R-390AのZ503コイルが不用意な調整で断線・・・その復?May 6, 2014)
はじめに
・・・R-390AのAGC特性の改善に努めている最中、JA2AGP矢澤OMよりAGC用IFアンプ(V508/5764)のプレート同調(Z503)を取ると良いと助言を頂き、早々に試してみたがとんだハプニングが発生。
Z503は縦長のアルミシールドケースを被っている。ちょど5球スーパーの小型IFTの様だが、周波数を合わせる部分が見えない。すっぽり金属ケースを被り、上部にケースを固定するネジ2本が顔をだし、ここスプリングワッシャを挟みナット締めする。
ケースを外すとコイルとボビンに同調Cが顔を出す。ボビンの中にはダストコアがありボビンとコアにネジが切ってある。コアを6角レンチで回すと上下に移動し、コイルのインダクタンスが変わり共振周波数を変えられる。ちなみに同調CはLCメータで測定すると115PF程度あった。IF帯域の選択は0.1KHz〜16KHzまで6段階が可能だが、ここはブロード特性でIF帯域切替でAGC電圧が変わらないよう工夫がなされているようだ。しかしAGC専用のIFアンプを構成すなんてとスゴイと妙に感心していた。
それでAGC電圧が最大になるようにコアの調整を始めた。先ずコアを抜く方向に回す。すると電圧が上がる方向に動き出した。確かに同調がずれている。ところが、コアは抜け切らない内に最上部まで達し停止。それではと逆に回しコイルの反対側へコアの移動を始めた。再び電圧が低下し再び上昇を始めた矢先、コアが固くなり動かなくなった。くさびを打たれた様に微動だにしない。何とかしようと強引に回すとボビンを固定する接着剤が割れてボビン自身が回る状態に陥った。ヤバい…後の祭りだった。ボビンがコイルごと回ってしまい、細いコイル巻き線の片側が切れてしまった。にっちもさっちもいかない状況で、もうトホホの何物でもない。
ここまではやるつもりは無かったのだが、結局IFユニットを取り外して至近で状況を見るハメになった。 四半世紀振りに回すあの緑色のビス3本。そしてシャフトカップリング機構のブリストル。しかし当時組み込んだプロダクト検波器基板やAGC時定数改修跡との再開が叶っい嬉しい。
至近から見て何か出来ないか検討したがやはりコイルの修復は無理。ちぎれた跡が全く見えない。コイルはハニカム巻きと思うが、上から黒樹脂を流し固めてあり手の着け様がない。 コイル全体の交換をと思いユニットの中を覗くと、これが立派な配線が立体的になされ、ちょっと外す気にならない美しさだ。これを突くとなると相応の体制が必要になると容易に想像できるが今はそんな気力など無い。
それで苦肉の策。ケースに収まるRFCを実装し、同調Cとで455KHz付近に共振さてしまうおうとするもの。 前述の115PFに1mHのRFCを並列につなぐと凡そ459KHz辺りに共振。増幅管5764の出力容量やストレー容量を加味すると凡そ455KHz付近に持って行けると判断。 ケースに収まる大きさのRFCを探し実装。見た目では分からない復旧に漕ぎ着けることが出来た。 まったく調子に乗り過ぎで、古いコイルやコアには要注意と何時も肝に命じていた筈なのに…情けない。実は翌日の電話で、矢澤OMからそれを伝えるのを忘れた・・・と。うぅー何と!
ちなみにR-390Aの場合AGC用増幅管のプレート回路が切れると、AGCが正常にかからず歪んだAF出力になる。
写真はシールドカバーを外したZ503。黒い部分がコイルで、その下の茶色が同調C。同調Cの容量が経年変化で増大し共振周波数が下がっていた模様。コアの稼動範囲に同調周波数は存在しなかった。
同調インダクタを決める
・・・実際にやる場合はもう少し細かなデータが必要になる。すなわちAGC-IF増幅管を差しシールドケースを被せたときの同調Cだ。実測すると約133PFあった。これで455KHz付近に同調させるには、計算すると約920μHのインダクタが必要になる。
ローカルの全国チェーン部品店には1mHのRFCは無く「これだけ」とつたない。直近でも10mH。止む無くこれを購入、インダクタンスを確認しながら巻き解き、920mHを切る辺りで固定。Z503の内部端子へ半田付けした。
最初100Tを解き、インダクタンスの変化比から元の巻数を推測。そして、インダクタンスは巻数の2乗に比例することから目的巻数が推測でき、巻き解く回数も分かる。
左がその様子。シールドケースを被るのでやや共振周波数が下がる。
これで何とか初期の状態に復旧。近年のフェライト材料の特性は向上しており、低い抵抗値で巻かれるこうしたコイルの方が、オリジナルのモノより良好かもしれない。
本題は
・・・AGC特性の劇的な改善には寄与できないでいる。AGC破綻するレベルではIMによる目的外信号が聞こえ出すので、ひょっとしたら能力の限界なのかもしれない。
R-390A/URR関連Webサイト
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