+直感レーダー+ ++TOP
1 ぴこん!ぴこん! けたたましい音が教室中をとびはねた。 自意識過剰、と、試しに解答欄に書き入れてみる。 ずっと知っていて、ずっと知らないフリをしていただけ。 しばらく考えてみた。 ころん、 机から冷たい床へと。 すっと、上着の袖から手が伸びた。 ぺたん、ぺたん、 スリッパのしなる音が、静かな教室の中で唯一の音。 「ありがとう、ございます」 ころん、 消しゴムは両方の手の隙間からこぼれてまた冷たい床へと逆戻り、した。 きーんこーんかーんこーん、 絶妙のタイミングで、チャイムが教室中に鳴り響いた。 (わ、しまった。どうしよう) 机の上の、ほぼ白紙のテストを見つめながらナオはがーんと頭を抱えた。 その合間に、慌てて大きい身体をかがめてもう一度、冷たい床から救い上げてた。 ありがとうございました。とナオはもう一度、きちんとお辞儀をした。 「終了です。お疲れさまでした」 そのとおりで。今日の授業はこの時間でおしまいだった。 |
「なんつーか。あれはダメだな」 帰り支度をしていたら唐突に、隣の席の河合くんが口を開いた。 「ダメダメだろう、あれは。決定的だろう」 にやりと口の端を上げて笑って、じゃオレ部活だから。と、河合くんは言い逃げた。 なにやらダメダメで。決定的らしい。 「……あんどう、先生まで?」 頭の中で、レーダーがけたたましく鳴り響いた。 そんなの知ってる、とっくの昔だよ。って、余裕ぶって答えた。 ずっと知っていて、ずっと知らないフリをしていただけ。 「いいよ。任されたー」 「報告して。楽しみにしてるから」 耳元で可愛い声で囁いて、市川さんもまた逃げた。 |
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