《有難い ドウゾがあるから アリガトウ》

Welcome to Bear's Home-Page
ホームページに戻ります

家庭の窓にリンクします! 家庭の窓


 文化文政時代に大名屋敷を専門に荒らした鼠小僧は,盗んだ金を貧しい町民に配り,義賊と呼ばれたそうです。ところで,鼠小僧は金を取ってきて貧者に与えました。テイクしてギブしたのです。世間の諸事はギブアンド・テイクのルールで営まれています。一方,鼠小僧はテイク・アンド・ギブでした。順序が逆になると闇のルールに変わります。いきなりテイクを持ち出してぶつかり合うと,もめ事になります。鼠小僧は金をテイクするとき,アリガトウとつぶやいたかもしれません。アリガトウは美しい言葉ですが,テイクするときの言葉で,普通の順序では後出しの言葉になります。
 狭い道を対向するとき,お互いがアリガトウを言うつもりでいたら,衝突します。お互いに譲るというギブを先に持ち出せば,丸く収まります。そのときの言葉がドウゾです。ドウゾがあるから,アリガトウがついてきます。権利と義務という言葉があり,権利を先に主張し,義務が後回しになることが普通です。権利はテイク,義務はギブに対応することに気付けば,権利と義務は逆順になります。
 世間はギブが先,つまりドウゾという言葉から始まります。ギブをすることは他者の権利の擁護になります。自分の権利を先に求めるのではなく,他者の権利を先ず守ることから人間関係は始まっています。ものの豊かさはテイク優先の豊かさ,だから心は闇に染まります。心の豊かさはギブ優先の豊かさであることを早く思い出さなければなりません。
 紳士という人々がいます。レディーファーストで知られていますが,行動パターンは「ドウゾ」です。英語では「プリーズ」で,意味は相手を喜ばせるということです。それは優しさを醸し出します。もちろん紳士は,レディだけに優しいのではなく,周りの人皆に紳士としてプリーズと振る舞います。ドウゾと言うのは,相手に対して信頼があるからです。信頼を向けるから,相手もその信頼に応えようとして,人間関係は温かに進んでいきます。

ご意見・ご感想はこちらへ

(2020年08月16日:No.1064)