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2009 USA 118 Min. 劇映画
出演者
Sean Patrick Flanery
(Connor MacManus - アイルランドの羊飼い、双子)
Norman Reedus
(Murphy MacManus - アイルランドの羊飼い、双子)
Sweeney MacArthur
(Jacob MacManus - 双子の祖父)
Billy Connolly
(Il Duce, Poppa, Noah MacManus - アイルランドの羊飼い、マクマヌス兄弟の父親)
Mairtin O'Carrigan (Sibeal MacManus - 双子の叔父、神父)
Clifton Collins Jr.
(Romeo - 船員)
David Della Rocco
(Rocco - 8年前に死んだヤカベッター一家の走り使い)
Julie Benz
(Eunice Bloom - FBI特別捜査官)
Willem Dafoe
(Paul Smecker - 元FBI特別捜査官)
Richard Fitzpatrick (署長)
David Ferry
(Dolly - 刑事)
Brian Mahoney
(Duffy - 刑事)
Bob Marley
(Greenly - 刑事)
Matthew Chaffee
(Chaffey - 警官)
Gerard Parkes (Doc - 酒場の親父)
Judd Nelson (Concezio Yakavetta - ヤカベッタ一家の跡継ぎ)
Daniel DeSanto (Ottilio Panza - 殺し屋)
Scott Griffith (Ivan Checkov - ロシア・マフィア)
Layton Morrison (Vladdy - ロシア・マフィア)
Jeffrey R. Smith (バーテン)
Dwayne McLean (McKinney - 神父)
Tom Barnet (武器密売者)
Robert Mauriell (Louie - 皮職人、1958年)
Matthew Lemche (Noah - 皮職人、1958年)
Peter Fonda (ローマ人、老人、Louie)
Aaron Berg (Jo Jo Rhama)
Bob Rubin (Gorgeous George)
見た時期:2010年4月
★ 続編の出演者
私はラジー賞に負けずとも劣らない続編反対者なのですが、処刑人だけは例外。長い間待っていました。かなり前に処刑人IIの計画があるとなっていましたが、長い間それ以上具体的な話がありませんでした。「2人の双子役は続投するけれど、ウィレム・ダフォーは出ない」などと言われていました。大分経って準主役はクリフトン・ゴンザレス・ジュニアと発表がありました。しかしそのまま頓挫。それがようやく進み始めたのは私の事故の後。しかし作品はファンタには来ませんでした。発見したのはDVD屋さんの店先。とにかく完成にはこぎつけたようです。
で、早速借りて来ました。ちょっと期待はずれでしたが、もっぱら新しいFBIの特別捜査官に責任があると思います。他の俳優は前の作品を大部分踏襲していて、作品のフィーリングをそれなりにつかんでいました。その上前に出た脇役の人たちはほとんど揃っています。最後には大サービスの出演者も出て来ます。前回ウマが合った人たちがほぼ全員揃い、新しく登場するマフィアも前回を踏襲したアホぶりを発揮しています。
★ ストーリー
8年前の事件後海外に逃亡した3人。出身国アイルランドの田舎で羊飼いをしていました。羊飼いというのは聖書では特別な職業ですが、それよりもアイルランドは羊毛で有名。私もすばらしい質のセーターを何枚か持っています。アイルランドで農業にいそしめば、当然羊飼いという選択もあります。過去の仕事とは一切手を切り、親子3人で幸せに暮らしています。まるで欧州の御伽噺に出て来るような粗末な小屋に住んでいます。貧しいようではありますが、仲はとても良さそうです。
ところがボストンで神父が殺されます。手口が過去の2人にそっくり。 誰かが自分たちに濡れ衣を着せようとしていると同時に自分たちをボストンにおびき寄せようとしていると感じつつ2人はボストンに向かいます。親父さんにもその危険は十分認識しています。
親子は8年前の事件後密出国したようで、戻る時も密入国でしょう。道中の船でロメオというメキシコ人に2人の正体がばれてしまいますが、ロメオはボストン出身。2人に憧れていたので、仲間に入るということで話がつきます。彼はボストンに人脈がたくさんあるとのこと。つまり死んだロッコの交代要員です。
ボストンでは8年前の事件後死んだFBIの特別捜査官と知り合いの女性特別捜査官ユーニスが神父殺人事件に乗り込んで来ます。ユーニスは当時のアホ3人組刑事を前の特別捜査官同様手玉に取り、あっと言う間に神父殺しは双子の仕業でない事を見抜きます。それでもボストンに来てしまった双子。
ロメオの役を演じるのは由緒あるメキシコ出身のハリウッド俳優第1号の血を引く、孫のゴンザレス。彼はかなりの数の有名な映画の端役やチンピラ役で出演しています。私もかなりの数の作品を見ています。何か事件を起こしたとかでキャリアが一時期危うくなりましたが、最近はまた盛り返しているようです。いくつも芸名を持っていますが、最近はクリフトン・コリンズ・ジュニアと名乗っています。一時期は Chopper のエリック・バナかと思うぐらいの体格でした。
さて、本当に神父を殺した犯人は雇われヒットマン。小柄で165センチ + シークレット・シューズで175センチ程度に見せている単独犯。彼はヤカベッタ一家に雇われたらしく、神父殺人事件の真犯人だろうとラジオが言っています。
8年の間に双子と親父さんは羊飼いになっていました。ヤカベッタ一家では父親が8年前双子たちに殺されたので息子の代になっています。その息子ヤカベッタが父親の恨みを晴らすべく神父殺しの命令を発したらしいのです。ヤカベッタ一家では双子を恐れて暮らすか、気にしないかで意見が分かれていますが、新しいボスのコンセツィオ・ヤカベッタは今の所隠れて暮らしています。
ボストンに着くと3人はマフィア退治にかかります。8年前はロシア・マフィア全盛時代でしたが、今度は中国マフィアです。中国一家はヤカベッタ一家の麻薬の仕事を下請けでやっています。
双子の当面の隠れ家は8年前ロシア・マフィアにやられそうになっていた酒場の親父の店。ここを基点に情報集めなどをした結果、神父殺人事件で双子に濡れ衣を着せたのはヤカベッタですが、ヒットマンは一家の舎弟ではなく独立系と分かります。ヤカベッタの跡継ぎは町で1番目立つ高層ビルの中のパニック・ルームに逃げ込んでいて、直接手が出せません。
所轄ではFBIの捜査官ユーニスが煙たい3人の刑事が、神父殺しが模倣犯ならFBIは要らないと言い出すのですが、彼女は簡単に引き下がりません。有能なFBIが嗅ぎ回ると、第1作のショーダウンで3人の刑事と当時のFBIがつるんで双子と親父さんを助けたことがばれてしまいます。ユーニスはユーニスで警察が新しいヤカベッタのボスを捕まえようとしていることを隠すために双子が神父殺人で無罪であることは当分メディアに黙っていようということにします。
中国マフィア殺しが起きたので、1つの殺人では双子は無罪、もう1つの事件では有罪。そして現場検証から双子にはもう1人共犯者がいるところまでばれます。その後の聞き込みや尋問で警察側は神父殺人犯についてさらに情報を得、徐々に迫って行きます。
双子たちもロメオの情報ルートからヤカベッタ一家に迫りつつあります。
謎のフリーランスのヒットマンにはコンセツィオ・ヤカベッタの他に謎の雇い主がいます。その男は《ローマ人》とか《老人》と呼ばれていました。この男が双子をボストンに誘い出したもう1人の黒幕でした。コンセツィオの復讐心に便乗していますが、ローマ人は双子を餌に双子の親父さんを誘い出そうとします。
そんな時FBIのユーニスに意外な面があることが分かります。ユーニスは第1作のスメッカーの知り合いで、自分の死後はユーニスが双子の面倒を見るようにと言い残してあったと言うのです。フリーランスのヒットマンが双子を襲った時に現われたユーニスがヒットマンを撃ったことがきっかけで秘密が明かされます。ヒットマンに関して彼女が情報を持っており、ヒットマンは不正の匂いのする中アメリカに移住したとのことでした。
この時点で双子一家、ロメオ、3人の刑事、ユーニスは同じ側に立っていることが判明。
中国マフィアの次はヤカベッタ一家を片付けようと考えた双子たちは、一家が居を構えているビルにやって来ます。第1作のロープ・ギャグの続きかと思われるような騒ぎの末、ほとんど全員を殺します。警察、FBI、双子たちがつるんでいる限り処刑計画は安全ですが、そこに現われたのが別なFBI。
一緒にいるところを世間に見られては行けない処刑人と共犯の刑事たちは双子の隠れ家に集まります。そこに現われたのがフリーランスのヒットマン。仲間内から犠牲者が出ます。確か第1作でもロッコが父親の方のヤカベッタに殺されてしまいます。神は犠牲を要求するんですなあ。宗教は命がけです。
そこに突然現われたのが双子の親父さん。アイルランドの田舎に引っ込んでいられなかったのでしょう。親父さんも死はとっくの昔から折り込み済み。その場では仲間の1人を殺したヒットマンに銃を突きつけてロシア・ルーレットを強要し、雇い主に関する情報を出せと粘ります。しかし相手も気合の入ったプロ。彼も死は折り込み済み。
2作目は1作目に比べると勢いも無いし、1作目のおさらいばかりなのですが、このシーンだけはおもしろいです。親父さんの一言が爆笑を呼びます。真剣勝負の末、親父さんが勝ち、ヒットマンは昇天。情報は貰えず。ユーニスが不法にデーターバンクにアクセスしたこともばれ、いよいよお尻に火がつき始めます。高飛びの準備も必要。決戦の時が近づきます。
ローマ人こと老人ことルイは双子の親父さんが来ることを予期していて、自宅の温室で待ち構えています。親父さんが到着する直前に別なマフィアに応援を頼んであります。警察と FBI は S.W.A.T. を派遣し、現場に急行中。双子一派はぎりぎりその前にルイの自宅に到着。
まずはかつての友人ノア(双子の親父さん)とルイの対決になります。2人とも死は折り込み済み。ハチャメチャの第1作にウィレム・ダフォーが出たのもちょっとした驚きですが、今度はピーター・フォンダです。ここで過去の事情の説明があるのですが、過去は分かっても現在の動機がちょっと分かりにくくなります。
外にマフィアと警察が迫っていることを感じている2人は話すだけの事を話してしまうと、対決。その場ではピーター・フォンダが死にますが「涅槃で待ってるぜ」と言い残し、ノアもうなずきます。
言葉通りノアも間もなく昇天。周囲を S.W.A.T. に囲まれた兄弟たちは明日に向かって撃たず、賢明にも投降。どう見ても第3作目が計画されています。
そして最後に次のストーリーを暗示するような話がちらちらと。2人の意思を無視するような方向に行くのではないかとちょっと気がかりです。
★ 親の因果が・・・
所々に《イル・ドゥーチェ》こと《デューク》ことノア・マクマヌスの過去が紹介されます。元々はノアと、《ローマ人》こと《老人》ことルイはノアの父親の皮職人の工房で働いていました。場所はニューヨーク、時は1958年。それにしてはこの場面はその数十年前のような印象を受けます。ま、遠い過去ということなのでしょう。
ノアの父親はやくざから無理難題を吹っかけられたらしく、「皮に関する事なら何でもやるが・・・」と答えます。その答が気に入らなかったらしく揉め事になり、ノアの父親は殺されてしまいます。それを見ていたのが少年ノア。2人は間もなくやくざへの復讐を果たします。
その後2人はティームを組んでやくざ清掃人になります。ルイが頭脳でノアが手足。ルイがやっつけるべきやくざを選び出し、ノアが片をつけていました。そうやって1958年から70年代までうまく行っていましたが、ある日ノアは捕まってしまいます。
頑として自白をしなかったのでノアは身元不詳のまま投獄され25年間服役していました。刑は25年から終身。ところが第1作のヤカベッタ一家のいきさつから釈放。そのため親子再会がかないます。
第1作ではヤカベッタを裁判所で処刑するところで終わり、第2作では3人がアイルランドで身を隠し静かに暮らしているところから始まりますが、第2作の終わりまでにノアとルイの関係が分かるだけではなく、なぜノアが捕まったか、そしてなぜ模倣犯を使ってルイがマクマヌス一家を引きずり出したかも明かされます。
私のカバ頭には70年代にルイがノアを刑務所に放り込む理由、前作の8年後に模倣犯を使って双子をボストンにおびき出し、その後は双子を使って親父さんをおびき出すまでは分かるのですが、なぜルイがノアをおびき出したのかだけ分かりませんでした。親父さんはルイがノアを罠にかけたのだと知ればルイを恨む理由がありますが、ルイがノアを恨む理由が今ひとつ分かりませんでした。店から借りたDVD1回しか見なかったので何か見落としたか、聞き逃したのかも知れません。もし機会があったらDVDを買おうかと思っています。ただ日本版の方がデラックスなおまけがついている可能性もあるので、まだ決心がついていません。
★ 全体の評価
第1作は非常に難しい過程を経て作られました。クランクアップ後も公開までに非常に紆余曲折があり、公開規模は極小。評判を取り始めたのは口コミやDVD発売後です。なので2作目も比較的早く「やるぞ」という予告は出ていましたが、キャスティングもなかなか決まらなかったようです。双子続投とゴンザレスの名前はかなり前から出ていて、ダフォーが降りるという話も大分前から出回っていました。しかしその後が続かないまま何年も経ってしまいました。私は比較的頻繁にチェックしていました。それが最近になって急速に話が進み完成。ふたを開けてみると第1作の仲間がほとんど全員集合。10年経っても前の雰囲気は十分残していたので、第1作目に感激した人たちには同窓会のようでいいです。
しかし個別の劇映画として見ると、第1作より勢いが殺がれていて、アクション・コメディーとしては力を失っています。ほとんど第1作をおさらいする形で同じギャグを出しています。しかし第1作のハチャメチャぶりがありません。父親とルイのいきさつもちょっと人工的ですっと入って行けません。監督のダフィーはファンとの交流をインターネットを通じてキープしており、意見を聞き過ぎたのかも知れません。第1作の脚本は自分が体験した出来事を起爆剤にエネルギーを投じて書き上げた脚本でした。2作目はそれをベースに周囲の辻褄を合わせた感がぬぐえません。そして第3作は双子が不本意な方法で使われてしまうのではないかと危惧しています。
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