《傍にある 迷いを晴らす 道しるべ》

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 連れ合いが長く勤めていたアクセサリーの会社をこの3月で辞しました。慣れた仕事さばきが若い社員の甘えを育てたという反省もあったからです。頼られるうれしさの一方で,いつまでも自分の為すべき仕事に習熟しないのを見かねていました。会社でお母さんと呼ばれていたことも,甘え甘えさせた一因であったのでしょう。
 4月からはご縁があって新しい仕事に就いています。人様のお役に立てることですので勧めてみると,一つ返事で引き受けてくれました。どちらかというと走りながら考えるタイプなので,引き受けたあと日が経つにつれて,全く畑違いの仕事であることに心配が出てきたようです。
 新しいことに挑戦するのが好きな質ですから,やる気は十分です。ただ,内容が見えないと不安になります。そこで,それなりの関連する情報を手当たり次第に集めることから始めていきました。敵を知るということです。
 どうしようかという迷いや不安,できるのだろうかという心配は,相手や敵を知らないことが原因です。相手を知れば知るほど,安心は近づいてくるものです。はじめからきちんとした情報を欲張るのではなくて,断片的な小さな情報をこつこつと収集すればいいのです。焦ることが不安を増長するので,落ち着くことです。そうすれば,見過ごしていた情報がどんどんと手に入ってきます。
 人は適応能力を持っています。わずかな手がかりさえあれば,それなりの身構えをとれるものです。暗闇に立っていると不安です。壁があると分かれば,背中をそちらに向けて一安心,右手から音が聞こえれば,体勢をそちらに立て直してさらに安心・・・という具合です。どんな間接的な情報であってもそれに対処していけば,不安を構成している選択肢がばさばさと外れていきます。こうして,次第に本当の課題に直面できるようになります。
 ほんの十日ほどの間に,関連する書籍,過去のデータを目通ししたお陰で,連れ合いは一応の心構えができたようです。もちろん万全の体勢ではありません。それでいいのです。大事なことは構えに入ったということです。後は慣れていけばいいでしょう。それが適応することですから。
 前向きであり続けることが若さです。昔はこうだったと後ろ向きになったら,前には進めませんし,衰えの症状です。連れあいの若さを傍で見ていると,楽しくなります。そう感じるのはこちらも若いということでしょう。もし後ろ向きであったら,連れ合いから目を逸らし疎ましくさえ感じるはずです。ただし,若さはいつも危なっかしいものです。挑戦である以上避けられないことですが,それは傍にいるものが見守っていけばいいことです。まだまだ目の離せないやんちゃな連れ合いさんです。

(2002年04月21日号:No.108)