映画のページ

ナショナル・トレジャー /
National Treasure /
Das Vermächtnis der Tempelritter /
La Leyenda del tesoro perdido /
A Lenda do Tesouro Perdido /
La Búsqueda /
Trésor national /
Benjamin Gates et le trésor des templiers /
Il Mistero dei templari

Jon Turteltaub

2004 USA 131 Min. 劇映画

出演者

Nicolas Cage
(Ben Gates - 宝探し)
Hunter Gomez
(Ben Gates、子供時代)

Jason Earles
(Thomas Gates - ゲイツ家の先祖)

Christopher Plummer
(John Adams Gates - ベンの祖父)

Jon Voight
(Patrick Gates - 元宝探し、ベンの父親)

Diane Kruger
(Abigail Chase - 博物館に勤める考古学者)

Justin Bartha
(Riley Poole - 宝探し)

Sean Bean
(Ian Howe - 宝探し)

Harvey Keitel
(Sadusky - FBI)

David Dayan Fisher
(Shaw - 宝探し)

Stewart Finlay-McLennan
(Powell - 宝探し)

Terrence Currier
(Charles Carroll - テンプル騎士団の宝の秘密を知る男)

見た時期:2005年7月

ニコラス・ケイジは原則として好きではなかったのですが、近年作品選びが上手になり、自分の良さを上手く出せる作品が増えています。例えばナショナル・トレジャーは正直言って、大したことの無い作品で、オスカーなどは全く期待できないと思いますが、こういうのに出れば出るほど、マッチスティック・メンや最新の武器密売人の映画が引き立ちます。普段大したことの無い作品に出ておくというのも本人のために決して悪いことではありません。作戦勝ちしています。

ナショナル・トレジャーはディスニーのティーン向けの冒険物語です。比較するならインディアナ・ジョーンズミイラ(ハムナプトラ)など、荒唐無稽であまり現実的でない物語を持ち出して来るのがいいでしょう。フリーメーソンをどかんと話の中心に据えたところがややユニークと言えるかも知れません。フリーメーソンというのは実際に存在する団体。一応秘密結社なので人はあまり大きな声で話したがらないものでした。現在もそういう団体は存在し、有名な政治家の名前も挙がっています。それを子供向きの映画の中心に持ち込み、シンボル・マークもばっちり見せてしまうところがこれまでと趣向の違うところ。

大筋は次のようなものです。親子何代かに渡って宝探しをしたり、研究を続けている家の若旦那がニコラス・ケイジ演じるベン。ベンジャミン・フランクリン・ゲイツなどという大げさな名前です。祖父ジョン・アダムス・ゲイツの影響を受け、数人の冒険好きな仲間と北極くんだりまで出かけ、古い船を見つけます。今回の目的はテンプル騎士団の財宝。ジョージ・ワシントン、ベンジャミン伊東、失礼、ベンジャミン・フランクリン、トーマス・ジェファーソンなどが関わっています。途方もない与太話です。幼い子供をこんな話でたぶらかしたお祖父さんはもうこの世の人ではありません。父親パトリック・ヘンリー・ゲイツは一通りその与太話に振り回された後悟りを開き、秘密に次ぐ秘密はそうやって人を振りまわしているだけで、宝などは無いって言うじゃない・・・。

ところが宝探しの最中、裏切りの専門家ショーン・ビーン演じるところのイアン・ハウの裏切りに遭い、仲間のライルとベンはイアン他数人に殺されかけます。命からがらアメリカに戻った2人はその後も宝探しを続けます。船にあった手がかり、これまでの調査の結果次の手がかりはアメリカの独立宣言の書類の裏のページだというところまでつきとめます。しかしこの書類は博物館に収まっていて警備は厳重。ルーブルといい勝負で、金庫破りでも犯罪者でもないベンがちょっと出掛けて行って頂戴するというわけには行きません。。

同じ頃ライルとベンよりはちょっと落ちるものの人並み以上に頭がいいイアンも独立宣言の書類にたどり着きます。よりによって同じ日同じ時間に押し入って奪おうとするのではち合わせ。

独立宣言の書類を護る側の人間だったのにベンのおかげで事件に巻き込まれてしまうのが博物館に勤める学者のアビゲール。まんまと盗んでみたものの、そこにあったのは次のヒントが隠してある場所の指示。そしてそこへ行ってみると、また次のヒントが隠してある場所の指示・・・。お父ちゃんの言う事は正しかった・・・。

テンプル騎士団の話は何時の間にかフリーメーソンの話に変わって行きます。

ストーリーはそういった組織の暗躍を中心に置いているのではなく、インディアナ・ジョーンズララ・クロフトのように世界中を飛びまわる冒険の方。与太話と言っているのはその荒唐無稽さのためです。組織の話は与太ではなく、に書いたようにそういう話が本当にあります。宝が本当にこの映画のように1箇所に集められていたのかという疑問は残りますが、扱っている宝というのは古代エジプトから近世までに欧州が十字軍他色々なきっかけで本来の所有者から取って来てしまった物ということになっています。それが時代が変わってアメリカにまで運ばれていたという設定です。そういう風に考えてみると全くの与太話でもない要素が織り込まれています。最近外交関係が良好になって来た国にかつてかっぱらって来た宝を返却するという話が時々聞こえて来ます。

ベンの先祖のトーマスがチャールズ・キャロルから聞いた秘密というのは女性の名前。ゲイツ家にこの話は代々伝わっていましたが、ベンはこれが船の名前だとつきとめ、北極で発見。しかしここで、かつてジェームズ・ボンドを裏切ったショーン・ビーンに裏切られ、焼き殺されてしまいそうになります。かろうじて逃げ出した彼の手元に残ったのは象牙のパイプ。

後から考えてみるとショーン・ビーンもニコラス・ケイジと同じぐらい先祖の言葉に振りまわされています。2人はその後も時々はちあわせします。ベンの推理力のおかげで徐々に話を信じるようになったアビゲイルはベンの側につき、イアンはベンの敵になり、その上FBIのバービー・カイテルまで絡んでの追いかけっこが始まります。なんでこんな所にあの渋いハービー・カイテルが出るのかと訝りはしましたが、彼なかなか決まっています。そう言えばショーン・ビーンもこんな与太話に出すにはもったいない俳優。その上あの大スターニコラス・ケイジ。一体どうやって人集めをしたのか、そしてなぜこういうスターのマネージャーがこういう話を通したのか、そちらの方が宝捜しより大きな謎です。ダイアン・クルーガーは今ドイツで1番大切にされている国際女優(2番目はポテンテちゃん(下までスクロールして下さい)ですが、ドイツに戻って来ています)ですが、まだ他の男性3人に比べると知名度が弱いので、こういう映画で少しずつ足元を固めていくつもりなのかも知れません。

このディスニー映画を見た少年少女は、今をときめくスター、ニコラス・ケイジに加え、渋いベテラン、カイテル、渋い若手悪役ショーン・ビーンと知り合い、将来の美女スター、ダイアン・クルーガーと知り合いになりながら、他愛ない宝捜しの話を聞かされ、ついでにテンプル騎士団とかフリーメーソンなどという伝統の長い(秘密)組織の名前を知り、世界の文化遺産が横取りされていたので、返さないと行けないというお勉強をして2時間ちょっとを過ごします。

大人向きにあまりぱっとしない話を見られるようにするベテラン修理工がシドニー・ポラックだとすれば、与太話を子供向きの楽しい活劇にして見せるのがジェリー・ブルックハイマー。ベテランの職人です。上映中セックス・シーンは無し、暴力シーンは爆発で火柱が立ったり物が燃えたりしますが、重傷でのた打ち回っている傷だらけの被害者などというのは出て来ません。悪人ショーン・ビーンも誰かをサディスティックに殺したりはせず、その辺を走りまわっているばかり。ですから子供連れで行っても親が戸惑うことはありません。

ラスト・シーンはお見逃し無く。カイテルのシーンです。

この後どこへいきますか?     次の記事へ     前の記事へ     目次     映画のリスト     映画以外の話題     暴走機関車映画の表紙     暴走機関車のホームページ