《有難い ことの限度を 弁えて》

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 あるご夫婦のお話です。ある日,妻が熱を出して起き上がれなくなりました。夫は仕事に出かける用意をしながら,妻に声をかけます。「夕食は外で食べてくるから,ゆっくり休んでいなさい」。それを聞いた妻は,治ったら離婚すると思いました。夕食の準備はしなくていいという夫の思いやりが通じていません。それが夫族のわがままな勘違いです。
 夕食の準備ができないということは,妻の食事もありません。自分の夕食のことしか考えていないのは,妻に対する無視に当たります。帰りに何か買ってくるけど何が食べたいかを尋ねるとか,早く帰ってきて何か作るから,といった妻の食事の心配をするのがベターハーフの思いやりです。
 夫婦になるとき,昔は「この人となら一緒に苦労できる」という0からの出発でしたから,少しでもいいことがあるだけで幸せになれました。今は「この人となら幸せでいられる」という100からの出発ですから,ちょっと何かあると不幸せになります。
 夫婦はベターハーフと言われます。ベストハーフとは言いません。よい友達以上の,よりよい間柄であるということです。ベストを求めると,ちょっとしたことで責めるようになります。100点から減ることばかり気にするので,ベターである70点が見えなくなります。お互いにベストでなくてベタベタしていればいいのです。
 今の考え方は,こうあるべきであるという前提に則っています。したがって,現状に存在する満たされない部分はマイナスと評価されます。結果として,不満が溢れてきます。かつては,こうあればいいなという期待から考え始めていました。それは現状には満たされない部分があることを認めて,その克服をすればプラスに転じるという評価をしていました。結果として,何とかしようという意欲が溢れてきます。0からの出発,無からの立ち上げという向上の道を選択していました。
 三代目が家を潰すといわれていました。一代目は無からの出発をしているので創造意欲に溢れていますが,三代目になると有からの出発になるので意欲は持てなくなり,不満を託つようになるからです。豊かな状況を当たり前と勘違いしてしまうから,栄枯盛衰という顛末を繰り返してきたのです。地球を人が住みよいように変えてきた活動の結果としてバランスが壊れ,経験したことがないという気候変動を招き寄せています。何が起こっているのか,コロナウイルスの蔓延が警告なのかもしれないと感じてしまいます。

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(2020年08月02日:No.1062)