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文字通り「総身創痍」のチェロの修復 X | HOME Next |
ニスの合間に・・・ | |
ペグは一本一本、ペグ穴に合わせてペグ・シェイバーで削り、調整。 リーマーで、穴を広げる方がずっと楽なんですが、ペグ軸は細い方が調弦しやすく、また、軽く回すことができます。 だから、穴の方を所定の太さに固定しておき、ペグの方で調整します。 コンポジションをたっぷり塗りつけてあります。 なお、このペグはオーナーであるS氏からの支給品、安くゲットしたジュジュベ(ナツメ)だけど・・・、これを使ってという依頼でした。 私の好みではありますが、テールピースが黒檀のヒル・モデルでしたから、 自分なら、多分、同じヒルモデルを使ったでしょう。 |
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白木の部分だけにつや消しニスを塗りました。 ニス色が濃い本器には、明るいこのペグはよく似合います。 |
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こちらがついていたテールピースとペグ。 テールピースは、アジャスターの金具のところにクラックが入っていた。 |
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このクラックは、ニカワよりむしろエポキシ系の方がベターという判断で、 割れ目にエポを差し、ドライヤーであぶってクラックの中まで浸透させた。 このエポをドライヤーで暖めて柔らかくするテクは、 昔、ラジコンにはまっていたときに体得したもの、 このような、流し込みのようなときには、実に具合よくいく。 |
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サウンドポストをつくるのには、まず、目のよく詰んだスプルース材から 12mm角の真四角の角材を切り出します。 それぞれの4つの角を、半アールのカンナで角を落としていき、 四角から八角に、八角からまた十六角に削り、丸に近づけます。 ここで使っている充電式のハンディ・ドリルは4.8Vの、ごく小型のものだが、10mmビットまで使える仕様。 それで、一方の端を2cm程度、10mmφに削り、ドリルにくわえます。 そして、作業台に端に、少し粗めのペーパーで押しつけるように回転させてまん丸に仕上げます。ご覧のように、この台に押しつけるように・・・が最大のテクで、つまり、回転軸をぶらさないで回転させる・・・訳。 |
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このチェロは、なぜか指板が3cmほど長いのです。 向こう側の指板は、Yさんのもの。 手前は、私の在庫品です。 |
標準の長さにカットしました。 |
オーバーニスを塗り、乾かしてから、また研ぎ出し・・の繰り返すと、 |
その結果。だんだん段差や溝が埋まっていきます。 |
一旦はあきらめたところも、後から思い切って研ぎ出したり・・・ |
徐々にきれいになっていくと、欲も出てきます。 |
私が考えるリペアーのポリシーのひとつに、 楽器そのものも、『ステージに上がる』もの、という考えがあります。 それは、少しでも『みっともなくないように』見せるために、 自分がもてるテクを目一杯使ってでも成し遂げたいと思ったり、 ベルサーチやアルマニーニのようなブランド品ではない特価品てあっても、 誰が見ても『品位をもって』いるように見えれば幸いだと思うのです。 左の写真のように、オールドらしい風格が出てきたように見えるのは、 文字通り『自画自賛』、実に気分がいいものです。 |
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エッジ周囲だけはいったんはニスを剥がし・・・ |
より立体感を強調したところ。 |
いよいよ本体に裏板を接着するのですが、まずは手前側半分だけ・・、 |
・・それが乾いたら、反対側の半分も接着。 |
仮固定の木ねじを外し・・・、 |
黒檀のピンを打ち込みました。 |
ボタン部分も同様・・・、 |
・・黒檀を打ち込みました。 |
『歳をとっても、やはり若尾文子かなぁ〜』的な感動です。もう、決して久本雅美さんではありませんネ。(失礼!) なお、蓋を閉じる前までは、オーバー・ニスは、アメリカの、インターナショナル・ヴァイオリン社の 天然樹脂系の市販品「レッド・ブラウン」でしたが、蓋を閉じてからは「ゴールデン・イエロー」にしています |
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