皇帝の正しくないチェス

Denim1222さんがハリー・ポッターの謎を解く。


 「魔法使いのチェス」について、ちょこっと語ったものの、その後はほったらかしになっていました。
 しかしながら、やってきました、5月15日。

 何の日かと申しますと、「ハリーポッターと賢者の石」のビデオおよびDVDの発売日でございます(笑)。
 と同時にレンタルも開始されちゃうわけです。

 まぁ、別に映画を見ているわけで、改めてビデオを借りるつもりもなかったのですが、そんな怠け者の私に代わって、ビデオをレンタルして「魔法使いのチェス」問題のシーンの謎を解いてくれる方が現れました!

 ということで、Denim1222さんにご登場願いしましょう。なんと、「魔法使いのチェス」の謎について、わざわざメールを2通頂きました。ありがとうございます。
 以下は、頂いたメールをそのまま貼り付けたものです。

Denim1222さんによる解説−1

 皇帝様、始めまして。Denim1222と申します。
 「皇帝の正しくないチェス」、観させてもらっています。

 さて、話題となっていた「魔法使いのチェス」の最終図ですが、ビデオをレンタル開始日に借りて、バイト休んで考えてみて(笑)1つの結論を出すにいたりました。
 正しいかどうかは?ですが、意見の一つとしてもらえればと。

 ロンはKN、ハーマイオニーはQR、ハリーはKBを受け持ちました。

 で、「ポーンc3!」「ルークe4!」と激戦で、話は一気に最終場面へ。
 白クイーンがルークを取るあたりから話そうと思います。

 白クイーンは黒マスにいたルーク(KR)を取り、ハリー君は飛んでくるそのガレキをしゃがんでかわします。ハリー君は、その時盤の端にいました。

 結論から言って、「ハリー君のいた場所はa3」です。
 映像を見てもらうより無いのですが、確かにa3にいるのです。
 そして、白クイーンはQxc3としてハリー君に埃を浴びせます。

 ここで、ロン君の「僕が犠牲になる」発言が出てきます。

 この話の最中のロン君とハーマイオニーの位置を確認します。

 ロン君に向かって左側最後列黒マスに、彼女がいます。
 そして、ロン君はのちにNh3+を繰り出します。
 これらのことを考慮に入れると、
「ロン君の位置はg5、ハーマイオニーの位置はf8」となります。

 ちなみに、ロン君が右を向いてハリー君に話し掛けることから、ハリー君がa3にいることも確かです。

 そして、問題の場面。ロン君が(黒から見て)左前へと動く。Nh3+です。

 fファイルはハーマイオニーが抑えているので、白キングはg1にいることがわかります。
 Qxh3とせずに白キングが逃げるための道は
(1)f1,f2 (2)g2,h1 (3)h2とあるのですが、(1)はハーマイオニー(R)が利いています。
(2)は一見逃げ切れそうですが、実はc6に黒の白マスBが生きています(映像より確認)!このBがh1-a8ダイアゴナルを封じているため、この可能性もなし。
(3)h2には、白ポーンがいます(映像より確認・笑)

 以上、白キングに逃げ道は無く、Qxh3の一手です。

 ここで、ハリー君が3マスほど移動してメイト、ですが…
皇帝様は、「画面の左奥から右手前(白番の方から見て)」としていましたが、
これは逆です。

 正しくは、「白から見て左手前から右奥」、つまり黒側へ引き返しながらチェックをかけるのです。Bc5+です。

 ただこれは、チェックメイトというよりは受けなしなわけで、白がQe3と一手延命することが出来るので どうなのかなぁ?というところです。まぁ、それでもハリーxe3#なんですけどね。

・整理
白:キングがg1、クイーンがc3、ポーンがh2。
黒:ハリー君がa3、ロン君がg5、ハーマイオニーがf8。
あと、白マスビショップがc6。キングは適宜で(汗)。

1. ... Nh3+ 2.Qxh3 Bc5+ {白リザイン}(3.Qe3 Bxe3#)0-1

 こんなもんでどうでしょう?

 ちなみに、この局面だと
1. ... Bc5+ 2.Qxc5 Nh3#で完全なメイトですが、この場合はハリー君が犠牲になってしまいます。

 ロン君はハリー君を先に進めるがために、あえて自らを犠牲にしたのでしょう。
 そう考えると、サクリファイス前に交わされた会話が際立ってくるというものですね、はい。

 と、僕が映像を見ながら考えられたのはここまでです。

 ハーマイオニーの利き、脇役のc6ビショップ、h2のポーン。これらの位置が絶妙かと思われます。

Denim1222さんによる解説−2

 少しばかり先日の説には不安な点がありますので、追記させていただきます。お付き合いください。

 メール送信後にもう一度映像を見返してたところ、なんとd5に白のポーンがあるようでして。
 d5に白ポーンがあるということは、c6にいる脇役Bの利きが遮断され、その結果キングにg2,h1の逃げ道を与えてしまいます。

 しかし、あの局面ではg2,h1へ同時に利くのはあのc6のB以外にありえません(強情・笑)!そして、メイトの形は僕の考えた形に限りなく近いはずです!

 そこで僕はd5ポーンのあら捜しを始めました。ある可能性を信じて。

 例の局面では、e5の地点にも白ポーンが置かれています。
 そのポーン2つを見比べてみると!
 どうも、d5のポーンには「首」がないようなのです。

 d5,e5,h2のポーンが一画面に収まるアングルの映像が出てくる箇所があるのですが(ロン君のNを取りにQが動いてくる場面です)、他のポーンには首から上がはっきりと見て取れるのに、d5のポーンだけ首から上がありません。映像の角度の問題かな?と思いましたが、それほど急なアングルでもなかったため、あそこには「首なしd5ポーン」が存在していたと僕は考えます。

 僕はd5のポーンについては「何か他の駒に攻撃され、残骸となった(つまり取られたはずの)ポーンなのかな?という解釈です。現に、d5のマス以外にも、盤のあちこちに台座だけになった駒の残骸が置かれている箇所があります。

 もしd5のポーンが「残骸」であるなら、c6のBは以前の利きを取り戻し、先日のメールの内容が成立しますが、「生きている」のなら、今までの考えは不成立です。

 僕は、残骸であるという可能性に賭けます(意地)!

 そこで、皇帝様!まことにぶしつけとは思いますが、ぜひ皇帝様がじかにあのシーンをご覧になって、僕の考えたメイト図と、d5のポーンについて検討していただけないでしょうか?
 僕に間違いがあったとすれば、それは皇帝様のサイトに対しても大変なご迷惑をおかけすることになると思いますので。掲載は皇帝様が確認をなさって太鼓判を押してから、ということにしていただければ幸いです。

PS. 「じゃあそのポーンが残骸だとすれば、それを取った駒は残骸をどけないでどうやってd5に留まったのか?」という質問が怖いですね(笑)。
 「だって、盤上にも他の駒の残骸があるじゃん!」としか言えません。
 いや、「あれは他のマスで殺されたポーンの残骸がd5に飛んできたんだ!」という反論が出来ますか(苦)。
 ともかく、ハリポタという重箱の隅をつついているのは確かなようです^^

皇帝による見解

 素晴らしい。実に素晴らしいです、Denim1222さん。

 わざわざここまで調べて、その結果を投稿してくださった姿勢に敬意を表して、私もビデオをレンタルして参りました(正確には、嫁に借りに行かせた)!
 しかも、新作なのでレンタル期間は1泊2日(笑)!!

 して、結論から言いますと、Denim1222さんの調査結果に何一つ間違いはございません!

 d5に存在する白のポーンは確かに首はありませんし、白クイーンがQxc3とした時のb2のマスには、これまた残骸となった駒の台座が放置されていましたから、このd5ポーンもただの残骸のようです。

 Denim1222さんさんの御指摘の通り、駒の残骸が盤上にあれば、その駒を取った駒にとって邪魔だとは思いますが、やはりそこは映像の問題ですね。やっぱ、盤上に残骸があった方が迫力があるしね(笑)。

 さらに、私がビデオで確認したところ、Denim1222さんの報告にあった以外の駒の位置もいくつか判明しました。
 Denim1222さんの調査結果に追加し、私が確認した駒配置を加味すると、以下のような局面が出来上がりました(実際は、もう少し駒がある可能性有り)。

図
【図 Qxc3まで】
 

 どうですかね?この局面から、ロン君のNh3+が出ることになります。
 但し、黒のキングの位置は確認できませんでした。しかし、この局面ならば、g8かh8のいずれかにあると考えて差し支えないでしょう(図はg8としておきます)。

 さらに、この局面の駒割を確認しますと、
黒白ともにルークを1つ失っています。
黒のクイーンが無く、その代わりに白はナイトとビショップ×2がありません。
ポーンは黒が2つで、白が3つ
 つまり、黒のワンポーンダウンという状況となります。

 前述したように、もうちょっと駒が盤上に存在する可能性もありますが、概ねこのような局面であったと考えて良いでしょう。

 そして、この局面から白のキングをメイトするためには、Bc5+とNh3+の2種類の方法があるのですが、ロン君は自ら犠牲になることを選んだであろうということは、Denim1222さんの仰るとおりだと思います。

 では、「どうやったら、こんな局面になるのであろうか」という疑問もあるのですが、それについては、「そんなことは知らない」と答えることとしましょう(笑)。

 なお、上の図に対して、「いや、ここにも駒があったよ」というツッコミは常時募集しています(笑)。
 但し、その際には駒が残骸であるか生きているかをきちんと御確認することをお忘れなきようにお願いしたいと思います。