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Kaal / Kalank

二流かも知れないけれど・・・

Soham Shah

2005 Indien 126 Min. 劇映画

出演者

Vivek Oberoi
(Dev Malhotra - 気の短い金持ち)

Lara Dutta
(Ishika - デヴの恋人)

John Abraham
(Krish Thapar - カメラマン)

Esha Deol
(Riya Thapar - クリシュの助手、妻)

Vishal Malhotra (Vishal)

Kushaal Paunjabi (Sajid)

Vinit Kumar (Bagga)

Ajay Devgan
(Kali Pratap Singh - 自然保護地区に現われた男)

Shahrukh Khan
(特別出演、冒頭のダンス・シーンに登場)

Malaika Arora
(特別出演、冒頭のダンス・シーンに登場)

見た時期:2005年8月

2005年ファンタ参加作品

・・・おもしろかったのでありますよ。

前日の最後後味の悪い実話物を見てしまい、その口直しにぴったりの作品でした。

行くべきか、休憩すべきか散々悩んだ挙句でかけて行きました。ファンタの日曜日というのは1番きつい日で、6コマ。しかも冒頭に超長い作品が来る可能性が高く、時間的には単純に12時間というわけに行かない日です。この Kalank、別名 Kaal も126分。日曜日の冒頭というのは子供向きの映画が来たり、それほど凄い力作でない物が来たりすることもあり、通しのパスを持っている人が休憩に使う時間でもあります。今年は体調を見ながらという私もここで休憩しようと思っていました。

しかしなぜか後ろ髪を引かれる思いがするのです。インド映画がファンタに来るなんてことが大体から前代未聞。ドイツではインド映画はまだブレークしておらず、ボリウッドという名前がようやく知れ始めていますが、実際の映画数はまだ少ないのです。熱狂するファン層なんてのもまだできていません。

私個人の中では最近じわじわと火が灯って来て、インドのミュージカルだと聞くと行きたくなってしまうと、ま、その辺まで来ていました。Kaal はしかしファンタに出るような作品だからミュージカルでは無いだろうと踏んでいました。ところが解説を読むと最初の10分は音楽だと書いてあります!その上出演者を詳しく調べていて、大スターに行きついたのです。歌って踊れる人なのです。急にお尻に火がついてしまいました。こりゃ行かなくっちゃ。

案の定、行ってみると贅沢な大ホールにぱらと人の姿が。ぱらぱらですらない少なさ。外が暑いので冷房が入っていたのですが、「こりゃ、凍えるな」。

私の熱意に押し切られて一緒に来た仲間が約1人。ホール全体で20人もいなかったかも知れません。私と同じ列のすぐ右にブロンドの若くめごいおなご(ここだけ室井さん式に東北弁)が2人ほど。あとは遥か前か遥か後を見渡すと時たま人の影が。

しかし人のことは気にせず、こんないいホールで見られることをヒンズー教の神様に感謝しながらいざ映画。解説の通り最初の10分、歌と踊りをたっぷり。本論とはほとんど関係がありません。虎が出て来る映画なのでちょっと虎のイメージを作るというだけ。しかしここに大スターが出ているのであります。例えば Veer-Zaara のパイロット。彼1人ではありません。豪華な音楽ショーです。そしてあの悲しそうな目をしたバラードを歌い上げそうな Shahrukh Khan 他一同が、ジョン・トラボルタも蹴っ飛ばしそうな勢いで歌いまくり踊りまくります。プログラムの解説にあったように、たったの10分というのは惜しい。

人が少ないので恥も小さくて済むだろうと思い、音楽ショーが終わったところで拍手したら、隣にいためごいおなごたちも拍手していたのです。あの2人も世間の事はかまわないというスタンスで、やんやの喝采。ほっ。バカは私1人じゃなかったんだ。

さて、ショーの後は本題。ここからは映画の批評でけちょんけちょんにされている部分ですが、それがそれほどだめではなかったのです。日曜日の昼間、寝坊もせずわざわざポツダム広場までやって来て見る人たちだからなのかも知れませんが、見た人で怒っている人はいませんでした。

そりゃ一流のホラー映画とは差がつくかも知れませんよ。しかしファイナル・デスティネーションがあれほど受けたことを考えると、これも受けていいはず。場所をインドの国立自然公園に移したファイナル・デスティネーションと考えると分かりやすいのですが、その元凶は幽霊。ファイナル・デスティネーションの方は西洋の《死》でしたから、インドが幽霊を出して来たっていいじゃないですか。どっちも迷信なんだから。

インドに住んでいるインド人ではなさそうな、金持ちのボンボンが仲間とつるんで自然公園に高級な車で乗り出して来ます。成金そうな服装で、厚化粧のピカピカに磨いたおなご、イエス・マンの子分のような若者をつれています。その他に世界的に有名な自然を報道する雑誌に記事を送るジャーナリストが美人アシスタントと一緒に加わります。成金のボンボンは身勝手、やりたい放題。で、公園の管理に当たっている役人の注意も無視。ジャーナリストは理性的な人で、自分からは公園を荒らすような事はしませんが、一緒にいる成り行き上色々なトラブルに半強制的に巻き込まれて行きます。

カップル、子分、ガイド、運転手など最初は結構大人数だったのですが、1人減り、2人減り。事故が起きて車を放棄しなければならなくなったりと、だんだん心細くなっていく展開は、舞台がインドでエキゾティックではありますが、ホラー映画の典型です。携帯電話、ナビなどの近代的な機材も役に立たず、数の減った一行は徐々に孤立して行きます。頼りになるのは自然保護地区に入ってからふらりと現われた中年のおっさん。この人はこの地に慣れていると見え、色々注意をしてくれます。その注意通りにしていたら助かった人がいたはずなのです。ところがちょっと余裕ができて来るとすぐ威張り出す成金のボンボン。

映画評論家からイチャモンつけられるとすればこの辺の演出なのでしょうが、私はアメリカやイギリスのホラー映画でもこういうバカな事をする若者を見ているので、Kaal のひどさが特に目立つという印象は受けませんでした。

・・・そして誰もいなくなった、みたいにどんどん生存者が減って行き、最後に種明かし。それほど大きなショックも無く、驚愕の結末ではありませんが、ザ・シャドー 呪いのパーティ がファンタに参加するレベルと見なされるのだったら、Kaal も肩を並べてかまわないと思います。

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