テレコンバージョンレンズ 性能比較(E-10編)

冒頭のコメントにもありますが、2000年夏にOLYMPUSが手ブレ補正機能付き 10倍ズームレンズを搭載したC-2100UZをリリースした頃から、各社とも高倍率 ズームを搭載したデジカメを積極的にリリースし、今ではひとつのトレンドと なっている感があります。

それに対し、E-10は基本的に画質・コスト・ハンドリングのバランスから、 35〜140mmの4倍ズームで、日常の撮影ではほぼ問題ないレベルであるものの、 そのままではバードウォッチングなどのような、超望遠を活用した撮影には 適しません。また、被写界深度の深いデジカメでは、前景・背景をボカした 撮影をこなすためにも高倍率ズームが切り札となります。

私のサイトとおつきあいいただいている皆様が、軒並み技術の向上と共に (物欲が昇華しているという説もありますが・・・(爆))機材を更新し、高倍率ズームを 活用された写真を撮っておられるのを見るにつけ、私も負けては居られない と言うことで、E-10用純正テレコンを整備しました。が、それだけで終わって しまっては5taroじゃありません。(爆)

そんな訳でさらに+αを加味した5taro流のテレコン性能比較です。


撮影条件(全カット共通)
使用機材 OLYMPUS E-10
+ テレコンバージョンレンズ各種
+ 49→52mmステップアップリング
撮影モード フォーカス  オート
測光方式モード 分割測光
ホワイトバランス 5500KB固定
露出補正 0
記録モード HQ(1280x1024ピクセル)




その1(画角の比較)
テレコン未装着 ワイド端 テレコン未装着 ワイド端

35mm換算 35mm相当
HP掲載に当たり320×256に縮小の上、JPEG圧縮
テレコン未装着 テレ端 テレコン未装着 テレ端

35mm換算 140mm相当
HP掲載に当たり320×256に縮小の上、JPEG圧縮
TCON-14B OLYMPUS TCON-14B

35mm換算 203mm相当
HP掲載に当たり320×256に縮小の上、JPEG圧縮
TCON-300 OLYMPUS TCON-300

35mm換算 420mm相当
HP掲載に当たり320×256に縮小の上、JPEG圧縮
TCON-300 + VCL-1452H OLYMPUS TCON-300 + SONY VCL-1452H

35mm換算 588mm相当
HP掲載に当たり320×256に縮小の上、JPEG圧縮
TCON-300 + TELEPHOTO 1.8X OLYMPUS TCON-300 + RAYNOX TELEPHOTO 1.8X

35mm換算 756mm相当
HP掲載に当たり320×256に縮小の上、JPEG圧縮

E-10には専用のテレコンバージョンレンズとして、1.45倍のものと3倍の2種が用意されて います。ですから、最初の4枚まではいわゆる純正品の組み合わせの範囲で撮影した ものですが、その下2枚はその純正テレコンの上にさらに手持ちのテレコンを装着して 撮影するという、画質至上主義のE-10ユーザーから言わせたら言語道断(笑)な事をして おります。我ながらE-10ユーザーの風上にも風下にも置けませんね。(^_^;

さて、冗談はさておき、E-10用3倍テレコンは、それ単体使用でも420mm相当になるので、 デジカメとしては十二分に超望遠の部類に入りますが、それでも被写体によっては もっと望遠が欲しいと思うことは多々あります。

そうなると、単体のコンバージョンレンズとしてこれ以上の倍率のものが無い以上、 テレコンを2重に装着する以外の手は無いわけですが、ありがたいことにこの3倍テレコンは 対物径49mmと、超望遠にしては非常に小さく、それでいて解放F値は2.8と信じられないほどに 明るいです。しかも、テレコンとE-10本体の接続はE-10のレンズに付いているフィルタねじを 使用せず、サポートアームによる密着なので、強度面もなんら心配がありません。正に テレコンつけて下さいと言わんばかりの仕様です。(笑)

そんな訳で、3倍テレコンの先に以前からC-1400XL用に使用していたSONYとRAYNOXのテレコンを 装着して実験した結果はご覧の通り、ワイド端を起点にして計算した場合のズーム比は 実に21倍に達しており、画角の変化は凄まじいものがあります。ちなみに撮影した我が家から 被写体となっている基町クレドまでの直線距離はおおよそ3km弱といったところです。

今回のテスト撮影では空が霞んでいたなどの問題もあって、画質やレンズの性能評価という 意味では辛いものがあるのですが、一点ほど気がついたのは、 テレコンバージョンレンズ 性能比較(C-1400XL編) の際、気になったRAYNOXの1.8倍テレコンでの周辺光量の低下という問題点が、OLYMPUS純正3倍 テレコンに装着した場合はそれほど見受けられないという事です。

元々純正3倍テレコンでも幾分周辺光量が落ちる傾向があるのですが、それを加味して考えると、 もっと周辺は暗くなると見込んでいたのに、これは嬉しい誤算でした。(^-^)

それから、画角と言う意味では、わずか1.45倍しか変化しないため、それほどインパクトのない 純正の1.45倍テレコンですが、既に雑誌などでも評価されている通り、とてもテレコンを装着 しているとは思えないほどに画像はクリアで、画質面ではケチのつけようがありません。 上記のカットからでさえ、マスターレンズのみで撮影している最初の2枚と比較して色調が 全く変化しないあたりに、その優れた資質の一端を垣間見ることが出来ます。

私の従来の"テレコンを使うと画質が落ちる"という先入観を見事に覆されました。





その2(画質のチェック)

続いて、さらに子細に画質面をチェックしていきます。

テスト被写体の全体像 評価方法ですが、さすがに先のカットほど遠距離の被写体を相手にしてしまうと、大気の 揺らぎとかレンズ本体の性能以外の要素も大きすぎることから、今度は比較的近距離の被写体 (左のカット)を対象に撮影して、画面中央右端or左端の一部を切り出し、前回の検証と同様に 色収差に着目して確認しています。

なお、今回は画角変化のチェックではないので、マスターレンズのみのワイド端では評価して いません。

テレコン未装着 テレ端 テレコン未装着 テレ端 テレコン未装着 テレ端

35mm換算 140mm相当
(×5.4 拡大表示)
TCON-14B TCON-14B OLYMPUS TCON-14B

35mm換算 203mm相当
(×3.72 拡大表示)
TCON-300 TCON-300 OLYMPUS TCON-300

35mm換算 420mm相当
(×1.8 拡大表示)
TCON-300 + VCL-1452H TCON-300 + VCL-1452H OLYMPUS TCON-300 + SONY VCL-1452H

35mm換算 588mm相当
(×1.3 拡大表示)
RAYNOX TELEPHOTO 1.8X RAYNOX TELEPHOTO 1.8X OLYMPUS TCON-300 + RAYNOX TELEPHOTO 1.8X

35mm換算 756mm相当
(×1 拡大表示)

上10枚の写真は、左側が画面の一部を原寸大で切り出したもの、右側が 同一サイズになるように拡大したものです。
(拡大率は被写体がほぼ同一サイズになる様に、それぞれ設定してあります。)

テスト方法に多少問題有りで同一構図での比較になっておらず、わかりにくいのですが、 そこは解説でフォローするとして・・・ (^_^; まず、原寸画像に注目してください。 画質という意味では、やはり純正テレコンのみの画質は充分にレベルが高く、きっちりと 結像していますが、3倍テレコンあたりから目に見える形で色収差が発生していることが 判ると思います。さらにテレコンを追加した画像については、それをさらに増幅させる 結果となっていて、かなりシャープネスが低下しています。

次に、拡大画像での比較ですが、ここでひとつ注意しておきたいのが、過去に行った C-1400XLでのテレコン性能比較の時は使用したデジカメ自身の解像度が低く、写真画質 をキープ出来る下限ぎりぎりの解像度(130万画素)しかなかったため、トリミングとかいった手法を 利用するにはかなり制限があり、いやが上にもテレコンに依存する必要がありましたが、 今回使用しているE-10の場合は400万画素なので、多少トリミングして引き延ばしたところで 充分に画質をキープできます。ですから、あまり極端に画質が低下するようであれば下手に テレコンを使うよりも、素直に後からトリミングした方が良いということです。
(特にパンフォーカスで撮影した風景などの場合は・・・)

で、そのあたりも考慮しながら拡大した画像を見ていくと、3倍テレコンの画像を1.8倍に拡大 したものと3倍テレコン&1.8倍テレコンの画像で比較すると、3倍テレコンの画像を1.8倍拡大 した方が、絵的には綺麗に見えます。(笑) 実際に画質優先で拡大をする気なら、整数倍に 拡大しますから、画質的に劣る1.8倍テレコンの意味はあまりないかも知れません。(爆)

ただ、上に掲載している比較画像は、画面の隅・一番画質の悪い場所を切り出したものなので、 画面中央部であれば、1.8倍テレコンを使った方が綺麗な画像を得ることが出来ます。ですから、 1.8倍テレコンを活用したい場合は、周辺をトリミングするとか、収差が気にならない被写体を 選ぶとかいった工夫が必要かと思います。

それから、純正1.4倍テレコンは、画面端を見ても、特に収差とかいったものはなく、非常に 美しい仕上がりですが、拡大画像を見ると、妙にシャープさが失われているように見えます。 原寸画像では特にそう思えないので、レタッチの拡大率に起因する問題なのでしょうか???




その他

最後に画質面を除く所見などなど・・・

テレコン装着状態 まず運用面なのですが・・・ デジカメ用のフロントコンバージョンレンズの常として、 装着に手間がかかります。まだ1.4倍テレコンあたりは、本体レンズの全面にねじ込むだけなので、 比較的手間もかからないのですが、これが3倍テレコンにもなると、そのサイズの大きさから 考えて仕方ないとはいえ、サポートアームを装着したりなんやらで組立に手間がかかる事 この上なしです。これに加えて、さらにテレコンを追加した日には・・・(^_^;

次に装着後の使用感ですが、まず、純正1.4倍テレコンは、さすがにC-1400XL用のテレコンなどと 比較しても一回り大きく、しかも作りも良いのですが、結構な重量があります。そのため、 幾分フロントヘビーになるきらいがあります。あとズームはテレ端での固定となるため、 単焦点レンズと同じ扱いとなるので、その分フットワークを要求されます。このレンズは 望遠効果そのものはそれほど期待できない事もあって、もっぱらポートレートとか、マクロ撮影など ボケを活かした作画をするためのレンズと思って良いのではないでしょうか? ただし、画質は 折り紙付きです。解放F値が変化しないので200mmでF2.4は望遠としては非常に明るいです。 あと、AFですが、コンバージョンレンズを装着するとアクティブAFが使用不可能になることから、 幾分合焦までに時間がかかるようになります。

そして、純正3倍テレコンですが、こちらは画質的には、一般的なテレコンと同じ程度と 思っていただけたらいいかな?といったレベルの画質ですが、解放F値が2.8と、これまた 明るく(フロントコンバージョンレンズは、画質は劣化するがF値は明るくできる)日中の撮影だと、 シャッター速度1/640secでさらに絞りF4前後になります。おかげで手持ち撮影が出来てしまうあたりは 非常に扱いやすいと見るべきなのでしょうか???

ただし、このレンズ、実はAFが使えない・というか、ピントのおおまかな調整をコンバージョン レンズで行い、さらに微調整を本体側AFで行う形になっています。それ自体はそれほど面倒な 訳ではありませんが、このセミオートフォーカスにはかなり時間がかかる上に、ピントを外すことも 結構多いです。ので、私はこのレンズを使うときはAF/MFの両方で撮影しています。

なお、これら2本のレンズを装着するときは、E-10本体側のモード切替をテレコン使用にして おく必要があります。この1.4倍/3倍テレコンのどちらを使用しているか?の切り替え表示が結構 わかりにくく、(液晶にテレコンのアイコンが表示されると1.4倍/点滅すると3倍)現在どっちを 選択しているかピンとこない事があります。(慣れの問題ですが・・・)

それから、3倍テレコンにテレコンを追加した場合の操作ですが、基本的には3倍テレコンを使用する のと同じ要領です。セミオートフォーカスもちゃんと動作します。上記の写真を見ていただいても 判るとおり、特に露出がおかしいとかいった事もありません。ただし、3倍テレコン+SONY 1.4倍テレコン の組み合わせの時は、3倍テレコン単体の時と同じシャッター速度/絞り値を示したのに対し、 3倍テレコン+RAYNOX 1.8倍テレコンの時は幾分シャッター速度が低下しました。少々レンズが暗い ものと思われます。


〜 End of text 〜




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