cello_repair7-5
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文字通り「総身創痍」のチェロの修復 X HOME
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ニスの合間に・・・
ペグの調整 ペグは一本一本、ペグ穴に合わせてペグ・シェイバーで削り、調整。

リーマーで、穴を広げる方がずっと楽なんですが、ペグ軸は細い方が調弦しやすく、また、軽く回すことができます。
だから、穴の方を所定の太さに固定しておき、ペグの方で調整します。
コンポジションをたっぷり塗りつけてあります。

なお、このペグはオーナーであるS氏からの支給品、安くゲットしたジュジュベ(ナツメ)だけど・・・、これを使ってという依頼でした。
私の好みではありますが、テールピースが黒檀のヒル・モデルでしたから、
自分なら、多分、同じヒルモデルを使ったでしょう。
白木の部分だけにつや消しニスを塗りました。
ニス色が濃い本器には、明るいこのペグはよく似合います。
ニス塗り
テールピースにクラックが・・、 こちらがついていたテールピースとペグ。

テールピースは、アジャスターの金具のところにクラックが入っていた。
このクラックは、ニカワよりむしろエポキシ系の方がベターという判断で、
割れ目にエポを差し、ドライヤーであぶってクラックの中まで浸透させた。

このエポをドライヤーで暖めて柔らかくするテクは、
昔、ラジコンにはまっていたときに体得したもの、
このような、流し込みのようなときには、実に具合よくいく。
エポで貼りました。
サウンドポストを削る サウンドポストをつくるのには、まず、目のよく詰んだスプルース材から
12mm角の真四角の角材を切り出します。

それぞれの4つの角を、半アールのカンナで角を落としていき、
四角から八角に、八角からまた十六角に削り、丸に近づけます。
ここで使っている充電式のハンディ・ドリルは4.8Vの、ごく小型のものだが、10mmビットまで使える仕様。

それで、一方の端を2cm程度、10mmφに削り、ドリルにくわえます。

そして、作業台に端に、少し粗めのペーパーで押しつけるように回転させてまん丸に仕上げます。ご覧のように、この台に押しつけるように・・・が最大のテクで、つまり、回転軸をぶらさないで回転させる・・・訳。

このチェロは、なぜか指板が3cmほど長いのです。

なぜか指板が長いのです。
向こう側の指板は、Yさんのもの。
手前は、私の在庫品です。
長い分を切り落とす
標準の長さにカットしました。

オーバーニスを塗り、乾かしてから、また研ぎ出し・・の繰り返すと、
水研ぎペーパーで、研ぎ出し
その結果。だんだん段差や溝が埋まっていきます。
溝も徐々に埋まっていきます。
一旦はあきらめたところも、後から思い切って研ぎ出したり・・・
場所によっては白木が出るまで・・・、
徐々にきれいになっていくと、欲も出てきます。
溝が埋まっていくのも楽しみで・・、
リブは、当初からひどかった場所です。 まだついていたニカワ屑
きれいになりました。 私が考えるリペアーのポリシーのひとつに、
楽器そのものも、『ステージに上がる』もの、という考えがあります。

それは、少しでも『みっともなくないように』見せるために、
自分がもてるテクを目一杯使ってでも成し遂げたいと思ったり、
ベルサーチやアルマニーニのようなブランド品ではない特価品てあっても、
誰が見ても『品位をもって』いるように見えれば幸いだと思うのです。

左の写真のように、オールドらしい風格が出てきたように見えるのは、
文字通り『自画自賛』、実に気分がいいものです。
エッジ周囲だけはいったんはニスを剥がし・・・
女性の鼻筋同様のメイク・テクです。
より立体感を強調したところ。
メイク・テクで、エッジを際立てます。
いよいよ本体に裏板を接着するのですが、まずは手前側半分だけ・・、
裏板の接着
・・それが乾いたら、反対側の半分も接着。
裏板の接着2
仮固定の木ねじを外し・・・、
仮固定の木ネジを外し・・、
黒檀のピンを打ち込みました。
黒檀のピン打ち
ボタン部分も同様・・・、
ボタン部部も・・・
・・黒檀を打ち込みました。
黒檀のピン打ち
『歳をとっても、やはり若尾文子かなぁ〜』的な感動です。もう、決して久本雅美さんではありませんネ。(失礼!)
ずいぶん美人になりました。
なお、蓋を閉じる前までは、オーバー・ニスは、アメリカの、インターナショナル・ヴァイオリン社の
天然樹脂系の市販品「レッド・ブラウン」でしたが、蓋を閉じてからは「ゴールデン・イエロー」にしています

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