家庭の窓
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ものも言い様という言葉があります。ものには裏表,ああ言えばこう言う,魚心あれば水心,上があれば下もあり,左には右も,一筋にはいきません。新型コロナ感染防止を目指して,緊急事態宣言が出され,3密の自粛が迫られています。密閉,密集,密接を回避するように。そのためには,社会活動を休止しなさいとなっていきます。ステイホーム!
ものには静と動もあります。動物と静物画あります。私は人であり動物です。動かなければなりません。ところが,自粛してじっとしていなさいと言われて不動状態になると,静物になります。それは私ではなくなります。私は動くものなのです。
ソーシャルディスタンスという言葉があります。社会的距離と訳すそうです。社会的距離を保つように動きなさい,こういう言い方なら,動き続けることができます。学校で子どもに「廊下を走らないように」と,動きを押さえ込もうと注意をすることがあります。動き盛りの子どもは,動けなくなります。「走るな」=「動くな」と受け取るからです。ものの言い様を変えて,「廊下は歩きなさい」と,動き方を指導すればいいのです。
3密を避けるなさい,それは人との関係を自粛することを飛び越えて,禁止するところまで一気に暴走します。出歩く人を見て,自粛していないと責め立てることになります。社会的距離を保つように動けばいいという言い方のほうが,動きながらできるので守りやすくなります。人は動いている方が楽だからです。距離を保つために,テレワークが役に立ちます。テレワークは元々は職場に出向いていって密集しなくてもいい仕事方法でした。仕事という動きと密集という状態を切り離す考え方です。テレワーク,文字通りです。
〜するなと禁止するよりも,〜しようと勧める方が,受け入れやすくなります。それは,人が動くものだからです。仕事をするなと動きを禁じると,人は生きられなくなります。ソーシャルディスタンスを保って仕事をしよう,それが人が生きていく社会の有り様になります。考えておくことは,ウィルスとの距離を離すことであり,人とのつながりを遮断することではありません。3密はウィルスの思うつぼになるので,危うきに近寄らないように動けばいいのです。動きを止めて固まってしまうと,生き辛くなっていきます。
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