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文字通り「総身創痍」のチェロの修復 V HOME
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気になるところは全部・修復 ・ バスバー (Bass Bar)
太めのバスバー
作業中に気がつきましたが、本器のバスバーは、普通より少し太いし、パッチ同様、何となく無骨なく感じました。
採寸したら、やはり幅が1.0〜1.5mm広いのです。
削る目標をチョークで・・
また、山のピークがエフ字孔の上の丸辺りで、少し重心も上でした。
いつものことながら、これは、すみや流に作り替えます。
真ん中のチョークのマークはストップ(駒)の位置、左右の削るアーチの目標も印ました。
横から見た感じ
反りカンナとノミを使い、ストップの位置をいちばん高いピークにして、なだらかに削っていきます。
理想の形に・・・、
これで、できあがりです。その、筆者が考えている論理はこちら
ペグホールの埋め戻し (Peg Hole-Bushing)
当初、Sさんがお近く楽器店に持ち込んだら、こんな大きな穴をならす
道具がないから・・・、と断られた原因のひとつがこれ。


太く空けられたペグ・ホール
リーマー各種 ご覧のように、リーマーは弦楽器用としてはヴァイオリン用、チェロ用、 そしてチェロ・エンドピン・ソケット用のリーマーなどを私は持っている。

その他、小生は、昔、ラジオ少年だったこともあり、
シャーシー(アルミの箱)工作用リーマーも各種手持ちがあったので、
道具がない、という心配は全くなかった。

もし、的確な大きさのものがなくても、数多く穴を空けるわけではないし、
鉄工用の丸ヤスリや、ほどよい太さの竹とペーパーがあれば
何とかなるはず・・・。
まず、チェロ用・ペグリーマーで、穴の入り口から出口まで、目一杯、深く、穴を広げた。ということは、通常のペグのテーパー1/25で空けるのではなく、このようにずっと通して円筒型に空けることを意味しています。 まずはペグリーマーで・・

いちばん奥までリーマーで空け
すでに、A線、D線は、もう済んでいます。理由か分かりませんが、前の方はずいぶん汚い穴の空け方をしていて・・、
そのアップ・・・
穴の周辺が、変にほじくれているのです。
そんなこともあり、壁面全体をペーパーでならしたところです。
着色後は、こんな感じです。 穴の太さが足らないところは、ご覧のように、 一般工作用のリーマーで間に合わせました。
A線、D線のところと、削った壁面は試験的に着色してみました。

この、穴の周囲の彫り込んだキズは、あとからコクソ(すみや流ウッドパテ)で埋めるつもりです。 さて、この下の写真が、工作用のリーマーのテーパーに合わせ、ぴったりサイズのブッシングを削り、差し込んだところ。
ブッシング材には何がいいのか? S.V.S.トーンウッド社で部品として売られているものは、すべてボックスウッド(ツゲ)材です。

市販品には、筒型のものと、長円錐形、つまり、ペグ同様のテーパーがついているものが売られています。常識的に考えて、カエデ材よりやや少し柔らかめの木質がベターだと、私は考えいます。

例えば、ごく堅い黒檀のペグに黒檀のブッシングだと仮定すると、
堅すぎてきしみ始めたら本当に動かなくなってしまうかも知れません。

そこで、一方が柔らかい木だとその勘合も「アバウト」になり、むしろ安定するはずだ、と思うのです。

何かの本で、ヤナギ(willow)とかモモ(peach)がいい、と書かれていましたが、そんな木材はなかなか手に入りませんね。
ちなみに、ここでは少し柔らかめの、板目のカエデ材を使いました。
最後のひとつ・・
水平作業台の作成
本器を扱っていて、横に、立てて寝かすと必ずガタつきました。

アッパー、およびローアの、裏板・表板のエッジ、4点で床に接するのが理想ですが、よく見ると、一点だけが浮いているのです。
つまり、前の、修理後の組立が正確にできておらず、リブ・アッセンブリーの、水平度が悪かったり、ねじれがでていたのです。
そこで、外してある裏板があるので、それを貼る際に、できるだけ
水平度を保ちながら組み立てられるよう、水平作業台をつくりました。
つまり、表板にしても、裏板にしても、エッジから周囲2〜3cmは水平。それからアーチングのふくらみを下に逃がしてやれば、
水平度が保てるはず・・・なのです。そうしてつくったのが、右の写真。

裏板を貼るのだから、とりあえず、表板を下にした構造。
また、穴の周辺には養生用としてパンチカーペットを貼りました。
水平の作業台もつくりました。
指板を避けて・・・ 
すでに貼られて、出っ張っている指板をこのようにしてかわしました。
裏側です。

こうした治具は、簡単につくることができ、なおかつ具合良く使えて、
そして、効果的な働きをするものならば、もう万々歳!

本体と押さえ板とで、ボルトで締めてクランプしますから、
その圧に耐えながら水平度を保たせる・・・ことから、手持ちの端材で、
9mmの構造用・米マツ合板を使いました。

そのため、指板の高さを逃がすための台になる脚も同じ材料でとり、
さらに、この脚部分は単純梁構造を形成させる目的で、
ボルト穴に近いところに「リブ」として建てました。
乗せた感じ・裏板が上の場合

裏板をうえにしても・・・
乗せた感じ・反対側の表板が上 
表側を上にしても、いずれにも使えるリバーシブルです。

なお、脚にはご覧ような窓をいくつかつけてありますが、
これは、ボルトを締めやすくするための手を入れる、作業用の穴です。
これで、裏でも表でも、具合良くリブ面の水平を保たせられます。

うまい具合に、リブの水平度が保てます。
全体も安定しています。 
クランプ用当て木
いままでの、クランプ用の当て木を並べ、裏板に合わせてチェック。
クランプ用当て木
ボルト穴もチェックして、場所によっては穴を空け直したりしました。

インナー部だけは今までのものとのカーブと合わず、
その分だけは新らしくつくり替えました。
締め具合をチェック まだ貼っているわけではありません。

締める位置やボルト穴の調整など、あくまで締め具合のテストです。



同時進行で、随時、更新していきます。

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