《有難い 言葉と思い 弁えて》

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 硬貨には製造年が記されています。硬貨は金,銀,銅,錫,アルミなどの合金です。各金属の値段は相場で変動するので,製造コストを押さえるために,毎年金属の含有比率が変化することになります。そのことを明らかにできるように製造年が表記されています。
 音階の順は,番号で表記することもあるようですが,普通は「ドレミファソラシ」です。11世紀のイタリアで,グイード・ダレッツォという修道僧が「聖ヨハネ讃歌」という曲の音階が一音ずつ高くなっていることに気付いて,各音節の頭文字をとって,「ウレミファソラサ」と表記したそうです。その後発音しやすいように今の形になりました。
 箇条書きをするとき,以前はイロハの順でした。イロハは「色は匂えど散りぬるを・・・」という歌にちなんでいます。かつて学校で「いろは」で仮名を教えていましたが,この歌は無常を表す宗教観が背景にあるということで忌避されて,「あいおうえお」に改められました。ドレミも宗教がらみなので忌避されるべきですが,どうなのでしょう?
 言葉は人の思いを引きずってくるのでやっかいです。障害者という言葉を使うとき,害という字が悪いイメージであることから,障がい者と表記することがあります。子どもたちの間で障がい児に対して「ガイジ」という言葉が密かに使われていることを伺わせる中学生の作文もありました。言葉を改めれば思いが変えられるのか,思いがある限り言葉は変転するだけなのか,考えあぐねてばかりはいられません。
 ソーシャルディスタンスという言葉が,新型コロナウイルスの感染防止の行動指針として言われていました。日本では今の状況を前提にして使われているので,格別問題はありません。ところが,世界規模になると,ソーシャルな身分階層に基づく距離を意味しているということもあり,使うのに懸念が感じられます。国際化の中での英語表現は広い世間での思いを反映してしまうので,要注意です。

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(2020年12月27日:No.1083)