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ノミネートが発表された時期:2017年12月
受賞が発表された時期:2018年1月
2018年のゴールデン・グローブ授賞式には黒装束の女性たちがぞろぞろ出て来ました。落ち目になり始めた大物プロデューサーが水に落ちたので、皆で叩こうという話のようです。
プロデューサーとしてはいい勘を持っていたようですが、男性としては素行が悪く、地位を利用して悪行を重ね、年貢の納め時がちょうど今来たということらしいです。
彼が生贄になったのでしょう。本人に心当たりがあったようで、そのまま業界を退場ということになりそうです。その葬式と考えてか、米映画界の和田アキ子ことメリル・ストリープを筆頭に、有名女優がぞろぞろ黒装束で陽気に現われたようです。
この女性たち、女性解放運動などを誤解しているのではないか、事の本質を見るのは相変わらず嫌で、格好だけの運動を続けているのかと思いました。一時期は意欲的な作品を出していた人たちですが、長い、長い、長い間自分の属する業界の不条理を正そうとはせず、象徴的な作品に出演することだけで終わるというスタンスが2017〜2018年に目に見える形で表に出たなあと思っています。
以前から男女を問わずアメリカの芸能界で嫌な目に遭った人を救出していたのがフランス。映画界だけでなく、50年代にはまだ公民権の無いアメリカのジャズ・ミュージッシャンを招いて、フランスで仕事ができるようにしていました。 で、今回もフランスの和田アキ子ことカトリーヌ・ドヌーヴがアメリカの女優たちの間の抜けた運動に水をさそうと一言言ったのはいいのですが、彼女もちょっと的を外した感があります。数日後にメッセージの一部を訂正、謝罪しました。
女性にセクハラをしたプロデューサーを責めた大勢の有名女優たちを諭そうとしたようですが、その論拠が「誘惑の自由」では、米仏共に本当に嫌な思いをした人や、危ない目に遭った人を代弁していません。
間もなく芸能界からはずっと遠ざかっていたブリジット・バルドーも参戦し、「私のお尻を褒めてくれる男に嫌な印象は持っていない」といった趣旨のメッセージを発しています。私はこれもやや的を外しているように思います。
ドヌーヴの意見で私も賛成なのは、全体主義的、魔女狩的な手法に反対しているところ。
私がこの運動にすぐ乗る気がしないのは、まず何よりも成人と未成年の間にはっきり線を引くべきだという視点が抜けていること。次に他の業界より芸能界には女性が自ら売り込むために扇情的な行動を取るケースが多いかもしれない点が考慮されていないこと。(ある時期からドイツの学術界や企業の人たちにも一部見えるようになりました。結婚、恋愛関係という方法で早く上に上がろうとした女性たちもいます。ドイツがこうなので、他の国にも前進を焦った女性がいたのかも知れません。) そして私が何よりも願うのは、今回話題になったプロデューサーのような地位にもっとたくさんの女性を送ること。この方法で問題を減らすのは急がば回れで、時間がかかりますが、逆戻りは無いのではと期待しています。
ここ2年ほどの間にファンタには女性の監督が増えました。アメリカでも徐々に女性にも仕事が入っている様子。こういう方法で問題を根本的に減らす努力をすればいいのに、メディアの前であんなパーフォーマンスをしたことで、今回の問題の口火を切った被害者女優の1人からは、黒服パーフォーマンスをした有名人たちに対してきつい批判が寄せられたそうです。
私もこういった有名女優たちが黒い服を着ながらうれしそうにそわそわしている様子を写した写真を見て、場違いだなあという感想を持ちました。本当の問題は今後奥深くにもぐってしまうのでしょうね。
ただ、近年はコンピューターの発展で、誰でも簡単にユーチューブで自分の作品を公開できるようになりました。と言うことはアメリカ人は何も全ての映画をハリウッドとニューヨークで作る必要は無いということです。実際ファンタには必ずしもこの2つの都市を根拠地にしていないアメリカの作品も出るようになっています。その上、カナダ、メキシコでも映画は作れます。「セクハラ男、パワハラ男が邪魔するなら、他所で撮るよ」と言える余地が少し増えているのではないかと思います。
ついでに言うと、女性解放運動の結果女性が上の地位について、問題男と似た行動を取る女性が出る例もたまにあります。男と同じ = 解放 と勘違いした女性がいました。例えばたくさんの男がタバコを吸ったので、自分も吸い始め、色々な病気になってしまう女性が身辺に続出しています。女性の解放はこれまで制度上出られなかった分野に進出することでもありますが、同時に男性がやって、自ら損をしている行動は真似をしない、毎回取捨選択をすることも含まれているのではと思います。
ドイツの女性解放運動も学術系、政治系の分野では呆れるようなばかげたパーフォーマンスをしたばかりに支持者を失っています。ところが実際の市民生活の中では、女性が主体になって働く企業も現われ、実践面では成功の兆しが見えます。こういう人たちはパーフォーマンスはやらず、実質的に仕事を支えています。
一応学術部門に数えられるのかも知れませんが、ドイツの医療関係にも上の地位に行く女性が増えており、看護は女性、治療は男性の時代は終わったと言えます。大学病院では主任級、所長級の地位に女性が就いています。こういう方法は時間がかかるかも知れませんが、確実に女性がセックスの餌食にされることが減って行きます。ハリウッドは50年近く時間があったのに、何やっていたんだろう。
それから、ハリウッドで餌食になるのは女性とは限りません。若い男性にも嫌な経験をした人がいるようです。要はセクハラと言うよりパワハラ(日本にしかない英語)問題と捉えた方が本質を突いているのではないかと思います。
間もなくファンタに来るギレルモ・デル・トロのシェイプ・オブ・ウォーターが大成功。7部門ノミネートです。
作品賞・ドラマ
スリー・ビルボードは娘を殺された母親、ちゃんと仕事をしない警察を巻き込んだ復讐劇。実力派の地味な俳優が出演。マクドーマンドはオスカー、エミー賞、トニー賞に続きゴールデン・グローブも受賞。グローブは初受賞です。重い内容をコメディー仕立てにしてあります。
ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書はベトナム戦争に絡む実話が元ネタ。既に色々な賞を欲しいままに受賞した監督と主演。
主演女優賞・ドラマ
懐かしい。ファーゴの婦人警官。ファーゴで共演したウィリアム・H・メイシーも長く同じ人と結婚していますが、マクドーマンドも1984年から同じ人と結婚しています。ファーゴが大受けした頃「私は監督と寝てこの役を貰った」風の冗談を言っていましたが、夫はファーゴの監督。なので、事実に違いありません。今年の授賞式でマクドーマンドは1996年の件で追求されるのでしょうか。でも、あの頃すでに10年以上監督の妻をやっていたんですけれどね。最近は何を糾弾されるか分からない時代に入って来ました。物事にはやっていい事とだめな事がありますが、近年その判断もできない大人が増えました。で、糾弾も焦点が散漫になってしまうことがあります。当時の子供をきちんと育てなかった親の世代、今何を思うのか。
主演男優賞・ドラマ
大ベテランを集めたノミネート。誰に行ってもまあ納得という顔ぶれです。
作品賞・ミュージカル&コメディー
主演女優・ミュージカル&コメディー
主演男優賞・ミュージカル&コメディー
ヒュー・ジャックマンが受賞のつもりだったそうですが、フランコに油揚げをかっさらわれた様子。なぜか本人は受賞に決まりと思っていたようです。オーストラリアからはニコール・キッドマンが受賞したので、ジャックマンははずれ。ジェフリー・ラッシュも参加しており、オーストラリアの大物3人が揃った感じです。
外国語映画
受賞作は原題とは全然違う邦題です。監督はドイツでは有名。主演は主として外国で仕事をするドイツ人。ドイツ語で演技をするのは初めてではないかと思います。
助演女優賞・ドラマ
助演男優賞・ドラマ
渋い人に賞が行きました。
プラマーは御年88歳。米寿です。サウンド・オブ・ミュージックの時は36歳ぐらい。
監督賞
脚本
音楽(オリジナル)
ジョン・ウィリアムズとハンス・ツィンマーと言えばハリウッドの大作の音楽をほぼ独占状態の2人。揃ってノミネートされ、揃って外れました。
音楽(オリジナル・ソング)
長編アニメ
TVシリーズ・ドラマ
TVシリーズ主演女優賞・ドラマ
TVシリーズ主演男優賞・ドラマ
TVシリーズ・ミュージカル & コメディー
TVシリーズ主演女優賞・ミュージカル&コメディー
TVシリーズ主演男優賞・ミュージカル&コメディー
メイシーは妻を立てる夫。夫婦揃ってノミネートです。
TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
劇場映画版ファーゴに主演した2人がノミネートされる中、テレビ版ファーゴもノミネート。
ビッグ・リトル・ライズ セレブママたちの憂うつの元ネタはささやかで大きな嘘という推理小説。
主演女優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
主演男優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
マクラクランは一生をツイン・ピークスに捧げるつもりなんでしょうか。
助演女優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
助演男優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
セシル B. デミル賞
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