皇帝の正しくないチェス

15.1 御挨拶


hiyagon先生による御挨拶

 皆様はじめまして。24歳大学院修士2年(2002年2月現在)のチェスプレイヤー、Hiyagonです。
 Hiyagonとは本名ではなく、本名は田中優毅といいます。それ以上の自分のプロフィールその他については、機会があれば又紹介させていただく事にします。

 ここ、皇帝のページに寄稿するのは初めてですが、皇帝からのプッシュの激しさによっては、Regular Contributorになるかもしれません(^^; どうぞよろしくお願いします。

 皇帝さんから千葉県、柏の大会で、チェスとの出会いの経緯を聞いたのは、ヒヤゴン弱冠22歳の夏、柏オープンですから、もう一年半前という事になるでしょうか。時の経つのは本当に早いものです。

 皆様は、ヤフーチェスという場所をご存知でしょうか? ネットを通じて離れた相手ともチェスを指す事ができるサイトです。正直、棋譜がとれなかったり、局面のセットアップや検討の為に駒を動かす事ができない、など、素人目には割と簡単に改善できそうな欠点さえいくつか抱えた、未だ理想には遠く至らないサイトですが、皇帝閣下は、そんなネットサイバーゾーンでチェスと出会い、そしてはまった、そんな現代人の一人です。
 余談ですが、ヤフーチェスは、Macintoshと非常に相性が悪く、自分はWindows-Userながら、大学の研究室に備えられているMacintoshから息抜きに(笑)試合をしようとすると、学問の神の怒りに触れるのか、途中でフリーズしたり、手を指すと「不正な処理を行いましたので、アプリケーションを強制終了します」と怒られたりして、「オレの好手は不正な処理かい!」などと、人知れず画面につぶやく事を余儀なくされ、非常にストレスの多い環境です。これからも、このMacintoshとの相性の悪さだけはどうかそのままにして欲しいと願っています。

 脱線してしまいました。
 その2000年夏の柏オープンにおいて、私ヒヤゴンは皇帝に初めてお会いし、早速一緒にお酒を頂かせてもらうはこびとなり、その席で皇帝は自分のホームページの趣旨を熱く語ってくれました。
 簡単に言うと、なんの先験的情報なくしてチェスの世界に飛び込んできた人、たとえばネットでチェスをはじめた人たちが気軽に手に入れることのできる日本語のチェス情報は未だ限られており、そんな人達が自然とチェスとの付き合いを深めていく際の一助となるようなページが必要だ、というご意見でした。 私は、その意見にこれ以上賛成する事はできないというくらい同意見でしたし、元来調子に乗りやすい性質である自分は、何らかの記事の投稿を安請け合いしたのでした。

 

 時は流れて一年半、プッシュする皇帝と、ぐうたらヒヤゴンという図式は続きます。いや、考えてはいましたよ(笑)、どういうものを提供するのがいいのか。
 皇帝はどちらかというと、渡辺暁先輩が「Open your eyes」で書かれているような、立派な連載のようなものを望まれておりましたから、「果たして続けられるか?」という事がいつもネックでしたし、同じ趣旨で講座を開いても、暁先輩の域には数段及ばないでしょう。
 「こういうものを作りたい、こういう事を書いてみたい、こういう読者にとって有益ではないか」、そういう理想はいくつも浮かんでは消えましたが、正直、その手のものは作るにしても自分のペースであれこれ考えながらのんびり作っていきたいという気持ちもありました。

 結局自分の達した妥協案は、イルカさんが既に長く続けておられるような形で、自戦記を一大会一つずつ程度、公開していこうか、というアイディアでした。
 幸い現在の自分には、自分の公式戦にごく簡単なAnnotationをつけて仲間内で見てもらうという習慣があります。 それを多少加工して人様に見せられるものにする、という方法ならば、少なくとも習慣が続いているうちは、無理なく続けられそうです。
 あれこれ考えているだけで終わってしまうより、とにかく何かしら貢献するほうがずっと実があるというのは、よくある話です。浮かんでは消えたアイディアの数々、「読んで面白く、実際に上達を促す事ができて、自分の役にもたち、あきさせずにチェスの魅力を伝える事ができる上に、永遠に解かれることのないチェスについての種々の疑問を投げかけていて、時代の変化に対応しながら変幻自在、大胆繊細」そんな理想のチェスページについてのあれこれの考えは、いつか自分のホームページでトライし、実現したりしなかったりしたい、と思います。

 余談ですが、最近、諺の収集に凝っていますが、「あれこれ考えているより・・・」の意味の諺なんて如何にもありそうですが、どなたがご存知ないでしょうか? もし知っていたら、教えてください(^^;机上の空論、と似てるかな。
 日本語だけでなく、外国語の諺にも非常に薀蓄のあるものがあってびっくりします。チェスについて特化したものにも沢山出会いましたが、中から、最も印象に残った言葉のひとつを一つ紹介しましょう。

 'Often, the winner turns out to be not the one who played better chess, but the one who showed stronger will to win' ,(出典忘却)

 また脱線しました。 理想は時と共に崩れ、初級〜中級者をおもに対象とした自戦記を半定期寄稿の形で紹介していくという所に落ち着いたというところまでお話致しました。
 メリットは自分にも読者にもあると信じていますが、読んでくださる方々の側のメリットについて、自分の考えを簡潔に記しましょう。

 私のFIDE Ratingは一時期、2198まで上がりましたが、チェスの本場の中の本場、旧ソヴィエト連邦に乗り込んで行った修行IMトーナメントでの10連敗の傷は未だ癒えきらず、現在2169です。その時の辛い経験については、機会があったら、お話しましょう。
 私の先輩の一人に塩見先輩という方がいて、「ロシアンチェスの秘密」という連載をある雑誌になさっていた事がありました。 もちろん今の国名はロシア、などなどに変わりましたが、自分には、'Soviet Chess School'の重苦しい荘厳な響きが彼らの伝統には相応しい気がします。
 「ソヴィエトチェス学派」です。

 また脱線しました。そう。私は文章を書くのも読むのも割合と好きな方で、棋譜のないチェスの本なんてのも好きです。 いつか自分がホームページを持つなら、hudaさんのページにあるような、「無駄話」のページは欠かせません。

 ええと、・・・とにもかくにも、2169です。 皆様がチェスを勉強する時、実戦集を研究しようと思うと、GMの試合を研究することになると思います。
 勿論、強い人のゲームを研究する方が勉強になるに決まっていますが(但し、現代のプレイヤーの方がレベルが高いからといって古典的名プレイヤーの研究をないがしろにしてはいけない、というのはよく言われることです)、初心者〜初級者の方とGMの間にある私のような人間のゲームに触れる機会は少ないでしょうし、その思考のレベル、思考ルーチンを理解する事は、自分の前に、ひょっとすると若いあなたならGMにまで続く道の長さスケールを推測する意味で無益ではないでしょう。
 また、第2代世界チャンピオンLaskerは、相手を徹底的に研究した事で有名ですが、私と対戦する日が来たら、このページで研究した事が役に立つかもしれません。

 とにもかくにもそんな趣旨で、なるべく定期的に自戦記を投稿したいと思っています。就職して社会に出たら、どうなるかわかりませんが・・・。

 本当に前置きが長くなりすぎました。どうぞよろしくお願いします。

皇帝による追記

 私とhiyagon先生の出会いから原稿依頼までのいきさつは、上に先生御本人が書かれているとおりです(笑)。
 初めてお会いした2000年の柏オープンですが、当のhiyagon先生は第1Rを遅刻し(笑)、私が先生に御挨拶したのは1Rと2Rの合間の休憩時間でした。まぁ、そんなバタバタした状況でしたから、私の挨拶にも「ああ、どうも、こんにちは」程度の反応しか頂けませんでした(笑)。
 まぁ、対局の合間ですし、しょうがないですけどね。

 第一印象はその容貌と相まって、「生真面目っぽいな」という感じでしたが、その夜の飲み会では真面目さの中に微妙なギャグセンスを融合させ(その「微妙なギャグセンス」は上の御挨拶にも活かされているようです・笑)、その人柄に私はすっかり魅了されました。

 となると、そこに甘えが生じる(?)わけでございまして、HPの原稿を依頼し、その後もプッシュし続けたわけでございます。
 そのプッシュの成果をこの度いただきまして、いやぁ、感慨深いものがありますねぇ。

 hiyagon先生は「就職して社会に出たら、どうなるかわからない」なんて弱気な発言が目に付きますが、hiyagon先生のためだけに第15章を立ち上げちゃったんだから、逃がしはしませんよ(笑)。