|
|
|
妻は昨年入院中に手の硬直化が進んでしまったために、退院の際、先ず必要となった物が介護用衣服である。退院後も当分はベット生活であるので、当面は寝間着があれば良かった。早速、介護用衣服売り場で探したところ、介護用の寝間着があった。この寝間着は袖下の部分が前後に分かれ、3個のスナップで止められるようになっている。寝間着のため袖口が広いので、肘の部分から腕を通すことができ、手を伸ばした後に3個のスナップを止めればよく、手が硬直していても比較的簡単に着せることができ、便利である。
寝たきりの状態ではこの介護用の寝間着の着替えがあれば問題なかったが、リハビリが進み、車椅子に乗せられるようになってきた。当然のことながら、室内だけでなく屋外へ散歩に連れ出してやりたくなる。散歩など屋外に出かけるためには寝間着1枚では出かけられず、下着やブラウスなどが必要になってきた。
そこでデパートの介護用品売り場や介護用品を取り扱う店を探してみるが、あるのは前ボタンがマジックになった下着(肌着)と少しゆったりとしたベルト部分がゴムテープになったズボン位で、妻のように手が硬直化し、寝たきりの者に簡単に着せられる物ではない。ケアマネージャーやデイサービス職員など介護関係者に介護用衣服について相談すると皆さん簡単にあるという。しかし、紹介されるカタログなどは前記のような物ばかりで、役立たずであることが分かった。
即ち既製品を探してもないことが分かったので、新規に「着せやすい物を作るしかない」と言う結論に達した。先ず、上衣は腕を通す物では駄目で、腕全体を衣服の外(袖の方に)に簡単に出せ、その後腕を包み込む構造でなければならない。しかし、自分では裁縫はできない。他人に依頼するしかない。幸いなことに妻の知人でご夫婦で仕立物直しをしている人が近所にいたので、相談をしてみた。最初はやったことがないことであり、少々怪訝な様子であったが、先ず、こちらが言うままに仕立て直しをして貰えることになった。
先ず最初にお願いしたのは肌着である。市販されている半袖の介護用肌着と長さ40cmのファスナー2本を購入して持参し、肌着の脇下部分の縫い合わせ部分をほどき、その延長線上にある腕の下の部分も裁断(下図(1A)参照)して貰い、ここにファスナーを取り付けて貰った。これによって硬直した腕も簡単に通すことができ、所期の目的を達成することができた。図(1B)が試作品である。(写真が不鮮明でファスナーが分かりづらいが、囲った部分がファスナーである。)
|
 |
|
 |
(1A) |
|
(1B) |
|
次に依頼したのが、上衣(ブラウス)である。ブラウスも肌着同様市販されていないので、従来着ていた物を仕立て直して貰うことにした。
仕立て直し方は肌着同様胴の脇の部分及び腕の下部の部分を裁断して貰い、ファスナーでなく、スナップボタンを取り付けて貰った。裁断部分に直接ボタンを付けたのではボタンの重なり分だけ細くなってしまうので、2cm巾程の端布を足して貰い、その部分にスナップボタンを取り付けて貰った。勿論ブラウスと同色の端布はないので、同色系の端布を使用して貰った。ボタンの部分は腕で隠れてしまうので、着せてしまった状態では全く、気にはならない。図2Aが仕立て直しをして貰ったブラウスで,図2Bはスナップボタンの取り付け状況を示す。
|
 |
|
 |
(2A)
|
|
(2B)
|
|
|
ズボンに付いては高島屋の介護用品売り場の1箇所で見つけることができた。ベルトはゴムテープで、丁度ズボンの前の折り目の部分にファスナーが取り付けられている。ファスナーを全開すると完全にズボンを縦方向に分割することができる。従って、ズボンに足を通してはかせる必要がなく、ズボンを身体の下に置き、股ぐらからズボンの前面を引出し、裾の部分を足に巻き込み、ファスナーを閉じることでズボンをはかせることができる。非常に便利に使用できるものである。但し、男女兼用で色々なサイズがなかったのが欠点である。
以上のように一応外出可能な衣服を取りそろえることができ、11月より試行ではあるが、デイサービスに行かせることができるようになった。冬を迎え寒さも増しているため、現在は2回/月のペースでデイサービスでの滞在時間を4時間程にして、通わせている。春を迎え暖かさも増してきた段階で、1回/週の割合で、通所できるようになることを期待している。
|
|