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KAMWOOD SYNDROME
〜とある神林狂いの日常〜

 

■過去の日記06(`02年2/1〜2/23)

<ふりむけば……>
 嗚呼、なんで2月は28日までしかないんだ〜〜〜……と、月のせいにしてはいけない(^^;;)。
 よく言えば小休止。言葉を飾らずに言えば、「さぼってました」。神林作品も一冊も読まなかったし〜〜(^^;;)。その分、他の本が多少読めたといえばそうなんですが、週末毎に眠り倒して更新さぼりまくっちゃったのはアレだよな〜。
 ……ら、来月はもう少し頑張ります。…頑張れたらいいな……頑張れるんじゃないかな……
kayako拝)

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確認しました(2/23)

 「SFが読みたい! 2002年版」、買いました。
 残業帰りでバテてたもので、立ち読みした内容を、家に帰るまで覚えている自信がなくって(^^;;)。

 で、モンダイの箇所は、同書98頁。各出版社が今年の3月以降のSF関連の新刊情報を紹介するコーナー。
 あ〜、でも、ココの情報って、あくまでも「こういう企画があります」って報告だけで、実際に出るのはその何年も後…とか、未だ実現されずおクラ入りを疑われている…とかのパターンがざらにあるんだよな〜(^^;;)。今回も、扶桑社の担当さんがそれで自己ツッコミしちゃってるし(^^;;) 。
 ともあれ、徳間書店の欄より引用:

現在放映中の出渕裕初監督のSFアニメは、なんと神林長平がノベライズ、『ラーゼフォン 時間調律師』とか。

 ……だそうでございます(^^;;)。レーベルはデュアル文庫なのかな? その辺りの文脈がちょっと曖昧で、わたしには判別 つかなかったのですが、まぁ、フツー「ノベライズ」ってヤツは大抵文庫ですしね。
 ベテラン小説家によるアニメのノベライズというと、大昔、川又千秋の『アリオン異伝』とか、菊地秀行の『幻夢戦記レダ』とかがありましたが、最近はご無沙汰ではなかろうか。『アウトロースター』の堺三保は、確か「小説家」ではなかったと思うし(^^;;)。
 大昔は、アニメのノベライズというと、専門の職人的なライター(若桜木虔の『009』とか『ヤマト』とか好きだったな〜)の書いたものが多かったように記憶しておりますが、昨今は『ガサラキ』のように、スタッフ自身が書いちゃうってパターンの方が多いような印象がある……あ、そういえば、川又千秋も、映画版『アリオン』で、テロップに名前が載っていたような記憶があるから、「スタッフ」になっちゃうのかな。

 というわけで、単独でも充分売れるだけの実績のある作家が、自分が制作に携わったわけでもないアニメのノベライズを手がけたというケースは、今回の神林を除けば、ワタシが知る限りでは、菊地の『レダ』だけです。いったいどこからこんな組み合わせができたのか……正直、未だにナゾですが(^^;;)、件の小説(講談社X文庫という、今で言うライトノベルのご先祖のようなレーベルですね)を「面 白かった」と思ったことは確かなんですけどね。
 もっとも、わたしの好印象の由来は、元々のOVAが面白かったから、というのもかなりあるかも。
 「片想いに悩む内気な女子高生が、異世界に迷い込み、鉄ビキニ着て剣を振り回して魔王を倒すという冒険を通 して、憧れの彼に告白する勇気を得る」という、粗筋だけ聞けばベタベタにオタク臭いストーリーなんですけどね。いのまたむつみデザインのキャラクターは愛らしく、恋に悩むヒロインの描写 は、少女マンガ風に美しくロマンチックだったし。後に、やぎさわ梨穂さんがアニパロコミックスで描いてたパロディ(というより、ほとんど「原作のコミカライズ」と言ってもいいような感じだった)も、すごく「女性向け」だったなぁ……。『レダ』が、ジツはヒロインと魔王とのラブストーリーだった(だから、魔王が見せる幻覚の中の「彼」の声は、魔王と同じ声優さんだったのよね)と気づいたのは、梨穂さんのおかげでした(^^;;)。
 対して、菊地の小説は、恋愛情緒は薄目で、カラッと陽気な話だったという覚えがあります。原作には出てこない、ヒロインの父親が、なかなか愉快なオッサンで、確か、話のシメも、この父親で落としていたような……なにぶん、古本屋で入手したのは、十二年以上昔のことなので、既に記憶はかなりあやふやで(^^;;)。捨てた記憶はないから、たぶん、まだ家のどこかにはあると思うんですけど〜〜。

 ……っとぉ、うっかり、年寄り懐古モードに突入してしまいました(^^;)。
 まぁ、要するに言いたかったことは、『ラーゼフォン』も、「原作なんか無視して、神林節全開の作品にしてくれちゃった方が、きっと面白いと思うぞ」ってことでして……。元ネタを一度も見てないのに言うのもなんですが、実際、そう思いません? 原作がつまらなければモチロン、面白かったなら尚更、「別物」の面白さを見せてくれるのでなければ、既に評価の定まったベテラン作家にノベライズさせる意味なんてないでしょうが。
 とりあえず、サブタイトルのネーミングは、思いっきり神林テイストだから、ちょっとだけ期待。ついでに、現在入手困難な過去作品をデュアルで再刊してくれるなら、たとえこっちが大コケしても許す!<何様だオマエ

 しかし、ワタクシ的には『ラーゼフォン』ノベライズ以上に気になったのが、同コーナーの早川の欄、

(前略)映像版リリースを間近に控え、『戦闘妖精・雪風[決定版]』をはじめ神林長平関連本をさまざまに企画中です。

 ……って、何それ〜!? 「決定版」って!? 『星界』シリーズみたいな「ハンドブック」系?? 「さまざまに企画中」って、わたしとしては、かねてよりウワサの未収録短編集がちゃんと出て、ついでに在庫切れのヤツも復刊してくれれば、別にそれ以上は望まないのですが……


えっ…!?(2/22)

 某匿名掲示板で拾ったネタ。

 先日早川から出た「SFが読みたい! 2002年版」に、現在放映中の某アニメのノベライズを神林が書くという情報が載っているそうな……マジ!?
 件のムックは、わたしも、昨日、職場近くの本屋で見かけたけれど、「どーせ、『永久帰還装置』は載ってない*し〜」と思って、ぺらぺらっと数ページしか立ち読みしなかったんですよ〜〜。明日…というか、今日、仕事帰りにチェックせねば!

*:元々、SFマガジンの年一恒例の「ベストSF」が別冊化したムックなので、各年度の対象作品の区切りが、「前年の10月31日までに出た作品」なんですよ。よって、昨年の11月に出た『永久帰還装置』は、「来年度」の審査対象になってしまうので、今回はお預けなのです。
ちなみに、2002年版の海外編一位となった『祈りの海』(グレッグ・イーガン ハヤカワ文庫)も、「2000年12月」の発行です。


オオカミがくるぞ〜(2/20)

 ……という声がどこからともなく聞こえる気もしますが(爆)、とにかく更新。

 先日、ふと懐かしくなって、図書館でユーミンの「ノーサイド」を借りました。
 ♪なーにをゴールにきーめてー なーにをぎせいーにしーたのー …のタイトル曲は、いわゆる(?)「C翼世代」の同人女(年齢的には、60年代後半から70年代アタマ頃の生まれ…かな)には、「バイブル」と言ってもよいようなもので……あの頃、この歌詞を使ったC翼同人を何冊読んだことか(笑)。「ノーサイド」ってことは、たぶん、サッカーじゃなくって、ラグビーなんでしょうが、歌詞だけを見てる分にはサッカーと解釈しても差し支えなさそうだからいいんです(^^;;)。
 基本的にユーミンの歌詞は、同人女の間では「定番」という感がありますが、特に80年代中半から90年代前半にかけては、出すアルバム出すアルバムが、そのころの同人界のブームに合わせたかのようなものばかりだったような記憶が……確か、「ノーサイド」=C翼の次が、「ダイヤモンドダストの消えぬ間に」=星矢で、「オタク女を狙っているのか〜〜!?」なんてひとしきりウワサになったっけ。
 で、「ノーサイド」ですが……十数年ぶりに聞いて、思うところはまたイロイロあったのですが、それは表の日記に書くとして〜、モンダイだったのは9曲目「SHANGRILAをめざせ」。

♪あなたは傷を負ったパイロット 戦闘機は密林に砕け 赤く燃えた

  「スーパーフェニックス」か〜!? タイトルに聞き覚えはあれど、既に中身はすっかり忘れ去っていたもので、いきなりこの歌詞が耳に飛び込んできたときは、白日夢を見ているのかと思いました(^^;;)。慌てて歌詞カードを確認して……降参。
 だって、♪はやく はやく はやく 目を覚まして だよ〜? でもって、♪大気の中に Find me! ついておいで Behind me! だよ〜!? …「ショック・ウエーヴ」までいくか?
 大昔、知人の同人作家さんが、「何に転ぼうと、どんなジャンルへ行こうと、ユーミンの歌は必ず何かしらがはまる」と言っていましたが、まさか今更それを実感することになろうとは……
 まぁね〜、元々ユーミンと「SF」って相性いいんでしょうね〜、 なんたって声質からして、機械的だし〜。そういや、『さよならジュピター』の主題歌もユーミンだったよね〜……ほら、なんて曲だったっけ……「VOYAGER〜日付のない墓標」だっけ?

 ♪きーずつーいた ともーだーちさえー おきーざりーにできる ソルジャー

 ……う゛っ。もはや、なにをかいわんや。
 改めて、ユーミン、おそるべし。


眠い〜〜〜(2/15)

 今日こそは早く寝る〜〜!
 というわけで、今日も横道それた話題(^^;;)。

 7日にちょっと書きましたが、某大長編ファンタジー小説で、「バージン」という表現が出てきて、目が点になったという話。そのシーンのすぐ後に、同じキャラのセリフで「チャームポイント」って出てきたときは、不思議なことに、そんなに気にならなかったんですよ。作品世界から逸脱しているというのなら、今までも、もっととんでもない単語も出てたと思うけれど、それなりに受容していたのに、なぜ今回に限ってダメだったのか……なんてことを、ちと考えたり。
 思うに、ワタシはそいつの「作品世界にそぐわない」語彙や口調の喋りを、マンガでいうと「フキダシの外の小さな手書き文字」として認識していたらしいんですね。
 だから、問題の単語も、たとえば、無敵のヒーローたる主人公に「あんたの後ろのバージンはおいらにちょうだいよ」と迫る、みたいな作中での実現の見込みはまずない、読者も冗談(小さな手書き文字)として受け止められるようなセリフの中で出てきたのなら、たぶん、そんなに気にならなかったと思うんですよ。
 それが、今回、この表現が使われたのは、作中でも「処女姫」「乙女」等と、処女性を重要な属性として強調されているヒロインに対してで、しかも、本筋の展開に密接に関わっているセリフ──つまり、わたしの意識の中では「フキダシの中の写植文字」で出てきたから、ビックリしちゃったらしいです(^^;;)。

 で、話は神林に移るわけですが……この作家の場合、まだすべての作品を読んだわけではないですが、今のところ、前述のような形でギョッとさせられることはまずないですね。
 作品世界が、読者の世界とはまったく異なる、異様・異質なシチュエーションに設定されている割には(あるいは「だからこそ」かもしれませんが)、登場するキャラクターは、読者とほぼ同じ語彙や口調で喋る人たちばかりだし……なんてことを思っていたら、他ならぬ 『雪風』で、その「ギョッとさせられる」例に遭遇してしまったことを思い出してしまいました(^^;;)。
 と言っても、話は例の第一話、単行本化に当たって、その箇所は既に書き直されているのですが……

「いやだよ、スーパー婆さんは苦手だ」
「上官命令服従違反・抗命罪、反逆罪、逃亡罪で軍法会議に訴えてやる」
アホか。なんで逃亡──」

SFマガジン1979年11月号(通巻254号) p.47より

 作者の地元の新潟は、いわゆる(?)「日本全国アホ・バカ文化圏」の分類では、どちらに属するのでしょうか? 『敵は海賊』の主人公トリオが、ごく自然に「アホ」を使っているのを見ると、どうも作者の母語では「アホ」の方がナチュラルな言い方のような気もしますが……でも、零が「アホ」って言ったら、かなりオドロキます(笑)。
 ちなみに、この箇所、単行本では、

冗談言うな。なんで逃亡──」

ハヤカワ文庫『戦闘妖精・雪風』 p.48より

 …と、変更されております(^^;;)。
 やはり、日本のフィクションの「工場出荷値」は「東京文化圏」がデフォルトになっているということでしょうか。『敵海』でも、主人公達が「アホ」を使う分には違和感ないけれど、かの海賊王が使ったら、やっぱりビックリしそうな気がするし……


ご無沙汰してます(^^;;)(2/13)

 す、すみません、気が付いたら、一週間近く、更新さぼっちゃってました。
 連休中に「宿題」を片づけるつもりが、つい、惰眠を貪ったり、オリンピック見ちゃったり、他の本を読んじゃったり……で後回しにしているうちに、何を書こうとしていたのか忘れちゃったりとか(爆)。

 あ、でもでも、連休終わって、職場の空き時間にファイル開いたら、ぼちぼち思い出してきましたんで、しばしお待ちを〜〜。

 で、話は変わりますが、連休中に読み終わった本のウチの一冊が、 菅浩江『永遠の森 博物館惑星』
 そのうち買おうと思っていたのですが、近所の図書館で見つけて、即借り。遅読のワタシも、ほぼ一晩で読み切ってしまっただけあって、ウワサに違わず面白かった(&読みやすかった)です。さすが、「日本推理作家協会賞」と「星雲賞」のWクラウン(?)は伊達じゃない。
 菅作品では、以前に、短編集『雨の檻』(ハヤカワ文庫 but 現在版元在庫切れ)を図書館で借りましたが、そちらと『博物館』共にいくつか感じた印象の一つが、「全体的にオトナになって、読者層もより広く一般 向けになった新井素子」でした。パッと見の印象の甘さと、そのウラに潜む、ぞっとするようなシビアさと、その両者を踏まえた上で、人に、命に優しくあろうとする眼差しと……という辺りが共通しているように感じました。もっとも、新井素子作品は中学〜高校時代(80年代半ば〜後半)に一通り読んだものの、菅作品は上記二作しか読んでいないワタシの評価ですので、信憑性は限りなく低いですが(^^;;)。
 とりあえず、「甘さ」「女性らしさ」の部分は、いわゆる「素ちゃん文体」よりは、遙かにとっつき易いので男性にもお勧めです。あとは、日舞をはじめとする和物やオタク業界への造詣の深さなど、作者の数々の蓄積に裏付けされたディテールの細かさとかも見物。『雨の檻』収録の「そばかすのフィギュア」には、フィアナフリーク、フィアナドールフリークとしては、身につまされて泣きそうになったし(^^;;)。

 ただ、つい、思ってしまうのは……近年、「ミステリー」「SF」「ホラー」の境界が曖昧になっている(らしい)とは言え、SFガジェット満載のこの小説が「日本推理作家協会賞」になるのなら、神林だってSF以外のジャンルから、そういう評価をもらってもいいんじゃないのか〜〜!?…と。これって、fanの欲目だけではないと思う……。
 まぁ、さすがに「山本周五郎賞」とかは絶対にないと思いますが(笑)、「すばる文学賞」とか、いっそ「芥川賞」みたいな純文系とかは、結構似合いそうな気がするんだけどな。特に、『言壺』は、登場するガジェットが、「言葉」を生み出す機械だから、他の作品(戦闘機や戦車や世界を調整する巨大コンピュータなど)よりも「SF色」は薄いし、版元も中央公論って、わりとお堅そうな処だし〜(笑)。
 あ、誤解しないで欲しいんですけど、別にワタシ、「SF」を「純文」より低く見ているわけではないんですよ。ただ、この作家って、常に「SF」という枠でくくられながら、SFジャンル内では「極北」「異端」って扱いになっている(らしい)のが、なんか理不尽な気がして。
  わたし自身、「SFなかりせば神林なし」とは思いますが、それは、「SF」というジャンルが、他ジャンルに比べて「何でもあり」「その他」を呑みこみやすいジャンルだからで、「一読者」としての目でみる限りは、「何でもあり」では「純文」も結構いい勝負ではないかと思ったり……。

 おびただしい種類の花が咲き乱れる花壇の中に、一株、他とは違った毛色の花がある。葉の形、根の張り方、花の付き方のそれぞれは、他の花々と共通するものはあるのに、ナゼか全体のムードが、その花壇から浮いている。
 その花をこよなく愛でる人間としては、「もっとこの花に似合った花壇があるんじゃないのか?」「じゃ、試しにあっちの寄せ植えの方に移してみようか?」みたいなことを、つい考えてしまうわけで……

 ……とは申せ、たぶん、この花は、どこのどんな花壇に植えられようと、そこに馴染んだりしない…という気もするんですけどね(笑)。
 おそらく、この作家は、ジャンルを示すどんな言葉でもくくれない。「神林」のその名自身が一つのジャンルとして、ワンアンドオンリーという存在なのかも……
 少し悔しかったり、残念だったりもするけど、そういう作家だから、こんなにスキになるんだろうな。ワタシは。


こまごまと……(2/7)

 書き忘れていましたが、月曜日に、Amazonから『雪風』が届きました
 さっそく奥付の日付を確認……「2000年9月15日 16刷」。結構古いなぁ。今、世間に出回っている『雪風』の中では、これが一番新しい版なんだろうか? 去年は増刷かからなかったのかな? どこかの倉庫で眠っていたのを引っ張り出して来たのならいいんだけど……

 それから、5日の日記で話題にした「ナイーヴ」の表記について。
 短編版「敵は海賊」では「ナイー」(隣に「うぶ」とルビ)。『グッドラック』では「ナイー」。意味は同じく「うぶ」とか「ひよわ」というような感じですが、「敵海」では、罵倒語的な使われ方(アプロのセリフですから^^;)に対して、『グッドラック』の方では、零に対するブッカー少佐の言葉な分、かなり柔らかいニュアンスになっております(^^;;)

 更に細かいことですが、『雪風』の主要な舞台となっている惑星の名前……ジツはわたくし、ずっと「フェアリ」…と、「ィ」を小さく表記しておりましたが、今日になってふと気になって、よくよく確認したら、普通 の大きさの「イ」の「フェアリ」でした(^^;;)。
 ただし、雑誌掲載時……少なくとも、第一話の「妖精が舞う」(文庫版では「妖精の舞う空」に改題)は「フェアリ」です(^^;;)。というわけで、雑誌からの引用を除いて、「フェアリ」に直す。
 やっぱり、書き始めの頃は、日本語としてなじみのある表記を使うのに抵抗があったりしたんでしょうかね? ついつい、気取った…というか、「手間のかかる」表記を多用してしまうところを、どこまで平易に…しかし、通俗にならない程度の品のある表記に抑えるか…が、書き手の成長の現れの一つなのかもしれません。
 いくら「平易に」とは言っても、あの星の名が、「フェアリー」だったら、やっぱり、なんかイヤですよ〜(笑)。

 いや、仕事帰りにフライングGETした、某大長編シリーズ(^^;;)の新刊で「バージン」という表現が出てきて、目が点になったばかりなのもので(笑)、改めて、神林の安定感のある文章(いわゆる「名文」とか「上手い」とかではないとは思いますが)って好きだな〜って再確認したりして……
 まぁ、件の大長編の文章についちゃ、既に巷でさんざん言われているようですが(^^;;)。わたしゃ結構甘いfanで、「異世界ファンタジー」で、その世界独自の「信仰」や「まじない」もちゃんと設定・描写 されているのに、キャラクターが「南無三」って言っちゃったくらいは別にかまわなかったんですけどね。さすがに地の文で「ロイヤルウエディング」とか、「合同結婚式」とか「おめでたモード」とか書かれちゃったときには、「大昔、既刊分を数冊ずつ、世界名作文学全集みたいなクロス貼りの豪華な装丁で出したみたいなことは、(この文章じゃ)もう出来ないな〜」……と、アタマは抱えましたが。
 今回は、地の文ではなく、コメディ・リリーフ的なキャラクターのセリフなんですけどね。コイツのセリフには、以前から、かなり作品世界の基本的ムードから逸脱した言い回しが多々あったけど、そういうキャラ(『ベルセルク』の鷹の団編後のパックみたいな)なんだ、と受け止めていたもので、ワタシにはさほど気にならなかったのですが……さすがに、 「バージン」はないでしょ〜〜!?
 なまじ、お話の方がまさに「息をもつかせぬドトーの展開」だっただけに(まさかここでアイツとあの人の対決になろうとは!)、最後の最後にそれかい!?みたいな……

 ……と、脇道に逸れたネタで終わる。
 5日に予告していたネタは、もう少しお待ちを〜〜。


週明けだから…(2/5)

 ごめんなさい。土日は別口の更新にかまけてて、こっちは放置しちゃってました。

 で、週が明けても、やっぱり仕事帰りには本屋で立ち読み(あ〜、先月はここでマンガ7冊買ったから許して〜。>職場近くの本屋さん)。
 月曜のお目当ては、「IKKI」掲載の多田由美さんのマンガ。この雑誌を手に取るのは初めてなのですが、松本大洋とか、やたらと濃ゆい絵柄の作家さんが集まっている印象がありました(^^;;)。

 で、多田さんの作品……
 ご本人のサイトの4コマとかこの話の主人公みたいな、この方の描く「オツムの弱そうな男の子」って、なんかいいですね〜。
 あ、「オツムが弱い」と言っても、けっして「知能が低い」という意味ではないんです〜(^^;;)。「バカではないし、臆病で警戒心も強そうなのに、どう見てもうさんくさい相手にナゼかコロッと騙されちゃう」っていうタイプの、複雑で微妙な危うさがよく出てるなぁ……と。

 で、改めてSFMの多田版『雪風』を立ち読みする(ゴメンナサイ、買います)と、零ちゃんがバカみたいにアッサリとおっさんを信じちゃう下りが、妙に腑に落ちたりして。初読時は、「はしょっちゃったのかな?」なんて思ったのですが、そうじゃなくって、もしかしたら、これが「多田キャラ」の特徴なのかなという気がしてきました(^^;;)。
 ワタシが「オツムが弱そう」と感じたのは、言い換えれば、「自我の未熟さ」というやつなのかな…と。
 それで思い出したんですが、『グッドラック』 の零は、ブッカー少佐やエディスから再三、「ナイーヴだ*」とか「そんな希薄な自己では…」とか「あなたの心身はまだ脆弱」……等々、温室育ちのお姫様か、虚弱体質の子供か、ってな言われ方されちゃってますよね(^^;)。
 初めて読んだときは、旧シリーズラストで雪風に捨てられたダメージを引きずっていることを指しているのかと受け取っていたのですが、時間が経つほどに、ジツは、零ってそもそも最初から、それくらい「虚弱」だったんじゃないか……と思えてきて。
 傍目には「人間不信」に見えるくらい「他人とうちとけない」ところと、それとは一見正反対な、「脳みそ足りないんじゃない?」って疑いたくなるくらい「たやすく他人にハメられる」ところと、相矛盾した気質が同居している(ように見える)のは、どういうわけか……?

 と、話し始めるとまた長くなりそうなので、また明日か明後日に〜。

*:日本語では「繊細な」等の肯定的な意味で使われる「ナイーヴ」ですが、神林作品では、「うぶ、甘ちゃん、世間知らず、バカ正直」等の、揶揄するようなニュアンスでしばしば使われています。(例:短編の「敵は海賊」。ハヤカワ文庫『狐と踊れ』p.169参照のこと)
聞くところによれば、英語の「naive」も、神林的なニュアンス(というより、神林が英語的なニュアンスで使っているのか?)という話ですが、英英辞典や、英語の小説・映画等のセリフ回しでウラを取ったわけではないので、真偽は不明(^^;;)。


週末だから…(2/1)

 のんびりと本屋さんのハシゴ。とはいえ、かばんの中には既に読みかけの文庫本1冊、ソフトカバー1冊が入っていたので、買わずにひたすら立ち読みばかり……って、これだから、オフライン書店の経営が苦しくなるのね(溜息)。
 幼児期から本屋さんにお世話になっていた身としては、伝統的オフライン書店を守るべく(^^;;)、気持ちだけは、街中の本屋さんを使おうとはしているんだけど、実際に買うのは、新刊本かマンガばかりだからなぁ……。Amazonで買うときは、数冊まとめ買いで、2000〜5000円分くらい一度に買っちゃうけど、外で買うときは、せいぜい1、2冊、500〜1500円くらいしか出せないんですよね(^^;;)。たまーに、「この機会を逃したらもう買えないかも!」って本を見つけて、文庫本を5、6冊まとめ買い(それでも五千円札でお釣りが来る程度)でもしたら、とてつもない贅沢をした気分になるのは、どうしたわけだか(^^;;)。ブックオフじゃ、始終やってることなのに……

 ともあれ、立ち読みの話。
 まず手に取ったのは、「活字倶楽部」2002年冬号(雑草社)。
 通称「かつくら」と呼ばれるこの雑誌、要するに、小説版「ぱふ」でして、「ぱふ」同様、ライトなオタク(主に女性)に人気の小説を、いわゆる「ライトノベル」「ヤングアダルト」以外のジャンルからも幅広く紹介してくれてます。
 目当ては、某ライトノベル作家の新作予告が載っているらしい……というウワサの真偽を確かめるためだったのですが、ちょうど、レビューページが、昨秋から暮れにかけて出版された作品だったんですよ。ワタシとしては当然、『永久帰還装置』は?と、探したのですが……載ってない(-_-;;)。
 「SF・ファンタジー」ってジャンルはちゃんとあるのよ。「SFマガジン」や、「SFオンライン」でお馴染みの作品もいくつもレビューされてるし。でも、神林はなかった……。ナゼ!?(T_T)
 #「2001年発行本リスト」には、辛うじて名前だけ載っているけれど。

 そりゃ、神林の作品群は「いわゆるSF」というのとは少し違う(と思う。たぶん)し、わたし自身、この作家が「SF」というジャンル内でしか評価されないのは、常々不満に思っていたけれど……なぜ〜〜!?

 まず考えたのは、「かつくら」の読者層と、神林のfan層が一致しないからかな…と。
  根拠は、わたしの読書傾向が、この雑誌で人気のある作家(恩田陸・宮部みゆき・乙一・五条瑛・柴田よしき……等々)とはまったく重ならないところからなんですが……でも、レビューコーナーで取り上げられている作品のラインナップは、読者の嗜好よりもかなり幅があるという印象なので、それはなさそうですね(^^;;)。
 次に思いつくのは……「一見さんには説明しづらい作品なのかもしれない」ということ。
 既にどっぷり神林ワールドに浸かっている読者が少なからずいるであろうSF誌と違って、「かつくら」には、まだ神林を知らない( or 名前は聞いたことがあるけど読んだことがない)読者の方が圧倒的に多そうだし……。そういう人に、どうやってこの作品を紹介しようって考えたら……ワタシだってアタマ抱えちゃいます(爆)。
 よくよく考えると、Web上で拾った 『永久帰還装置』の書評も、すべて「神林の新作だから買った」という書き手さんばかりで、これを「神林作品・最初の一作」として読んだ人の感想は、未だに目にしてないです(^^;;)。
  対して、『雪風』や『敵海』は、「これが初めて」とか「この作品をキッカケにはまった」という声が結構多いし、わたし自身、既に数人の方に『雪風』のオススメに成功していますし(笑)。されど、そこから「次の一歩」へ踏み込んでいただくのは、難しい……そもそも入手困難な本が多いし(怒)。

 嗚呼、布教(おい!)の道のりは厳しい……


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