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2008 Kanada 95Min. 劇映画
出演者
Stephen McHattie
(Grant Mazzy - 田舎のラジオ局のDJ)
Lisa Houle
(Sydney Briar - 番組のプロデューサー)
Georgina Reilly
(Laurel Ann - スタジオのエンジニア)
Hrant Alianak
(Dr. Mendez - 解説をする土地の医師)
Rick Roberts
(Ken Loney - 番組のレポーター)
見た時期:2009年8月
ぱっとしない作品が続いた後初めておやっと思う作品に出会いました。ほとんど何も期待していなかったのですが、見ている最中も次の瞬間話がどちらの方向に行くのか分かりませんでしたし、見終わって「へえ、こんなに少ない枠でよくもこんなに長く持たせたな」とアイディア、俳優のがんばりに感心しました。しょぼくれた田舎が舞台で、しょぼくれたラジオ局が中心、それにぴったりのぱっとしない感じ、しょぼくれた感じで始まります。
★ あるしょぼくれた田舎に・・・
作品はカナダで作られていますが、別にどこでもかまいません。ドイツでもいいです。大都市、有名な町、栄えている町ではありません。どこにでもあるような小さな町。特に大きな事件も起こらない、町全体が居眠りしているようないささか退屈な町です。
そんな町にラジオ局があります。ラジオ放送が毎日あり、そこでトークショーがだらだらと続いています。町の人も惰性でスイッチを入れるだけ、DJも些細な出来事をさも大きな事件のように語りながら、自分でも退屈し切っている、そんな毎日の続く町でした、ついさっきまでは・・・。
放送局は古く、設備も古く、スタッフはお互いよく知った友人。1人がDJ、1人が技術、1人がアシスタント、1人が取材に出るレポーター、ぎりぎりの人数でやっています。今日も昨日と同じ。明日も今日と同じ・・・のはずでした。そこに突然入って来たのが伝染病のニュース。
感染した人たちが人を襲い始め、噛まれるとその人はゾンビ状態になってしまうというニュースを必死になってスタジオに送って来たのがレポーター。スタジオでは最初何かの間違いだろう思っていましたが、周囲の状況の変化に気づきスタッフの顔にも恐怖の色が・・・。
のんびりした田舎でぼおっと生きていたスタッフも事の重大さに気づき、必死で原因は何か考え始めます。そして女性スタッフがあり得ない可能性にたどり着いてしまいます。
★ あっと驚く展開
英語をしゃべる人が感染する、英語以外の言語をしゃべれば助かるかも知れない・・・。幸いここはカナダ。フランス語はお手の物・・・のはずが、スタジオのスタッフは英語圏の人間なので語学はあまり得意ではない・・・。大変だ!
★ あっと驚き、困る結末
95分で起承転結のあるストーリー。原作がそうなっているからでしょうが、メリハリのある展開で、最後きっちりオトシマエがつきます。そこがまた背筋が寒くなるような話。
とまああり得ない設定。今話題の世界的な流行を見せる伝染病(例えばSARS、鳥・豚インフルエンザ、BSEなど)を追い風に、感染するとゾンビになるという現実離れした展開。そしてビールスかバクテリアという細菌学、生物学、医学の分野で原因を探るべき話が、言語という人文科学の方面に移ってしまう・・・ハチャメチャな発想の勝利です。
ほとんど全編をDJと女性スタッフの掛け合いで持たせています。出演者はもう少し多いですが、台詞のある重要な人たちは前半でゾンビになってしまいます。その後はほとんど2人だけで話を続けます。外の様子はほとんど映像としては現われず、2人や外にいるレポーターとの会話だけです。舞台でも上演できるような脚本です。
★ がんばった金の無い映画人
信じられないようなばかばかしいストーリーを真剣になって演じる俳優の実力は大したものです。何しろスタートから最後までばかばかしいネタだけで通してしまうのです。この強引さには思わず賞賛の声を上げてしまいました。
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