E-10ロードテスト(性能比較編)

我が家にE-10がやって来たのは発売間もない2000/10/28の事でした。思えばそれから半年間、 文字通り私の主力機として日本全国西から東へと駆け回りあらゆる撮影を行ってきている 訳です。が、それではこのカメラ・どれだけ凄いのか? ということを体系的に調べたことは まだ無かったわけでして、そろそろ本格的にテストしてみようというのが今回の企画です。




その1(画素数/色合い/ズーム比)

広島西飛行場 C-1400XL ワイド端 C-1400XL
9.2mm(36.8mm相当) 1280×1024
広島西飛行場 E-10 ワイド端 E-10
9mm(36mm相当) 2240×1680
広島西飛行場 C-1400XL テレ端 C-1400XL
28mm(112mm相当) 1280×1024
広島西飛行場 E-10 テレ端 E-10
36mm(144mm)相当 2240×1680
徹底比較 新鋭機の実力(2000年度版) との比較を容易にするため、全ての画像を同一縮尺比1/5で縮小しています。
また、撮影条件は両者ともプログラムAEを使用し、ホワイトバランスは5500KBの 固定としています。

まずは画素数についてですが、これは130万画素/400万画素の差が露骨に現れる 部分とでも言うか、全然画像サイズが異なります。先の"徹底比較 新鋭機の実力(2000年度版)" でテスト対象となった、FinePix4700Zの最大解像度(ハニカム432万画素)には及びませんが、 300万画素モデルのC-3030Zoomを大きく上回っています。まぁ、当たり前といえば当たり前 なのでしょうか? これについては、見ての通りです。

ちなみにアスペクト(縦横比)はE-10が4:3,C-1400XLが4:3.2となり、C-1400XLの方が幾分 正方形に近い様です。

次に、色合いなのですが、雑誌記事などを読むと、E-10以前のモデル(C-2500L,C-1400XL,C-1400L) ではかなり濃いめの発色・というかメリハリのある色合いであったのが、E-10では素材性重視の 傾向になっていると言われていましたが、今回のテスト結果を見ると、確かに両者の色調は同じ 路線であるものの、色の濃淡では、C-1400XLの方がかなり濃い(コントラストの強い)絵になって いることが解ります。ちなみに、E-10のコントラスト設定はデフォルトのNORMALにしています。 (E-10はコントラストを変更可能です。)

そして、ズーム比ですが、C-1400XL側の絵が見難いため少々わかりづらいですが、E-10は4倍ズーム C-1400XLは3倍ズームなので差が出るのは当然なのですが、ワイド端もE-10の方が幾分画角が広く なっています。実は今回のテスト結果を見て初めて気がついた私・・・ (^_^;




その2(画素数の違いによる分解能の違い)

広島西飛行場 C-1400XL ワイド端 C-1400XL
9.2mm(36.8mm相当) 1280×1024
広島西飛行場 E-10 ワイド端 E-10
9mm(36mm相当) 2240×1680
これは、両者のワイド端で撮影した写真の水平解像度をE-10と同じ2240dotにした上で、 ほぼ中央に位置している看板を切り出し、さらに2倍に拡大たものです。

何も言うこと無いですね・・・ 露骨に画質の差が出ている部分だと思います・・・



その3(歪曲収差/ホワイトバランス)

方眼 C-1400XL ワイド端 方眼 E-10 ワイド端
C-1400XL
E-10
上記の写真はいずれもワイド端で撮影したもので、ホワイトバランスは両者ともAutoです。 光源は共に昼光色・昼白色の蛍光灯という2種類の光がミックスした状態です。

C-1400XLはワイド側で樽型の歪みが激しいことは、同様のテストを 性能比較 C-1400XL VS FinePix1500 にて実施した際に把握していましたが、E-10もC-1400XLよりはましですが、それほどは 改善されていない様に思えます。もっとも、E-10の方が幾分ワイド側の画角が広いことと、 4倍ズームである事を考えると、充分に健闘しているとも考えられます。ただ、私がよく撮影 している橋や建物のような人工物の場合、この歪みは結構目立ちます。

以外なのはホワイトバランスで、E-10のオートホワイトバランスはC-1400XLよりも、むしろ FinePix1500に近い傾向を示しているということです。ホワイトバランスをオートにした場合、 恐らくC-1400XLよりE-10の方がその場の雰囲気を残した自然な絵になるとは思いますが、 皮肉にもテストに使用したマウスパットの色合いは、C-1400XLの方がより現物に近いです。

方眼 C-1400XL テレ端 方眼 E-10 テレ端
C-1400XL
E-10
続いてテレ端での撮影です。ホワイトバランスなどの条件は同一となっています。

ワイド端とは異なり、C-1400XL,E-10共に歪曲収差は小さいですが、C-1400XLの方が 糸巻き歪みが大きい様です。E-10にもわずかにみられますが、ほぼ問題ないレベルと 断言できます。

ただ、不可解なのはC-1400XLのホワイトバランスで、何故か緑かぶりしています。 偶然でしょうか?

ただ、ホワイトバランスについては、写真の色調を決める上で重要な要素なので、 もっとシビアにチェックする必要がありそうです。(色合いやホワイトバランスについては、 また別に機会を設けてレポートするつもりです。




その4(シャッター)

と、ここまで一方的に不利な展開であったC-1400XLですが(笑)、E-10と勝負して 互角に張り合えそうなのが、連写関連の機能です。

非常にシビアな時間を計測する必要があるため、具体的なデータ取りは出来ていませんが、 カタログスペックでの比較であれば、E-10のレリーズタイムラグは60ms(C-1400XLは不明) であり、シャッターを切った瞬間のレスポンスであれば、E-10に軍配が上がります。

しかし、1枚目のシャッターを切って、次のシャッターを切る動作ということになると、 感覚的には両者とも差がありません。むしろ連写機能はE-10の秒間3コマに対し、C-1400XL は3.3コマであり、また、連写を行わない場合も感覚的にはC-1400XLの方が早く2枚目が撮れる 様に思えます。

また、撮影用バッファもE-10が4枚に対し、C-1400XLは5枚と1枚多いです。たかが1枚ですが、 過去に私が実際に撮影した対象・スキー/飛行機/新幹線から撮る富士山などといった、スピード と枚数勝負の撮影では、このたった1枚の差がかなり大きく響いてきました。

勿論E-10の方が扱うデータ量が大きいというハンディもありますから、同列には論じる 事が出来ないものの、E-10は現在の平均的なデジカメと互角の速写/連写機能を持っている と考えて間違いないですから、C-1400XLの速写/連写機能は現在でも平均以上で あると思って間違いないでしょう。



その5(撮影パラメータ)

両者の設定可能な撮影パラメータを一覧にまとめてみました。
機種 E-10 C-1400XL
ズーム マニュアル4倍 電動3倍
フォーカス オートフォーカス
マニュアル・最短20cm〜∞まで任意に可変
(マクロ撮影モードあり)
オートフォーカス
ワンタッチフォーカス・40cm/2.5m/∞の3段階のみ
(マクロ撮影モードあり)
撮影モード プログラムAE
シャッター優先AE
絞り優先AE
マニュアル
プログラムAE
シャッター速度 8〜640sec
バルブ
設定不可
絞り F2.2〜F11
設定不可
測光モード スポット測光
中央重点測光
ESP測光(分割測光)
スポット測光
中央重点測光
露出補正 +3.0EV〜-3.0EV 0.3EVステップ +3.0EV〜-3.0EV 1EVステップ
ホワイトバランス 3000/3700/4000/4500/5500/6500/7500
Auto
プリセット
3000/3700/4000/4500/5500/6500
Auto
画質モード 任意の解像度・圧縮比・フォーマットを組み合わせて4種類のプリセット
コントラスト調整 3段階
SHQ/HQ/SQ
ストロボ Auto
発光禁止
赤目防止
強制発光
スローシンクロ(先幕)
スローシンクロ(後幕)
(外部シンクロは常時)
Auto
発光禁止
赤目防止
強制発光
外部シンクロ
シャッター セルフタイマー
連写モード
間欠撮影
ワイヤレスリモコン
セルフタイマー
連写モード
当たり前の事なのかも知れませんが、E-10の圧勝です。ただ、こうしてみると 思った以上にC-1400XLも撮影パラメータが多かったみたいです。(笑)



その6(操作性/その他)

撮影に関する操作性に関してはE-10はピカイチだと思います。ボタンの数は確かに多いのですが、 それで操作に悩んだりしたことはありません。また、ボタンとダイヤル操作の併用という操作も 一部ではまどろっこしい感じがしないではないですが、操作法が統一されているので、これは誤操作 防止とかいった観点から見て、これでいいのだと思います。また、普段の操作でメニューを使う事が ないのは、撮影時にまどろっこしさを感じないので非常に良いです。ただ、ISO感度設定はメニュー ではなく、ダイヤルに割り当てて欲しかったなぁ〜と思うのは私だけでしょうか?

しかし、再生に関する機能については目も当てられないというのが正直なところでしょうか・・・ はっきり言って遅すぎです。スナップを撮って、それをその場で見ながら盛り上がる・・・といった 用途には全く適しておりません。元々のカメラの性格から考えて、少々難ありですが・・・(笑) あと、拡大表示が4倍までありますので、おおざっぱなピントチェックは可能ですが、厳密な チェックはちょっと無理といった感じです。

一方のC-1400XLですが、こちらは撮影機能は元々かなり限定されており、ボタンの数も少なく 操作は非常にシンプルの一言です。ホワイトバランスなど、比較的利用頻度の高い項目もメニュー画面 に入っていますが、階層が浅いことと、画面表示が比較的早いこともあり、それほどストレスには 感じません。難をいえば、FinePix1500との性能比較の際にも問題点として挙げていますが、シャッター ボタンと同時押しをするワンタッチフォーカスのボタンのレイアウトが悪い事ぐらいでしょうか?

再生に関しては、それほどストレスなく画面表示されるので、必要充分です。ただ、液晶の画面が 荒いことと、拡大表示を持たないことから、ただ画像を見ることが出来る程度の事しか出来ませんが・・・

その他、バッテリーの持ちについてはC-1400XLの圧勝で、省電力の設定をそれほど神経質に行う 必要がないため、撮影中は常時電源ONのスタンバイ状態にしておくことが可能で、とっさの時の シャッターチャンスへの対応能力はかなり高いです。

対するE-10はどうしても消費電力が増加しているため、単三ニッケル水素電池ではあまり持ちが良くなく、 ある程度省電力モードをシビアに設定しておく必要があり、これがとっさのシャッターチャンスに対する 即応性という点で、かなり足を引っ張ります。とくに、デフォルトの設定ではレジューム状態への移行が 1分となっているため、最初の頃はけっこう抵抗を感じました。ちなみに、現在はレジューム状態への移行を 5分にする代わり、液晶モニタは常時OFFにしており、必要なときのみクイックビュー機能で 撮影結果の確認しています。



その7(まとめ)

考えてみれば当たり前の事なのかも知れませんが、やはりここ数年の技術革新をめいっぱい受け、 しかも価格的にもワンランク上のE-10は画質面では文字通りの圧勝状態です。これについてはもはや 何もいうことはありません。

画質面でC-1400XLに優位な点があるとすれば、同じCCDサイズに対して画素数が少ないC-1400XLの方が ダイナミックレンジが広い(かも知れない)という点ですが、これもE-10の画素ピッチは200万画素クラスと 同等といわれている事から、それほど決定的な差になっているとは思えず、しかも回路設計やCCDのノイズ対策 などを総合して考えると、それほどのアドバンテージにはなりそうもないです。このあたり、また評価方法 を検討してテストしてみたいと思います。

そして、撮影パラメータはE-10の場合、これ以上はほとんど必要ないのではないかと思えるほど充実 しています。あと付け加えるものがあるとしたら、プログラムシフトと、OLYMPUSらしく(笑)マルチスポット測光 ぐらいでしょうか?

また、操作性についても、これだけの多機能をそれほど迷うことなく使えるという点で、非常に優れている と思います。

C-1400XLの場合、シャッター優先AE/絞り優先AE/マニュアルの撮影モードを持っていなかった事がかなり 痛いです。それさえあれば、以外といろいろな事が出来そうな気がします。実際問題、この機能さえ搭載 していたら、私はE-10を購入していなかったかも知れません。

そして、操作性についてはこれもなかなかいい線行っていると思います。

ただ、シャッターチャンスを捉える能力については、これまでの運用実績からみてC-1400XLの方がかなり 優位であることだけは間違いなさそうです。E-10は健闘しているとは思うものの、C-1400XLには劣るというのが 私の感想です。


〜 End of text 〜




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