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ヴァイオリン製作・参考図書

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ヴァイオリンの表板には、マツ科トウヒ属の木が使われています。→→
       製作を手がけるようになって以来、マツやモミを見る目が、多少、変わりました。
それぞれ、著書名の末尾につけた 印には、製作用として使える図面が添付されています。
   見出しが大文字のものは筆者の愛読書。  
最終更新日 2010-9/25

[ Layers, colors and depth  THE ART OF VIOLIN RETOUCHING ]
 (Brian Epp  ほぼA4版 ペーパー・バック P48  '10. 9.25 )

まさに、ニス・ペイントのレタッチ専門書、 写真が豊富で英語の原文を読まなくても、おおよそは理解できます。

とりわけ、ためになったのがキズを埋めるためのキャラメル化したニス。

金属スプーンに少量のオイルニスをとり、ライターかアルコールランプであぶり、溶剤を蒸発させてキャラメル化させて使う方法。アメリカ人らしい、粉末コカインをスプーンとり、水を加えて煮立たせて火炎滅菌させる、映画で見るあのシーンです。

『目から鱗』 なるほど、そうすれば痩せが少なく、凹みが埋めやすいでしょうね。早速、修復中のチェロで試しました。
[ THE ART OF Tap Tuning  ( DVD INCLUDED) ] 
 
( Hal Leonard  ほぼA4版 ペーパー・バック DVD付き P48 '10. 9.25 )

こちらのタイトルも[ the art of ***]になっていますが、この場合のARTは、いずれも、美術や芸術という意味ではなく、「技術」、「業」、「術」という意味でとらえて下さい。

タップトーンによる板厚のチューニングをギター、マンドリン、ヴァイオリンなど、アコースティック・ストリングスを幅広く検証している技術解説書。


[ VIOLIN MAKING  (同名の本・三冊) ]  A Historical and Practical Guide 
(ほぼA5 ペーパー・バック 380ページ)
『バイオリン製作 今と昔』とほぼ同じ内容の英語版。

 2nd Edition Revise & Expanded
An Illustrated Guide for the Amateur
◎ Bruce Ossman ほぼA4版 ペーパー・バック 104P )
 
サブタイトルのとおり、アマチュア向けでイラストが豊富。
A Guide for the Amateur 
サブタイトルが少し異なっているが、上と同じ著者の第1版で、多分、内容も変わらないのでしょう。
[ FURTHER BASIC REPAIR ]  By Arther Burgan  (2007.2.19 追記)

本のタイトルを直訳すると『基本以上の修復』(「〜より難しい」とか「より高度な」というニュアンスか?)という意味になっていますが、
 第1章の『治療より予防』からはじまり、常識的に憶えていた方がいいという『一般的なヒント』

第2章から『ヴァイオリンやヴィオラのペグの調整』というように実技の解説、モノクロですが写真が多いです。
使われている道具類を見ても、イギリス人的な、少し古風なタイプの修理屋さんという感じですが、とても丁寧に書かれています。
カッパ・ブックスほどの大きさで89P。
[ VIOLIN REPAIR GUIDE ]  By Michael Atria (2007.2.19 追記) A4判変形-62P

本書も、やはりリペアーの専門書といえるでしょう。
全体がふたつの章に別れ、その
第1章は弓の毛替えについて。 第2章は楽器そのものの修復や復元になっています。

写真は著者の写真だけ。しかし、イラストは豊富でそれぞれの工程に必要な治具・工具類まで図解されています。
しかも、作らなければならない治具などには、丁寧に、必要な寸法まで書かれています。
また、それぞれの図にも注釈が入れてあり、例えば、サウンドポスト・セッターには、その先端部分に矢印で「鋭利に研いでおく」というように、
とても懇切丁寧に書かれている。

[VIOLA making Plans.] By Harry S. Wake ◎ (2005,12.9 追記) Large Viola (TARTIS MODEL 16・3/4 in = 425.5mm)

ここ何年か、地元アンサンブルではヴィオラを弾いているので、なんとなく衝動買いした一冊。
ヘンリー氏の小型ヴィオラ(
こちら
に著書を紹介)はつくったが、今度は大型も、という気持ちが働いたのかも知れない。

著者は、イギリス人・1900年生まれ、98才で死去。そのためクセのない英語で書かれているが、残念なのがサイズのインチ表記、電卓で換算しながら翻訳。
彼のお父さんは、高名なコンサート・ヴァイオリストであり、名器のコレクターとしても知られていたという。本書には、図面の書き方から内寸(内枠型)、外寸(表板・裏板)、ネックからアーチング・ゲージなどの、他の著書にはないほどの図面が豊富に添付されているのが特徴。
[ Violin - Making a practical guide ]  By Juliet Barker ◎ (2005.5 追記)

イギリスはケンブリッジのジュリエットおばさん(失礼!)が書いたもので、初心者にも分かりやすく、ヴァイオリンの簡単な歴史からはじまり、使われる木の素材やニカワのこと、道具類からニスの塗り方まで、かなり細かく、丁寧に、カラー写真とイラストで説明。製作を志す人にとっては必見の一冊。なお、製作図は縮尺のためグリッドの1マスを10mmに拡大する必要がある。変形A4版 127ページ。
[ THE VIOLIN-MAKERS OF THE GUARNERI FAMILY (1626-1762)]  
By William Henry Hill, Arthur F. Hill Alfred Edsworth Hill

さすが、イギリス・ヒル商会の発行だけあって、実物のグァルネリ・ファミリーの作品をカラーとモノクロ写真で見ることができる。
その写真も、正面、側面、裏面の三ポーズがきっちり写っているのがまた嬉しい。しかも、グァルネリ・ファミリーの始祖・アンドレア・グァルネリからはじまり、ピエトロ、ジョセッペ、デル・ジェスまでが一同に並べられている。
面白いことに、同じ製作者の作品であっても、つくられた年代・時期が異なると、全体のプロポーションからエフ字孔、スクロールの形などが若干違うことがこれを見るとよく分かる。

それは製作現場の職人として、テンプレートに照らし合わせて厳密につくるということではなく、 使われる素材やそのときどきの気分で、多少、アバウトにつくっているからだ、と私は推測。 
グァルネリ・ファンなら、写真をながめているだけで楽しい1冊。 A4版 171ページ。
('05.5 追記)
[ The art of Violin Making ] By Chris Johnson and Roy Courtnall(2004.6 追記)

 冒頭、ヴァイオリンのデザインやスタイル、ラテン語化されたラベルなどの解説。

パートTからは、ニコラ・アマティからはじまり、ストラドやグァルネリ、ヤコブ・シュタイナーなどの、過去の名工たちのカラー写真(A4版の1ページいっぱいに)掲載され、さらにその家系などを説明。その後、現代のメーカーを紹介し、ここまでが53ページ。
タイトルが[ Art ]とあり、「美術的な本」という誤解もあるだろうが、内容のメインはパートUからで、製作の作業を事細かく説明。

なお・・・、蛇足までに、 art には、美術や芸術のほか「技術」とか「技」、「術」というような意味もある。

用具・工具、材料の説明からはじまり、テンプレートや内型の制作手順とその要領、ブロックやバスバーなど、正しい木目方向のイラストも載せている。まだ検証していないが、A4版で書かれている図はかなり正確のようなので、後日あらためて実寸大に拡大コピーし、手持ちの型と比較したいと思っている。

製作については、ノミやカンナの扱い方から、指板や駒専用の削り台、ニス仕上げでは塗る方向に至るまで、写真やイラスト入りで解説。
作り手が異なると、愛用している用具や工具も若干異なるが、それがまた新たな発見となり、使ってみたくもなる。
当初、2万円もしてためらいはあったが、検索していて偶然に見たアマゾンドットコムで見つけ、筆者は13K円ほどで買うことができた。
著者はイギリス人だから、英文にクセはないし、理解しやすい。中国でプリントされたものだが、カラー印刷や製本・仕上げなど、まったく遜色ない。最終ページは253ページ。そうしたことからも、完成されたマニュアル本としてお薦めの一冊といえる。
[ ITALIAN OLD VIOLIN ]
     
   = これがヴァイオリンの名器だ!= 
 佐藤 輝彦・奥田佳道著(音楽の友社 B5版79ページ 2004.6追記)

消費税込みで2100円の小冊子だが、 上記の本のついでにアマゾンドットコムから買ったもの。
アイドル写真集を見るつもりで見ると、それはそれで楽しいものだ。

 新技法シリーズ 
『ヴァイオリンをつくる』 川上昭一郎著 美術出版社

  ヴァイオリン製作のマニュアル本として、材料から内型、冶具や道具類にいたる詳細がていねいな図解入りで書かれている。これからヴァイオリンをつくろう、あるいはつくりたいと思う人には絶対におすすめの一冊。

 著者川上氏の美意識には感銘!さすが美術出版社だけに、イラストがきれい。工作好きで、かつ美意識をもって編集されてものは、ついつい衝動買いしてしまう。
 しかも、これらの本は趣味の「工作コーナー」ではなく「美術コーナー」に並んでいるのである。

 この本以外に同・出版社の本は、「プリントゴごっこのハイテクニック」、「ステンドグラスの立体技法」、「からくり彫金技法」、「アクリル画の技法」などなどのマニュアル本も買って持っているので暇を見ては見ている。

『ヴァイオリン』 無量塔蔵六著(絶版)・岩波新書921

ドイツでマイスター(親方株)を取られた著者の実力と、広くヨーロッパ各地を実際に歩かれたヴァイオリンについての見識、見聞が面白く、たいへん勉強になる。
そして、何よりもドイツ人的な、客観的、論理的な考察でものごとを解析し、記述されているのが、私には大いに役立った。

絶版というのがもったいないほどの内容があり、当市の図書館には在庫がなく、顔見知りの図書館員がネットで検索・近隣の図書館から回してもらったという経緯かあり、 「源氏物語」時代の写本でもするかのように、製作の要点など主要部分を抜き出し、400字詰め原稿用紙にして90枚ほどをワープロで写本。自分の、あくなき「知りたい」根性と努力に対し、「ほめてやりたい」と思う。

その後、音楽の知人(故人)がこの本を持っていて、それほどまでに愛着がある本ならば、ということで只でいただく結果となった。しばらくしてから、彼は喉頭ガンでお亡くなりになったことを聞き、地方オケで永らくセカンドをやっておられた方だけに残念でなりません。
これは、私にとってはまさにバイブル的な一冊。

『バイオリン製作 今と昔』ヘロン・アレン著・尾久れも奈訳   第1部〜第3部・文京楽器(株)企画部

百年前のイギリス人の著書だが、ヴァイオリン製作者にとっては世界的な名著。なによりも、ストラドとグァルネリの図面がついているし、三部作の分、内容が濃く書かれている。尾久氏の翻訳も、分かりやすく、専門書としてすばらしい。
『ヴァイオリンの見方・選び方』 神田侑晃著・レッスンの友社

読んで損はない一冊。
材料から製作過程、ニスに至るまで、正しい見方や考え方がていねいで分かりやすく、図解しながら書かれ、 雑誌『ストリングス』にも連載されているが、製作者以外でもヴァイオリンを持っている人、全員が読んだ方がいい。

とくに、駒やペグ、テールピースなど、本体以外の後からつける付属品、それに壊れて修理する際のネックやバスバーも含め、 それらを取り付けることを『フィッティング』と呼び、一台一台の楽器に合わせ調整することで、 その楽器の能力を最大限に引き出すこつが詳しく記述されている。
名機も正しいフィッティングなしには存在しない、という著者の音づくりに対する姿勢、情熱には感動すらおぼえる。

『楽器の図鑑 ヴァイオリン』・(株)ショパン

それぞれの分野にまたがって、4人の専門家の著者により書かれている。上の無量塔氏もそのひとり。

図鑑の名にふさわしい内容がある。
[ Violin Making Step By Step ]  By Henry A. Strobel

[ Viola Making Step By Step] ** By Henry A. Strobel **

[ Cello Making Step By Step ]  By Henry A. Strobel

[ Violin Maker's Note Book ] * By Henry A. Strobel

[ Method of the Violin Maker] 
 By Henry A. Strobel

[ Useful Measurements for Violin Makers ] 
By Henry A. Strobel
 
[ Art & Method of the Violin Maker ] 
By Henry A. Strobel

上記の6冊は、いずれもアメリカ・オレゴン州で製作しているヘンリーA.ストローベル氏の著作。

最初、ビオラをつくるために買った『ビオラ・メイキング』には、氏の設計による397ミリの小型ビオラの図面が添付されており、 設計上の考え方、つくるためのコツなどが詳しく記述されている。
ただし、全文が英文のため、老眼にむち打っての翻訳も、00年暮れまでに『ビオラ〜』一冊は完訳、それに『アート・アンド・メッソード〜』の一部だけ。

その当時、アマゾン・ドットコムの東京店がまだなかった時代で、アメリカのアマゾンから苦労して買ったもの。

アメリカの製作者が著者で、それをアメリカから送ってもらいゲット、以来、この著者とは、本の内容についての質疑応答で二、三度、メールのやりとりをした。そして、彼の設計の、彼の本のヴィオラが完成し、ホームページにアップしてから見ていただいたが、「It's great job !」と、ほめられた。

ヘンリー氏は、アメリカ人らしい合理主義的な考えで書いているのでたいへん参考になり、後に買った『チェロ・メイキング』を含め、シリーズすべてを購入。それは、著者紹介で、彼はMIT(マサチューセッツ工科大)卒であり、やはり考え方が理工系、そのポリシーに尊敬すら感じているからだ。

弦楽製作者として、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの、弦楽カルテットを全部をつくると、一応、『一人前の製作者』?といわれている。そのために、『チェロ・メイキング』も、ぼちぼち翻訳中・・。







[ The Genius of Violin Making in Cremona ] By Marco Vinicio Bissolotii

著者はビソロッティ・ファミリーの息子。彼自身がバロック時代の楽器に研鑽を深めており、
前半の半分に、その時代の幅広い解説。
カラー写真も豊富で、図面から古文書、古い工具や部品、それに名工たちの作品の、細部の写真も入っている。
特筆すべきは、ニコラ・アマティーの作品やその祖父・ヴァイオリンの始祖ともいわれるアンドレア・アマティーの作品も、
いずれもカラーで掲載されている。
私などは、そのアンドレアの彫ったネック頭部スクロールのアップ写真だけでも、ため息をついて見入ってしまう。

後半はビソロッティ・ファミリーのCM的要素が強いが、同じファミリーの作品でも、 つくり、ニス塗りに違いがあり、
親子・兄弟の作品を見比べるだけでも面白い。
何ドルで買ったかは忘れてしまったが、へんなスナックに入って普通のウィスキー・ボトル1本をキープした程度だったことを記憶している。

我が父の愛用だった古いドイツ製・ヴァイオリン

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