《有難い 今を生き抜く 言葉得て》

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 1863年にアメリカのゲチスバーグで南北戦争戦死者慰霊式が行われ,エドワード・べネットという政治家が1時間20分の感動的な演説を行い,その後にリンカーンがぼそぼそと3分間の演説を行いました。当時の新聞はリンカーンの演説を無視しました。一紙のみが掲載しましたが,歴史に残ったのはこの報道でした。そこで語られていたのが「人民の人民による人民のための政治」という言葉でした。
 1908年の第4回オリンピックのロンドン大会のときです。当時ヨーロッパ諸国は新興国アメリカへ強い反感を持っていました。開会式で星条旗が掲揚されない,正式種目の綱引きでアメリカ選手は運動靴なのに対戦したイギリス選手はスパイク履き,優勝者とエドワード国王が握手することになっていたのにアメリカ選手とはしませんでした。落ち込んだアメリカ選手が安らぎを求めに行ったセントポール寺院で,司祭は「オリンピックで重要なのは勝つことではなく参加することである」と語りました。後日クーベルタン男爵がその話に感動し,各国代表を集めた晩餐会で引用したそうです。歴史の流れの中から生み出された言葉は当時のもつれた状況の中でもっとも相応しいものであったはずです。
 時の流れの中で,思い出されるように語り継がれる言葉があります。歴史は繰り返すといわれるように,人の営みは行きつ戻りつを繰り返すようです。状況を変えようという気持ちになると,その契機となる言葉が求められ,そういえばこんな言葉があったと思い出されます。
 ところが,このところの状況は規模において,過去の重ね合わせでは間に合わなくなってきています。気候でいえば,「これまでに経験したことがない」という言葉が現れました。どのような行動指針を持てばいいのか,思い出す言葉による表現では間に合わないのです。また世界中で被害を被っているコロナ禍に対して,取りあえずは人はどのような言葉を共有しようとしているのでしょう。
 3密という言葉が現れました。新型コロナウイルスの感染を防ぐための合い言葉として,日本でいわれている言葉です。密閉,密集,密接を避けることを呼びかけるメッセージです。密閉=Confined and enclosed spaces,密集=Crowded places,密接=Close contact settings,と英語表記して,頭文字を「3C]とし,3つのCを避けましょうと,WHOがフェイスブックに投稿したということです。現世が新しい生活様式を表す言葉としてつくった言葉ですが,語り継がれていくのでしょうか? 後世が決めることです。

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(2020年09月13日:No.1068)