家庭の窓
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ささやかな小会議の場で主催者の立場で挨拶をする機会があります。参画のお礼と状況説明,協議のお願いといった定例の話しをしている中で,打ち解けた雰囲気を持っている会合の際には,お土産になる情報を提供しています。そんなこと考えたことないというものが喜ばれています。あちこちで使っている定番から一つだけ思い出してみます。
問いかけから始まります。「この地球上で星に最も近いところはどこでしょう?」。いきなりの質問に,どう答えたらいいのかという戸惑いの間が過ぎていきます。質問の意味が掴めないのです。そんなこと考えたことがないという小さな驚きです。星に近いということは高いところであると翻訳することで,意味が理解できるようになります。この地球上で最も高いところ,山の中で世界一の高峰はエベレストであると考えてくると,星に近いのはエベレストの頂上であるという答に到達します。
そこで,質問者は「違います」と言います。「答は,南米エクアドルの最高峰であるチンボラソ山です」。「???」。そんな名前の山って聞いたことがない? 山好きの人でない限り,遠い南米の山など知らないでしょう。でも,最高峰はエベレストのはずなのに,違うの?という疑問が湧いてくるはずです。エベレストは8848mの高さで,一方チンボラソは6310mの高さであり,2500mも低いのです。だったらどうして,星に近いと言えるのでしょう? どういうこと?という驚きが出てきます。
次の展開になります。エベレストが最高峰であるという高さは,海抜という測り方です。海面からどれほど突き出しているかという高さです。さらに考えるべきことは,地球は自転しているので球形ではなく楕円形になっているということです。地球の中心からの距離を測ると,北極南極の方向(タテ)に比べて,赤道方向(ヨコ)が長くなっているのです。エベレストがある場所よりチンボラソがある赤道近くの方が地球の半径は大きく,したがって海面も高くなっているのです。
星に近いという測り方は,地球上で最もでっばっているところということです。赤道方向に海面が出っ張っていることを含めて測っていくと,チンボラソが約6,384.4km、エベレストが6,382.3kmとなり、約2.1km,つまり2100mだけ,チンボラソの方が中心から離れている,星に近いとなります。山の高さは赤道方向に上げ底になっているということであり,海抜という言葉に注意が必要だったのです。
「そうなんだ!」,そういう小さな発見を楽しんでもらえたら,忙しい中に出席をしていただいたことへのささやかなおもてなしになるのではと,勝手に思い込んでいます。
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