作:マサシリョウさん
#5.アカデミーショップ
「はぁ、はぁ、・・・ね、姉さん。」
髪を振り乱し、息も絶え絶えに話しかけるクライス。
「たしか、このアカデミーでは、・・・猫を飼っているそうですが・・・はぁ、一体何処で、ゴフッ、飼っているのですか?」
「大丈夫?とにかく落ち着いて。」
「・・・はぁ、息を整えますから、その間に質問の答を・・、ゴホッ。」
「解かったわ・・・猫の寝床はここ。カウンターの中。だから、この猫を飼っているのはアカデミーの職員だけど、実際に管理しているのは私ね。」
「・・・ちょっと待ってください。じゃあ・・じゃあ、もし猫が出ていったまま、閉店時間がきてカウンターが施錠されてしまったら、どうするのですか?」
「大丈夫よ。だってカウンターにも(以下略)
そんな事も見当がつかないの?意外と間抜けね。」
「そうですか・・・」
クライスの顔が暗くなった。
「(言いすぎたかしら?)どうしたのクライス?」
「ありがとう姉さん。参考になりました。」
自分の部屋へと足を向けるクライス。
「どうしたのかしらクライス。イヤミを言われたまま黙っているなんて。」
・・・クライスはこの時点で事件の概要に気づいていた。
そしてこの事件にマルローネが深く関わっている事に・・・
ルイーゼをはじめ、アカデミー関係者にクライスが独自に捜査をしている事が知れている。
・・・あと数日もしないうちに当局は飛翔亭にたどり着くだろう。
それまでに、誰もに傷を付けないで事件を解決しなければならない事を考えると、クライスは頭がいたくなった。
結局彼は、ピッコロと一芝居を打つことにした。
おしまーい。