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The Boondock Saints - Giustizia finale

Troy Duffy

1999 Kanada/USA 108 Min. 劇映画

出演者

Sean Patrick Flanery
(Connor MacManus - 精肉工場の労働者、双子)

Norman Reedus
(Murphy MacManus - 精肉工場の労働者、双子)

David Della Rocco
(Rocco - ヤカベッター一家の走り使い)

Billy Connolly
(Il Duce - 懲役25年から無期懲役で服役中の男)

Willem Dafoe
(Paul Smecker - FBI特別捜査官)

Richard Fitzpatrick
(署長)

David Ferry
(Dollapoppaskalious - 刑事、通称ドリー刑事)

Brian Mahoney
(Duffy - 刑事)

Bob Marley
(Greenly - 刑事)

Gerard Parkes
(Doc - 酒場の親父)

James Binkle
(Newman - 警官)

Matthew Chaffee
(Chaffey - 警官)

Robert Eaton
(Langley - 警官)

Jonathan Higgins
(Michaell - 警官)

Jimmy Tingle (神父)

John Ferus (神父)

Anthony Chrysostom
(判事)

Scott Griffith
(Ivan Checkov - ロシア・マフィア)

Layton Morrison
(Vladdy - ロシア・マフィア)

Victor Pedtrchenko
(太ったロシア・マフィア)

Carlo Rota
(Giuseppe Yakavetta - ヤカベッタ一家のボス)

Ron Jeremy
(Vincenzo Lipazzi - ヤカベッター一家の舎弟)

Carmen DiStefano
(Augustus Distephano - トイレの掃除夫、ヤカベッタ一家の前のボスの時代の副ボス)

Jeffrey R. Smith
(バーテン)

Lauren Piech
(Donna - ジャンキー、ロッコの恋人)

Gina Sorell
(Rayvie - ジャンキー、ドナの友達)

Tom Barnet
(武器密売者)

Bill Craig
(McGerkin - 精肉工場主任)

Dot Jones
(Rosengurtle Baumgartener - 精肉工場の従業員)

Jeanna Fine
(ピープ・ショーのダンサー)

Taylor Duffy (バーの客)
Troy Duffy (バーの客)

見た時期:1999年8月

1999年のファンタに参加して一発で会場を魅了し、大ファン・グループを形成してしまった作品です。その年のゲイ映画祭にも出て、一時期場末の映画館でも上映していましたが、そこも真夜中上映にも関わらず満員。ベルリンでは大評判を取った作品です。

元々は90年代の中頃、バーテンをしていたダフィーが許し難い出来事を目撃し、思いつきで生まれて初めて脚本を書いたことに端を発します。脚本をハリウッドに持ち込んだところ評判になり、大金の絡む契約の話が始まります。

タランティーノの再来とまで騒がれ大きな会社から話があり、大スターを起用しての映画化、それもダフィーを監督にして、仲間のバンドがサウンドトラックを担当して・・・という風に話がどんどん大きくなります。

ところがダフィーには彼なりの考え方があり、映画は生まれて初めてなのにいきなり大手の会社を相手に交渉ということもあり、かなりのトラブルが起きます。当初大きく乗り出し、大金を積んだミラマックスは結局降ります。

★ キャスト候補

ダフィーの賛成、あるいは反対に納得できる人の名前も含めかなり大物の名前が並びます。私はカプリオの名前も聞いたことがあるのですが、報道には出ていません。以下は報道で名前の出た人たちです。

最終決定した俳優 候補 メモ
双子 フラナリー、
レーダス
スティーヴン・ドーフ
マーク・ウォールバーグ ドーフとの組み合わせは行けたかもしれない。
ブレンダン・フレーザー 本人は関心を示した。
ニッキー・カット ちょっと濃過ぎるか。
ユアン・マグレガー マグレガー側が乗らなかった。
ジョン・ボン・ジョヴィ レーダスの役の当初の候補、確かにイメージは似ている。
ブラッド・ピット 本人はいいだろうけれど、見る方が迷惑する
監督の拒否で話は立ち消え。
FBI特別捜査官 ダフォー ケネス・ブラナー
パトリック・スウェイズ 会社の方針でつぶれる。
シルベスター・スタローン 暗殺者の演技はとてもよかったけれど、年齢的にこの役はきついか。やらせて見るとおもしろかったかもしれない。
伝説のヒットマン ビリー・コノリー ビリー・コノリー
どの役か不明   ビル・マーリー 伝説のヒットマンかと思うが、コノリーの方がいい
FBIならダフォーの方がいい。
ジョン・グッドマン 伝説のヒットマンか。好きな俳優の1人だが、全体のバランスが崩れるかも知れない。コノリーでよかった。
マイク・マイヤーズ ロッコの役かと思うが、ロッコは監督の友人なので、他の人は候補としては不利。
ビリー・ゼイン 兄弟役か。
ヴィンセント・ドノフリオ どの役だろう。兄弟の役には年が行き過ぎているし、背がかなり高いので、相方の兄弟役を探すのが大変。FBIの役のつもりだったのか。
マシュー・モディン FBIの役か。
ジェフ・ゴールトブルーム 親父役か、FBIか。どちらにしてもちょっと合わない。
ジェイク・ビジー 兄弟役か。

最終決定で良かったと私は思います。ケネス・ブラナー他が出て来ると話が大袈裟に見え、ストーリーより俳優を見てしまう観客が増えたのではないかと思います。与えられた役を食ってしまわないスティーヴン・ドーフには私も賛成しますが、相方を誰にするかは難しい問題です。ブレンダン・フレイザーもかなり優秀な俳優でコメディー、アクション以外に性格俳優の要素を持っています。なのでどんな役でも上手く化けるでしょうが、却って重くなり過ぎるのではとも思います。ユアン・マグレガーも役には合っているように思いますが、その彼とウマの合う相方が見つかるかどうか。スティーヴン・ドーフと組み合わせると同じ人が2人という印象になってしまいます。

コナーとマーフィーは双子なのですが、二卵性で性格が微妙に違い、姿も似ていません。ドーフもマグレガーもコナー役に合い、マーフィー的な部分が欠けています。ウォールバーグはマーフィーにするにはちょっと何かが不足しているように感じます。ニッキー・カットはタランティーノ、ロドリゲス方面の人ですが良く知りません。顔を見る限りちょっとこの役には合わないように思います。

有名でも作品を見たことがほとんど無くてよく知らない俳優もまざっていました。中にはなぜこんな人が候補にと思う例もあり、監督があれこれ文句をつけた理由が分からないでもありません。アイルランド系のストーリーで、監督はアイルランドという面を大事にしたかったそうです。また、仮に出身がアイルランド系でも、それだけで役を決めるわけにも行かないです。監督の持っているイメージは映画化権を売るとめちゃくちゃにされることもあります。いずれにしろここに出ているような有名人を使わなかったのは大正解と思います。

★ 公開までのごたごた

とにかくごたごたの多い作品で、1つにはダフィーにも原因があるのですが、ミラマックスが降り、双子の俳優はダフィーが思いついて最終決定に持ち込んでいます。私がそれまで知らない人たちでしたが上のリストに比べこれがベストと思います。極端な演技派ではなく、若者という印象を与え、無名ではないけれど大スターでもない、役に対してバランスの取れた人たちです。

揉めた末制作が始まり、出来上がる頃には全米で大々的に公開という話になっていました。ところが直前の1999年4月に2人組がまるでブーンドック・セインツの双子かと思うような姿、マトリックスかというような勢いで銃を乱射し全米最悪の学内事件を起こします。これで全米一斉公開計画は海の藻屑となります。コロンバイン事件の生徒の動機と処刑人とは全く性格を異にしていますが、こういう作品を事件直後に大々的に公開するのは悪趣味で、事件でショックを受けた人の気持ちを逆撫ですることになってしまいます。そのため映画会社が自粛に踏み切ったのは妥当な決定と言えます。

そのためもありワールド・プレミアはミュンヘンのファンタ(1999年8月)。私もベルリンのファンタで見ています。報道では映画館での公開は結局無かったとなっていますが、ドイツではその年のファンタで各都市で公開されており、ベルリンではその数ヵ月後のゲイ映画祭にも出ています。その他に一般の映画館で深夜の時間帯に何度か公開されています。

★ 上映の基準

処刑人はアクション・コメディーで、脇役には本職はコメディーという俳優も参加しています。重要な脇役のダフォーは深刻な演技もやる性格俳優ですが、処刑人では彼も完全にコメディーの乗りで入っています。空気をしっかり読んでの出場です。

しかしこの作品には英語圏で禁句になっている言葉が続出しますし、警官でもない人が勝手に人を殺して回ります。挙句に官憲までそれに加わってしまうので、まだ成長し切っていない子供に見せると教育上よろしくない。そのため多くの国では成人指定になっています。ベルリンでも公開は深夜か、ファンタのように一律18歳未満を拒否する映画祭に限っています(ファンタは成人指定なので、もののけ姫を子供に見せようとして来た日本人の家族が断わられています)。そういう国が多数派で、いくつかの国では15歳、16歳程度のティーン以上はOKとなっています。

★ 日本の基準

そんな中で飛び抜けて基準が緩いのが日本。12歳で区切っています。各国は必殺仕置き人をつとめる双子を肯定的に描く内容なので大人になっていないと判断ができないと見なし年齢を高くしていますが、日本では私でも驚く12歳です。12歳以下では保護者の付き添いが無いと行けない規則ですが、日本では小学校を出たらすぐこれを見てもいいのでしょうか。12歳以下の子供の付き添いで来る大人に取ってはストレス解消にもなり、爆笑シーンもあるのでいいかも知れませんが、ちょっとこの判断には疑問を感じます。

処刑人は日本での評判が世界的に見ても良く、DVDも外国のファンが羨むらしく、わざわざ日本製を買う人もいるそうです。私はちょうど帰国した時にそこいら中で売っていたので買いました。私はファンタの一員として大いに楽しんだ口ですが、1年に1週間ストレス解消をするという枠内での話。処刑人は言わばガス抜きのための映画です。

日本で受ける土壌は必殺シリーズにあるのかも知れません。先日無くなった藤田まことの代表作ですが、コメディー仕立てになっていて、「婿殿!」のシーンがあるためにバランスが取れています。大人が見ると《現実の不条理を1時間のドラマで憂さ晴らし》とはっきり分かります。子供が妙な事を考えないように時代は江戸時代に移しています。

処刑人は外国とは言え、現代の話。なのでやはり一定の判断ができる年齢に限った方が良かったのではないかと思いました。

★ 最終決定に残った俳優

カチンスキー兄弟のような見るからに双子という感じではなく、二卵性双生児です。長い間2人だけで生活していたらしく、両親の姿はありません。しかし誰かにしっかり教育を受けたらしいそぶりは見えます。そしてとても仲がいいです。

その2人が主人公で、役を仰せつかったのはショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・レーダス。2人とも知名度はブラッド・ピットやレオナルド・ディ・カプリオと比べるとガクッと落ちます。レーダスに至っては俳優だけが本職ではない人。なので2人とも演技には全く気合が入っていません。どちらかと言えば姿を見せることやスクリーン上の印象が重要。それも映画俳優の重要な役割です。私はやり過ぎない2人を起用した点に賛成です。しかしながら兄弟の仲の良さは十分出ています。

そしていささか軽めの青春物のスターに向きそうな2人が、実は超インテリという設定があり、そのズレが効果的に出ています。親の教育が良かったのか、恐ろしい数の外国語が自由に話せます。上のリストに挙がった俳優でこの役(ズレ)に合いそうなのはスティーヴン・ドーフぐらいでしょう。らしくないところが笑い所です。

ここに絡む刑事とFBI特別捜査官が絶妙で、それもあってか刑事たちは全員雁首揃えて続編に登場しています。FBI特別捜査官はアメリカの中ではエリートに当たる職業ですが、ウィレム・ダフォーはその中でも出来の良い方の捜査官を演じています。双子が刑事や捜査官の前で話してはまずい時、ラテン語やドイツ語を使うのですが、捜査官はそれに受け答えできてしまいます。残りのアホ刑事は口をあんぐり。

この6人のバランスが絶妙で、コメディーとして成功しています。

兄弟に仲間として絡んで来るのがロッコ。本名のままの登場で監督の知り合いです。出演作は3本で、うち2本が処刑人処刑人II。しかしただの知り合いでちょっと出してもらったと言うと失礼な存在感があります。アホ役で、この役どころは処刑人IIでゴンザレス・ゴンザレスの孫に引き継がれています。

アイルランド系スコットランド人のビリー・コノリーは英国では有名なようですが、外にはあまり知られていません。テレビの出演が多いです。ファンタに限って言うと、1度彼の役名が映画のタイトルになったフィド(邦題: ゾンビーノ)に出ていました。主演に近いです。私はまず処刑人で知り、その後タイムラインも見ました。コメディアンとは知りませんでしたが、処刑人のロケで待ち時間にスタンドアップ・コメディーをやり始めてその辺に集まっている人を笑わせていたという話を耳にしたことがあります。

その他にやくざの中にもコメディー的な所を上手く出している役者が混ざっています。中の1人は映画界の別な分野ではキング的な存在。ロン・ジェレミーといいます。彼は自分の分野を越えて時々普通の映画にも出て来ますが、その際は《着衣のロン》を通しています。でないと成人指定が必要です。私はまだ彼の本職出演作を見たことが無いのですが名前だけは凄くて、音楽界で言えばマイケル・ジャクソン、FIの世界ではミヒャエル・シューマッハー程度のランクです。

★ ストーリー

短くまとめると《必殺仕置き人》。以上。終わり。

非常に短くまとめましたが、これで全部です。

★ やや詳しく語ると・・・

場所はボストン。時代は今から10年ちょっと前。911事件の前のアメリカです(あれで世界はガラッと変わりましたねえ)。主人公は精肉工場で働く双子マーフィーとコナー。

ある日町で最近台頭して来たロシア・マフィアといざこざがあり、間もなく親分格のチェーホフと舎弟が1人死体になっていました。所轄の刑事3人を見下すFBIの特別捜査官登場。所轄の刑事は頭がさほど切れないので、馬鹿にされても仕方ありませんが、特別捜査官が切れ者過ぎるのかも知れません。4人は捜査に当たります。

プロファイリングなどという所轄の刑事の見慣れない方法で捜査に当たるFBI特別捜査官はシャーロック・ホームズ並の洞察力で、これは所謂殺人事件ではないと見抜き、事件の直後自首して来て1度逮捕された双子を釈放します。正当防衛と認められます。

ところがマスコミを避けるため一晩留置所で明かした2人はブルース・ブラザーズのベルーシーのような経験をし、必殺仕置き人に変身しまいます。目指す相手は組織犯罪に関わるマフィア。祈りながらサイレンサー付きの銃で相手を後ろからプシュッ。三途の川を渡る時船頭に渡す乗船料として銅貨を2つ目の上に乗せて去るという独特の方法を考えつきます。

行きがかり上イタリア・マフィアのチンピラのロッコも双子に合流し、3人組は町に巣食うマフィア退治に乗り出します。ロシア・マフィアの次はイタリアがいいということになります。何しろロッコは走り使いをしていたため、どのボスがどこの誰と繋がっているか良く知っています。次は我が身と心配したヤカベッタ一家のボス、2代目ヤカベッタはイル・ドゥーチェを用心棒として雇います。非常に危険な犯罪人として重警備の刑務所に入っていた男です。

間に別な殺人事件もありますが、そこは飛ばして・・・。

ボストンの市民は双子たちが町のごみを始末してくれるのでやんやの喝采。FBIの特別捜査官にも迷いが生じます。ヤカベッタは17人を殺せと命令した罪で裁判に出なければならない身。金をかけて弁護士を雇ってある上に、ヤカベッタに不利な証言を恐がる人もおり、決め手になる証拠も十分とは言えません。無罪になる可能性が大きく、そこに町の掃除人の双子が現われる可能性は大きいのです。

ヤカベッタのお尻に火がつき始めた頃、切れ者のFBIは自分が釈放した双子や顔見知りのチンピラが怪しいと気づきます。特にチンピラのロッコについては動かぬ証拠をつかみます。しかし法の手が及ばずヤカベッタのような男が大手を振って無罪を勝ち取ってしまう矛盾も自覚しており、考えがぐらつき始めます。酔った勢いで飛び込んだ教会で神父と話しているうちに、自分も双子と同じ路線を選ぶべきだと決心してしまいます。

自分を守らせるためにイル・ドゥーチェを刑務所から出してやったつもりだったヤカベッタは双子とロッコを拉致し、ロッコを殺してしまいます。双子はロッコが無事三途の川を渡れるように祈りながら船頭に渡す船賃をロッコノ目の上に置きます。2人の祈りの最中に忍び込んで来たイル・ドゥーチェは双子の祈りを途中から引き継ぎます。なんでやねん・・・とは思わず、2人はすぐにイル・ドゥーチェが自分たちの父親だと気づきます。

ロッコを失った双子は父親と合流し、3人組に戻ります。ロッコと違い父親は気違いとまで言われた伝説的な殺人狂。銃の扱いなどお手の物。3人はヤカベッタの裁判の日を待ちます。

裁判当日なぜか3人のアホ刑事とFBIが双子親子を裁判所に入れる手引きをします。決戦の日でした。

★ アメリカとメンタリティーが違う国ではコミックと認定されるか

・・・といった筋です。最後はすっきりと観客の共感を得て終わるようになっています。アメリカ人大好きの「自分の町は自分で守る」式の理屈なので、好き嫌いの差がはっきりする作品です。ドイツ人は自分でおとしまいをつける話にアメリカ人ほど飛びつきません。普段は抑えが効いています。ただ、ファンタは普段のそういう鬱憤を1年に1度1週間晴らす場ですので、ファンタの中では大受けです。ドイツ人は映画の中の虚構を現実をあまり混同しませんから、あまり目くじら立ててあれこれ言う必要はないです。

ドイツ人は精神状態が安定していて犯罪歴が無ければ護身用の銃の携帯は許されていますし、狩猟用のライフル、軍人用の武器の所持も許されている国です。しかし発砲事件、発砲事故はアメリカの比較にならないぐらい少ないです。

処刑人の制作国カナダはその辺にある武器の数はおそらくアメリカを上回るでしょうが、この国の発砲事件、発砲事故も非常に少ないです。Polytechnique が語り草になってしまうのは、そういう事件が皆無だからです。

日本も一般の人が銃を持つことのない国ですから自分でおとしまいをつけようとしても火器は使わないだろうと思います。ただ年端も行かない子供にこういう作品を見せるという点は気になります。18歳で区切るのは非常に妥当だと思います。

★ 宗教の問題

アメリカでこの作品は大評判になるはずが、コロンバイン事件と重なり、公開はボストン以外ほとんど見合わせたので、ダフィーの名前も2人の主人公の俳優もその時以上に有名になることはありませんでした。もし有名になっていたら教会の問題で大揉めしたと思います。

主人公の2人の青年は非常にまじめに働き、信心深いのですが、神の名の元にマフィアを射殺して行くのですから、必ず教育委員会からクレームがつくでしょう。長い間両親と離れて暮らしている双子は近所の人たちに暖かく支えられ、自分たちも隣人思いの好青年ですが、窮地に陥った隣人を助けた行きがかり上襲って来たマフィアを殺してしまいます。そこは正当防衛で済んだものの、その後は殺人です。きっとどこかからクレームがつくでしょう。長年行方を探していた父親とご対面・・・その父親は有名な重犯罪人で殺人狂と呼ばれていた・・・、これもやばい。

世の中の矛盾を純粋な心を持った若者が取り除いて行く・・・のはいいのですが、射殺という方法、教会、神の名の元に行う事への説明がつきません。こんな映画を作られてしまうと教会も困ってしまいます。1999年はまだ今ほど教会に風当たりが強くありませんでしたが、殺人を煽ってはねえ・・・。

★ 勢いで作った作品

コロンバイン事件と重なってしまったために、処刑人は日本ほど有名ではありませんが、一部のファンからは根強く支持されています。そのため2000年代に入って間もなく続編の話も出ました。しかし処刑人から数えると続編ができるまでに10年かかっています。18年かかったブルース・ブラザーズよりは早くできましたが似たような感じです。確かあちらも教会がらみで、神の啓示もあったように記憶しています。

この記事を書きながら久しぶりに処刑人を見直しましたが、10年経っても新鮮な印象は落ちていません。監督、出演者が乗って勢いで作り上げたという感じです。ちょうどいい時期にちょうどいい人たちが集まってやる気になっていたのでしょう。

処刑人IIに続く。

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