが、セブンとの比較はそう的外れでもないように思いました。ストーリーで比較できるのは今年のファンタの前菜に出たデス・サイトですが、質から言うとソウの方が上です。いろいろ犯罪映画を見た人間としてはあと一息と言いたいですが、ハラハラ、ドキドキはします。

ちょっと不思議に思ったのはタイトル。《のこぎり》という意味で、のこぎりは確かに出て来ますが、全体に関連している物でもなければ、これがキーになって何かが大きく発展するという物でもありません。色々な登場人物、品物の1つに過ぎません。

スルースと比較したい人の気持ちは分からないわけではありません。密室に2人の人間がいて、ほとんどを2人の会話で済ませるという側面があるのです。しかし設定はかなり違います。

セブンとは猟奇連続殺人というところで共通しています。ただセブンのジョン・ドウは何回殺したら終わりという風に決めてあり限りがありますが、ソウの方は犯人が捕まらない限り続くでしょう。セブンには被害者に助かるチャンスを与え、本人が生か死を選ぶというシーンがありました。ソウでは選ぶのではなく時間との戦いです。助かるチャンスはゼロではありませんが時間の制限がきつい。犯人の意地の悪さが鼻につくという点ではデス・サイトと共通しています。デス・サイトはライト版のソウと言えるでしょう。

ここから内容に触れます。これ以上説明を聞かずに見たいという人は退散して下さい。目次へ。映画のリストへ。

2人の男がどこかの地下室らしき場所に鎖で繋がれているシーンから始まります。死体が1つ2人の真中にどっかと転がっています。観客と同じく戸惑っている被害者が自分たちの状況を把握しようと試みます。鎖を切るチャンスはまず無く、顔をつき合わせている2人には何が何だか分かりません。死んでいる男にも心当たりがありません。あまり仲の良くない2人ですが、話を確かめて行くうちに、自分たちは連続殺人事件の犠牲者になるところなのだと分かって来ます。

2人が地下室で絶望している間に警察は動いていました。刑事2人、犯罪学者などが知恵を絞って犯人を追っています。これまでに起きた事件は手口が残酷、結果は身の毛もよだつもので、死体のシーンはセブンとそっくりの雰囲気。セブンの真似をして下さっても結構です。恐怖が高まる、不気味さが増すだけですから。ホラー映画の観客は損しませんから。これまでの犠牲者の中で1人だけ助かった女性がいますが、助かっても悲惨。この後の一生をどうやって生きて行くのやら。写真を見るだけでも寒気がします。

スルースと違うのは、登場人物が2人きりでなく、警察のティームが動いている点と、ゴードンの家族が人質に取られている点。動きは結構あります。2人の刑事は黒人と若い東洋人の組み合わせで、チラリとセブンを思わせます。こういう風にどの作品に似ているとはっきり分かっていてもスリルとサスペンスは十分。私が失望したのは最後にどう見てもあり得ない展開を見せるからです。いくつかある展開の1つに過ぎませんが、私にはその1つが不可能に思えるのです。意外性という点ではかなり意外ですが。そして最後の最後に大きなうっちゃりで挑んで来ますが。ミステリー・クラブの人で見た人がいたら後で意見を聞いてみたいものです。

・・・と難点をご挙げても、100分持たせます。間もなくご紹介する0:34 レイジ34フンなどに比べると《新人監督でもここまでできるのか》と取り敢えず感心。

ところで、今回の映画祭ではや、足の指を切り離す話が時々出て来ます。ちょん切れた手足をまた継ぎ合せる技術が発達したとは言え、気色悪い。すぐ病院に行かないと破傷風などという恐ろしい病気もあるし。ここでもソウいう雰囲気に・・・。ソウなんです・・・。

見終わって少し時間を置いて考えて見ると、セブン風のシーンやプロットの所はほぼ完成品。その他のシーンはまだ業界で新しい監督という点から見ると、B級には合格。いずれA級に進出するぐらいの力をつける可能性大いにありです。ジェームズ・ワン監督をシャマラン監督と物々交換、いえ、人々交換するかと聞かれたら、即座に「はいっ!」。ワン監督の将来に期待。

後記: この1作を見ただけで当時見抜けなかったのは作品の持つ悪意。この後ソウ自体いくつも続編を重ねていますし、類似の悪意を前面に出した作品が続々出ました。その記念すべき1作目を早々目にしたファンタの観客ですが、間もなく主催者も含むファンタ全体から嫌われ、ファンタでは扱わなくなりました。

この後どこへいきますか?     次の記事へ     前の記事へ     目次     映画のリスト     映画一般の話題     映画以外の話題     暴走機関車映画の表紙     暴走機関車のホームページ