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文字通り「総身創痍」のチェロの修復 W | HOME Next |
S氏からの頼みで エンドピンのガタつき エンドブロックの調整 | |
ご覧のように、エンドピンをのソケットが、裏側に、こんなに出てしまうのです。 しかも、ホール自体は結構しっかりフィットさせて空けてあるのですが、 ただ、いちばん奥(先)の方が少しゆるく、爪楊枝が刺さるほどでした。 そのために、ソケット自体が、しっかりと十分保持するだけの深さがなく ガタついているのです。 |
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ボディ内に、昨年、チェロをつくったときの内型をあてがったところです。 あれれっー、案の定、ブロックの厚さが標準のやや半分程度。 |
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まっ、足らないものは足せば済むことですから、 それほど難しい作業ではありません。 簡単です! |
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チェロの、表板の切り出しでこんなブロックはいっぱい出ましたから、 スプルース材の材料は問題ありません。 |
ソケットの先までしっかりと収まり・・・、 |
ただ、ここではノコギリが使えないので、ノミだけで既存のブロック壁面を 真っ平らにする作業がたいへんでした。 でも、これでソケットもしっかりと収まりガタつきはありません。 |
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細かな欠損を補う | |
平の鉄工ヤスリで削り、接合面を平らにする。 |
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賢明なる読者諸兄は、平の鉄工ヤスリは、普通、三面にギザギザの刃がついていて、側面の一面だけは刃がついていないことをご存知でしょうか。つまり、カタカナのコの字のように、削るための作業面がついているのです。その、刃がついていないということは、いくらこすっても削れないわけですから、この場合は、削りたくない下のリブ面に刃のない面をあてがって削ります。そうすれば、安心して削ることができます。 補填する部材も、当然、スプルースです。 そして、こんなものでも、極力、木目を合わせます。 |
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こんな小さな部材には、爪楊枝のダボ・ピンが最適です。 そして、白木部分を、周囲の色に同化させて着色。 |
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年輪2〜3本の欠けも、丁寧に、平らに削って下地を調整し・・・、 |
同じ要領で、爪楊枝をダボにしてニカワ付け。 |
古さとしての「貫禄」になるか、ただのキズに見えるか? その辺は、良識で判断して私は決めています。 |
こちらは下の方でしたが、気になる「欠け」でしたから、コクソで埋めました。 |
このオーバーニスを塗った人は、多分、不器用な外人だったでしょうか?ともかくひどい塗りでした。 この光線状態で分かるように、オリジナル・ニスは地味なアンバー。 問題は、その上に分厚く、下手に赤黒いニスが乗っているのです。 |
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パッチの修復中に気になっていたのが、このトップブロックの隙間。 ネックを持ったときに、柔らかい触感でグラグラしていたのですが、それも、裏を剥がしたり、ただ古いがためのものだと思っていました。 でも、実際にはそうではなく、表板の方まで剥がれていたのです。 |
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隙間にはちょうどいい厚さの、ヴァイオリンのリブ材の端材を入れました。 |
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リブと表板との隙間の接合には、指板の角度も関係してきます。 指板の角度は、操作性や音色に関して、非常に大事な要素。 |
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ご覧のような、指板の角度をサポートする治具をつくり、 それをあてがって角度を固定し、リブと表板の接着をしたのです。 指板の延長線が、ストップ(駒)の位置で80〜81mmという数値が標準の角度。・・・ですから、古い駒は少し低めでした。 |
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レタッチの着色とオーバーニスを繰り返し・・・、 |
この部分の凹みには、コクソで埋めたりしましたから、まだ、その部分にはツヤは有りません。 |
ずいぶん、きれいになりました。 オーバーニスには、市販の、米国インターナショナル・ヴァイオリンCo.社の、「レッド・ブラウン」の大缶(1pint = 473cc)を使いました。 まだ、裏板は貼っていませんから、合理的にニスを塗ることができます。 |
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