皇帝の正しくないチェス

嫁がハリー・ポッターの本を買ってきた。


 「ハリーポッターと賢者の石」の映画が見終わったその帰り、嫁と二人で映画の感想などを話しました。
 やはり嫁は「魔法使いのチェス」のシーンもちょっと気になる様子。とはいえ、チェスのことはさっぱりわからない嫁。

 「あのチェスのゲームは、どう思う?」と聞かれて、「うーん、よくわかんないけど、ちょっとインチキくさいなぁ。あくまでの映画のワンシーンであって、ゲームの内容はウソっぽいな」と答えました。
 家に帰った後、僕はチェス盤を持ち出して、前章に書いたような試行錯誤を繰り返したわけです。
 私がブツブツ言いながら駒を並べている様子を見て、嫁は「どう、わかった?」
 「いやー、わかんないなぁ。やっぱりチェスのゲームとしてはインチキくさいなぁ」
 「ふーん」
ってなわけです。

 映画の謎を解くためには、原作があるわけです。原作、といっても洋書じゃないですよ、日本語版ね。
 そういうことで映画を見た翌日、私は出掛けついでに本屋によって、ハリーポッターの本を立ち読みしたのでした。まぁ、立ち読みといっても「魔法使いのチェス」の部分を確認したわけですが。
 ところが、本の方は映画以上にわからない。そもそも、ハリーのビショップ、ロンのナイト、ハーマイオニーのルークが、キングサイドなのかクイーンサイドなのかもわからない。
 これじゃあダメだ、と私は本を買わずに家に帰りました。
 家に帰ると、嫁が嬉々として言います。「チェスの謎を解くために、ハリーポッターの本を買ってきたよ!」
 ・・・・・・。

 何ともタイミングの悪い話ですな(笑)。僕は、立ち読みの話をして「買わんで良かったのに・・・」と言いましたが、そこはそれ(謎)。買ってきたからには、本の方の「魔法使いのチェス」についても書かなきゃなりませんな。
 とりあえず、本に書かれている「魔法使いのチェス」に関する記述はこちらを参照してください。

 ということで、本の方も分析(?)してみましょうか。引用文は太字で、さらにポイントになる箇所にはアンダーラインを引いておきます。


 「じゃ、ハリー。君はビショップとかわって。ハーマイオニーはその隣でルークのかわりをするんだ」

 「ロンは?」

 「僕はナイトになるよ」

 さっきも書きましたけど、彼らがキングサイドとクイーンサイドのどちらの駒と入れ替わったのかがわからないんですよね。

 しかも、ビショップの隣がルークはどういうことやねん。原作がおかしいのか、訳がおかしいのか・・・。

 「ハリー、斜め右に四つ進んで

 ロンと対になっている黒のナイトが取られてしまった時が最初のショックだった。白のクイーンが黒のナイトを床に叩きつけ、チェス盤の外に引きずり出したのだ。ナイトは身動きもせず盤外にうつ伏せに横たわった。

 「こうしなくちゃならなかったんだ」

 ロンが震えながら言った。

 「君があのビショップを取るために、道を空けとかなきゃならなかったんだ。ハーマイオニー、さあ、進んで」

 ここがややこしいんだなー。

 まず、ハリーが斜め右に4つ進んだ手と、次の○.QxN の手が一連であるかがわからない。

 しかも、この○.QxN の手が「最初のショック」ということは、これ以前に駒を取ったり取られたりはしていないと推測される。ポーンが消えないまま、いきなりクイーンがナイトを取るとは、相当クローズドな局面なのだろうか。

 そして、その次の手として、ロンはハーマイオニーに○. ... RxB を指示している。ポーンが消えないままに、ルークがビショップを取れるというのもオカシイ気がしないでもない。

 この○. ... RxB は、普通に考えるとdかeファイルで行われていそうだが、実際に駒を並べてみると、なかなかうまくいく局面が作り出せないのが実状だ。

 「これしか手はない・・・・・・僕が取られるしか」

 「だめ!」

 ハリーとハーマイオニーが同時に叫んだ。

 「これがチェスなんだ!」ロンはきっぱりと言った。

 「犠牲を払わなくちゃ!僕が一駒前進する。そうするとクイーンが僕を取る。ハリー、それで君が動けるようになるから、キングにチェックメイトをかけるんだ!」

 ロン君の名言集ですね。

 これがチェスなんだ!・・・かっこいいですね。サクリファイスとギャンビットこそがチェスの醍醐味です(嘘)。

 しかし、ナイトのくせして「僕が一駒前進」とはなんたること。とはいえ、良い表現もなさそう。
 それはさておいても、このナイトサクリファイス、すなわち○.QxN がどのマスで行われたかも明記されていません。

 あ、ちゃんと「チェックメイトをかける」と訳されていますね。なかなかやるな、松岡佑子(訳者)。

 ロンが前に出た。白のクイーンが飛びかかった。ロンの頭を石の腕で殴りつけ、ロンは床に倒れた__ ハーマイオニーが悲鳴を上げたが、自分の持ち場に踏みとどまった__ 白のクイーンがロンを片隅に引きずって行った。ロンは気絶しているようだった。

 震えながら、ハリーは三つ左に進んだ。

 そして、白のキングは王冠を脱ぎ、ハリーの足元に投げ出した。

 そして、これが最後の局面。ロンによるナイト・サクリファイスが飛び出し、○.QxNとクイーンがナイト(ロン)を取る。そして、ハリーのビショップが三つ左に・・・って、左前と左後ろのどっちやねん!


 とまぁ、このように原作を読んでもさっぱりわからないハリーポッター(のチェスの場面)。

 まぁ、駒に関する記述は多少なりともありますが、その位置するマスに関する記述がないですからね。
 これだけでは、この「魔法使いのチェス」の謎を解くことは不可能だと思います。まぁ、私の実力では(笑)。

 ということなので、謎を解いてくれる方、本当に募集しています(笑)。