《有難い 違いを越えて 筋が見え》

Welcome to Bear's Home-Page
ホームページに戻ります

家庭の窓にリンクします! 家庭の窓


 明けましておめでとうございます。
 皆様にとって 素晴らしい一年でありますようにお祈りします。

 17世紀ケンブリッジ大学を卒業したばかりのニュートンは,月の運動について考えているときに,リンゴが落ちるのを見て引力を発見しました。それまで人間はリンゴに限らずあらゆるものが落ちることを見ていながら,引力を発見できませんでした。実はニュートンもリンゴが落ちることからすぐに引力を発見したわけではありません。リンゴは落ちるのに,月はなぜ落ちてこないのかという疑問を持ちました。月とリンゴを並べるのは突拍子もない比較ですが,素直な思いつきでもあります。
 さらに,落ちてこない月は,逆にどうして飛んでいってしまわないのかという疑問が続きました。その疑問に対する答えが,月は地球に向かって落ち続けているということでした。リンゴと月は同じように地球に引かれているという結論にたどり着いたのです。
 例えば,海に向かってホームランを打ったと想像してみましょう。やがて,ボールは海にポチャンと落ちてきます。そこでとても大きなホームランを打てば,地平線の向こうまで飛んでいきます。その向こう側は地球が丸いので海が落ち込んでいます。落ちていったボールは行き着くはずの海が球体になって逃げているのでたどり着けません。グラウンドが曲がっていて,逃げているのです。人工衛星が落ちてこないのも,同じ理屈です。
 ごく当たり前の事象(リンゴ)と異なる事象(月)を並べてみると疑問が生まれ,本質的な概念に向かう扉が開きます。社会施設で障害を持つ人が行動に対する障害に出会うことがあります。なぜだろうと疑問を持てば、施設に障害となる不備があるからと気がつきます。障害を取り除こうとするバリアフリーの考え方が生まれました。やがて、ユニバーサルデザインが提唱されました。バリアフリーが障がい者に限定した思いやりであったのに対して、ユニバーサルデザインはあらゆる人に対して社会システムが負うべき責務への転換を促しました。
 さらに,障がいのある人に障がいを強いているのは社会であるという考え方が生まれました。例えば,人は建物の2階に飛び上がれる鳥のような能力はありません。2階を前にして障がいがあることになります。そこで社会は「階段」という補助具を産み出しました。2階に上がれないという障がいのある人は,社会に階段を備えることで,障がいを無くすことができたのです。障がい者と健常者を分けているのは,社会の歪みのせいなのです。

ご意見・ご感想はこちらへ

(2021年01月03日:No.1084)